C_ミリタリー

2017/08/10

園田俊樹 「シンギュラリティは雲をつかむ」 1巻 アフタヌーンKC 講談社

 レシプロ機が飛び交うという世界観の中で、一寸どういう理由かは分からない、合理性がどこにあるかも判らない<人型>の全身翼航空機と出会うことで、戦いの世界に巻き込まれ、、、いや、飛び込んでいこうとする、ある天才工学少年の軌跡を描こうという作品です。

 設定的には「ラピュタ」の世界観を想像した方が判り易いかもしれませんけど、あれはオーバーテクノロジーの話。こちらは人型とはいえ、各方面の天才エンジニアが、その世界での最先端技術を駆使して作り上げた機械であり、足が地に着いているという部分が大きく異なります(まあ、いわゆるロボットではないので立てませんが)。

 ある意味では、レシプロ機などを超えたテクノロジーとも言えますが、大きな問題がありました。それは「操縦用ソフトウェア」が、30箇所もの可動部分があるメカのテクノロジーにまったく追いついていないというか、その機体が開発された当時、誰も開発ができなかったということです。そのため、その「凄いけど使えない」機体は、谷がちな田舎の小さな町工場の中に、ただ佇んでいるだけであったと。。

 そんな機体が、ある意味では天才肌で自己中、そしてある意味ではコミュ症(笑)の少年と出会い、そして予期せぬ外部からの攻撃により、出撃するというシチュエーションが生まれます。。そして、「レシプロ飛行機」の操縦系から開放されたその機体は、想像を超えた機動を始めることに、、、

 と書くと、結構よくあるアニメーション作品の物語の組み立てなんですけど、この作品の場合、ひと味違う所があります。

 それは主人公である少年が、純粋に誰かを助けたいとかそういう衝動ではなく、「この機械を使いたい」「自分を認めてもらいたい」という欲望に対して、素直に行動することを求められていく、というところでしょうか。。
 親父も開発に何らかの形で関わっていたようですが、豪快ながらかなりの曲者です。
 そして少年は、自分の欲求を叶えるためにはどう行動すればいいのか、それを真剣に考え始め、そして実行し始めると、、、、

 戦闘という非常事態を利用し、そしてクラスメイトや市民達を巻き込みながら。。

 そういう精神面の駆け引きが、この作品のちょっと違った味となっている気がします。ちょっとまだ構成にぎこちない部分もあるんですが、先の物語がかなり気になる作品です。

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2017/06/05

坂崎ふれでぃ 「サバゲっぱなし」 1巻 サンデーGXコミックス 小学館

 少し欲求不満ながらハイテンションなOLが、とあるバーに入り込んだことがキッカケで、「サバイバルゲーム沼」に堕ちていく、、、そんなサバゲー入門的な作品です。

 一般のOLをいかにサバゲ沼に引き入れるか、、、というような技もありながらも、自らズボズボと填まりまくって、廻りまでサバゲ熱に改めて感染させていくという、何か読んでいても楽しい。。。と思うのは、私も「サバゲ」に片足突っ込んでるからでしょうかね(爆)。

 基本的には、バーのマスターまで含めて女性社会人のサバゲチームというかグループによる、野外戦やインドア戦など、ざっと「サバイバルゲームとはどういうものか」という部分は、詳しく解説はしています。

 が、いわゆるチーム同士の戦いであるとかテクニックとか、そういうベクトルで昨今の”サバゲ漫画”は構成されがちですが、この作品の場合、<ガチでサバゲという”宴会”を楽しむ>ことに主眼を置かれています。なので、途中のテクニックとかそういう部分は勿論紹介はされていますが、必要最低限。戦いの描写も最低限。
 その<戦いの前後>の、それぞれテンションMAXな状態を描画しながら、いかに<やってみたら楽しいか!>ということを紹介することがメインなんだと思うんですね。

 お店の協力などもいただきながら、武器である銃を選ぶあたりにも重点が置かれています。

 というか、実際に趣味としてやってみると、私なんかは年間数回しか行けないながら(・・・それもここ2年ほど御無沙汰)、銃を改造したりカタログ見たり、新製品が発売されたらなんか色々と調べちゃったり、そういうことに費やしている時間の方が、数十倍~数百倍であり、またそれも本当に楽しいんですよね。「旅行は行く前が一番楽しい」「行ったあとの想い出も楽しい」というのに通じるところがあるかもしれません。

 恐らく、実際に楽しんでいるOLの方々などにも色々とインタビューしたりして、<リアルで楽しんでいる人達は、どういう気持ちで、楽しさを見いだしているのか>というところに、かなり重点を置いていると思うんです。

 それでいて、何かだたのハウツーもののような説明べたりな感じもなく、主人公のヒロインのハイテンションぶりを眺めているだけで、なんだかお腹いっぱい楽しめてしまうんですね。。

 本来は先輩として色々と教えてあげようと思っていた方々も、その豪快な買いっぷりや突っ走りぶりに呆れながらも、どんどん影響されて楽しくなって来ちゃうという(・・・買い物熱が感染するとも言う・・・)、いろんな意味で何だかこういう人がいたら、本当に楽しいだろうなあ、という集まりになっているわけです。

 しかし、、、カスタマイズされたM16派生銃って(←多分古い人間なので、こういう表現になる(汗))、本格的なロードサイクル並みの値段するのですね、、(大汗)。私はスナイパーなので、VSR-10をカスタマイズする程度で(この辺のスナイパー銃も本格的ショップカスタムだと10万円超えるのはザラでしたが)、サブにスコーピオンを極悪改造(謎)してただけですけど、やはり上には上があるんだなあ。。

 入門書というのとはまた違う部分もある気がしますが(それでも基本的な情報は満載されていますよ。勿論)、特に社会人になって填まる人達にとっての「サバイバルゲームの魅力ってどんなとこ?」という部分については、盛り沢山になっている上に、なんだか読んでて楽しくなる、そういう作品だなあと思います。

 ・・・なんかまたちょっとやりに行きたくなってきてしまった(汗)。
 2年も放置してると、マトモに動かない気がしますが(汗)。

 

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2016/10/31

高田慎一郎 「放課後アサルト×ガールズ」 2巻 メテオCOMICS ほるぷ社

 これはタイトルと表紙だけを見てしまうと「女子高生のサバゲ漫画?」と思ってしまうかもしれませんが、中身は全然違います。

 とある少女と出会うことで異世界に飛ばされてしまった女子高生達が、群れで襲ってくる兵士(ゾンビ?)と無理矢理戦う事になってしまう、そんなミリタリー・サバイバルといったところでしょうかね。。

 敵の弾に当たると「命(ライフ)」が減る(一定時間で回復?)や、兵士としての職種(突撃兵や狙撃兵、看護兵など)を選べ、”変身”ができるという、いわゆるゲーム的な要素もありつつ、楽しく戦うよりも、どこか死の恐怖を感じつつ、生き残る為にどうするか葛藤する、というような要素もあります。

 そして、転送されてきた少女達(数十人規模)が、誰もが積極的に戦おうという意志がある訳ではなく、人の形をしたものを撃ち倒すことに抵抗や躊躇を憶える女子の方が多いという(そりゃそうだ)、そんな群像的な作りになっています。

 前作の「少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ」でも、小人の国に転送された少女達が、大統領から大蔵大臣、防衛大臣などなど、数々の役割を自分らで決めながら、迫りくる(あまり危機感があるんだかないんだか解らない)敵国と対峙しながら、法律を作ったり、お金を発行したり、選挙をしたり、そして防衛のために戦ったりといったような<国作り>をする、というお話を描いていました。

 今回はもう少しシンプルに、「軍隊組織」という限られたシチュエーションに絞って、似たようなベクトルで作品作りがされているのかな、と思います。

 ただ、「少女政府」と違うのは、状況がシンプルな上に<シリアス>であるということ。敵の正体は今ひとつ把握しにくいものの、定期的に襲ってくるので、考えてるヒマはなく、生き延びる為にはそれを振り払うしかありません。彼女達を異世界に引き込んだ(巻き込んだ?)少女も、頼りになるんだかならないんだか、謎も多くて関係も微妙ですけど、目的は何だと言ってられない状況に陥っているのも確か。

 「少女政府」 が若干、のほほんとした雰囲気すぎな感じもしていたので(あれもあれで嫌いじゃないんですが)、こういうシリアスな方向性の方が、個人的には好きだったりします。

 数十人のうち、軍人への変身を許諾しているのはまだ数人。これから、どんな役割が増えていき、ドラマが展開していくんでしょうねえ。

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2016/10/27

篠丸のどか 「花と黒鋼」 2巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

 絶海の孤島で小数の島民達と、そして祖父と暮らす少女は、ある日、外界からやってきたサイボーグ戦士、「斉藤」と出会います。
 孤島の外の世界では、食糧資源を巡って熾烈な戦争が繰り広げられているのですが、その島は”なぜか”レーダーにも映らず、いつしかサイボーグ戦士は、戦前の「生身の頃の」記憶を少しずつ辿りながら、”戦場の世界”から”孤島の楽園”へと、時間を作っては密かに通うようになっていきます。

 2巻では、なぜ”レーダーにも映らない”絶海の孤島が存在し得るのか、そして少女と老人の正体が少しずつ明らかになっていく、といったところですね。
 そして、”孤島”に隠れていた彼らを、その行動のために”危機”に陥れてしまった斉藤さんですが、、、

 1巻だと少し方向性が判らなかったのですけど(なのでコメントし難かったんですが)、2巻までを通しで読むと、いろいろと張り巡らされた伏線が徐々に繋がっていくといった感じで、かなり面白くなってきたなあと。ファンタジー路線かと思ったら、ある意味ではバリバリのSFミリタリー作品だったりします。

 様々な伏線や思惑、秘密がまだまだてんこ盛りなので、物語のスケールは、秘密の島から一気にスケールが広がりそうな感じですね(この中で収める可能性もありますけど)。

 何というか、3巻以降の展開が、結構楽しみな作品になった気がします。

  

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2016/09/06

伊図透 「銃座のウルナ」 2巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 極北のような辺境の地、、女性だけの部隊に防衛隊として配属され、歯茎の怪物と対峙する若い女性を描く、異色なSF作品です。

 普通に読み始めると、極寒のシベリアの地のミリタリー物のような雰囲気なんですが、彼女らが敵と認知している<原始的な少数民族>が姿を現したとき、一寸「え・・?」という感じで眼を疑います。出現する敵のあまりのグロテスクさや、生物としてどういう構造なのか想像も付かないその形態、、、

 そして何よりも違和感が増大するのは、スキーのジャンプ台のような施設の存在です。これは”敵”側にあるわけですが、定期的にそこを「歯茎のお化け」が滑り降り、ジャンプしていくという。。

 なんかもう常識回路がぶっ壊れそうな、ファンタジーともまた違う”おぞましさ”や違和感を憶えさせられる作品、というのが1巻の感想でした。

 そしてそれらの”謎・謎・謎”の正体が、大きく解き明かされていくのが2巻になります(勿論、徐々に、そしてまだまだ核心には至っていませんが)。

 彼女達が選ばれた理由、なぜ少数民族はそんな”おぞましい”姿をしているのか、そしてジャンプ台の真の意味、、、何が真実で、誰が騙され、そして自分はどう行動すべきなのか、彼女達は心の中で葛藤していくことになります。

 登場する女性達は、なぜか若干ふくよかな描写となっています。まあ寒い場所で痩せてたら結構厳しいんで、ある意味そこも狙って描いているのかしら?

 SFといっても凄い兵器が出てくる訳でもなく、使う武器もアナログな火薬式の現代式の自動小銃。どこか懐古的な雰囲気があるものの、ハイテクを駆使した”装置”の存在など、やはりSFなんですよね。そしてSF的な要素以上に、ある意味では非常に悩ましい状況に追い込まれる主人公の”心の葛藤”をメインに描くことに主眼を置いた、そういう作品でもあります。

 3巻では、どんな過酷な状況が発生するんでしょうね。。


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2016/08/10

武田一義/平塚柾緒 「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」 1巻 ヤングアニマルコミックス 白泉社

 フィリピンに近い孤島、ペリリュー島。太平洋戦争時、そこで日本人はどのように戦い、何を考え、そしてどのよう死んでいったか、、、叙情的な絵柄で淡々と綴られていく、そんな作品です。

 この絵柄で戦争を描くというのは、ある意味では「のらくろ」を彷彿とさせられます。小さな兵隊さんがワラワラと戦っているような。逆に言えば、この絵柄だからこそリアルで凄惨な戦闘の描写が和らげられ(「あとかたの街」もそれに近いですね)、そして、主人公の周辺のそれぞれの登場人物が、どのように考え、どのようにあっけなく死に、その無念な死を見せつけられた生き残った人達が、どのように考えて行動するのか。。そういう最も伝えたい内容を邪魔していない、とも言えるかもしれません。

 ある意味、無駄に突撃をさせる指示を出す将校達だって、何も考えていない訳ではないですよね。それぞれの想いがあり、自分なりの解釈と結論を無理矢理導き出し、それを心の支えとして指示を出している訳です。この作品では、そういう「命令をする人々」の理屈や葛藤、そして割り切りといったものも描写されていきます。

 とはいえ、勿論それに全ての人が諸手で賛同していた訳ではありません。死ぬことよりも生き残ることを考える、そういう人達もいます。
 無駄死にはしたくない、死ぬなら華々しく戦って死にたい、色々な想いや願いを抱きつつ、主人公の周辺では、あっけなく人々が死んでいきます。用を足している時に慌てて岩に頭をぶつけたり、味方の銃の暴発で腹を撃たれたり。世間一般でいうところの<無駄死に>であり<無念の死>であり、、、けど、それでも人は思い通りには行かずに死んでいく。。

 この作品はストレートな戦争反対作品でも、戦争を賛美する作品でもありません。戦場という環境下で、日常生活のように起きる思い通りにはいかない<死>の意味を、様々な死の場面を通じて高密度に描いていく、そんな作品ではないかなと思います。

 勿論、こんな楽園のような美しい島で、そんなくだらない死をも巻き起こす戦争自体を起こしてはならない、というメッセージは大きなテーマとしてはあると思います。フィクションですが、史実も十分考慮して作られているようですし。けど、敵の銃弾に当たるだけではなく、あっけない無念の死も平行して描写すること、敵の米兵にも家族や人生があることなど、そして無念の死を遂げた人々が、いかに果敢に戦場で戦って死んでいったか、、、という「作り話」を創作して家族に向けてしたためる、そんな仕事もさせられながら、それらを深く考える余裕もない戦場で右往左往する、そんな極普通な主人公を通じて勝ち目のない悲惨な戦争が描かれて行きます。

 当然、作者には戦争の経験も記憶もないわけですけど、人並み以上に死について実感した体験があるが故に、妙に死生観についてリアルに描かれている、そんな作品だと思います。

 

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2016/04/11

カワグチタケシ 「女王陛下の補給線」 1巻 講談社コミックス 講談社

 架空戦場もので兵站を扱う作品でありますけど、少年マンガらしい雰囲気があります。

 とある試験補給中隊の活躍を描くわけですが、副長が文字通りアレだったり、補給部隊なのに何だか強烈な最終兵器みたいなものがいたり、そして輸送専用の武装列車で戦場を往復したり、といった感じで、この辺りがただの兵站漫画とは若干違う、少年マンガらしさかなあと。

 で、ストーリー的には補給部隊という、前線から遠い場所で働く安全な兵隊という誹りを受け、必要なモノが届けられなかったら罵倒される、そんな立場に甘んじながら、<補給部隊としての戦い>として筋を通して全うする、そんな”机の上の兵隊”を描いています。
 ある意味では、飛び道具みたいなアレな兵士もいるにはいますけど、「補給という”武器”でいかにして戦うことが出来るのか」、という部分に重点を置いた物語構成になっています。

 戦争というのは弾丸と燃料の消費合戦のようなものですが、補給もせずに何日も動き回り、弾丸を撃ち続けることなんて出来ませんね。それは戦争映画あたりでやってもらえればいいわけで(違)、 小銃の弾倉だって、一人で大量には運べません。弾倉にはせいぜい20~30発しか弾丸なんて入っていないわけで、何ヶ月分もの銃弾を<抱えたまま>、移動しながら敵と戦うなんてどだい無茶な話です。戦車であれば弾なんかは50~100発程度、満タンにすれば4~500kmは走れるようですけど、やはり激しい戦いともなれば、補給無しでは戦えません。

 戦争物では補給路を断つというのはセオリーみたいなもので、大抵、補給部隊は奇襲されてあっけなく全滅、というのもセオリーですが(違)、実際の戦争でも、例えば太平洋戦争時に日本は補給線を否応なく叩き潰されたことも敗因の大きな一因といえます。

 逆に互いの補給線を絶てない戦争は、泥沼化しやすいとも言えますね。事例は挙げるまでもなく、今でもゴロゴロしていますが、どの軍隊もいまは補給線を非常に大事にしています。というか、それを疎かにしたら戦いには勝てませんから。
 実際の戦記などもよく知っていらっしゃる戦争漫画の大御所達も、補給の重要性は結構強調しながら描かれている方が多いです。メインは激しいドンパチを描くことなので、地味なのでクローズアップされる機会は少ないものの、それくらいリアルな戦争の上では、補給部隊、そして補給線は重要なファクターです。

 あとは<補給部隊だから出来る戦いと物語>を、面白く描ければいいわけですね。地味だけど大事な役柄を、皆さんよく勉強されているなあという感じです。

 この作品の場合には、若干補給の質が悪かった場合に、戦争で苦戦するという部分を強調しすぎている感はありますが、けど実際、不良品だらけの弾薬やら武器やらをあてがわれたら、兵士は本気で死を覚悟するしかありませんし、こういう切り口もありだよなあ、とか思った次第です。

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2015/12/17

香深村れん 「トレンチフラワーズ」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社

 メイドさんといえば、清楚なロングスカートの中に色んなものを隠し持ち、圧倒的な<火力>と<破壊力>で主人に立ちはだかる敵を次々と蹂躙していく、というのが世の常ですが(※個人的な感想です)、さてさて。。。

 帝国と王国が戦火を交える中、帝国側の皇女に使えるメイドが、「武装奉仕団」として前線に赴く、そんな世界観の描写から物語は始まります。
 モチーフは近世ヨーロッパ、銃は丁度、機関銃が普及し始めたといったところで、塹壕を張り巡らしつつ、砲撃と突撃を繰り返すといった、そんな戦場ですね。まだ戦車や飛行機といった兵器は出てきません(現段階では)。

 このあたりの銃の描写から塹壕関係の解説は、新入りが入ってきたということで前線見学のなかでうまく、、、そしてハンパなくマニアックに描写されています。とゆーか、勉強になるなあ。。かなりの銃器マニアとお見受けしました(さりげないので、押しつけがましくないところもさらにマル)。

 後方の描写から静かな前線(塹壕掘りの手伝い+見学)といった、ある意味ではヌルい描写が続くのですが、これはまあ、、、焦らしのテクニックだなっ!と、かなりドキドキしながら読むことになるでしょう。
 というか、中盤までがこのように本当に”のどか”すぎて、「・・・これどういう方向性なんだろう?」と、だんだん不安にもなってくるくらい、焦らされます。

 が、突如として<魔方陣>が出てきたりと、唐突で意外な展開とともに、物語は一気に最前線への配備となり、そして最後の最後で、、、、

 この最後の一ページを描くために、ここまで抑えた描写だったのだなと納得。2巻に大期待でございます。


 最初の方は、まあ大人しめの描写でもあったので、少し動きの描写にぎくしゃく感がある気がしたのですけど(初連載の初単行本のようなので、そこはこの先に期待)、やはり長いスカートを翻しながら戦場を駆けるメイドさん、いいですね。うんうん。

 ただ、ここまでのんびりと、焦らしな演出を1巻分も続けた訳ですけど、雑誌等の連載の方は大丈夫なのかなあ。。と、最近、展開の遅い作品を見ていると、少し不安になることも。

 作品の最初の1~数話目で掴みはOK、というのが、アニメでも漫画でも、結構基本的なセオリーではありますが、最近の作品、当初の展開をじっくり描かせ、盛り上がりの頂点が2巻目になるので、2巻同時発売なんてことをしている作品も散見されます。これはこれで作品としては面白い試みだし、作品としても楽しめるのですけど、焦らしすぎて雑誌読者の方が離れてしまい、そのために単行本の売上げも頭打ちで、結局早期に打ち切りなんて憂いを見る作品も幾つも見てきているだけに、不安にもなるのですよね。

 私は単行本派なので、作品としてみる分には一気に読めるからまったく気にならないのですけど、雑誌の読者がどうなのか、というところで作品の寿命が決まってしまうのが、なんだか悲しい話ではあります。

 が、WEBコミックスなどでは、そういうじっくり系もだんだん市民権を得るようになってきているので、とにかく雑誌連載が無事に続くことを祈るのみの今日この頃です。

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2015/11/04

冨澤浩気 「戦禍のカノジョ」 1~2巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

 この作品は、タイトルと表紙の雰囲気などから想像される内容と、実際の作品の内容には若干の誤差というか雰囲気の違いがあります。
 読んだ感想としては、<災害サバイバル系漫画>というのが正しいんじゃないかしら?
 ただし、あくまで2巻までの内容がそうであるだけで、この先の展開では予想だにしない内容になっていく可能性はあります。

 京都への修学旅行中に突如起きた謎の爆撃により、日本及び世界は一瞬に混沌とした状況に陥ります。その日、告白しようと心に決めていた彼女と行動を共にすることになった主人公が、パニックに陥った京都から大阪を目指し、瓦礫の中を進んでいくことになります。怪我をしながらも仲間に助けられながら進む中、崩れ去った高速道路に呆然とし、瓦礫となった街に唖然としながら、その途中で出会った自衛隊に避難所に連れて行かれることになったわけですが。。

 世界同時多発テロによって日本だけではなく、世界中が混乱する中、パニックに陥り、統制を失った人間が一番怖い、、そういう部分を描きたいんだろうな、というのは判ります。

 爆撃の直後である状況下では、大震災のあとの無秩序状態に近い状態なので、ある意味では古屋兎丸の「彼女を守る51の方法」を彷彿とさせる部分もあります。私は読んでいないんですが「ドラゴンヘッド」にも通ずるものがあるとの感想もちらほら(これは完全に近未来都市サバイバルものですね)。
 それらと違うのは、当然ながら一地域の地震ではなく、各国の主要都市の中枢を新兵器等で攻撃・麻痺させられたことで、政府も軍も全てが混乱しているということ、サイバーテロの結末がまだ見えてこないこと、などですかね。。

 ちょっと思うところがあるのは、先にも書いたように、表紙やタイトルなどから想像される内容と2巻までのストーリーに、かなり乖離があるように感じることでしょうかね。。心配しすぎなのかもしれませんが。
 ある意味では大風呂敷を広げてあるのだけど、2巻でも、その風呂敷のほんの端の方でまだウロウロしている。大丈夫なのかなあ?と。

 情報から隔絶され、インフラもまともに機能していない都市でのサバイバルに突入しているわけですけど、自衛隊の登場と<武器>の入手というプロセスは通過し、3巻では恐らくモラルが崩壊した暴徒との戦いとなると想像されます。

 けど、物語の本筋は本来、ここなのかしら?

 当然ながらここは通過点だとは思うのですけど、この部分をどれだけの尺を取って描くのか、という部分がちょっと不安だなと思ったのです。3巻全部をこの暴徒とのエピソードに割くとすると、その後の物語展開のバランス的にどうなんでしょう。。週刊誌だと、こんな尺でもいいのかしら?

 物語の終着点は、恐らく連載当初からきっちりと決まっていて、伏線や全体のストーリーも既に決まっているんでしょう(このスケールで描くからには当然ですよね)。
 この危機を脱したあとは、延々と大阪から関東までの道のりを帰ることになるのも想像できます。その過程で、日本が、世界がどうなっていくのかが描写されていくのだとは思います。それぞれの高校生の成長物語をその中で描いていくのでしょうけど、銃がいる世界になるのかな??
 (まあ、戦禍=銃ではないのかもしれませんけど)

 まあそれは置いておいて、ただ単にちょっと歩みが遅すぎるんじゃ?という懸念を感じたもので。。
 さらに言えば、重要と思われたサブキャラの唐突な退場や、行動力を大幅に制限する主人公の大怪我など、何が起きるか判らない世界を描いているとはいえ、どういう方向性を考えてるのか、ちょっと読めないなあと。。

 まあ、廃墟都市でのサバイバルを描いていく、というのであれば別にそれはそれでもいいんです。
 けど、都市サバイバルに銃が必要な状況は限られていますし(まあ2~3巻の状況は相手も武装しているのでアレですが)、物語としてどう発展していくんだろう?という疑問が沸々とわいてくるんですよね。。

 本当に読ませたい本質が<サバイバル>なのであれば、未知の攻撃があったとはいえ「戦禍」という単語を使うことはどうなのかな。。私の考えすぎでしょうかね(汗)。まあそういう状況に、長いスパンで見れば日本が戦場に陥る可能性もありますけどね。。世界同時多発テロをきっかけとして。自衛隊もやばそうに描かれていますし。

 というわけで、話題になっているようではあるんですが、若干煮え切らないで不安も覚えた読後感だったりする作品だったりします。
 凄い作品に化ける可能性も勿論あるので、現段階で判断するのは焦燥かもしれませんけどね。

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2015/11/02

刻夜セイゴ/深見真 「魔法少女特殊戦あすか」 1巻 ビッグガンガンコミックス スクェア・エニックス

 冒頭は、いわゆる物語のクライマックス、ラスト・ボスとの最後の戦いのシーンから始まるという、かなり演出が凝った作品ですね。
 そして、それに至る物語を描くのかとおもいきや、<その後>を描くという読者の裏切り方をしてくれます。そこから始まる新たな世界では、大戦のあとにハッピーエンドはなく、終わりの見えない戦いへの始まり、という過酷な運命が待ち構えていると。。

 魔法少女はまあセオリー通りの存在ではありますが、全ての戦いが終わったあとの「その後」の世界を、リアル・・・と言えばそうなのかもしれませんが、ある意味では救いのない世界を描いていく、そういう作品です。
 魔法少女が出てくるとはいえ、世界観は「バイオレンス・アクション」そのものの、かなりハードな描写の連続です。そしてハッピーエンドのこない、テロや紛争、国際犯罪との戦いに巻き込まれていく、魔法少女達の戦いを描いています。

 そして魔法少女も一枚岩ではなく、大戦後は各々がバラバラに行動していると。その中には、けっして「正義の味方」をしているだけではない者もいるということで、、この作品は、相当悲惨で凄惨な物語になっていきそうだなあ、という予感がビリビリします。。

 可憐な魔法少女と凄惨な戦いの対比を描写こうとしてるのかなと思いつつ、単行本の中では冒頭の数ページしかそんなシーンないんじゃないか? というくらいリアルな現実社会での殺伐とした世界描写に力点が置かれています(あとはコスチュームを楽しむしかないくらいか?)。軍事設定協力に田村尚也氏まで絡んでいるくらいなんで、その気合の入れようは半端ないですね。。

 この作者は「Oz−オズ−」の他、「低俗霊MONOPHOBIA」とか、オカルトな作品も手がけて、作画の実力をどんどん付けている感じがします。 そういう面でもハズレ無しかな、という個人的な感想。

 ある意味、今まで見たことのない、リアルな魔法少女”ヴァイオレンス・アクション”を読みたいのであれば、これはオススメかもしれないです。

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