C_ダークファンタジー

2017/04/18

鴨鍋かもつ 「魔王の秘書」 1巻 アース・スターコミックス 奉文堂

 何百年という封印から醒めた魔王は人間狩りをしますが、その中に世界を征服するための活動に協力する、と名乗る女性が現れます。面白い言動(と結構美人という部分)を鑑みて、引き入れたはいいものの、、、、

 自ら「魔王の秘書」を名乗り、世界征服の為に、魔物顔負けな冷徹な危険な言動を連発し、魔王群を僅かな希望と暗雲に向かって「上げたり」「下げたり」と翻弄し始める、ごく普通の「自称秘書」の活躍(と、どんどん袖にされる魔王の悲哀)を描く、そんな作品です。

 まあ作品の全ては、この表紙で表現され切っている気もしますが(笑)。

 まずもってして、この「魔王の秘書」を自ら引き受ける彼女の性格が、合理性に満ち過ぎていると言わざるを得ないでしょうね。その前の職業も、実は某王国の王様付きの秘書。ある意味では、あまりに優秀すぎるが故に、当の王様が自由に好き勝手が出来ず、辟易としていたという。。(まあ優秀な秘書なり執事は、往々にして煙たがれるものですが、なんか違和感がこの辺りからしてきます(笑))。

 そこに、ある意味、魔物にさらわれる事になったわけですが、、割り切りすぎというか、なんというか、合理性を通り越して、どこかネジがずれたやり取りになってくという。。

 自分で何か望むことはなく、基本的に無表情で無感情。そして言動は目的を最小限の労力で合理的に片付けるため、感情やモラルそっちのけで危険なまでに過激と(笑)。けど「秘書としての努め」には、異様なまでの拘りと目標意識を持っていると。。

 いわゆる人間に対する情け容赦は、とにかくナシ(まあ、それにも理由があるということが、ちょっとずつ明らかにはなりますが)。そして清々するくらい「合理的」で、魔物軍団の組織編成や福利厚生など、会社組織を内側から改編していく経営コンサルタントのように、次々と改革していきます。魔王様そっちのけで(笑)。

 何のために生まれ、何のために行動してるのか、生態すらも実は(自分らでも)よく判ってない魔物に、合理性という言葉を説くという行為は、まあ滑稽といえば滑稽ではあります(笑)。けどまあ、反論出来ずに従うしかない状態で、どこか不安も抱えつつも、少しずつ何かが変わっていくと。

 まあ、そもそも彼女自身、魔物とは何なのかとか、そんなことは最初から何も気にしてないんですね。単に<組み込まれた社会>の中で、生き残る術として行動しているだけ。それが彼女の処世術というか、行動原理というだけなのです。。

 それが人間社会でも、魔物社会でも、彼女にとっては<意味>はあまりなく、行動はその社会に合わせて、そして合理的に決められていく、というわけです。。

 まああとは、半ばエロエロな設定もあるものの(魔物は人間の女性を孕ませられるんだぞ~、みたいな)、それを見事に真面目に回避していくあたり、何かこう「寸止め」のような焦らしな部分もいいなあと(笑)。

 ある意味では、設定だけからは先が読めないというか、意表を突かれる展開のオンパレードというか、、、優秀なのは間違いない気はするものの、どこか素直に「正しい行動」とは認めにくい(笑)、そんな「魔王の秘書」の活躍が楽しめる作品です(笑)。
 

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2017/04/17

ながべ 「とつくにの少女」 3巻 BLADE COMICS マックガーデン

 とある「外」の森の中で、ある異形の人物と暮らす一人の少女。その少女を巡って、人が住む「内」と、人外のモノが棲む「外」の世界の間で起きる”何か”を描いていく、そういう物語です。

 「外」の世界を「外(と)つ国」と言い、そこに住まう人々は化け物扱いされています。その「外」の住人がどのように作られるかと言えば、実はその異形の生物に触れることで、人だけではなく獣も含めて「感染」するかのように変化していきます。

 ある意味では、「感染者のなれの果て」が隔離されているのが「とつくに」と言えるのかもしれません。城壁に囲われた「内(うち)つ国」の方が、狭い感じがしますけどね。

 表紙にも登場する異形の人物は、勿論言葉も喋れます。そして少女が感染しないよう、一緒に住みながらも決して触れないよう、そしてとつくにの住人達にも触れさせないよう、ある意味では微妙な距離感で共同生活を営んでいます。

 あどけない少女は伯母を待っていますが、実際のところは捨てられたに近い状態で、主人公が引き取り、守ってきたわけですが、3巻ではその捨てたはずの伯母が現れ、兵士に守られながら少女を「内つ国」に連れ去ってしまいます。そして少女が到着した村では、、、

 1巻、2巻では半ば謎に満ちた不思議な森と、その中で何かを恐れながら、そして互いの素性も謎のままながら、少女の落ち着いたあどけなさに救われながら日々を小さな幸せを感じながら生活する、そんな2人を描いていました。

 2巻の終わり頃から、「とつくに」と「うちつくに」の、ある意味では非情な争い事が始まり、物語が3巻に向けて大きく動き、伏線や謎が徐々に明らかになりつつあります。本当の意味での少女の<秘密>は、4巻において明かされる事になりますが、不思議な世界観だけのファンタジー作品というだけではなく、複雑な人間模様が、一気に進んでいく感じですね。

 この作品、読み始めた当初から「絵本のようだな」という印象を受けていたんですが(そういう評価もチラ見しましたが)、改めて<絵>を眺めてみると、ちょっとびっくりしました。効果線など、動きを表現する線がほぼ無いんですね。いや、全くないと言ってもいいかもしれない。。

 ある意味では全て「静止画」として描かれているんですが、意識しないとそういう”効果”を使っていないことが認識できない。動作の途中の動きが、しっかりとしたデッサンで描かれているので、それで「動いている途中」と認識するんでしょうかね。。

 そして淡々とした必要最小限の会話や心理描写のト書きなどから、想像力を掻き立てられるような、そんな感じです。ある意味、絵本というメディアも、限られたページ数の中で、静止画と文字だけで情報を読者に与えるわけですが(動きのある絵もありますが、比較的静止画が多いですよね)、それに近い表現方法なので、「絵本のようだ」という印象を受けるのかもしれません。

 そういう意味では、イメージ的な作風を見て楽しむのがメインの作品かな、と思っていたんですが、2巻、3巻以降で一気に物語が動き出し、ああ、こういう表現方法でもドラマティックな展開が描けるんだなあ、、と、改めて面白い作品だなと認識した次第です。

 余談ですが、某作品でイメージ戦略に成功したからって、あんまし「人外」って単語を使わない方がいいんじゃないかなあ、と最近思う次第です。確かこの作品も、1巻の帯は「人外×少女」だった気がします。その後、なんか猫も杓子も使い始めてしまって、この単語は食傷気味かなあと。。この作品・作風は、某作品とはまた味付けが全然違う、非常に個性的な作品だと思うんですね。3巻以降は、もっと違う独特のセンスを表現するようなキャッチコピーを考えるべきだなあと思ったりもします。。
  

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2016/11/10

梶谷志乃 「想幻の都」 全2巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 脳の記憶を別の肉体に移し替えることができれば、人は永遠に生き、死ぬことなく幸せになれるのか。。

 冒頭からの死体の腑分け作業など、全体的に非常にアナログでオカルト的な雰囲気を醸し出していますが、あくまで科学的な記憶のコピーと人体再構築により、新しい肉体に記憶を移動する、といういわゆる”人造人間”技術が確立された近未来の”パリ”の街を、その技術者であるAI搭載の人造人間の視点から描いた、そんな作品です。

 実際にはこの技術には制約もあり、新たに構成した(というかほぼフランケンですな)人造の肉体は、長期間の維持は困難で、定期的に新しい<死体>が必要になります。
 その死体の提供元は、死刑相当の重罪人であったり、脳死と判定された怪我人であったり、そしてモラルハザード状態ですが、「新しい体が欲しい」と希望する人の元の肉体も、”人造人間”の材料として提供されます。

 人造人間にも、そういう記憶を移したタイプと、いわゆるAIを搭載した、人とロボットの中間に近いタイプ、そして完全に労働力の不足などを補う、意志を持たないロボットに近いタイプの3種類に分かれます。
 その人造の肉体を構成するために、技術者達は日々スプラッタに人体を切り刻に、不要となった人造人間は容赦なく”処分”すると。。

 最初は労働力の不足を補うための技術でもあったわけですが、ある意味では<理想の肉体を手に入れる手段>として意味を成し、パリの街はモラルがどんどんと崩壊していっている、と言ってもいい状態です。そしてそんな中で人造の肉体を手に入れようとする人々と、それを手にした後の葛藤、そしてその顛末が、淡々と描かれて行きます。

 この物語のテーマは「命とは何か」そして「死とは何か」という、そんな根源の命題もあります。命は限りあるものという「当たり前」が、当たり前ではなくなった世界では、人々は欲望のままに何を求め、そしてどうなっていくのか。。

 物語の顛末は、ある意味ではそのドロドロの欲望の果てに生じた<破綻>として描かれています。。

 定期的に肉体の限界が訪れる人造人間の体。基本的には新しい体に乗り換えることにより、命を保つことができ、ある意味では永遠の命を得られた状態とも言えますが、それは何の犠牲の上に成り立つ世界だったのか。。

 生きるとは、命とは何かについて、この作品では結論は出していません。完全に生命モラルの破綻した、死体だらけの世界の上に成り立つこの「幻の街」の顛末から、「生きること」、あるいは「生命」の意味を問おうとしているんではないかなあと。

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2016/08/05

小池桂一 「ヘブンズドア -小池桂一 Ectra Works-」 全1巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 脳内麻薬がたっぷり詰まった、小池桂一の短編集の新装増補版です。

 超寡作な作家さんなので、「ウルトラヘブン」の3巻が出たときは、あまりに間が空きすぎて、まだ続いていたのかとビックリしましたが(違)、まだ続いているようです(笑)。
 これもまたそのうち続刊が出るだろうと巻末予告を信じつつ、、。

 知っている人は知っている、という感じですけど、とにかくこの人の作品の特徴は<ヤバさ>といいますか、帯の「ペーパードラッグ」という表現は、本当にピッタリじゃないかなあと。

 夢と現実の垣根を越えて、緻密なビジュアルが誌面の上を飛び回り、不条理とも言える不思議な夢の世界や瞑想(迷走)、幻覚の世界へと誘われます。トリップで埋め尽くされ、そのコマ割の自由さによって幻覚と現実が溶け合うように融合していき、境界がまったく無くなっていく様は、読んでいくともう脳内の認識力が掻き混ぜられていくような、本当に麻薬を経験しているかのような感覚を受けます。

 本当に不思議なのは、別に私たちは麻薬なんて経験したことはない訳ですけど(・・・してませんよね?)、きっとドラッグをやったら、脳というか心の中はこんな風に色々なものが混ざって認識されるのかも、と何の疑いもなく思わされてしまう事じゃないかなあと。。
 夢の中にしてもそうですが、意識が混濁した中だと、あとから考えれば辻褄が合わないような事象や展開も、描写されているように何の疑いもなく受け入れ、その中で流されるように動いている、そこに変な話ですが”違和感”をあまり感じない。

 これは何というか、物語の構成自体が、それぞれの人々がちょっとは経験したことのある<夢>とか熱にうなされている時の<妄想><幻覚>で受けるイメージを、かなり的確に漫画という構成物の中に再現できているからじゃないかなあと。。恐らくそれらの入口というか、とっかかりの経験を介して、そこからさらに広げたイメージ世界が<本当に脳内の幻覚世界>であると認識させられてしまうと。。

 まさに脳内バーチャルリアリティーの世界かもしれません。。

 掲載されている多くの短編の中には「現実の時間軸」という視点が何らかの形で組み込まれています(全て妄想の中としか思えないものもありますが)。そういう立ち位置を確認出来たとき、そこまで描かれていた不思議な物語が、<脳内で作られた妄想や夢>であったことを認識することができます。この軸がなければ、本当にドラッグ状態に陥ってしまうかもしれないなあ、という感じもしますね。。

 夢や幻覚の世界って、映画などのビジュアルでも色々と再現されてはいますけど、漫画でここまでの表現ができるということが、本当に驚愕だなあと。
 逆にこれを元にして映像化って絶対無理じゃないかなと。もし仮に出来たとしたら、見ている人が現実感を失いかねない、もの凄く危険な動画になってしまうような、そんな気がします。。

 

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2015/07/04

黒釜ナオ 「魔女のやさしい葬列」 1巻 リュウコミックス 徳間書店

 中世の世界を舞台にしたダークファンタジーものです。

 魔女自体は、、、いや、出てくるのは魔法使い・・・とも違うし、何とも最初は何が起きているのか見えてこないお話です。読み進むうちに、彼らの目的が何なのか、おぼろげに見えてくる訳ですが。。

 主人公は、何の変哲もない、幼い妹弟たちを一人で育てる、貧しい花売りの娘です。
 毎日、骨董品店で店番をする少女に花を売りに来ますが、花は翌日には萎れています。
 なので、毎日店に通っては、子供のようにはしゃぐ少女に花を売ります。

 店の奥からは髪の長い謎の店主が、時々店先に出てきますが、売れるか売れてないのか解らない謎な骨董品店の奥に、時おり人が訪ねてきます。
 しかし、訪ねてきた謎の客達は、次々と消えていきます。。

 骨董品店の店主の正体は何か、そして”リリス”と呼ばれる赤ん坊のように明るい少女は、一体何なのか。
 そして店に出入りする謎の客人たちの正体は。。

 1巻では、ある意味ではその触りの部分の描写になるのですが、思った以上に重く暗い印象を受ける作品です。まさにダークファンタジー、という感じですね。

 主人公であるヒロインは、正義感もあるけど本当にごく普通の娘。ある意味、この骨董品店を中心に起きる”事件”の傍観者であり目撃者という位置づけです。

 ただし、彼女が居なければ何もしないと駄々をこねる”リリス”の言動で、2巻以降は何かしら展開は変わっていくんじゃないかなと。

 作品の雰囲気を明るくする必要はないんですけど、もう少し明るい展開は欲しいなあ(まあ、こういう雰囲気が好きな方もいると思うので、これはこれでありだと思うだすが)。。

 なんか、誰もまだ救われてない感があって、なんか「助けて!」って感じなのです。けど、この先の展開はどうなるかわからないなあ。。うーん。。

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2015/06/10

田中ほさな 「聖骸の魔女」 1巻 ヤングキングコミックス 少年画報社

 この作品では「魔女」はほぼ怪物に近い形で設定されています。というか、なんか破壊的で半端ない攻撃力とゆーか、何というか。。

 魔女の宣戦布告と共に、人間界ではどのように戦えばよいのか(戦力差が圧倒的すぎる)悩んでいる状況。そんな中、幼い頃に女王に救われ、特別扱いされ、禁書を好きに読める立場にあった主人公は、その膨大な書籍の中からあるヒントを見つけます。

 「魔女には魔女を」。

 当たり前ながら、その状況下ではほぼ実現不可能と思われたそのアイデアから、とある場所に隠された、「最初の魔女」が封印された部屋に鍵を携えて向かう事になったわけですが。。

 凛とした女王様が力強く、そして様々なものを抱え込み、そして深く考えて行動していくところが妙に印象に残ります。とても”王”としての威厳があり、そして主人公に対してはある意味、母親のような優しさも兼ね備えていると。この存在感、作品の中でも重要なものなのでしょう。

 それに対して、主人公は本を読むことばかりに夢中になっていて戦う術もない、かなり弱々しいヘナチョコな設定になっていますが、<最初の魔女>”達”に出会ったことで、自ずと戦いと運命に立ち向かわざるをえない方向に突き進むことになるという感じです。

 肝心の”最初の魔女”は、圧倒的な力を持ちつつ飄々として掴み所はないですが、「我が背」と称する主人公の望みを叶えつつ、謎めいた生い立ちも少しずつ明らかになってきます。
 そしてあとはアクションシーンはやっぱり動きがしっかりしていて、安心できるですなあ。

 ダークファンタジー物としての設定は、特に魔女の存在につては少し独特になっています。そして細かい上に、物語としての説得力もなかなか。城から追い出すあたりのくだりも、まあそういうことかなと思いつつも、結末が出てくるまでドキドキしましたよ。
 そしてナゾや伏線はごまんと散りばめられており、これは徐々に明らかになっていくんでしょう。

 まあ、ちょっと”ハーレム化するんだろうなあ”という雰囲気が満々なので、期待していいのか何なのかはアレですが、、、乱飛乱外的な感じになるのかしら?

 12人も設定されている”最初の魔女”は、一体どんなものを供物として契約がされるんでしょうかねえ。。それもある意味、謎解きですね。

 敵となる”魔女”の存在も、まだはっきりと説明はされていませんが、2巻以降の戦いによって、どう面白くなっていくのでしょうね。と期待しつつ。。

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2015/05/06

ヤマザキコレ 「フラウ・ファウスト」 1巻 KCx 講談社

 悪魔と契約した人間の語り継がれる物語。
 その物語は寓話ではなく、実在の物語であった(若干、違った形で流布されているが)。

 こういうのをダークファンタジーって言うんですね。なんか耽美と魔法というか、そういうのが入り混じったのを何て言うんだろう?って思っていたんですけど、確かにこういう単語がぴったしですね。

 「魔法使いの嫁」で、なんか急にクローズアップされてきたような気がしますが、この作品も同じ系譜といえばそうかもしれません。が、こちらの方が正統派の魔法使いと教会の闘いが描かれている・・・?のかな?

 どちらが良いとか悪いとかは、ただの好みの問題ですけど、個人的にはこちらの方が読みやすいです。「魔法使いの嫁」は、ヒロインの心まで荒んだ退廃感を、人外の魔法使いが利用するという建前の上で、徐々に心を溶かしていくというか、そんな感じの作品です。
 女性のほうが恐らく受けが良いと思いますが、当初の持ち上げ方がちょっと異常というか、異様だったもので。。確かに絵も綺麗ですし、ストーリーも伏線がかなりあってミステリー的な面白さもあり、最初は解り辛いものの(1巻だけだと、雰囲気以外はストーリーが読み込めず、はてな状態かも?)、引き込まれる雰囲気&構成があり良いと思うんですが、書店の広告や、大型書店だと何故かどこも平積み?という辺りが尋常じゃなかったので、逆にちょっと引いてしまう勢いでした。。。まあ、3巻あたりは週間ランキングでは上位になっていたみたいなんで、やはり売れているのでしょうけど(累計140万部らしいので、この手の作品としてはまあまあ、でしょうか)。

 作品の雰囲気は好きなんですけど、恐らく出版社押しが激しすぎて、逆に引いちゃったりした部分もあり、、

 まあ、作品自体には関係ないのでアレですが、書店に沢山並ぶ本が、けっして全てが人気に比例したものではないなあ、ということを如実に物語るエピソードなもので、脱線してしまいました
(逆に言えば、小さな書店では並ぶことすらないか、1冊程度で誰か買ってしまえば追加で入ることもない本の中に、まだまだ面白い本は埋もれている、と思うんです。好みも多様化しているだけに、自分にあうその1冊に会うには、やはりそれなりの努力と運、出会いが必要でもありますけどね。。)。

 かなり本質から脱線し過ぎましたが(爆)、「フラウ・ファウスト」は、一応「魔法使いの嫁」の流れにはあやかろうという節もあるものの、出版社も違うので、極普通の売り方になっています。

 作品的には、ダーク・ファンタジーということで、似たようでいて違う路線です。ある意味では絶対的な力を持っている悪魔と、契約によって願いを叶えた人間(女性)、そんな伝説の存在に出会った一介の青年の出会いから物語は始まります。

 この作品も伏線だらけですけど、1巻で大筋の流れがわかるので、読みやすいですね。アクションも結構あり、そういう意味でこちらの方が動きがあるかなと。

 逆にこちらを読んで気に入った場合には、「魔法使いの嫁」を読むと、また全然違う世界観と流れがあるので楽しめるんかないかなあと思ったりします。

 途中に長い余談が入っちゃいましたが、まあそんな感じで耽美な雰囲気のファンタジーとして楽しめるかと思います。

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2015/04/28

檜山大輔・村田真哉 「魔女に与える鉄槌」 2巻 ガンガンコミックスJOKER スクェアエニックス

 中世の魔女狩りをモチーフにした作品です。実在の史実をベースにして、異端審問官となった”魔女”と、それらを使役する女王という、かなり異世界の設定となっています。

 しかし、、、、何と言ってもこの作品の異様なところは、魔女狩りの際に行われたとされる”拷問”の数々の異常さでしょうね。。

 このあたりは、おそらく実在の史実に残っていた拷問の道具なんでしょう。。

 魔女狩りの際にだけ使われたものではないわけですけど、人間って、、、ここまで無情で狂気に満ちたことを、「こいつは人間じゃない、魔女だ!」と思い込むだけで、出来てしまうんですね。。

 道具の恐ろしさよりも、それを本当に”人間に対して”使った人々の精神状態が一体どんなものだったのか、、、集団ヒステリーに近いものだったんでしょうけど、本当に恐ろしいです。

 この作品の設定では、魔女は”仕組まれた異端審問の指南書”によって拷問を受け、その受けた拷問の種類と同じ力を持つように”生み出され”ます。
 そういう設定だからこそ、次々と想像を絶するような拷問手法が出てきます。

 そういう意味では、普通の魔女・魔法漫画とは一線を画するような作品かもしれません。

 反骨精神の主人公と、謎多くしたたかな女王、伏線が散りばめられ、裏切りと陰謀渦巻く世界で、生み出された魔女たちが闘っていく、、その現況は裏で静かに暗躍する。。

 そんな感じの、ちょっと変わったダークファンタジーです。

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2015/04/25

江島絵理 「少女決戦 オルギア」 1巻 ヤンマガKC 講談社

 この作品は「ギャップ」を描くところに主眼を置いているのかな?

 20年に一度繰り広げられる、魔術団体同士での死を賭けた「殺戮ゲーム」。
 それぞれの代表者は、各一名ずつの女子高生。敗れればそこには”死”。むさぼるように喰われてしまう。。

 戦いがあるのは1週間のうち3日のみ、夜中の1時間のみが殺戮のステージとなるそのゲーム。勝者の一人になるまで戦いは続く。。

 というのが、この作品のA面。

 B面というか、、、日常の学園生活は、夜の殺伐とした雰囲気とは真逆の「ゆるふわ」漫画になっています。そのゆるふわ度は半端なく、なんだかもう、「ほのぼの百合系四コマ」のような感じです。

 ・・・A面とかB面とか、レコード世代しかわからないっΣ( ̄□ ̄;)

 まあ、最近何故かレコードも売りあげが伸びてるみたいだし、いっか。


 この半端ないギャップ感が、何というか、、、この作品の味なのでしょう。
 逆にアクションシーンが無くとも、このゆるふわな学園漫画の世界だけでも充分面白いかもしれない。

 かといって、夜の戦闘が余計かというと、こちらはこちらでかなり迫力もあり、殺伐とした能力戦が、がっつりと描かれていますんで、2度楽しめるみたいな感じかもしれません。

 というわけで、次巻で起きるカラオケバトルも乞うご期待(違)。

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2015/04/23

君塚祥 「上海白蛇亭奇譚」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社

 第一次世界大戦後あたりの上海を舞台として、妖含めた様々な人々(変人)が集う上海の茶館周辺で起きる数々の事件を綴った作品になります。

 雰囲気は大正ロマンといった感じ。三白眼の表紙の倭人が主人公かと思いましたが、どっちかというと(その後ろの)ヒロインが主人公といった方がいいんじゃないかなあ?

 まあ、住人は一人一人全部謎だらけな変人ですが、その周辺で起きるあやかし絡みの事件、それを解決していく変人たち。。。 なんか語弊があるな(汗)。

 あやかしが全て悪という訳ではなく、それぞれにドラマと事情があるため、全て滅せられる訳ではありません。が、全てを救える訳でもありません。。そのあたり、強弱というか緩急というか、そういうバランスが取られているので、案外読みやすく飽きもこない作りになっている気がします。

 主人公が大活躍、というような話ばかりでもなく、あくまで「とある事件の顛末」として淡々と描かれているのですよね。

 伏線は沢山ありますので(ヒロインや変人達(?)の素性も含めて)、だんだん面白くなっていくような感じもします。絵も綺麗なのでちょびっと期待もあり。

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