C_魔女・魔法

2017/10/27

グレゴリウス山田 「竜と勇者と配達人」 2巻 ヤングジャンプコミックス 集英社

ファンタジー世界には、様々な職業が設定されていますが、この作品はその中で活動する「配達人」という、要するに地味な運び屋見習いさん(2巻で昇格)を主人公にした、ドタバタほのぼの系コメディー作品です。

 えらいところに配達に向かわされ、途中の障害にくじけて復活させてもらったりとか、勇者も竜もいるファンタジー世界の設定を使って、ある意味では<ドロ臭く>、生活感の滲んだ、メチャクチャがありながらも「それが当たり前」の世界設定の中で普通に暮らしている、様々な人達との交流・・・を描くというか。。

 まあ、何だか判らない職業が存在したり(能力はレベルで示される)、「疾風の●●」みたいなあざ名が、役所で管理されている上に選び方もグダグダだったりと、ファンタジー設定をある意味では徹底的におちょくった(笑)、そんな感じもあります。ついでに言えば、どこにでも存在する<お役所仕事>についても、皮肉たっぷりに描写されております。。

 とはいえ、実は結構設定自体はシュールで、魔物に襲われて本当に死んでしまう事もあったりしますし、戦いの中で命を落としたり、ある意味殺し合いになったりという、ただのコメディー系ファンタジー漫画ではない部分もあります。

 全体の雰囲気は、どこか「大砲のスタンプ」に近いところもありますので(絵柄の感じとか色々)、あのドタバタなロシア味な世界をファンタジー世界に置き換え、「配達人」という地味な一職業からその世界を皮肉たっぷりに(?)描写した、そういう感じですかねえ。

 しかしまあ、ゲームの世界とかファンタジー世界に馴染みがある人には、ちょっとドロ臭くてクスッと笑える、そういう感じの作品だと思います。

 ちなみに絵柄のせいか判りませんが、主人公が女エルフであることをすぐ忘れてしまう。。。(ちなみに主人公は1巻)の表紙の方です) というか、ここまでムチャクチャやらされてると、本気で作者からも女性扱いされていないなと、、
 やはり貧(ry
  

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2017/09/21

西義之 「ライカンスロープ冒険保険」 2巻 ヤングジャンプコミックス 集英社

 魔物が跋扈するファンタジー世界で、様々な活躍をする冒険者達の為に保険屋を営み、「冒険保険」を生業とする、元魔法使いと”変わり身師(ライカンスロープ:要は変身する者)”の日常を描く、そんな一風変わったファンタジー作品です。

 保険と言っても単純な生命保険や対物保険とはひと味違い、いわゆるオーソドックスなファンタジー世界の中でのシチュエーションを踏まえた、冒険者をサポートする為の”オリジナル保険”です。クエストの途中で助けを求められる救出保険や、パーティーが仲違いした際の分裂保険やら、「ああ、確かに(ゲームで)こういう時に保険があったら・・・」を実現する、痒いところに手が届く様々な保険があります。

 保険の適用調査の為には、小さな映像記録用の使い魔が使われます。保険に入った人に常に張り付き、その映像記録によって保険の適用要件かの証明が可能となるという、単にファンタジー世界に保険があったら、、、というだけではない、なかなかよく練られた設定が施されています。

 1巻あたりでは、常にドタバタなコメディータッチで(笑)、何だかどう見ても儲かってない感が漂う保険屋稼業でしたが、2巻あたりから様相が変わってきました。

 突然さらわれた主人公の救出劇では、ある意味周囲を固めていた個性的な脇役達も、ダンジョンの魔物を倒すのに大活躍。そして冒険保険自体が、”魔物達”にとっても実は気になる存在となりつつあり、主人公がなぜ保険屋なるものを始めたのか、その真意も明らかになっていきます。。

 とは言いつつ、過去の冒険仲間が訪ねてきても、彼がなぜ”冒険者”をやめてしまったのか、その理由(恐らく何らかの事件がキッカケ)については、まだまだ語られぬままです。まあ、それはこの先辺りで明らかになっていくんでしょう。

 色々な伏線がしっかりと散りばめられ、”復活”によるゲームリセットの繰り返しだけではなく、時には”死”も存在し、そしてコメディー調の楽しさも忘れずに織り込まれる、結構奥が深い作品になってきたなあと思ったりしました。
 雑誌の掲載場所は変わるようですけど、3巻が結構楽しみです(・∀・)。
  

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2017/09/14

佐々木順一郎 「オオカミの子」 1巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

人間と魔物が共存するとある世界で、ある日、魔王軍が蜂起して人間の町を攻めてきます。それは下っ端の魔物が半ば勝手に起こした反乱。人はそれを押し返しましたが、いつしか魔王が再び攻めてくるのではと気が気ではありません。その世界では、長いこと平和な日々を過ごしたお陰で、すでに「勇者」も居ないのです。

 けどまあ、それに負けじと魔王側も平和ボケしています。特に魔王は人間に楯突いたという知らせが青天の霹靂(へきれき)。

 いわゆる温厚派で目立たず、平和主義で通してきただけに、すわ人間が城に攻めてくるかもという状況になり、とりあえず身を隠すことにします。その身を隠した場所は、、、。

 そんな世界の中、一人の剣士がとある街に、職を探しに訪れます。

 そして、そんな街で一人の威勢のいい小さな少女と出会うわけです、、、
 子供なのに大人顔負けの毒舌な「口撃力」を駆使し、”剣士”をけちょんけちょんにしながら、「勇者」として”魔王討伐”のための旅に、無理矢理彼を雇って出発することに。。

 ちょっと世間知らずだけど、至って真面目な”剣士”と、大人達も一目置き、そして口撃力とともに”嘘”も平気で繰り出す、実はちょっと謎めいた少女のドタバタコンビの旅を描く、そんなファンタジー・コメディーです。

 弱冠ヘタレで人間界の常識はまだ十分判らない、けど常識的な判断ができて腕も立つ”剣士”と、半端ない毒舌とともに、たまにズバッと本質を言いのける、そんな大人びてるけど子供な少女の掛け合いが、どこかこういい感じの作品です。

 まあ、タイトル自体が少々謎なところはありますけど、少女が平気でつく”嘘”に掛かっているのか、あるいはまだ別に秘密があるのか、読み進む内にその謎は解かれていくんでしょう。

 始まりはちょっと殺伐としたエピソードですが、実際に戦うシーンは実はなく、旅の途中で出てくる魔物も、そんなに悪いという雰囲気もなく、どこかのほほんとした感じのノリだと思って読めばよろしいかなあと。
 

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2017/06/27

井上知之 「はなまる魔法教室」 1巻 裏少年サンデーコミックス 小学館

 ある日、小学校に魔女の先生がやってきた。その先生の目的は、クラスの生徒の中から優秀な能力を持つ子をスカウトし、魔法使いにすること。そんな先生を巡って、空想好きの主人公や、色々な個性を持つクラスメイト達が、魔法先生の不思議に少しずつ触れていく、そんな物語です。

 魔法は契約すると共に、”種”が手の甲に印として現れ、数ヶ月もすれば孵化するということ。想像力のたくましい少年は、予想よりも早く効果が発揮されたわけですが、、、

 ある意味では、児童文学というか学校の課題図書に出てくるような内容という気もします。が、いわゆる「魔法使いの先生」は、かなりザックリとした性格で、魔女の国でも学生を教えていた(といっても2~3人程度の生徒)、生徒を教えた経験はある先生なわけですが、沢山の生徒のいる教室に憧れていて、授業することそのものが楽しくて仕方ない、そんな感じの明るい、、、、けれど何かしら秘密も秘めた人です。

 ジュブナイル系な作風と絵柄ですが、いがみ合いながらも冒険のようなものにも憧れる小学生らしい子供達と、小学生を教えるのは初めてながら、実に細かく生徒を観察している魔法先生。。

 魔法とはどういうものなのか、その実態はまだまだ謎だらけですが、それを少しずつ紐解きつつ、子供達と楽しく戯れ、普通の”先生”とは違う発想で考えて行動する、そんな個性的な”先生”を描いていく、そんな感じです。

 なんかこう、ちょっとしたワクワク感も感じられ、懐かしさもどこか感じる、そんな作品だなあと思います。

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2017/05/22

双龍 「間違った子を魔法少女にしてしまった」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社

 地球で魔法少女のなり手を捜していた謎生物は(定番設定ですが(笑))、偶然であった”清楚な雰囲気”の少女に、魔法少女になって貰うようお願いします。しかし、彼女の”真の姿”とは。。。

 表紙のおどろおどろしさが全てを物語っているとも言えますが、実は引っかけが一つあります。けっして「不良少女」を選んだというわけではありません。ある意味では、不良少年・不良少女よりも恐ろしい思考回路で行動する、破壊的な少女かもしれませんが。。

 行動は破壊的ですが、行動原理はいたってシンプル。「気にくわない奴は徹底的に潰す」です(別に正義がどうこうとか、そんなのは関係ありません(笑))。

 って書くと結局アレですが、その性格を別に隠している訳でもなく、学校では成績優秀ながらすぐバックれてしまい、授業中も教師無視。気にくわない奴が例え札付きの不良であっても、完膚無きまで粉砕し、破壊してしまうような身体能力を兼ね備え、<筋は通すが沸点が異様に低い、歩く最終破壊兵器>と言っても過言ではない、、、というのが、あくまで変身もしていない少女の素性です。

 敵に追われて傷ついていたとはいえ、潜在能力だけをスキャンしてその場で彼女を<魔法少女>にしてしまった謎生物は、いろんな意味で後悔することになっていくわけですが。。

 けどまあ、変身もせずに敵を撃退してしまうその潜在能力。まさに変身してないのに全身からほとばしる”殺意”は、戦闘能力としては申し分なし。魔法のステッキも彼女にかかれば「物理兵器」でしかない訳ですが(笑)、生来の破壊力が倍増どころの話じゃありません。

 そんな彼女の潜在能力に呼応して、敵のレベルも勝手にアップ。地球にどんどん吸い寄せられるという事態に陥るという、、、結果的には、今のところ全ての敵は粉砕されているものの、いろんな意味で何か間違っているというか、、、、

 タイトルがシンプルながらも、それを踏まえた上でどんでん返しというか、想像を超えたストーリーが展開する、結構奥が深い設定に凝った作品だったりします。

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2017/04/18

鴨鍋かもつ 「魔王の秘書」 1巻 アース・スターコミックス 奉文堂

 何百年という封印から醒めた魔王は人間狩りをしますが、その中に世界を征服するための活動に協力する、と名乗る女性が現れます。面白い言動(と結構美人という部分)を鑑みて、引き入れたはいいものの、、、、

 自ら「魔王の秘書」を名乗り、世界征服の為に、魔物顔負けな冷徹な危険な言動を連発し、魔王群を僅かな希望と暗雲に向かって「上げたり」「下げたり」と翻弄し始める、ごく普通の「自称秘書」の活躍(と、どんどん袖にされる魔王の悲哀)を描く、そんな作品です。

 まあ作品の全ては、この表紙で表現され切っている気もしますが(笑)。

 まずもってして、この「魔王の秘書」を自ら引き受ける彼女の性格が、合理性に満ち過ぎていると言わざるを得ないでしょうね。その前の職業も、実は某王国の王様付きの秘書。ある意味では、あまりに優秀すぎるが故に、当の王様が自由に好き勝手が出来ず、辟易としていたという。。(まあ優秀な秘書なり執事は、往々にして煙たがれるものですが、なんか違和感がこの辺りからしてきます(笑))。

 そこに、ある意味、魔物にさらわれる事になったわけですが、、割り切りすぎというか、なんというか、合理性を通り越して、どこかネジがずれたやり取りになってくという。。

 自分で何か望むことはなく、基本的に無表情で無感情。そして言動は目的を最小限の労力で合理的に片付けるため、感情やモラルそっちのけで危険なまでに過激と(笑)。けど「秘書としての努め」には、異様なまでの拘りと目標意識を持っていると。。

 いわゆる人間に対する情け容赦は、とにかくナシ(まあ、それにも理由があるということが、ちょっとずつ明らかにはなりますが)。そして清々するくらい「合理的」で、魔物軍団の組織編成や福利厚生など、会社組織を内側から改編していく経営コンサルタントのように、次々と改革していきます。魔王様そっちのけで(笑)。

 何のために生まれ、何のために行動してるのか、生態すらも実は(自分らでも)よく判ってない魔物に、合理性という言葉を説くという行為は、まあ滑稽といえば滑稽ではあります(笑)。けどまあ、反論出来ずに従うしかない状態で、どこか不安も抱えつつも、少しずつ何かが変わっていくと。

 まあ、そもそも彼女自身、魔物とは何なのかとか、そんなことは最初から何も気にしてないんですね。単に<組み込まれた社会>の中で、生き残る術として行動しているだけ。それが彼女の処世術というか、行動原理というだけなのです。。

 それが人間社会でも、魔物社会でも、彼女にとっては<意味>はあまりなく、行動はその社会に合わせて、そして合理的に決められていく、というわけです。。

 まああとは、半ばエロエロな設定もあるものの(魔物は人間の女性を孕ませられるんだぞ~、みたいな)、それを見事に真面目に回避していくあたり、何かこう「寸止め」のような焦らしな部分もいいなあと(笑)。

 ある意味では、設定だけからは先が読めないというか、意表を突かれる展開のオンパレードというか、、、優秀なのは間違いない気はするものの、どこか素直に「正しい行動」とは認めにくい(笑)、そんな「魔王の秘書」の活躍が楽しめる作品です(笑)。
 

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2017/04/17

ながべ 「とつくにの少女」 3巻 BLADE COMICS マックガーデン

 とある「外」の森の中で、ある異形の人物と暮らす一人の少女。その少女を巡って、人が住む「内」と、人外のモノが棲む「外」の世界の間で起きる”何か”を描いていく、そういう物語です。

 「外」の世界を「外(と)つ国」と言い、そこに住まう人々は化け物扱いされています。その「外」の住人がどのように作られるかと言えば、実はその異形の生物に触れることで、人だけではなく獣も含めて「感染」するかのように変化していきます。

 ある意味では、「感染者のなれの果て」が隔離されているのが「とつくに」と言えるのかもしれません。城壁に囲われた「内(うち)つ国」の方が、狭い感じがしますけどね。

 表紙にも登場する異形の人物は、勿論言葉も喋れます。そして少女が感染しないよう、一緒に住みながらも決して触れないよう、そしてとつくにの住人達にも触れさせないよう、ある意味では微妙な距離感で共同生活を営んでいます。

 あどけない少女は伯母を待っていますが、実際のところは捨てられたに近い状態で、主人公が引き取り、守ってきたわけですが、3巻ではその捨てたはずの伯母が現れ、兵士に守られながら少女を「内つ国」に連れ去ってしまいます。そして少女が到着した村では、、、

 1巻、2巻では半ば謎に満ちた不思議な森と、その中で何かを恐れながら、そして互いの素性も謎のままながら、少女の落ち着いたあどけなさに救われながら日々を小さな幸せを感じながら生活する、そんな2人を描いていました。

 2巻の終わり頃から、「とつくに」と「うちつくに」の、ある意味では非情な争い事が始まり、物語が3巻に向けて大きく動き、伏線や謎が徐々に明らかになりつつあります。本当の意味での少女の<秘密>は、4巻において明かされる事になりますが、不思議な世界観だけのファンタジー作品というだけではなく、複雑な人間模様が、一気に進んでいく感じですね。

 この作品、読み始めた当初から「絵本のようだな」という印象を受けていたんですが(そういう評価もチラ見しましたが)、改めて<絵>を眺めてみると、ちょっとびっくりしました。効果線など、動きを表現する線がほぼ無いんですね。いや、全くないと言ってもいいかもしれない。。

 ある意味では全て「静止画」として描かれているんですが、意識しないとそういう”効果”を使っていないことが認識できない。動作の途中の動きが、しっかりとしたデッサンで描かれているので、それで「動いている途中」と認識するんでしょうかね。。

 そして淡々とした必要最小限の会話や心理描写のト書きなどから、想像力を掻き立てられるような、そんな感じです。ある意味、絵本というメディアも、限られたページ数の中で、静止画と文字だけで情報を読者に与えるわけですが(動きのある絵もありますが、比較的静止画が多いですよね)、それに近い表現方法なので、「絵本のようだ」という印象を受けるのかもしれません。

 そういう意味では、イメージ的な作風を見て楽しむのがメインの作品かな、と思っていたんですが、2巻、3巻以降で一気に物語が動き出し、ああ、こういう表現方法でもドラマティックな展開が描けるんだなあ、、と、改めて面白い作品だなと認識した次第です。

 余談ですが、某作品でイメージ戦略に成功したからって、あんまし「人外」って単語を使わない方がいいんじゃないかなあ、と最近思う次第です。確かこの作品も、1巻の帯は「人外×少女」だった気がします。その後、なんか猫も杓子も使い始めてしまって、この単語は食傷気味かなあと。。この作品・作風は、某作品とはまた味付けが全然違う、非常に個性的な作品だと思うんですね。3巻以降は、もっと違う独特のセンスを表現するようなキャッチコピーを考えるべきだなあと思ったりもします。。
  

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2017/04/03

白浜鴎 「とんがり帽子のアトリエ」 1巻 モーニングKC 講談社

 魔法使いの魔法はどのように編み出されるのか、、、その秘密は、「ペンとインク」に隠されていた。。

 幼少の頃から魔法使いの憧れていた少女は、本物の魔法使いに出会ってこっそりとその秘密を垣間見てしまい、その昔に見知らぬ人から渡された<ペンとインク>で、”事故”を起こしてしまう。。

 そんな事件をキッカケとして、突然、魔法使いの学校に行くことになってしまった主人公の少女は、右も左も判らない、魔法の基礎も知らない転入生。小さな頃から魔法の知識を学んできている少年少女達に混じっていがみ合いながら、少しずつ”魔法の基礎知識”に触れていくことになります。

 「魔法」の発現の仕組みについての設定が中々面白い、正当派ファンタジー作品ですね。

 前作品の「エニデヴィ」は、オシャレ好きな天使と生真面目な悪魔が、世界を巻き込み騒動を起こすドタバタ・ギャグコメディーでしたが、絵柄もそうですけど、セリフや展開も含めてセンスが良い作品だなあと思っていました(ちょっとドタバタ過ぎたかもしれませんけど(笑))。

 この絵とセンスは武器だなあと思いましたが、それを正当派ファンタジーということで存分に活かせているのがこの作品。”誰でもなろうと思えば魔法使いになれる(けど修行はしてね)”という設定の独創性も、なかなか面白いですね。

 ある意味、この絵でドタバタコメディだと何だかギャップがあって面白い反面、このギャグ作品にこの絵のクオリティは、オーバースペック過ぎて少し勿体ない気もしていたんですが(実写コメディと思えば、まあアリなんでしょうけど。ちなみに私はああいうコントは好きです(笑))、この作品では持ち味を存分に活かせているんじゃないかなあと思います。

 まだまだ世界観の説明だけで1巻が終わり、それもまだ描き切れていないスタート地点ですけど、センスの良い絵柄を活かして、どんどん面白くなっていくんじゃないかなあと思います。

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2016/12/22

島崎無印 「オークは望まない」 全1巻 ジーンピクシブシリーズ 角川書店

 兵士に追い詰められた一人の少女を、通りがかりのオークが助け、そこから2人の逃避行が始まります。  人に追われる少女には、大きな声では言えない秘密があり、それはそのオークの故郷を奪うことになった原因でもあったと。。

 ある意味では人間の都合で「悪」とされてしまった、ファンタジー世界の住人達が、住み処を追われながらも逞しく生活している、そんな感じの作品でしょうか。

 いや、もっと露骨に人間を<悪>として描かれているといっても過言ではないかなあ。小人達やオークは、森の奥に逃げ込み細々と生活し、実際には悪さもしていないのに、それを色んな理由を付けて討伐にやってくる人間、、という図式ですね。

 ある意味では、追われる人外の彼らは、害虫・害獣扱いして駆除されようとする生き物達の代弁のような気もしますね。全ては<人間側だけの都合>で悪者にされていくと。。そう、”魔女”もそういう存在です。

 前作の「怪獣の飼育委員」でも、忌み嫌われるべき怪獣を、一部の人間だけですがコントロールが可能な”動物”として描くなど、少し斜めな視点から常識を疑ってみる、という感じのスタンスで描いているようですが、この作品もそんな感じですね。

 まあ勿論、そういう視点で描かれている作品は外にも沢山ありますが、ここにどこかこう”ほのぼの感”が味付けとして加わっているのと、ストーリー自体も複雑にし過ぎず、ある意味では言いたいことや伝えたいことを、婉曲的でもストレートに伝えようとしている、そんな感じを受けるんですね。そこが持ち味じゃないのかなあと。

 全1巻とは書きましたが、もしかしたら続編は描かれるのかもしれません(若干、中途半端な終わり方ですから)。これから続く二人の旅の行く末を、もう少し読んでみたいですね。。

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2016/11/01

保谷伸 「マヤさんの夜更かし」 1巻 ゼノンコミックス 徳間書店

 二人のネット廃人女子の真夜中の生態を描く、そんな生々しい作品です(超意訳な上に若干間違いあり)。

 主人公は二人の女子。
 とある病院に入院したことをきっかけに知り合った二人ですが、一人は漫画家を目指し、東北の実家に引っ越していき、日々漫画をパソコンで描いています。
 もう一人は自称「魔女」。その時点で妖しさ満点ですが、フリーターな上にネトゲ廃人。ガチャを廻すために生活費をつぎ込み、課金・散在しまくるダメダメ状態。
 そんな二人が、ネットの音声チャット(スカイプかな?)で、延々と夜中に7時間も8時間もだべる(というか、自称「魔女」が迷惑顧みずに延々とあれこれしている?)という、そんな真夜中の日常を淡々と綴っています。

 ・・・というか、いやこれ、異様なほどリアルすぎて怖いわわたし。。
 音声チャットではなかったですけど、IRCやらICQやら、そんなもので夜中の間、延々とグダグダと(翌日への影響なんか忘れて)ネットしていた頃の自分とダブります(爆)。

 というか、私自身がというより、そういうのを通じて知り合った数々のネット仲間とダブるんですよね(一部、未だに繋がっていて、お話をしておりますが)。

 まあその中には、まさに何とゆーか自称「魔女」の生態そのものという女性もいたような気がします。
 まあ、異性にはそんなダラダラしたところまでは見せませんけど(チャットだし)、会話の雰囲気とか、そんなもので何となく判るんですよね。。

 (とか言いながら、オフで会ってみるとイメージと全然違うことの方が多かったりするので、あんましアテになりませんが(じゃあ言うなよ!))。

 けど、その頃色々と聞いたり見たりしてきた「ネット廃人な人々(男女問わず)」の生態に、かなりリアルに近いものを感じるのです。唯一違うのは、ゲームがネットゲームというより「スマホのガチャ系」になっているという部分。
 けどそれも、填まっているものの形態が違っているだけで、中身のダラダラ、グダグダ感、そして「ああぁぁ」と後で後悔しちゃうんですけど、課金してしまうその性(さが)。これは時代が変わっても同じなんですね。。。。

 ということで、そんなグダグダな女子同士の会話が続くアレですが、一応ひとひねりもあります。
 自称、自称と書きましたけど、実は(以下略

 ということで、そういうお腹が痛くなるような設定もありますが(謎)、それがあるが故に、何というかグダグダ感満載なんですけど、ちょっと香辛料も効いている感じの作品になってるかな、と思ったりします。

  

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