伊咲ウタ 「ブキミの谷のロボ子さん」 1巻 電撃コミックスNEXT KADOKAWA
人との関係が上手くいかず、許される限り独りで生活することを謳歌するコミュ症男に、一体「人間とは何か」の何を教えることが出来るのか?必死に”ロボ子”を追い出そうとするものの、落語のように屁理屈を並べて言葉攻撃をかわされまくります。そもそも、AIとして何だか行動がズレている上に、半端ない気合いで作られた”超美少女中学生”型の外観のため、周囲の眼もあり、、、なし崩しに同居というか「置いておく」ことになってしまった男の元には、身内である妹が突然訪ねてきて。。(いや、何日も前に一応連絡はしておりますが)。
コミュ症の主人公から、人間とはなにかなんて学べるの?という辺りから設定がすっ飛んでいますが(笑)、妹やその家族との関係を紐解く物語の流れの中で、極端に人との関わり方を恐れ、自分の考えを人に押しつける事を躊躇するようになった主人公の行動や心情が徐々に描かれていくことになります。
紐解いてみれば、極々ちょっとしたすれ違いや言葉の捉え方の違い程度の、そんなやり取りのズレや、些細な考え方の違いからの行き違いが過去にあっただけの話。普通にその辺に普通にいる”人間”の悩みと葛藤、そしてそこから逃れようとする逃走本能に従って行動しているだけ、、、と言うことが明らかになっていきます。
ちょっと妹の行動と言動もブキミというか、恨みもあるのかかなり”ダーク”な部分も感じられたりしますが、それも何かのキッカケ等があっての事なんでしょう。それも追々描かれていくのだろうと思います。
それぞれの登場の仕方から何から、結構突飛ですが(笑)、物語を薦めるに連れて、色々な謎や心に引っかかっている何かが明らかになっていき、恐らく心の中にわだかまった何かが、超天然AIな”ロボ子さん”によって、徐々に紐解かれていく、、、そんな物語になるのだろうなあ、と思ったりします。
まあ実際のところ、”ロボ子”の目的も妹の何も、ハッキリとはしない部分もあります。そんな謎を紐解きながら、ロボ子さんの暴走を楽しむ(笑)、そんな作品なのだろうなあと。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)