C_伝奇・オカルト

2017/05/29

阿部洋一 「新・血潜り林檎と金魚鉢男」 全2巻 アース・スターコミックス 奉文堂

 頭が<金魚鉢>の背広の紳士が唐突に現れ、金魚鉢の中の金魚が人を襲うと、その人は<金魚>になってしまう。。

 そんな恐怖に怯える街で活躍するのが、スクール水着を着た少女、”血潜り”達で、彼女達でしか金魚男の毒を処置できない。但し、その能力を使って”潜れる”のは、襲われたばかりでまだ金魚になっていない人のみ。金魚になってしまった人々は、もう金魚のままで居るしかない。。

 スク水女子が街中を走り回ってる段階で、なんかもう小さな劇団のアングラ演劇の世界を彷彿とさせますが(・・・アングラは死語かしら?)、まさにそういう雰囲気の漂う作品です。

 敵対する同士とも言える「金魚鉢男」と「血潜り」ですが、ある意味では「血潜り」も特殊な職業。金魚鉢男が消えてしまえば、存在意義は当然消滅してしまいます。既に彼女らも”人ではない”とも言えますし、そんな葛藤を巡る戦いに、話は急展開していくことになります。

 2巻ではとうとう宿敵の「金魚鉢男」を倒すことに成功はしたものの、それによって却って最悪の事態が引き起こされ、街そのものが金魚毒に飲み込まれていきます。その状況を打開するためには、ヒロインである”林檎”の存在が不可欠となる訳ですが。。

 ストーリーや設定が突拍子ないので、なかなかストーリーの説明をするのが難しんですが、この作品自体は「文化庁メディア芸術祭漫画部門」の審査委員会推薦作品にもなっています。

 ところが電撃コミックスジャパンが2012年に休刊。 その後、2015年にコミックアーススターで復活を遂げる、という経緯がありました。電撃コミックスジャパンでの既刊本(全3巻)も再版され、5冊目にしてやっと完結を迎えることになったわけです。

 どこか夏休みの終わりのような不思議な世界観と、唐突に現れる謎の<金魚鉢男>の存在が、何とも独特な雰囲気を作り出しています。

 想像を超えた意外な”結末”を迎えた作品ですが、ある意味では”この世界観を維持しつづけた”ということでもあるのかもしれません。勿論、ここに至るまでのストーリーもなかなか面白く、ワクワクとは違うかも知れませんが楽しませてくれる作品でした。

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2017/05/17

上山道郎 「オニヒメ」 2巻 ヤングキングコミックス 少年画報社

 「剣豪ディスク」と呼ばれる刀の鍔(つば)に宿った剣豪達の技を引き出し、異界からの魔物と戦う、謎の出自の女子高生の戦いを描く、剣豪アクション作品です。

 簡単に説明してしまうなら、「特撮ヒーローもの」と言った方が雰囲気が伝わるかもしれませんね。最近の某ヒーローは色んなカードを装着して技を繰り出すわけですけど、この作品の場合にはそれは刀に付ける鍔状の「剣豪ディスク」な訳です。

 普通の剣術、剣道ものとは一線を画するのは、やはり「ツマヌダ格闘街」で培った、古武術に則った体の姿勢や動きなどのアクションでしょう。

 最低限の動きで、想像を超えた半端ないパワーを生み出す古代剣術を含む古武術・・。その基本は立ち姿を含む姿勢ですが、やはりそれをしっかり描けているからこそ、炸裂した時の迫力が感じられます。これ、普通に動画で見てしまうと、かえって判りにくいかもしれません。。ある意味、漫画だからこその表現である気もします。

 作品自体は、剣豪ディスク同士を使った、怪異との剣術による戦いです。主人公は剣道も習ったこともない少女ですが、その出自に秘密があったり。。もう一人のヒロインは、秘密組織に所属して怪異と戦う戦士の一人な訳ですが、こちらは語り部としての位置付けとも言えますね。

 で、、、、この作品の特筆すべき事は、過去の作品である「怪奇警察サイポリス」と世界観を共にしているということです!(←勝手に興奮しているらしい)。

 「怪奇警察サイポリス」は1995年まで「コロコロコミックス」に連載された全9巻の児童向け漫画です。細かな解説はWikipedia  に任せますが、児童向けという文法は守りつつも、正直、少年漫画として掲載されていてもおかしくないクオリティーの作品だったんですね(※個人の感想です)。

 現在、マンガ図書館Zで無料で読むことが出来ます。 ・・・というか、正直、コロコロコミックスの単行本を全部探すのは、他のコロコロ作品以上に、現在ではかなり難しいでしょう(私もかなり前、探すのにとても苦労した記憶がありますが、ここ10年くらいは古書店で1冊も見たことがありません。ネット古書店を探せばあるのかもしれませんが、、、)。

 当作品のヒロインは、サイポリスの登場人物の血を引き継いでいる、という設定となっています。そして2巻では、勿体ぶらずにモロにその登場人物達が現れるという大盤振る舞い(笑)。

 半ば打ち切りのような形で終わってしまった、20年以上前の児童漫画の設定を蘇らせたのは、やはり古武術への半端ない知識と、特撮ものへの熱い想い(作者本人の)とが融合して結晶した、と言ってもいいんじゃないでしょうか。

 ある意味、児童向けとはいえ細かな裏設定に当時から拘っていたからこそ、青年漫画とのコラボが実現したんじゃないかなあと思うと、なんか感慨深いですねぇ。。

 と、勝手に盛り上がっていますが(汗)、過去作品の下敷きがなくても、特撮ものが好きな人にも、そして古武術に興味がある人にも、それぞれの予備知識が全くなくとも十分過ぎるくらいのクオリティーで楽しめる作品になっているんじゃないかなあ、と思います。
 

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2017/04/17

ながべ 「とつくにの少女」 3巻 BLADE COMICS マックガーデン

 とある「外」の森の中で、ある異形の人物と暮らす一人の少女。その少女を巡って、人が住む「内」と、人外のモノが棲む「外」の世界の間で起きる”何か”を描いていく、そういう物語です。

 「外」の世界を「外(と)つ国」と言い、そこに住まう人々は化け物扱いされています。その「外」の住人がどのように作られるかと言えば、実はその異形の生物に触れることで、人だけではなく獣も含めて「感染」するかのように変化していきます。

 ある意味では、「感染者のなれの果て」が隔離されているのが「とつくに」と言えるのかもしれません。城壁に囲われた「内(うち)つ国」の方が、狭い感じがしますけどね。

 表紙にも登場する異形の人物は、勿論言葉も喋れます。そして少女が感染しないよう、一緒に住みながらも決して触れないよう、そしてとつくにの住人達にも触れさせないよう、ある意味では微妙な距離感で共同生活を営んでいます。

 あどけない少女は伯母を待っていますが、実際のところは捨てられたに近い状態で、主人公が引き取り、守ってきたわけですが、3巻ではその捨てたはずの伯母が現れ、兵士に守られながら少女を「内つ国」に連れ去ってしまいます。そして少女が到着した村では、、、

 1巻、2巻では半ば謎に満ちた不思議な森と、その中で何かを恐れながら、そして互いの素性も謎のままながら、少女の落ち着いたあどけなさに救われながら日々を小さな幸せを感じながら生活する、そんな2人を描いていました。

 2巻の終わり頃から、「とつくに」と「うちつくに」の、ある意味では非情な争い事が始まり、物語が3巻に向けて大きく動き、伏線や謎が徐々に明らかになりつつあります。本当の意味での少女の<秘密>は、4巻において明かされる事になりますが、不思議な世界観だけのファンタジー作品というだけではなく、複雑な人間模様が、一気に進んでいく感じですね。

 この作品、読み始めた当初から「絵本のようだな」という印象を受けていたんですが(そういう評価もチラ見しましたが)、改めて<絵>を眺めてみると、ちょっとびっくりしました。効果線など、動きを表現する線がほぼ無いんですね。いや、全くないと言ってもいいかもしれない。。

 ある意味では全て「静止画」として描かれているんですが、意識しないとそういう”効果”を使っていないことが認識できない。動作の途中の動きが、しっかりとしたデッサンで描かれているので、それで「動いている途中」と認識するんでしょうかね。。

 そして淡々とした必要最小限の会話や心理描写のト書きなどから、想像力を掻き立てられるような、そんな感じです。ある意味、絵本というメディアも、限られたページ数の中で、静止画と文字だけで情報を読者に与えるわけですが(動きのある絵もありますが、比較的静止画が多いですよね)、それに近い表現方法なので、「絵本のようだ」という印象を受けるのかもしれません。

 そういう意味では、イメージ的な作風を見て楽しむのがメインの作品かな、と思っていたんですが、2巻、3巻以降で一気に物語が動き出し、ああ、こういう表現方法でもドラマティックな展開が描けるんだなあ、、と、改めて面白い作品だなと認識した次第です。

 余談ですが、某作品でイメージ戦略に成功したからって、あんまし「人外」って単語を使わない方がいいんじゃないかなあ、と最近思う次第です。確かこの作品も、1巻の帯は「人外×少女」だった気がします。その後、なんか猫も杓子も使い始めてしまって、この単語は食傷気味かなあと。。この作品・作風は、某作品とはまた味付けが全然違う、非常に個性的な作品だと思うんですね。3巻以降は、もっと違う独特のセンスを表現するようなキャッチコピーを考えるべきだなあと思ったりもします。。
  

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2016/10/25

山西正則 「放課後!ダンジョン高校」 7巻 リュウコミックス 徳間書店

 とある離れ孤島にある高校ですが、高校とは名ばかり。実態は、その高校に出入り口のある古代遺跡=<ダンジョン>(魔窟)で発掘をするため、生徒達は授業そっちのけでお宝を求めてダンジョン探検に繰り出すという(先生もグルです)、そんな謎の古代遺跡の冒険譚、といったところでしょうか。

 7巻では、地下の謎の太陽のある空間での、生死を賭けた駆け引きといったところになります。

 前から紹介したいと思っていたんですけど、毎回ふと悩むのは、「この作品の雰囲気を、どうやって文章にしたらいいんだろう?」ということだったりします。例えば表紙も見ての通りでそれっぽい訳ですが、彼女は元アイドル。その格好は100%「コスプレ」の域を出ないというか、、サバゲで軍服を着るのと同レベル。ダンジョンだからファンタジーな格好せにゃ、といった感じです。

 それじゃ格好だけかと言えば、掘り出されるお宝は真剣な<オーパーツ>の固まりばかり。武器にもなりますが、体に取り込むことにより、少しずつ蝕んでいくような厄介なものもあり。この辺りは、ダンジョンもののゲームに近いですが、もう少しエグい謎な道具、そしてそもそも、このダンジョン自体が誰がどういう目的で、どうやって作ったのか謎だらけ。深淵部には誰もまだ近づけず(モンスターもいて、奥の方ほど強力。そして地図も出来ていない)、帰ってこなかった者も、命を落とす者も出るという<ゲームではない真剣勝負な場>とも言えます。

 それぞれが大小のオーパーツを駆使して危機を乗り越えていくものの、どこかこう<日常>的な部分から、大きく逸脱してないというのが、この作品というか作者の作風の特徴、と言ってもいいんでしょうかね。。

 それは勿論、日常的なやり取りの自然さもありますが、どちらかと言えば登場人物同士のコミュニケーションの中に、様々な伏線があり、深いところで疑心暗鬼も含めて<駆け引き>があり、心理描写が多いわけではないんですが、客観的に見てそういう駆け引きの世界に重点が置かれている、というところから来るんじゃないかなと。。。 

    ↑ほらうまく書けないじゃん!!! ヽ(`Д´)ノ

 登場人物それぞれに色々な事情や過去があり、それが徐々に伏線となって物語に絡んでいく、そんな作品なわけです。ある意味、アクションといってもめっちゃ派手なシーンがある訳ではありません。変な話、「演劇」として演じられるレベルと言ったらいいんでしょうかね。。派手なシーンや舞台装置自体より、やはり物語自体の面白さで勝負しよう、という感じじゃないかなあ。。

 どちらにせよ、普通のファンタジーものと比較してしまうと、オリジナリティー色もとても強い、かなり異色な作品です。けど、なんか読んでいくと続きが気になり、引き込まれていくんですよね(先が全く予想が出来ないというのもあり)。

 上手く紹介できないなあ。。ということで、無料試し読みページも紹介しておこう。。

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2016/07/27

江島絵理 「少女決戦オルギア」 全3巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

 1巻のコメントはこちら

 女子高生達のバトルはヒートアップし、やがてその戦いの目的と、犠牲の末に得られるもの、それを知ったことで生じる動揺などが錯綜していきます。
 最終的な戦いとその結末は。。。

 ということで、生死を賭けたバトルシーンの動きが尋常ないです。パ○○はどうでもいいんですが(違)、新体操の選手のような躍動感溢れる動きと駆け引きに、ぐいぐいと引き込まれます。なんかもう凄いなあ、としか言いようがないw

 そして戦いの末に得られるものが何か判明したことで、ヒロインの戦意は一気に消失。けど、そこから立ち直り、”目標”を改めて見定めることになります。

 ページの半分で、選手が半分とはいえ80人以上残っている段階でしたが、話は急展開していきます。数々の目論見が明るみに出て、それを知った上で、何をどう変えていくか、スイーツを賞味しながら女子会して・・・って、まあそのギャップはまたギャップでいいんですけど、ここからのまとめ方が凄いなあと。

 当然、「この巻で全てまとめる」というのが、秘密裏に作者に指令として伝わったのでしょうけど(と遠回しに書いてみる)、この尺の中でストーリーを組み立てるのに必要な<伏線>を的確に摘み取って描き切り、そしてこの限られた枠の中に描きたかったと思われるラストバトルをガッツリと盛り込み、最高潮のところで幕を引くと。。。

 その後どうなったか、ということは当然誰もが思うでしょうけど、そこを描くことは蛇足でしかないですよね。

 彼女は想定外も含めた戦いの末に、<目的>を掴み取った。本当に幸せになれるのかは判りませんが、それはいいじゃないですか、と。。

 なんかこう、よくこの尺の中に上手にまとめたなあと、改めて思いました。

 描こうと思えば、この後のカオスな世界も描けるかもしれませんけど、どうでしょう?けど、この美しいラストに対しては蛇足にならないかな?というのが心配。。


 ただ最後に一言。
 ページ数の都合はあったのだと思いますけど、最後のオマケ漫画の前に、空白で1ページは欲しかった(笑)。もうちょい余韻に浸らしてよ!ということで。

(※けど、嫌いじゃないですよ!頑張れ「すぐ死ぬ〜ズ」!w)

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2016/07/14

宮永龍 「アインシュタインの怪物」 1巻 Gファンタジーコミックス スクウェア・エニックス

 漁村の外れに棲む「魔女」と呼ばれる少年アインシュタインと、その漁村の漁師の息子の交流と、その数奇な運命を綴った、少しシュールでメルヘンな物語です。

 怪物とは、魔女な少年が生み出すことになる「継ぎ接ぎの死体」のこと。その”怪物”が生み出される過程に漁師の息子は巻き込まれていくわけですが、、というか、まあ<本人が望んだ>ことが実現されただけ、でもありますね。ある意味では責任の重圧も相当なものですが、二人は「一蓮托生」な世界へと旅立つ事になります。

 物語のあらすじは本の裏にも書いてあるので、そちらを見つつ本編を楽しんでいただければいいとして、この作品の特筆すべきは、その絵柄と色使い、そして全体の雰囲気ですね。

 かなりデフォルメをきかせた人物描写、そしてヨーロッパ風な世界の雰囲気は、まさに<絵本>の世界です。カラー表紙のパステルカラーな色使いと絵柄だけでも、中身の雰囲気は伝わる・・・かな?
 恐らくですけど、美術系の学校などで基礎はしっかり学ばれているのだろうと推察されます。デッサンが多分しっかりしているから、ここまでデフォルメしても、人物の動きに違和感がないんじゃないかなと。。

 ある意味では、子供向けのアンデルセン物語のアニメに近い雰囲気があるかもしれません(あくまで近いモノに分類しただけですけど)。背景の描写も緻密で小さなコマ全体が絵本の1ページずつのような、そんな感じでしょうかね。

 内容的には、肉親の死や村人の偏見差別、そして怪物&魔女として追われる彼らの顛末など、若干重くシュールな場面もありますが、その中で育まれる二人の絆のような何かが、全体の雰囲気を小さく照らすように折り込まれていて、暗い話になりそうな材料を、ちょっと暖かく明るくしてくれています。

 まあ、何というか女装癖かよ!で、実は年増な魔女な少年の受け答えや仕草も可愛いんですよね(なんか事あるごとに<少年!>と言い聞かせないと、性別を誤解しそうなくらい・・・というか、本当に男の子の”まま”なんかな?)。そして若干頼りなさそうな雰囲気ながら、決断と行動力、そして割り切りの早さが魅力な漁師の息子も、結構いい奴なんですよね。まだまだ一人前でもないのに、色々背負って大変ですけどね。。

 ファンタジーでメルヘンな雰囲気ながら、1巻の終わりには船も手に入れて、何となく冒険活劇的な流れも出てきましたので、独特な雰囲気と相まって続きが結構楽しみな作品だなあと。

  

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2016/07/13

メイジメロウ 「お客様は神様です。」 2巻 シリウスKC 講談社

 とあるコンビニに勤める”訳あり”の酒呑童子の娘しゅららと、彼女に振り回される同僚、ダメダメ店長、不良(?)兄貴と共に、コンビニに訪れる迷惑な神々(?)との絡みを綴った、ドタバタコメディーです。

 まあ、出入りするものが皆さん神がかっていたり妖怪じみてるわけですけど、どれもこれもモンスターでクレーマーな迷惑な客ばかり。神通力やら何やらを駆使してコンビニ相手に無理難題やら迷惑行為を繰り返す訳です。

 だがしかし!それに「お客様は神さまです!」という信念の元、客の期待に応えようとするヒロインが無意識のうちに神通力を発動し、期待以上のおもてなしをする、、、、つもりが、いわゆるモンクレへの<神対応>といった内容もあるものの、最悪は<破壊行為>にしか至らないという、そんなドタバタな日常を描いています。

 1巻辺りは、神がかった(?)トンデモ客が毎回訪れ、コンビニがてんやわんやという日常を描くだけのコメディーという雰囲気でしたが、やはりヒロインの神通力の関わり方が半端ないんですね。客も客で嫌がらせっぽい行動ばかりするんですが、その行為に対しても<お客様のお望みに応える><お客様の御迷惑にならないように>をモットーとして、生真面目に対応しようとするヒロインが、結局はトラブルを増長させて解決したりしなかったり、という感じの繰り返しになるわけですが、この「お客様の望みを(無意識に)叶える」という神通力が曲者で(笑)、1巻あたりではコンビニ群像コメディー的な雰囲気だったのが、2巻では完全に<物語の主役>として進化した、という感じになってきました。

 何というか迷惑行為と彼女の神通力の相乗効果で、迷惑な行為がさらに”大迷惑”になっていくという、その流れが結構工夫されていて面白いなあと思いまして。借金のために働き続ける(何百年も)というあたりがいいなあと。
 あと、迷惑行為を行わせるために、色々と解釈を曲解させた神々のキャラ設定センスも、若干罰当たり感もあるものの、「あくまでソレっぽい方なだけで、本物じゃないですよ~」的な雰囲気で逃げ道を作りつつ(笑)、上手にアレンジしてるなあと。2巻から登場する”金太郎”のアレンジも、なんかまあ普通思いつかない設定アレンジだよなあと思います(笑)。

 1巻ではそうでもなかったんですけど、2巻になってヒロインをより全面に押し出すようになったことで、俄然面白くなってきた感じもします。何より相乗効果によるドタバタ感が増した、というところもあるんでしょうかね。ちょっと続きが楽しみになってきました。

  

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2016/06/07

田中メカ 「お迎えです。」 6巻 花とゆめコミックス 白泉社

 最初にテレビでテロップを見た際、なんか見覚えがあるなあ、、けどアレはひらがなだったよなあ。。
 などと思って予告を見てたら、ピンクの兎が出てきて「えええっ???」となってしまいました。

 まあ、テレビから入った方は説明は要らないと思いますけど、未練のある霊の思いを遂げてあげる、そのお手伝いをする仕事をさらに手伝うアルバイトをする、特異体質の青年を中心とした青春コメディー作品です。

 なんせ14年以上前に連載していた作品ですからね。。特に当時もめっちゃ話題になった訳でもないですが(失礼)、死を扱うわりに暗くならずにいいお話で終わるオムニバス作品として、私の好きな作品ではありました。

 が、、、今更これを持ちだすとは、余程ネタに困って(ry

 というか、漫画自体が書店になんて並んでいませんから、誰も最初、原作があるなんて知らなかったみたいですね(HPとかでは解説されていたと思いますが、そこまで見る人も多くはないでしょう。○○くんがでてるー!ってノリでしか見てないでしょうから(違))。

 実写ドラマ向けな内容ではあるので、こういう作品にスポットが当たるのもちょっと嬉しいのも確かですけど、何の臆面もなく「14年ぶりの6巻」が出てきて、さらにビックリです(汗)。

 改めて見ると、絵柄が十数年経ってもあまり大きく変わっていない感もあり、ちょっとそれもビックリです。
 けどまあ、続刊とすると、ちと困る事もありと思うんですが、どうなんですかねえ。。

 何が困るかというと、続きで6巻とするのはいいんですけど、これがまた数年後には「レア本」になってしまう確率が高いんですよね。
 一応、映像化記念で読み切りを数本描き、それを収録+短編もくわえて単行本化したわけです。恐らく「全6巻」になると思うんですが、まあ十数年後に思い立って「全6巻」を揃えるのって大変だと思ったり(絶版になっていた場合には)。。
 6巻の販売部数はわかりませんけど、かなり強気で印刷したとしても、既刊分よりは少ないでしょうから(既刊は幾らか増刷してると思いますけど、あったとしても6巻と同じ程度かそれ以下でしょう)、「揃える」のが大変になるんですよ。

 例えばいまは再版されてるようですけど、「キン肉マン」の旧版の30巻以降は、古本屋探しても滅多に出てこないと思います。まんだらけなら、1000~2000円くらいで売っているとは思いますが、最終刊あたりはもっとプレミアが付いているでしょう。

 当時売れに売れたとはいえ、続刊は「その前の巻より刷ることはあり得ない」んですよね。
 ・続きで買う=・途中で買わなくなる人もいる=・前巻より刷るということは<あり得ない>。

 そのため、長く続いている連載ほど、後半の巻や最終巻は異様に入手しづらくなります。さらに最終巻がその前の巻より数年以上あとに出た場合、出たことに気がつかずに売れず、その前の巻の半分以下しか結局は出なかったりもするようです。
 ※まあ、あくまで絶版になってしまい、古本屋でしか手に入らなくなった場合、という話ですが。

 個人的な好みですけど「続・○○」とかの方がいいような気もするんですけど、、、。
 続きじゃないと買わない人もいるでしょうから、それを買って、面白ければ本屋に注文して1~5巻を買うかもしれないかなあと。。
 まあいいか。。。関係者でもないですし(爆

 なんだか本筋と違う方向になってしまったような(汗)。

 いやまあ、作品のノリや雰囲気はドラマで十分御存じと思いますけど、変化球ラブコメ(?)の原作も、それぞれよくできたドタバタ人情物語を楽しめると思いますので、一つ眺めてみたらいいかと思います。

 ちなみに、現在の連載は「朝まで待てません!」という漫画編集者ものです。「重版出来!」人気にあやかって、こちらも売れたらいいなあ(違)。
 ※これの解説はまたいつしか。。↓

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2016/05/26

望月淳 「ヴァニスタの手記」 1巻 ガンガンコミックスJOKER スクウェア・エニックス

 19世紀のパリをベースとした架空世界設定の中、謎の魔導書「ヴァニスタの書」を巡って吸血鬼を巡る騒動に巻き込まれる、一人の”変わった青年”と、その書を駆使する自称”医者”との出会いと活躍(?)を描く、アクション作品になります。

 1巻を読み終わった後に抱く感想は。。。「目まぐるしいよ!」です(笑)。

 主人公は上記の二人なわけですけど、次から次へと沸き起こる騒動に巻き込まれつつ(なんかもうインディージョーンズ張り)、<主導権>がもの凄い勢いで入れ替わるんですよね。

 いがみ合ってどちらも主導権を譲らない、という設定ではなく、状況に応じてまあそれぞれに流れで従う感じで、何か物語の流れがその目まぐるしい”主導権の交代”で、グルグルしちゃうという(笑)。

 あまりにも凄い勢いで状況が刻々と変化(悪化?)していく中、読んでいる方はどちらが主で従なのか、だんだん混乱して判らなくなっていくという。。

 まあ、主従関係を作らず、互いにある意味では各々の能力や行動力を評価した結果、こう行動しているんだ、というところが狙いなんでしょうかね。

 物語自体は、「ヴァニスタの書」を巡る伝説と、実際のその機能とのギャップ、そしてそもそも、その書が何を目的に作られ、それを本来の目的とは違う使い方をすることで、どういう問題が起きていくのか、、といのが、これから描かれて行くのだと思います。

 まあ、2巻以降はそれぞれの役割を認識して、もう少し落ち着いた流れで進行するのかどうなのか。
 雰囲気はとても良く、また物語もジェットコースターのようで飽きない展開が続くので、それなりに楽しめるんですが、もうちょい読者が地に足を付けて眺められる方がいい。。。ような気もしないでもないかしら(※個人の感想です)。

 けどまあ、表紙と帯の雰囲気から受ける印象以上に、スピーディーで予測もつかない、伏線を散りばめながらしっかり回収しつつ進行する(そして謎は謎のまま進行するので、どんどん引き込まれる)、そんな感じで楽しめる作品になっています。

 

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2016/05/17

海人井槙 「はじまりの竜とおわりの龍」 全1巻 ビッグコミックススペシャル 小学館

 竜が人と共存する世界における、4つのオムニバス形式の短編集となっています。

 この世界では、竜は独特な生活環を持ち、人の体を通じて再度生み出されることで、人と強い絆を持つに至ります(男性と女性ではまた少し異なるのですが)。半ば神を降ろす巫女のような形で”竜”と関わりを持つ人々の、その悲しい生き様が綴られていきます。

 世界観としては、どこか独特な雰囲気を醸し出しています。一般の世界は、中国の辺境のような雰囲気を醸しだし、龍を扱う人々は、どこか山岳民族的な出で立ちとして描かれていますが、水を自在に扱い、逆鱗に触れれば雷を放つ、<竜>という神とも生物とも言い難い存在が、何も語ることなく人々の運命に強く関わっていきます。

 物語はそれぞれ時系列が大きく異なりますが、この不思議な<竜>と、それに関わる<鳥>という不思議な存在により、根底で繋がっています。
 輪廻する生命体として竜を描くことにより、人と共に生き、そして人と共に消えていく、、、妙に不思議な悲哀にも似た”滅びの物語”という流れが、どこかにある気がします。

 細かな世界観の説明は基本的にはないので、最後までどこかモヤモヤした感じはありますが(笑)、それはそれ。人の体を通じて再誕し、そして上手に飼わなければ死んでしまう、そんな儚い謎の生命体としての<竜>と、その<龍>の生死に関わる<鳥>、それらを巡る人々の葛藤を淡々と描いた、そんな作品です。

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