C_ギャグ・コメディー

2017/06/20

山田鐘人 「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」 1巻 サンデーうぇぶりSSC 小学館

 隕石の衝突がキッカケとなり、病気が蔓延して人が消えてしまった都内において、1台のロボット少女と生活を続ける、コミュ症気味な博士の日常を描く、ちょっとシュールなSF作品、、、。

 であると同時に、無表情で口が悪いロボット少女が、約1ページにつき1回、必ずツッコミを入れるというギャグコメディー作品です。

 日頃は研究所のようなところで、二人でビデオなどを見たりゲームをしたり、何かしらイベントをやってみたりしながら過ごしている、そういう日常系なノリではありますが、辺りには全く人はいません。

 生存者らの僅かな痕跡を辿り、都内を徘徊することもありますが、結局、彼らとは話をすることも出来ない・・・という前に、博士が他人と話を、コミュニケーションがとれるのかという問題が(ry

 渋谷や新宿あたりで、人のいなくなった店舗に律儀にお金を置きながら、必要物資を集めつつ徘徊します。この街に人が沢山いるという状況を見たことがないロボ子は、ある意味では無表情ながら無邪気な質問をしつつ、博士にツッコミを入れながら歩いて行く。。

 生存者は極稀にいるようではありますが、ひっそりと消えていきます。

 そして博士は、災害が起きる前の自分を追想し、現状の自分が幸せなのかを考えています。元々他人とのコミュニケーションが苦手で、ひとりぼっちで何でもやってきた、そして自分の未来に必ず幸せがあると信じて、ひたすら勉強をしてきた日々。。

 孤独に慣れているが故に、ある意味ではこの状況が、実は大して苦でも何でもない博士はいま、幸せになれたのでしょうか?

 素でお約束なボケをかますぼっちな博士と、どんどん口の悪くなるロボット少女が織りなす、近未来のサバイバル(?)漫画、、、という程、なんだか過酷な状況でもないところが、この作品の面白いところかもしれません。
 
 

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2017/06/15

福田泰宏 「まどからマドカちゃん」 モーニングKC 講談社

 雨宿りで軒先を借りた部屋の窓から、無言のまま様々な「お誘い」をしてくる美人と、ただの通りがかりのサラリーマンの、窓を挟んで展開するオムニバス・ショートコントといったところですかね。

 このコントの縛りは、「窓」という枠を通じたコミュニケーションと、互いの不可侵(サラリーマン君が部屋の中に入ったり、また彼女が部屋から出てくることもない)、そしてヒロインが「無口」で身振り手振りで全て伝えるのみで、一言も喋らない、ということ。

 この3点の縛りを踏まえて、ほぼコントというかは不条理ギャグのような、美女とサラリーマンのやり取りが展開していきます。

 部屋の中は異次元ポケットかよ!っというくらい、衣装や内装がガラッと変わるのはまだしも、突如”釣り●”が出来たりと、ほぼ何でもアリな状態。ある意味では、ドリフの大爆笑ショート・コントといった味わいでしょうかね。

 それにプラスして、美人ですからそれなりのサービス・・・は、まあ最低限ありますよ、ということで。

 落語的なノリというか、そういうほのぼのとしたコントや不条理ギャグが好きな人にとって、結構楽しめる作品じゃないかなあと思います。

  私はこういうノリの作品、かなり大好きです(笑)。
  

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2017/05/24

横山旬 「あらいぐマンといっしょ」 上巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 愛用していたアライグマのぬいぐるみを、彼女と一緒になるために捨てようとした際、落雷にあって意識不明のまま病室で昏睡し続けていた一人のサラリーマン、、、数年後にひょんな事から目覚めてみると。。

 奇想天外&ノンストップな、ドタバタ珍道中、といったところでしょうか。

 何を書いてもネタバレになっちゃいそうなので難しいところですが、簡単に言うならば意識のない時にも病院に通い続け、実家に”痕跡”を残していった彼女を、小さな手がかりを元に探して訪ねる、そんな”旅”物語です。”

 けどまあ、旅というかは珍道中、さらに言えば”大冒険”みたいな事になっちゃってますけどね。

 そのお供は病院で出会った、ちょっと何かが足りない大声の大男。ぶっきらぼうで”足りない”ながらも、じつに実直で真面目で人を疑うことも知らない、ちょっと扱いにくい相棒と”ぬいぐるみ”が、様々な出会いやトラブルに振り回されながら、少しずつ目的の核心に迫っていくという、、そんなお話です。

 上下巻なので次で終わるんですけど、そもそも読み始めてからのぶっ飛びぶりが半端ないですね。。

 想像を超えて展開するトラブルと、やけくそな主人公の異様なまでの”順応力”でもって、まさにジェットコースターのようにお話は進んでいきます。

 ただ、途中のトラブルやドタバタや葛藤を省いてしまえば、物語はいたってシンプルで判り易い構図でもあるので、いろいろな意味で脱線と暴走を繰り返しながらも、ストーリー自体を見失うことはありません。

 まあ、<驚愕の事実>が下巻では待ってそうな気もするのですが、、、上巻だけを読んでしまうと、どんだけ奇想天外で想像を超えた事実がそこにあっても、この主人公なら<まあいいか>って(いいかげんに)順応して乗り越えてしまいそうな、そんな気もしたりします(笑)。

 そういう意味で、暴走しまくりな物語ながら、ちょっと安心して読める、ドタバタコメディーといったところですね。
 

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2017/05/23

大宮宮美 「つるぎのない」 全1巻 マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ マックガーデン

 「ゆるゆるファンタジー」というジャンルがあるなら、まさにそんな感じの聖剣と伝説の勇者の物語です。

 そもそも論で、”聖剣が頭に刺さってる女の子”というその設定がかなり突拍子がないわけですが(笑)、その割には記憶を無くしていて、のほほんとした性格のヒロイン。そして聖剣を抜く事ができる伝説の勇者の子孫で、7人兄姉の中では妹よりも”あらゆる才能”がない、いわゆる落ちこぼれの最弱の勇者(結構荒んでいる?)が、何の因果か旅・・・というか兄妹達の追跡を振り払って逃避行を行うことになるという、そんなお話です。

 抜けないと思っていた聖剣が、なんだか意味不明なものを付けたまま抜けてきたり、色んな伝承(例えばドラゴン伝説)が、何だか話が誇張されていたり歪んでいたりして伝わっているのが徐々に判ってきたりと、兄妹達には追われながらも、いろいろな場所でいろいろな人に出会いながら、のんびりゆるゆると”海を目指して”旅を続け、、、、

 そして最後に、全ての伏線は一気に紐解かれ、事態は急展開していくことになるわけですが。。

 正直に言えば、漫画としては、幾らかつたない感じを受けるんですが(コマ割や絵の安定度など。人のこと言える立場ではないですが(汗))、物語というかドラマ自体との構成と設定、そして展開については実に楽しめる作品だなあと。

 ある意味では勇者と魔物が存在し、ドラゴンも存在し、勇者が平和を守るというファンタジー世界なんですが、<絵本>というか<おとぎ話の世界>なんですよね。最後には”魔王”も降臨する訳ですが、そこに至るまでの伏線とストーリー展開、そしてその結末は、「小さい頃に読んだ絵本の世界」に繋がる、そんな作品になっているんですね。

 描いていけば技術なんてのは後から付いてくるものですが(・・・まあ描き続ける事はとても大変な事なんですが、それは置いておいて)、こういう物語の構成力とかセンスというのは、それとは別のものだろうなあと思います。

 オチへの賛否はあるかもしれませんが、読後感はとても良かったので、他の作品もちょっと読んでみたいなあ、と思いました。
  

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2017/05/22

双龍 「間違った子を魔法少女にしてしまった」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社

 地球で魔法少女のなり手を捜していた謎生物は(定番設定ですが(笑))、偶然であった”清楚な雰囲気”の少女に、魔法少女になって貰うようお願いします。しかし、彼女の”真の姿”とは。。。

 表紙のおどろおどろしさが全てを物語っているとも言えますが、実は引っかけが一つあります。けっして「不良少女」を選んだというわけではありません。ある意味では、不良少年・不良少女よりも恐ろしい思考回路で行動する、破壊的な少女かもしれませんが。。

 行動は破壊的ですが、行動原理はいたってシンプル。「気にくわない奴は徹底的に潰す」です(別に正義がどうこうとか、そんなのは関係ありません(笑))。

 って書くと結局アレですが、その性格を別に隠している訳でもなく、学校では成績優秀ながらすぐバックれてしまい、授業中も教師無視。気にくわない奴が例え札付きの不良であっても、完膚無きまで粉砕し、破壊してしまうような身体能力を兼ね備え、<筋は通すが沸点が異様に低い、歩く最終破壊兵器>と言っても過言ではない、、、というのが、あくまで変身もしていない少女の素性です。

 敵に追われて傷ついていたとはいえ、潜在能力だけをスキャンしてその場で彼女を<魔法少女>にしてしまった謎生物は、いろんな意味で後悔することになっていくわけですが。。

 けどまあ、変身もせずに敵を撃退してしまうその潜在能力。まさに変身してないのに全身からほとばしる”殺意”は、戦闘能力としては申し分なし。魔法のステッキも彼女にかかれば「物理兵器」でしかない訳ですが(笑)、生来の破壊力が倍増どころの話じゃありません。

 そんな彼女の潜在能力に呼応して、敵のレベルも勝手にアップ。地球にどんどん吸い寄せられるという事態に陥るという、、、結果的には、今のところ全ての敵は粉砕されているものの、いろんな意味で何か間違っているというか、、、、

 タイトルがシンプルながらも、それを踏まえた上でどんでん返しというか、想像を超えたストーリーが展開する、結構奥が深い設定に凝った作品だったりします。

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2017/05/09

丸山朝ヲ/棚架ユウ 「転生したら剣でした」 1巻 バーズコミックス 幻冬舎

 転生したら剣になっていました。という、タイトルそのままズバリな内容です。

 最近、少しタイトルが長いファンタジー作品が色々と出ていますけど、これもある意味、その系統かなあと思いつつ、描画が丸山朝ヲさんだったので手に取ってみました。
 で、原作の世界設定などがしっかりしているので、案外面白く楽しめました。

 そもそも何で生まれ変わったら剣なのか不明ですが(まあ、それも伏線ですね)、意志を持った主人公である”剣”は、近くの小さな魔物を少しずつ自力で叩き切りながらスキルアップしていき、剣なのに数々のスキルを身につけていきます。しかし不覚にも魔力を抜かれ、何年も動けなくなったところに、もう一人の主人公である猫耳少女(こらこら)と出会い、二人で旅を始めることになるという。

 剣に意志があるということ自体、この”ファンタジー世界”では普通はあり得ない設定となっており、スキル等も剣の方に宿っている形ですが、持ち主がそれを使いこなすことでさらに威力も発揮できるという設定です。

 小説が原作なものは(直近では「蜘蛛ですが、なにか?」など)、この辺りのスキルの選択であるとか伸ばし方、順序などに結構拘りがあるのか、料理のスキルとか何で要るねんと思いながら、キッチリそれが役に立つシチュエーションを用意していたりします。ゲーム感覚でどのスキルを伸ばすか、ストーリーにも合わせてしっかり組み立ててあるので、そういう意味ではRPGをやった事がある人には、ああなる程と楽しめるんだろうなあと思います。

 ヒロインである猫耳娘も、強くなりたいと思いつつも”進化”ができずに力尽きた両親の想いも受け、妖獣の中では最弱・最底辺の位置付けにされながら、謎の力も秘めている感があり(まあ定石ですけど(w))、剣の行く末も含めてなかなか楽しめそうなファンタジー作品でした。

 いやあ、、、キッカケは色々ですけど、読んでみないとやっぱり判らないもんですねえ。。
 

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2017/04/27

衿沢世衣子 「うちのクラスの女子がヤバい」 全3巻 マガジンエッジKC 講談社

 思春期だけ「なんの役にも立たない超能力=無用力」が発現する、そんな女子だけを集めた1年1組のドタバタ青春劇が、とりあえず終了です。1巻のコメントはこちら。

 よくまあ3巻分も続いたというか、凄い想像力と構成力だなあと思います。無用力といっても、一歩間違えれば「使い方によっては役に立つ”超能力”」な訳です。

 何というか”お題に縛りがある大喜利”のように、相当絞り出さないと、これだけの女子生徒の「無用力」は思いつかないと思いますし、さらにそれを青春物語(青春コメディーとも言う)に昇華してしまうんですから、並の努力ではこの作品は作れないと思うんです。。

 まあ、色々な意味で斜め上をいく発想で作品を作っている作者なので、そういうものを生み出すチャンネルがあって、思ったほど苦労してない可能性もありますが(死ぬほど苦労している可能性もありますが)、それでもドラマとしての構成、そして無用力をもったクラスメイトとの絡みなど、ちょっと凄いなあと思いました。

 「一歩間違えれば”超能力”」というのは、まさに逆手にとって3巻ではネタにしています。そして、ちゃんとオチまで用意して(笑)。逆にこれを逆手に取れるということは、各々の「無用力」のアイデアを絞り出すのは相当意識しているんだなあ、とも思います。

 実はちょっとまだ続きがあるものと思って読んでいたんですが(読み終えたときも終わった感が無かった)、読み終えていざ感想を書こうかなと思ってみたら、「全3巻」とか書いてあってちょっとビックリ。

 けどそう確認してから少し読み返してみると、無用力があってもそれを活用する術や青春ドラマのそれぞれの結末、そして彼女らの将来はどうなるのかという暗示も含めて、案外てんこ盛りになっているんですね。そして座敷童的な一人の少女を巡っての、そして様々な場所に巡らせていた伏線を畳むかのような最後のクラス総出の大騒動とオチなど、何かこの作品らしく「のほほん」とした締め方なんだな、と改めて思った次第です。。

 なんだかのほほんと楽しく読めるSF作品でした。

 P.S. 3巻の表紙の元ネタだけ、ちょっと判らんかった。。見た記憶はあるんだけど、誰の絵だったかなあ。。

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2017/04/25

風上旬/POP 「ウルトラ怪獣擬人化計画」 3巻 ヤングチャンピオンコミックス 秋田書店

 懐かしい、、、かどうかは世代によりますけど、ウルトラマンシリーズに出てきた個性的な凶悪怪獣を、怪獣墓場でなんでか知らんけど美少女(女子高生?)に変身させてしまうという、よく考えたら暴挙としか言いようがない設定を踏まえて、コミカライズされた作品です。怪獣墓場(なんだか学校になっている)から地球へまた遠征し、そこで繰り広げられるほのぼの地球侵略(ごっこ)物語、という感じになっています。

 当初、この企画はイラストとフィギュアだけでしたが、レッドキングやエレキングのビジュアルを見て、「いやあの・・・けどなんか可愛い」とか思ったのは内緒です(爆)。特にエレキングさんは狙いすぎ(笑)。

 色々とメディアミックスで展開されているようですが(コミカライズも幾つかあるようですが)、この作品ではメフィラス星人が主人公として、往年の名物怪獣が擬人化(美少女化)されて集い、地球侵略のためにまずアイドルグループを・・・という感じで、なんかこうおかしなベクトルに走りつつ、のほほんとしながらも、巨大化して戦ったりとかもすることになるとか、そもそも何で擬人化させてんだ?とかいう伏線も絡めて、案外真面目にドラマを作ってるんですね。

 正直、最初は怖いもの見たさで1巻を買ったんですが(こらこら)、(一部の擬人化怪獣の)可愛らしさをきっちり全面にも押し出しつつも、様々な怪獣達との出会いの中で、「お約束な元ネタ」のマニアックで密度の濃い挿入などで、なかなか面白いんですね。それぞれの怪獣の性格付けや癖、そしてやり過ぎ感もあるくらいの元ネタオンパレード(笑)で、結構楽しませてくれるのと(特にウルトラマンに殺られたときのシーンのネタ再現とか、様々な有名シーンからマニアックネタまで)、ドラマとしても結構よく練られているなあ、と感じたもので。

 私は多分、リアルではウルトラマンタロウとレオ世代辺りだと思うんですが(リアルで見た記憶がある)、再放送で初代とセブンをほぼ全て見ていて、そちらの方の印象の方がより強く残っています。

 この作品では、初代とセブンでの怪獣に偏っている形になるんですが(もちろん、その後のエースとかで出てくる怪獣も幾つか出てくるようです(あまりそこは詳しくない(汗))、まあその後の作品でも繰り返し出てくる怪獣もいますし、何というか初代、セブンの作品インパクトが一番大きかったとも言えますんで、ここはまあ仕方ないですよね。

 なんか読んでいると、元ネタを改めて確認したくなって、また旧やセブンが見たくなってきてしまうという妙な相乗効果も楽しめる、そんな感じの作品です。

 ※余談ですが、、、ある日、「平成セブン」なるものがあるのを知って、中年諸星ダンに感銘を受けながら、DVDを全部大人買いしてしまったのは私です(爆)。
  

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2017/04/18

鴨鍋かもつ 「魔王の秘書」 1巻 アース・スターコミックス 奉文堂

 何百年という封印から醒めた魔王は人間狩りをしますが、その中に世界を征服するための活動に協力する、と名乗る女性が現れます。面白い言動(と結構美人という部分)を鑑みて、引き入れたはいいものの、、、、

 自ら「魔王の秘書」を名乗り、世界征服の為に、魔物顔負けな冷徹な危険な言動を連発し、魔王群を僅かな希望と暗雲に向かって「上げたり」「下げたり」と翻弄し始める、ごく普通の「自称秘書」の活躍(と、どんどん袖にされる魔王の悲哀)を描く、そんな作品です。

 まあ作品の全ては、この表紙で表現され切っている気もしますが(笑)。

 まずもってして、この「魔王の秘書」を自ら引き受ける彼女の性格が、合理性に満ち過ぎていると言わざるを得ないでしょうね。その前の職業も、実は某王国の王様付きの秘書。ある意味では、あまりに優秀すぎるが故に、当の王様が自由に好き勝手が出来ず、辟易としていたという。。(まあ優秀な秘書なり執事は、往々にして煙たがれるものですが、なんか違和感がこの辺りからしてきます(笑))。

 そこに、ある意味、魔物にさらわれる事になったわけですが、、割り切りすぎというか、なんというか、合理性を通り越して、どこかネジがずれたやり取りになってくという。。

 自分で何か望むことはなく、基本的に無表情で無感情。そして言動は目的を最小限の労力で合理的に片付けるため、感情やモラルそっちのけで危険なまでに過激と(笑)。けど「秘書としての努め」には、異様なまでの拘りと目標意識を持っていると。。

 いわゆる人間に対する情け容赦は、とにかくナシ(まあ、それにも理由があるということが、ちょっとずつ明らかにはなりますが)。そして清々するくらい「合理的」で、魔物軍団の組織編成や福利厚生など、会社組織を内側から改編していく経営コンサルタントのように、次々と改革していきます。魔王様そっちのけで(笑)。

 何のために生まれ、何のために行動してるのか、生態すらも実は(自分らでも)よく判ってない魔物に、合理性という言葉を説くという行為は、まあ滑稽といえば滑稽ではあります(笑)。けどまあ、反論出来ずに従うしかない状態で、どこか不安も抱えつつも、少しずつ何かが変わっていくと。

 まあ、そもそも彼女自身、魔物とは何なのかとか、そんなことは最初から何も気にしてないんですね。単に<組み込まれた社会>の中で、生き残る術として行動しているだけ。それが彼女の処世術というか、行動原理というだけなのです。。

 それが人間社会でも、魔物社会でも、彼女にとっては<意味>はあまりなく、行動はその社会に合わせて、そして合理的に決められていく、というわけです。。

 まああとは、半ばエロエロな設定もあるものの(魔物は人間の女性を孕ませられるんだぞ~、みたいな)、それを見事に真面目に回避していくあたり、何かこう「寸止め」のような焦らしな部分もいいなあと(笑)。

 ある意味では、設定だけからは先が読めないというか、意表を突かれる展開のオンパレードというか、、、優秀なのは間違いない気はするものの、どこか素直に「正しい行動」とは認めにくい(笑)、そんな「魔王の秘書」の活躍が楽しめる作品です(笑)。
 

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2017/04/11

小林銅蟲 「めしにしましょう」 2巻 イブニングKC 講談社

 今さら書くまでもないかもしれませんが、「メシテロ」とは、この作品の為にあるのではないかと思ってしまう程、破壊的なグルメ漫画です(笑)。

 舞台はとある漫画家さんの職場。そのアシスタント青梅川さんが、やる気がなくなるとおかしなスイッチが入って<まかない飯>を作り出すという、、、そんな漫画です。
 けど、ただ単にフライパン振って鍋で何か煮てとか、時短な簡単レシピを作るのではなく、下準備に数時間とか、、、〆切りに追われる戦場(漫画家の職場)において、それを無視して破壊することしか考えてないような面倒なレシピを作り始めるという、、まさに<メシテロ>な作品なわけです。

 まあ本来、テロとは政治的目的を達成するための破壊的活動な訳ですが(かなり端折った解説)、この〆切りを破壊する工作活動は、まさに漫画制作という経済活動に対しての”テロ”と言えるのではないでしょうかっっ (←信じないで下さい)

 作品の最後にレシピっぽいフロー図が掲載されますが(レシピっぽくないところが面白い(笑))、ある意味では「まかない君」的なアレンジがありつつも、無駄に変なベクトル方向に拘って、手間暇が掛かる手順をわざわざ選んだりと、<いかに無駄に時間を消費するか(=〆切りを破壊するか)>に、全精力が注がれているかのような。。。

 いやまあ、それでも漫画が〆切りに間に合っちゃったりもするし(誘惑に負けずに作業するその他の人々により)、カルチャーショック的に想像を超えた旨いメシが出来るときもあれば、稀に劇的にマズかったりもしたりと、もう終着点が見えない、暴走しまくりなグルメ漫画(・・・なのか?)と言っていいでしょう。

 ちなみに一つ感動的というか合理的だと思ったのは、、、作中では仕事場のお風呂が、無駄としか言い様がないくらいの調理器具として使われています(笑)。最近のお風呂って、保温状態の温度設定が60度まで出来るんですよね。要するに設定した温度で維持ができるわけです。この機能を使って、50度に設定したお風呂で”肉”を数時間かけて茹で上げるわけです。水とガス代の無駄以外の何者でもありませんが(笑)、いやしかし、これは凄い事に気がつかされたなあと。。

 世の中、油の温度を180~220度とかに維持したりする器具は沢山あります(ガスレンジに最近は温度センサーが内蔵されているものもありますし、IHであればもっと簡単ですね)。またオーブンでも設定した温度にして維持するのは簡単ですよね。

 ところが100度以下、50度や60度を維持できる調理器具って、、、実は存在しません。それを謳っているIH調理器具もあるにはあるんですが、どうもきちんと温度設定はできないらしい(口コミを見る限りにおいては)。

 「50度洗い」が一時期流行りましたが、あの温度設定だってやったことある人は苦労した筈(温度計で測って水足したりまた火に掛けたりetc.)。けど、「50度洗い」は数秒から数分漬ければいいだけですから、温度の維持なんて考える必要はなかったですよね。その温度を一定に維持するというのは、本当に大変です(探せば、そういう機器は存在しそうですが、調理器具ではない気がする、、、)。

 けど、温度設定が自動設定可能な風呂釜を使えば、それが簡単にできてしまうということです。まさに目からウロコでした(実際にやるかどうかは別ですが(笑))。

 某「マツコの知らない世界」で漫画メシを作るという回がありましたが、そこでは温度自動設定機能のない御自宅のお風呂を使って、温度計を眺めながらお湯を必死に足しつつ、非常に苦労しながらこの「めしにしましょう」のレシピを再現していました。が、温度設定機能のあるお風呂を使えば、もっと簡単に美味しくあの”お肉”は再現できたと思いますね(あれ、あまり美味しくないという感想でしたが、多分”失敗”しただけだと思いますね。。)。

 まあ、レシピの内容よりも、「いかに美味しいメシを作るのには時間が掛かるのか」を教えてくれる、そんな作品・・・なのかもしれません(←多分、色々な意味で間違ってます)。

 

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