C_グルメ

2017/09/20

森尾正博/佐々木善章 「肉極道」 1巻 芳文社コミックス 芳文社

 祖父の急逝により肉料理の専門食堂「あさくら」を継ぐことになった、半ば料理素人のヒロインの店に、どう見ても自由業系にしか見えない強面の男が訪れたことから物語が始まります。

 肉に対する並々ならぬ情熱を持つその通称「肉極道」(ヒロインが勝手に命名)は、不味い肉料理にもめげずに通う常連を蹴散らしながら(爆)、強烈な駄目だしと共に、厨房に乗り込んで<肉料理の極意>をスパルタに叩き込む、そんな作品です。

 別に住み込みでもなく、フラッと訪れては肉料理を注文し(ちなみに鶏から豚、牛など肉なら何でもありというのが一応ウリの肉料理食堂)、その不味く調理された肉を噛みしめながら号泣し、そして強引に<技>を伝授していく、有り難いよりはかなり迷惑なお客ではあります。

 ある意味ではグルメ漫画ではありますけど、いわゆる普通のグルメ系とちょっと一線を画するのは、「至ってシンプルな肉の調理方法」、もっと具体的に言えば、家庭でも誰でも真似ができる、火の通し方とでもいいましょうか。。それに特化した作品だということです。

 シンプルにステーキを焼くところから、生姜焼き、とんかつ、唐揚げ、そしてベーコンに至るまで、普通にスーパーでも手に入れられる肉食材を、下ごしらえから焼き加減、油通しなど、面倒だけどちょっとした手間や細かな手順を踏むだけで、美味しく仕上げる方法を描いているんですね。

 ラム肉なんか、塩コショウだけで油すら加えません。それでも素材の旨味を引き出す調理方法と火加減だけで、十分過ぎるくらい美味しい肉料理ができる訳です。

 しかしまあ、ここまで基本の基本から教わっちゃうヒロインのお店、経営的に成り立つんか? という疑問も多々ありながら、まあその懸念通りの騒動が、1巻の終わりで発生します。いっかんのおわり・・・じゃなくて2巻ではどう切り抜けるんでしょうね?

 あくまで自由業風な御仁は「客」としての立ち位置を貫いていますが(・・・やってることはとうに客の範疇を超えてますけど)、それが2巻ではどう変化していくのか。そんな感じで実践的な肉知識も含めて楽しめる作品かなと。
  

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2017/09/19

おとうさん 「美味しい妖」 1巻 ガンガンコミックスONLINE スクウェア・エニックス

 気になっていた同級生をつけていったら、小料理店が実家だった訳ですが、その小料理屋で扱っている食材は、実は「妖怪」、、つまり「妖(あやかし)」であったという。。

 妖怪料理をこよなく愛する女子高生と、いつの間にやら色々な妖怪を”まかない”で食べまくる事になってしまった、そんな高校生の日々を描く、グルメというのか妖怪ものというのか、なんだかちょっと変なベクトルの作品です。

 妖怪を食べるといっても、妖怪同士で喰い合うような漫画はあまたありますが、この作品の場合には、妖怪は完全に「小動物」というか「ジビエ」に近いような食材であり、煮る、焼く、揚げると調理をして食べるとゆー主旨です。

 食材となる妖怪は、普通には眼に見えないものですが、実際にはそこら中に浮遊していたりします。まかないを食べ続ける主人公も、やがて”見える”ようにはなってきますが、設定は色々と細かいながら、破綻せずにいけるのかな?という老婆心もあったり。。

 まず「人型」の妖怪は食べない、ということになっています。倫理的に・・・という事になってますけど、この線引きってどこまで通用するのかな?
 これから先、そういう「人型」の妖怪との軋轢が生じる可能性がありますが、まあその辺りも折り込んでの作品設定というか構成になってるんでしょうかね。妖怪だって現在では絶滅危惧種みたいなものも居るでしょうし、食べる事に反対する団体だって出てくる・・・のかな?

 とまあ、料理にされる妖怪の設定は、結構練ってあって面白かったりもするので、設定負けしないような物語になっていくといいなあ、と思ったりしました。
  

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2017/08/15

さがら梨々/岡本健太郎 「ソウナンですか?」 1巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

 女子高生だけの無人島で遭難サバイバル、というフラグが立ちすぎなシチュエーションなんですが、中身はかなりしっかりとした<本気サバイバル>をベースにした構成になっています。

 無人島生活ネタのテレビ番組も結構多いですけど(まあ、、、本人達には過酷でしょうけど、リタイヤは出来る環境ですからね)、まあそれの超リアル版といったところでしょうか。

 飛行機が落ちて海上で干されるところから、本気のサバイバルは始まります。そして何とか陸へと辿り着けるわけですが、水すらも得るのが困難な無人島で、生き延びることはできるのか。。

 女子高生4人を主人公にする、というところは、結構当たっているなあと思います。

 うち一人は、父親に鍛え上げられた、あらゆるサバイバル術を身につけた猛者であり、彼女達の命綱でもありますが、、、当然ですが、普通の女子高生には耐えられないような<モノ>を、飲んだり喰わせたりしようとするわけですね(笑)。

 それに対して抵抗を思いっきり感じつつも、本気で死を感じながら徐々に受け入れざるを得ない、そんな葛藤の日々を、女子高生達の肌感覚を通じて伝えてくれている訳です。ここで男性がいるとまた方向性が変わってしまうと思うんですが、とりあえず皆女子高生という構成は、作品的には正解じゃないかな、と思ったりしました。

 サバイバル術に長けたスーパー女子高生も、何でもできると言えばできるっぽいですが、ある意味ではコミュ症でもあります。そういう苦手意識や距離感も含めて、4人で克服していこうという、そんな物語になっていますので、サバイバル術も本気ですけど、物語としても結構練ってあるなあ、という感じがします。

 サバイバル部分は、「山賊ダイアリー」の岡本健太郎氏なので、特に狩猟部分がかなり拘っている感が強いです(笑)。が、あえて一言だけ言えば、、、、離島にウサギって居るんかなあ?といったところだけ、引っかかりました。。

 離島であれば、野鳥の方が可能性があるような気はするんですが(この島だと海鳥の繁殖地などは微妙な気もしますが、無いとも言えないですし。そういえば、鳥の描写が殆ど無いのがちょっと不自然というか気掛かり?)。

 まあ元々は無人島ではなく、人が住んでいた可能性もあるという設定なのかもしれませんね(まだ本体は見えていませんが、恐らくアナウサギのような気もしますし。実はノウサギだったらちょっとビックリしますが(汗)。結構広い島という想定であれば、アリなのか、、、)。

 という上げ足取りみたいなことは置いておいて、、、ある意味、本気のサバイバル術を楽しく、そして常人の感覚の代弁として葛藤してくれる女子高生を通じて描いた、なかなか面白い作品な気がします。
  

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2017/07/25

岡田卓也 「ワニ男爵」 1巻 モーニングKC 講談社

 落ち着いた紳士風の出で立ちのもの書きである「ワニ男爵」と、グルメ情報をかぎつけては彼を誘いに来る(で、費用は男爵持ち)、ちょっと調子のいい「ラビットボーイ」のコンビが綴る、グルメ探訪コメディーです。

 ワニが男爵、という辺りもあれですけど、実に紳士風に、そして大人な対応に満ちあふれていながら、、、時々なんか無意識に”野生”に戻ってしまうという、お茶目(で済むのか?)な面もあり、憎めないキャラといったところです。

 対してラビット君は、若者というか小僧というか、ワニ男爵の財布をある意味では目当てにしている部分はあり、そしてつい愚痴を言ったり、他人を貶したりと決して性格がいいとは言えません。けど男爵はまったく意に介すことなく、子供じみた行為を静かに諭し、そしてラビット君もその心の広さに感銘を受ける、といった凸凹コンビを演じています。

 人間を動物に置き換えた世界観でありながら、「食い倒れ人形」はそのまんまかい!というツッコミ所もありつつーの、動物コメディーとしてもなかなか個性的な動物が次々と登場し、ワニ男爵と絡んでいきます。

 たまに野性に還ってしまうのは置いておいて(よくまあ、他の動物を食べなくて済んでいますが(笑))、ある意味では紳士に、そして人情味に溢れた男爵の対応は、ちょっといい感じです。

 全国のご当地グルメも色々と登場し、それを美味しそうに・・・・って、ワニに表情があるんかい!という部分がありながら、それなのにメッチャ美味しそうに食べさせているところが、・・・漫画の凄いところだなあ、、と改めて思ってしまいました(笑)。

 グルメ漫画として読むよりかは、人情動物コメディーと思って読む方が正解だと思いますけど、それでも色々な要素をバランスよく、そして非常にセンスよく並べた作品だなあと思います。
  

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2017/06/13

からあげたろう 「コーヒーカンタータ」 1巻 電撃コミックスNEXT 角川書店

 幻のコーヒーを巡って、とある街にやってきた少女のスタートを描く、「コーヒー漫画の皮を被ったガッツリSF」な作品です(笑)。 まあ、SFというかはファンタジーという設定の方が馴染み易いかもですね。

 とあるコーヒーの品種である”カンタータ”で街興しをしている地方都市に、ある”目的”の為にやってきた少女が、ある意味では偶然を重ねながら”一緒に学ぶ友人”を得ていく、というところが1巻目です(その目的地に辿り着くまでに紆余屈折がありまくりなので、まだ”入り口”のところまでしか進んでいませんが(笑))。

 基本的なコーヒーの淹れ方など、そういう”うんちく”も結構満載されています。そういう視点で見れば、グルメ漫画とも言えるかもしれません。が、そこに、「カンタータ」という、ある意味では圧倒的な味を以て君臨する”究極の珈琲豆”の存在があるわけですね。

 少女が辿り着いた喫茶店では、他の沢山の観光客向け喫茶店で出す、”カンタータ”は出さず、マスターが極普通の豆(勿論、厳選されています)を使って丁寧に淹れたコーヒーを出してくれます。ある意味では、それなりに美味しいコーヒーを入れる技術は持っていた少女ですが、同じ豆を使っている筈なのに、その味の違いに圧倒されます。。

 コーヒーって本当に難しいですよね。。

 私も一時、安物の挽いた豆で、ドリップで淹れてみた時期がありましたけど、何ヶ月かやっても、何というかマトモに同じ味で淹れることすら出来ませんでした。同じ豆なのに、毎回なんだか違う味がするんですよね(ただヘタなだけですが(爆))。

 布のネルを使うとか、それで味が変わるのはある意味当たり前としても、湯の温度や注ぎ方ひとつで、千差万別の味になってしまうのがコーヒー。。

 どちらかというと紅茶派(特にミルクティー派)な私ですが、ほんと紅茶って手順とか時間とか守れば、ある程度は誰でも同じ味に持って行けると思うんです。が、コーヒーは本当に淹れる人によって全く味が変わってしまうので、ある意味ではいつも同じ味を提供できるっていうのは、プロだなあ。。。って当たり前の話ですが(汗)、凄いなあと思う次第です。

 まだまだ1巻では入口だけなのですが、これから懇切丁寧に彼女達は、コーヒーを美味しく淹れる技術を学んでいくことになります。

 ただのコーヒーを巡るウンチクだけではなく、ヒロインを取り巻く少女達の性格の違いなど、物語としても中々楽しんで行けそうな、そんな作品です。
 

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2017/05/08

桑原太矩 「空挺ドラゴンズ」 2巻 アフタヌーンKC 講談社

 空中を飛ぶ龍(ドラゴン)が普通に生息している世界において、ドラゴンを喰う事に命を賭けた男が飛行船型の捕龍船で好き勝手に暴れる(違)、そんなファンタジー作品です。

 まあ喰うというのもアレですが(笑)、この世界では龍は空を飛ぶ<くじら>に近い位置付けで描かれています。退治するとかそういう対象ではなく、立派な<狩猟動物>ということですね。
 ただし、種類は龍といっても上から下まで様々であり、大きさもまちまち。能力によっては危険な種類もいるので、その捕龍船の大きさや乗組員の技能により、狩るかあるいは逃げるか(マジで)を決める事になります。ちなみに魔法とかは特になく、龍のような謎生物が生息している以外は、極普通の中世風な世界観です(飛行船やらエンジンやらは存在します)。狩りは機会の補助はありますけど、半ば”人力”といったところ。

 喰うというか狩ることがメインのストーリーになりますが(いわゆる「ダンジョン飯」ほど何でも喰いまくるファンタジーではないです(笑))、空中での捕龍船での捕り物は迫力があります(あ、2巻では”空中”ではありませんが・・・)。

 2巻では捕獲した龍を捌き、売るために村(というか街)に立ち寄る訳ですが、その街自体が<捕龍>による恩恵で成り立っているというか、、、余すところなく解体し、全てが利用できる龍は本当に<クジラ>そのものです。街自体の経済が捕獲されて持ち込まれる龍によって動いており、荒くれ者の捕龍船乗組員との間ではいざこざも発生しますが、お互い持ちつ持たれつという間柄。

 そういう意味で、ファンタジー世界ではありますけど、乗組員や街の人々の群像劇も丁寧に描かれており(この辺、学園ものの「とっかぶ」でも上手いなあと感じていましたが)、<龍>という経済生物を中心とした世界観も、違和感なく結構深く描かれているなあと思いました。

 何より、龍の解体シーンが実に丁寧で、空想生物とはいえリアリティーがあって感心しました(そんなもんに感心するのは私くらいかもですが(汗))。

 2巻でもまだまだ龍のいるこの世界の全体像が描き切れていませんが、少しずつ明らかになる世界像と伏線で、ファンタジーと謎グルメだけではなく、まだまだ色々と楽しめそうな作品です。
 

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2017/04/20

小山愛子 「舞子さんちのまかないさん」 1巻 少年サンデーコミックススペシャル 小学館

 京都の舞妓さんたちが共同で生活する場を「屋形」というそうです。まあそのまま合宿所ですね。

 そんな合宿所のような場所には、当然、給仕専門のおばさんも居たわけですが、急に体調を崩してしまい、仕出し弁当の毎日に。どこか味気ない弁当に飽きて、モチベーションが徐々に落ちていく舞妓さん達を救ったのは、東北から舞子見習いとして来ていた弱冠16歳の少女でした。。

 ここに至る経緯は、物語の中で、各エピソードの合間や回想シーンに伏線として上手に組み込まれ、徐々に明らかにされていきます。結構、回想の使い方も含めて工夫がされていて読みやすいなあと思いましたが、それは読んでからのお楽しみということで。

 まあ、レシピも掲載されてはいるんですが、グルメというカテゴリーとは少し違うかもですね。おばあちゃんっ子だった少女の作る御飯は、ある意味ではありきたりの「普通の」家庭料理ばかり(レパートリーは多く、ありモノでササッと作るアレンジ力もハンパなく、こよなく糠床を愛してやみませんが(違))。
 作中でも女将さんが「地元の子ではないので味付けも違うし、特に美味というわけでもない」と感想は述べていますが、それがある意味、核心でもあります。

 どの順番で作品を組み立てているかは判りませんが、「こういうシチュエーションなら、この人はどんなものを食べたいんだろう?」という、相手の気持ちや状況、そういうものを瞬時に感じ取り、時間を掛けずに食べたそうなものを”作ってあげる”。このプロセスこそが、この作品の持ち味じゃないかなあと。

 舞妓さんは朝から出勤ですが、昼も戻ってくる人もいますし、夜はバラバラに近い感じになります。そういう意味では、四六時中、朝昼晩だけではなく、まかないを作っている感じになりますね。そしておむすびも紅が付かないよう小さく作るとか、慌ただしく忙しく、時間も読めない舞妓さん達に、日々満足してもらえる食事を作り続ける。ある意味では彼女に合った役割に、すっぽりと填まったというところでしょう。

 ただし、日々、舞妓さん達のためにまかないを作り、それはそれでとても楽しそうにこなしている彼女ですが、そもそも論で彼女は”舞妓見習い”として上京してきたわけです。彼女と一緒に出てきた同郷の幼なじみは、舞妓を目指して着々と修行を積んでいるわけです。

 ある意味、忙しいながらも充実している・・・ように見える、まったく気にしていない風な彼女ですが、ある意味では線路から外れてしまった彼女が、今後どのように心の折り合いを付けていくのかなあ、、、というのが気になります(2巻以降で、その部分は描かれていく感じのようですが)。

 ごく普通の「まかない飯」を通じて、舞妓さんの生態や規則など、そういうものもしっかり紹介されていて、どちらかといえばグルメよりは、そちらがメインと言ってもいいような気もするんですね。それを”まかない飯”という切り口から、しきたりや裏事情、苦悩などの業界的な知識も含めて、上手に伏線などをうまく使いながら、ドラマとして組み上げられている、そんな作品かなあと思います。
 

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2017/04/11

小林銅蟲 「めしにしましょう」 2巻 イブニングKC 講談社

 今さら書くまでもないかもしれませんが、「メシテロ」とは、この作品の為にあるのではないかと思ってしまう程、破壊的なグルメ漫画です(笑)。

 舞台はとある漫画家さんの職場。そのアシスタント青梅川さんが、やる気がなくなるとおかしなスイッチが入って<まかない飯>を作り出すという、、、そんな漫画です。
 けど、ただ単にフライパン振って鍋で何か煮てとか、時短な簡単レシピを作るのではなく、下準備に数時間とか、、、〆切りに追われる戦場(漫画家の職場)において、それを無視して破壊することしか考えてないような面倒なレシピを作り始めるという、、まさに<メシテロ>な作品なわけです。

 まあ本来、テロとは政治的目的を達成するための破壊的活動な訳ですが(かなり端折った解説)、この〆切りを破壊する工作活動は、まさに漫画制作という経済活動に対しての”テロ”と言えるのではないでしょうかっっ (←信じないで下さい)

 作品の最後にレシピっぽいフロー図が掲載されますが(レシピっぽくないところが面白い(笑))、ある意味では「まかない君」的なアレンジがありつつも、無駄に変なベクトル方向に拘って、手間暇が掛かる手順をわざわざ選んだりと、<いかに無駄に時間を消費するか(=〆切りを破壊するか)>に、全精力が注がれているかのような。。。

 いやまあ、それでも漫画が〆切りに間に合っちゃったりもするし(誘惑に負けずに作業するその他の人々により)、カルチャーショック的に想像を超えた旨いメシが出来るときもあれば、稀に劇的にマズかったりもしたりと、もう終着点が見えない、暴走しまくりなグルメ漫画(・・・なのか?)と言っていいでしょう。

 ちなみに一つ感動的というか合理的だと思ったのは、、、作中では仕事場のお風呂が、無駄としか言い様がないくらいの調理器具として使われています(笑)。最近のお風呂って、保温状態の温度設定が60度まで出来るんですよね。要するに設定した温度で維持ができるわけです。この機能を使って、50度に設定したお風呂で”肉”を数時間かけて茹で上げるわけです。水とガス代の無駄以外の何者でもありませんが(笑)、いやしかし、これは凄い事に気がつかされたなあと。。

 世の中、油の温度を180~220度とかに維持したりする器具は沢山あります(ガスレンジに最近は温度センサーが内蔵されているものもありますし、IHであればもっと簡単ですね)。またオーブンでも設定した温度にして維持するのは簡単ですよね。

 ところが100度以下、50度や60度を維持できる調理器具って、、、実は存在しません。それを謳っているIH調理器具もあるにはあるんですが、どうもきちんと温度設定はできないらしい(口コミを見る限りにおいては)。

 「50度洗い」が一時期流行りましたが、あの温度設定だってやったことある人は苦労した筈(温度計で測って水足したりまた火に掛けたりetc.)。けど、「50度洗い」は数秒から数分漬ければいいだけですから、温度の維持なんて考える必要はなかったですよね。その温度を一定に維持するというのは、本当に大変です(探せば、そういう機器は存在しそうですが、調理器具ではない気がする、、、)。

 けど、温度設定が自動設定可能な風呂釜を使えば、それが簡単にできてしまうということです。まさに目からウロコでした(実際にやるかどうかは別ですが(笑))。

 某「マツコの知らない世界」で漫画メシを作るという回がありましたが、そこでは温度自動設定機能のない御自宅のお風呂を使って、温度計を眺めながらお湯を必死に足しつつ、非常に苦労しながらこの「めしにしましょう」のレシピを再現していました。が、温度設定機能のあるお風呂を使えば、もっと簡単に美味しくあの”お肉”は再現できたと思いますね(あれ、あまり美味しくないという感想でしたが、多分”失敗”しただけだと思いますね。。)。

 まあ、レシピの内容よりも、「いかに美味しいメシを作るのには時間が掛かるのか」を教えてくれる、そんな作品・・・なのかもしれません(←多分、色々な意味で間違ってます)。

 

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2017/03/31

松本渚 「将棋めし」 1巻 コミックフラッパーズ メディアファクトリー

 これはよく考えてみると、カテゴライズするのが結構難しい気もするんですが、あまり深く考えず、気張らずに読んで楽しむのが吉かもしれません。

 将棋でも碁でもそうですが、とにかく長丁場。下手すると勝負が付くのに数日掛かる場合もあります。じゃあその間、食事はどうしているのか??

 新聞の結果記事やTVの中継記事とかでは判らない、その「将棋(の合間に食べる)めし」に焦点を当てたのがこの作品になります。

 といっても、後書きでも触れられているように、最初から最後まで全てがネット配信されるようになった世の中。そんな中、この<勝負めし>とも言うべき食事に何を選ぶかは、マニアというか一部の好事家(違)の間でも話題になっていたようです。

 「孤独のグルメ」にも通じるところがありますが、いわゆる「今日は何腹だ!」という部分で、限られた選択肢の中からグルグルと将棋の手を考えるが如く高速に脳内葛藤が繰り広げられ、そして終着点である食事に到達すると。。。

 その過程では、ここに行ったらこれを食べようというルーチンや験担ぎ、いつものアレが食べられない時に何を選ぶかなど、数々の困難(?)が立ちはだかり、その合間に勝負の行方が・・・いやまあ、将棋の勝負の方が建前上は本題ですけどね(汗)。

 けどまあ、日頃のぼーっとしながら「今日のお昼なに食べようかなあ。」とは違った、勝敗にも直結しかねない大事な栄養補給に「何を選ぶか」というのは、ある意味では本当に大事な選択ではあります。そして自分が何を選ぶかも大問題ですが、やはり戦う相手も何を食べるか、、、気になりますよね。うんうん。

 という感じで、「ここぞ!」という時にどんな食事を選ぶのか、、、、。まあ、将棋会館の定食など、別にグルメでも何でもない選択肢に至る事もありますが(笑)、究極の葛藤を描いた作品かもしれませんっ! (と、何となく強く主張してみる)

 何か絵柄を見たことあるなあと思ったのと、将棋の話がメインではない割には(こらこら)、よく見るとかなりキッチリと描かれていると思ったら。。「盤上の罪と罰」の方だったんですね。将棋のシーンに違和感がないのは当然でした(勿論、監修も付いていますし)。

 前作は掲載誌の休刊で、かなり急展開な終了となってしまったようですけど、ベクトルを大きく変えつつも、将棋というしっかりした地盤を使いながら、頑張って欲しいなあと思います。目の付け所は結構いいんじゃないかなあと思いますので。

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2016/09/27

山崎童々 「みつめさんは今日も完食」 1巻 ビッグコミックス 小学館

 まだまだ駆け出しの雑誌編集者のミツメさん。急に退職した先輩の後を引き継ぎ、グルメレポートのブログを担当させられることになりますが、先輩の残したメモはあるものの、料理すら自分で作らず、外食にもあまり興味がなかったので路頭に迷うことになります。

 が、突然、「三つ目の眼」が開眼したことで、「料理の精」と会話ができるようになり。。。

 最近はグルメ漫画も本当に増えてきましたが(・・・いい意味で)、この作品も実在するお店を紹介する、というコンセプトでありつつも、要するに<料理を擬人化する>という手法で見せる、そういう方向性で作られています。

 御本人もお店に行っているかどうかは判りませんが、作品のストーリー作りの方が自然でしっかりと違和感なく(コメディーとして)作られていて、物語としても結構OLものとして楽しめるようになっています。
 有名ブロガーがネタ出しに協力しているというところもあるんで、ストーリー作りに注力できるのかもしれませんね。そういう意味で、コラボの相乗効果も出ているのかなあと。

 料理の美味しさの表現は、そういう方々の料理の説明を受けながら、それを作者のイメージで擬人化していくという形を取っているんでしょうね。美味しい料理を本当に美味しそうに、<妖精さんと戯れながら>食するという、グルメ漫画の大事なところも、料理の美味しさのイメージが膨らむことを助けてくれるという感じがしますんで、なかなか面白い演出だなあと思いました。

 グルメ漫画も、まだまだいろんな切り口があるんですねえ。

 余談ですが、この作中に出てくる「肉山」の姉妹店、「ホルモン酒場・わ」というお店には、わたし行ったことがありました。。

 単にホルモンが食べたいだけで検索して訪れたんですが、漫画家さんの色紙がやたらあるなあ、という印象と共に、「肉山の肉あります。」というナゾの張り紙がカウンターに貼ってあり、当時、「なんだろうこれ?」と謎を抱きつつも、調べてなかったんですよね(※常にあるのかどうかは判りません。1回しか行ってないので)。

 その謎が、この作品を読むことで解けました。(・∀・)※漫画家さんの色紙が多い謎も一緒に。
 次の機会があったら、「肉山の肉」、食べてみようかなあ(残ってたらですけどね)。

 

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