C_ファンタジー

2017/07/25

岡田卓也 「ワニ男爵」 1巻 モーニングKC 講談社

 落ち着いた紳士風の出で立ちのもの書きである「ワニ男爵」と、グルメ情報をかぎつけては彼を誘いに来る(で、費用は男爵持ち)、ちょっと調子のいい「ラビットボーイ」のコンビが綴る、グルメ探訪コメディーです。

 ワニが男爵、という辺りもあれですけど、実に紳士風に、そして大人な対応に満ちあふれていながら、、、時々なんか無意識に”野生”に戻ってしまうという、お茶目(で済むのか?)な面もあり、憎めないキャラといったところです。

 対してラビット君は、若者というか小僧というか、ワニ男爵の財布をある意味では目当てにしている部分はあり、そしてつい愚痴を言ったり、他人を貶したりと決して性格がいいとは言えません。けど男爵はまったく意に介すことなく、子供じみた行為を静かに諭し、そしてラビット君もその心の広さに感銘を受ける、といった凸凹コンビを演じています。

 人間を動物に置き換えた世界観でありながら、「食い倒れ人形」はそのまんまかい!というツッコミ所もありつつーの、動物コメディーとしてもなかなか個性的な動物が次々と登場し、ワニ男爵と絡んでいきます。

 たまに野性に還ってしまうのは置いておいて(よくまあ、他の動物を食べなくて済んでいますが(笑))、ある意味では紳士に、そして人情味に溢れた男爵の対応は、ちょっといい感じです。

 全国のご当地グルメも色々と登場し、それを美味しそうに・・・・って、ワニに表情があるんかい!という部分がありながら、それなのにメッチャ美味しそうに食べさせているところが、・・・漫画の凄いところだなあ、、と改めて思ってしまいました(笑)。

 グルメ漫画として読むよりかは、人情動物コメディーと思って読む方が正解だと思いますけど、それでも色々な要素をバランスよく、そして非常にセンスよく並べた作品だなあと思います。
  

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2017/07/12

中村朝 「僕達の魔王は普通」 1巻 ガンガンコミックスONLINE スクウェア・エニックス

 もう表紙で80%くらいネタバレしておりますが、魔王への道のりを弟に譲り(勝手に言っているだけですが)、人間の保育士の道を目指そうとしてしまう、何だかベクトルが変な方向に向いてしまった魔王候補の兄を巡るドタバタ・コメディーです。

 まあ、親の教育その他で覇道を学ばされ、皆の前では<指導者を演じる>ことにも真面目に取り組む、変な話、生真面目な魔王候補が、とあるキッカケで出会った保育園児との交流を通じて、なんだか変なスイッチが入ってしまったといったところです。

 ドタバタの原因は、このどこかネジがずれた主人公もそうですが、いわゆる次男という立場に甘えて、口では「次期魔王は俺だ!」とか言いつつ、本気で譲られたらそんな面倒なものイヤや、という弟もあり、まあその従者達もどこか抜けているというか、ベクトルがそれぞれおかしいという、パワーは半端ない筈ながら、何だかゆるゆるな魔物達。。

 とにかく何というか、生真面目で髪サラサラな兄上様の、何かというと悪に肩入れしてしまうという性格というか性質が、なかなか絶妙です。絵本の読み聞かせをするというのですけど、例えば桃太郎でここまで魔に肩入れしてアレンジしちゃうか!というくらい、それが嫌な監督役の保育士との掛け合い漫才の世界に突入してしまうというか。。

 全体的に<悪魔>といっても、怖さからは無縁でほのぼのとした展開。ある意味、何に対しても気を遣い(園児にも、そして魔物の立場にも)、無表情ながら明るく人間界に溶け込もうと努力する(もう殆ど違和感がないレベルに達してますが(笑))、そんな主人公のキャラが、この作品の雰囲気の全てを作っている感じです。

 どこか歪みつつも、こういう教育もありなんじゃない?と頷いてしまいそうな保育士修業を描く、そんなコメディー作品です。
 

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2017/06/27

井上知之 「はなまる魔法教室」 1巻 裏少年サンデーコミックス 小学館

 ある日、小学校に魔女の先生がやってきた。その先生の目的は、クラスの生徒の中から優秀な能力を持つ子をスカウトし、魔法使いにすること。そんな先生を巡って、空想好きの主人公や、色々な個性を持つクラスメイト達が、魔法先生の不思議に少しずつ触れていく、そんな物語です。

 魔法は契約すると共に、”種”が手の甲に印として現れ、数ヶ月もすれば孵化するということ。想像力のたくましい少年は、予想よりも早く効果が発揮されたわけですが、、、

 ある意味では、児童文学というか学校の課題図書に出てくるような内容という気もします。が、いわゆる「魔法使いの先生」は、かなりザックリとした性格で、魔女の国でも学生を教えていた(といっても2~3人程度の生徒)、生徒を教えた経験はある先生なわけですが、沢山の生徒のいる教室に憧れていて、授業することそのものが楽しくて仕方ない、そんな感じの明るい、、、、けれど何かしら秘密も秘めた人です。

 ジュブナイル系な作風と絵柄ですが、いがみ合いながらも冒険のようなものにも憧れる小学生らしい子供達と、小学生を教えるのは初めてながら、実に細かく生徒を観察している魔法先生。。

 魔法とはどういうものなのか、その実態はまだまだ謎だらけですが、それを少しずつ紐解きつつ、子供達と楽しく戯れ、普通の”先生”とは違う発想で考えて行動する、そんな個性的な”先生”を描いていく、そんな感じです。

 なんかこう、ちょっとしたワクワク感も感じられ、懐かしさもどこか感じる、そんな作品だなあと思います。

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2017/06/13

からあげたろう 「コーヒーカンタータ」 1巻 電撃コミックスNEXT 角川書店

 幻のコーヒーを巡って、とある街にやってきた少女のスタートを描く、「コーヒー漫画の皮を被ったガッツリSF」な作品です(笑)。 まあ、SFというかはファンタジーという設定の方が馴染み易いかもですね。

 とあるコーヒーの品種である”カンタータ”で街興しをしている地方都市に、ある”目的”の為にやってきた少女が、ある意味では偶然を重ねながら”一緒に学ぶ友人”を得ていく、というところが1巻目です(その目的地に辿り着くまでに紆余屈折がありまくりなので、まだ”入り口”のところまでしか進んでいませんが(笑))。

 基本的なコーヒーの淹れ方など、そういう”うんちく”も結構満載されています。そういう視点で見れば、グルメ漫画とも言えるかもしれません。が、そこに、「カンタータ」という、ある意味では圧倒的な味を以て君臨する”究極の珈琲豆”の存在があるわけですね。

 少女が辿り着いた喫茶店では、他の沢山の観光客向け喫茶店で出す、”カンタータ”は出さず、マスターが極普通の豆(勿論、厳選されています)を使って丁寧に淹れたコーヒーを出してくれます。ある意味では、それなりに美味しいコーヒーを入れる技術は持っていた少女ですが、同じ豆を使っている筈なのに、その味の違いに圧倒されます。。

 コーヒーって本当に難しいですよね。。

 私も一時、安物の挽いた豆で、ドリップで淹れてみた時期がありましたけど、何ヶ月かやっても、何というかマトモに同じ味で淹れることすら出来ませんでした。同じ豆なのに、毎回なんだか違う味がするんですよね(ただヘタなだけですが(爆))。

 布のネルを使うとか、それで味が変わるのはある意味当たり前としても、湯の温度や注ぎ方ひとつで、千差万別の味になってしまうのがコーヒー。。

 どちらかというと紅茶派(特にミルクティー派)な私ですが、ほんと紅茶って手順とか時間とか守れば、ある程度は誰でも同じ味に持って行けると思うんです。が、コーヒーは本当に淹れる人によって全く味が変わってしまうので、ある意味ではいつも同じ味を提供できるっていうのは、プロだなあ。。。って当たり前の話ですが(汗)、凄いなあと思う次第です。

 まだまだ1巻では入口だけなのですが、これから懇切丁寧に彼女達は、コーヒーを美味しく淹れる技術を学んでいくことになります。

 ただのコーヒーを巡るウンチクだけではなく、ヒロインを取り巻く少女達の性格の違いなど、物語としても中々楽しんで行けそうな、そんな作品です。
 

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2017/05/29

阿部洋一 「新・血潜り林檎と金魚鉢男」 全2巻 アース・スターコミックス 奉文堂

 頭が<金魚鉢>の背広の紳士が唐突に現れ、金魚鉢の中の金魚が人を襲うと、その人は<金魚>になってしまう。。

 そんな恐怖に怯える街で活躍するのが、スクール水着を着た少女、”血潜り”達で、彼女達でしか金魚男の毒を処置できない。但し、その能力を使って”潜れる”のは、襲われたばかりでまだ金魚になっていない人のみ。金魚になってしまった人々は、もう金魚のままで居るしかない。。

 スク水女子が街中を走り回ってる段階で、なんかもう小さな劇団のアングラ演劇の世界を彷彿とさせますが(・・・アングラは死語かしら?)、まさにそういう雰囲気の漂う作品です。

 敵対する同士とも言える「金魚鉢男」と「血潜り」ですが、ある意味では「血潜り」も特殊な職業。金魚鉢男が消えてしまえば、存在意義は当然消滅してしまいます。既に彼女らも”人ではない”とも言えますし、そんな葛藤を巡る戦いに、話は急展開していくことになります。

 2巻ではとうとう宿敵の「金魚鉢男」を倒すことに成功はしたものの、それによって却って最悪の事態が引き起こされ、街そのものが金魚毒に飲み込まれていきます。その状況を打開するためには、ヒロインである”林檎”の存在が不可欠となる訳ですが。。

 ストーリーや設定が突拍子ないので、なかなかストーリーの説明をするのが難しんですが、この作品自体は「文化庁メディア芸術祭漫画部門」の審査委員会推薦作品にもなっています。

 ところが電撃コミックスジャパンが2012年に休刊。 その後、2015年にコミックアーススターで復活を遂げる、という経緯がありました。電撃コミックスジャパンでの既刊本(全3巻)も再版され、5冊目にしてやっと完結を迎えることになったわけです。

 どこか夏休みの終わりのような不思議な世界観と、唐突に現れる謎の<金魚鉢男>の存在が、何とも独特な雰囲気を作り出しています。

 想像を超えた意外な”結末”を迎えた作品ですが、ある意味では”この世界観を維持しつづけた”ということでもあるのかもしれません。勿論、ここに至るまでのストーリーもなかなか面白く、ワクワクとは違うかも知れませんが楽しませてくれる作品でした。

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2017/05/23

大宮宮美 「つるぎのない」 全1巻 マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ マックガーデン

 「ゆるゆるファンタジー」というジャンルがあるなら、まさにそんな感じの聖剣と伝説の勇者の物語です。

 そもそも論で、”聖剣が頭に刺さってる女の子”というその設定がかなり突拍子がないわけですが(笑)、その割には記憶を無くしていて、のほほんとした性格のヒロイン。そして聖剣を抜く事ができる伝説の勇者の子孫で、7人兄姉の中では妹よりも”あらゆる才能”がない、いわゆる落ちこぼれの最弱の勇者(結構荒んでいる?)が、何の因果か旅・・・というか兄妹達の追跡を振り払って逃避行を行うことになるという、そんなお話です。

 抜けないと思っていた聖剣が、なんだか意味不明なものを付けたまま抜けてきたり、色んな伝承(例えばドラゴン伝説)が、何だか話が誇張されていたり歪んでいたりして伝わっているのが徐々に判ってきたりと、兄妹達には追われながらも、いろいろな場所でいろいろな人に出会いながら、のんびりゆるゆると”海を目指して”旅を続け、、、、

 そして最後に、全ての伏線は一気に紐解かれ、事態は急展開していくことになるわけですが。。

 正直に言えば、漫画としては、幾らかつたない感じを受けるんですが(コマ割や絵の安定度など。人のこと言える立場ではないですが(汗))、物語というかドラマ自体との構成と設定、そして展開については実に楽しめる作品だなあと。

 ある意味では勇者と魔物が存在し、ドラゴンも存在し、勇者が平和を守るというファンタジー世界なんですが、<絵本>というか<おとぎ話の世界>なんですよね。最後には”魔王”も降臨する訳ですが、そこに至るまでの伏線とストーリー展開、そしてその結末は、「小さい頃に読んだ絵本の世界」に繋がる、そんな作品になっているんですね。

 描いていけば技術なんてのは後から付いてくるものですが(・・・まあ描き続ける事はとても大変な事なんですが、それは置いておいて)、こういう物語の構成力とかセンスというのは、それとは別のものだろうなあと思います。

 オチへの賛否はあるかもしれませんが、読後感はとても良かったので、他の作品もちょっと読んでみたいなあ、と思いました。
  

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2017/05/15

板垣巴留 「BEASTARS」 3巻 少年チャンピオンコミックス 秋田書店

 肉食動物と草食動物が一緒に社会を作っている、そんなファンタジー社会において、学校での演劇部を中心とした青春群像劇、といったところです。

 「BEASTARS」とは、そんな演劇の頂点を極めた校内の称号ということになっています。

 一見、ディスニー映画の「ズートピア」などをイメージしてしまいそうですけど、肉を求める本能を抑えることに苦悩する肉食動物達と、そして肉食動物に対して本能的に怯えつつも表面上は仲良く振る舞い共同生活をする草食動物。。

 本来、相容れない動物達を一つの社会に無理矢理押し込むことにより、楽しいギャグ漫画やアニメの世界とは違って、根本的な問題が生じるわけです。その矛盾にどう無理矢理折り合いを付けていくのか、という辺り、社会の仕組みとして一応様々な<教育手法>が学校では取り入れられています。

 動物仲良し漫画(けものフレンズまで含めて(笑))に対して、この根本的な矛盾をリアルに表現したら一体どうなるのか、という試みの一つとして、雷句誠の「どうぶつの国」という作品がありました。この中では言葉を統一するという形でのカリスマの存在と(種族を超えたコミュニケーションは、言葉の壁があって取れないという前提で、全ての動物とコミュニケーションできる”人間”が数人だけ存在)、肉食動物でも食べられる作物を育てていくことで喰う喰われるという状況を解決していく、という形を取っていました。

 対して、この作品では、かなりシビアな”洗脳教育”のような教育プログラムによる封じ込めと、法治による社会秩序の構成によって、矛盾を孕みながらも一つの共同生活社会を形成しています。

 あまり人間社会などとの比較を行う事は野暮な気もしますが、どことなく現状、人間社会が抱えている矛盾を彷彿とさせるような、そんな錯覚も憶えさせられます。。

 作品としては、あくまで本気で<動物の習性>を理性と社会機構で押さえつけることで、果たして破綻なく成立していくのか、という部分をリアルに描いているような気がします(そういう意味では、人間社会を婉曲的に揶揄している、というのとは少し違いますね)。当然、そのはみ出した欲求のはけ口として、街中には<裏市>という戦後の闇市のようなものが非公式ながら存在が許容されていたりもするわけです。。

 そして定期的に草食動物を狩って食べてしまう肉食獣が、殺”人”犯として指名手配され、社会問題とされていくと。。ただ、殺して喰わないまでも、単なる殺人と置き換えてしまえば、現在社会でもある意味、日常茶飯事な光景とも言えなくもありません(野暮といいつつ、つい比較してしまう(汗))。

 全く文化も異なる、異質なものを法律と社会秩序だけで融合し、生じる矛盾や問題を解決していけるのかという、それをシンプルに肉食動物と草食動物を用い、ある意味壮大な<シミュレーション>をしているとも言えるんじゃないかなあと。。

 そんな中、演劇部で裏方をする灰色オオカミのレゴシは、様々な種類の動物の先輩、同級生などとの交流を通じて、本能との葛藤しつつ、自分が求めているのは何なのか、どうしたいのかを思い悩んでいくという、、、この部分は、まさに<青春物語>と言えばその通りなのかな、と言う気がします。 ←物語のあらすじこれだけかよっ!

 2本脚で服を着て歩いている動物社会という設定ですから、あまり動物の習性どうこうという部分は、リアリティーのある外観以外はそう気にならないんですが、”肉食”という本能を、どこで折り合いを付けて飲み込み、そして社会と折り合いを付けていくのか、、、その辺りを人間社会とも無意識にダブらせながら、考えさせられる作品です。

 

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2017/05/09

丸山朝ヲ/棚架ユウ 「転生したら剣でした」 1巻 バーズコミックス 幻冬舎

 転生したら剣になっていました。という、タイトルそのままズバリな内容です。

 最近、少しタイトルが長いファンタジー作品が色々と出ていますけど、これもある意味、その系統かなあと思いつつ、描画が丸山朝ヲさんだったので手に取ってみました。
 で、原作の世界設定などがしっかりしているので、案外面白く楽しめました。

 そもそも何で生まれ変わったら剣なのか不明ですが(まあ、それも伏線ですね)、意志を持った主人公である”剣”は、近くの小さな魔物を少しずつ自力で叩き切りながらスキルアップしていき、剣なのに数々のスキルを身につけていきます。しかし不覚にも魔力を抜かれ、何年も動けなくなったところに、もう一人の主人公である猫耳少女(こらこら)と出会い、二人で旅を始めることになるという。

 剣に意志があるということ自体、この”ファンタジー世界”では普通はあり得ない設定となっており、スキル等も剣の方に宿っている形ですが、持ち主がそれを使いこなすことでさらに威力も発揮できるという設定です。

 小説が原作なものは(直近では「蜘蛛ですが、なにか?」など)、この辺りのスキルの選択であるとか伸ばし方、順序などに結構拘りがあるのか、料理のスキルとか何で要るねんと思いながら、キッチリそれが役に立つシチュエーションを用意していたりします。ゲーム感覚でどのスキルを伸ばすか、ストーリーにも合わせてしっかり組み立ててあるので、そういう意味ではRPGをやった事がある人には、ああなる程と楽しめるんだろうなあと思います。

 ヒロインである猫耳娘も、強くなりたいと思いつつも”進化”ができずに力尽きた両親の想いも受け、妖獣の中では最弱・最底辺の位置付けにされながら、謎の力も秘めている感があり(まあ定石ですけど(w))、剣の行く末も含めてなかなか楽しめそうなファンタジー作品でした。

 いやあ、、、キッカケは色々ですけど、読んでみないとやっぱり判らないもんですねえ。。
 

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2017/05/08

桑原太矩 「空挺ドラゴンズ」 2巻 アフタヌーンKC 講談社

 空中を飛ぶ龍(ドラゴン)が普通に生息している世界において、ドラゴンを喰う事に命を賭けた男が飛行船型の捕龍船で好き勝手に暴れる(違)、そんなファンタジー作品です。

 まあ喰うというのもアレですが(笑)、この世界では龍は空を飛ぶ<くじら>に近い位置付けで描かれています。退治するとかそういう対象ではなく、立派な<狩猟動物>ということですね。
 ただし、種類は龍といっても上から下まで様々であり、大きさもまちまち。能力によっては危険な種類もいるので、その捕龍船の大きさや乗組員の技能により、狩るかあるいは逃げるか(マジで)を決める事になります。ちなみに魔法とかは特になく、龍のような謎生物が生息している以外は、極普通の中世風な世界観です(飛行船やらエンジンやらは存在します)。狩りは機会の補助はありますけど、半ば”人力”といったところ。

 喰うというか狩ることがメインのストーリーになりますが(いわゆる「ダンジョン飯」ほど何でも喰いまくるファンタジーではないです(笑))、空中での捕龍船での捕り物は迫力があります(あ、2巻では”空中”ではありませんが・・・)。

 2巻では捕獲した龍を捌き、売るために村(というか街)に立ち寄る訳ですが、その街自体が<捕龍>による恩恵で成り立っているというか、、、余すところなく解体し、全てが利用できる龍は本当に<クジラ>そのものです。街自体の経済が捕獲されて持ち込まれる龍によって動いており、荒くれ者の捕龍船乗組員との間ではいざこざも発生しますが、お互い持ちつ持たれつという間柄。

 そういう意味で、ファンタジー世界ではありますけど、乗組員や街の人々の群像劇も丁寧に描かれており(この辺、学園ものの「とっかぶ」でも上手いなあと感じていましたが)、<龍>という経済生物を中心とした世界観も、違和感なく結構深く描かれているなあと思いました。

 何より、龍の解体シーンが実に丁寧で、空想生物とはいえリアリティーがあって感心しました(そんなもんに感心するのは私くらいかもですが(汗))。

 2巻でもまだまだ龍のいるこの世界の全体像が描き切れていませんが、少しずつ明らかになる世界像と伏線で、ファンタジーと謎グルメだけではなく、まだまだ色々と楽しめそうな作品です。
 

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2017/04/17

ながべ 「とつくにの少女」 3巻 BLADE COMICS マックガーデン

 とある「外」の森の中で、ある異形の人物と暮らす一人の少女。その少女を巡って、人が住む「内」と、人外のモノが棲む「外」の世界の間で起きる”何か”を描いていく、そういう物語です。

 「外」の世界を「外(と)つ国」と言い、そこに住まう人々は化け物扱いされています。その「外」の住人がどのように作られるかと言えば、実はその異形の生物に触れることで、人だけではなく獣も含めて「感染」するかのように変化していきます。

 ある意味では、「感染者のなれの果て」が隔離されているのが「とつくに」と言えるのかもしれません。城壁に囲われた「内(うち)つ国」の方が、狭い感じがしますけどね。

 表紙にも登場する異形の人物は、勿論言葉も喋れます。そして少女が感染しないよう、一緒に住みながらも決して触れないよう、そしてとつくにの住人達にも触れさせないよう、ある意味では微妙な距離感で共同生活を営んでいます。

 あどけない少女は伯母を待っていますが、実際のところは捨てられたに近い状態で、主人公が引き取り、守ってきたわけですが、3巻ではその捨てたはずの伯母が現れ、兵士に守られながら少女を「内つ国」に連れ去ってしまいます。そして少女が到着した村では、、、

 1巻、2巻では半ば謎に満ちた不思議な森と、その中で何かを恐れながら、そして互いの素性も謎のままながら、少女の落ち着いたあどけなさに救われながら日々を小さな幸せを感じながら生活する、そんな2人を描いていました。

 2巻の終わり頃から、「とつくに」と「うちつくに」の、ある意味では非情な争い事が始まり、物語が3巻に向けて大きく動き、伏線や謎が徐々に明らかになりつつあります。本当の意味での少女の<秘密>は、4巻において明かされる事になりますが、不思議な世界観だけのファンタジー作品というだけではなく、複雑な人間模様が、一気に進んでいく感じですね。

 この作品、読み始めた当初から「絵本のようだな」という印象を受けていたんですが(そういう評価もチラ見しましたが)、改めて<絵>を眺めてみると、ちょっとびっくりしました。効果線など、動きを表現する線がほぼ無いんですね。いや、全くないと言ってもいいかもしれない。。

 ある意味では全て「静止画」として描かれているんですが、意識しないとそういう”効果”を使っていないことが認識できない。動作の途中の動きが、しっかりとしたデッサンで描かれているので、それで「動いている途中」と認識するんでしょうかね。。

 そして淡々とした必要最小限の会話や心理描写のト書きなどから、想像力を掻き立てられるような、そんな感じです。ある意味、絵本というメディアも、限られたページ数の中で、静止画と文字だけで情報を読者に与えるわけですが(動きのある絵もありますが、比較的静止画が多いですよね)、それに近い表現方法なので、「絵本のようだ」という印象を受けるのかもしれません。

 そういう意味では、イメージ的な作風を見て楽しむのがメインの作品かな、と思っていたんですが、2巻、3巻以降で一気に物語が動き出し、ああ、こういう表現方法でもドラマティックな展開が描けるんだなあ、、と、改めて面白い作品だなと認識した次第です。

 余談ですが、某作品でイメージ戦略に成功したからって、あんまし「人外」って単語を使わない方がいいんじゃないかなあ、と最近思う次第です。確かこの作品も、1巻の帯は「人外×少女」だった気がします。その後、なんか猫も杓子も使い始めてしまって、この単語は食傷気味かなあと。。この作品・作風は、某作品とはまた味付けが全然違う、非常に個性的な作品だと思うんですね。3巻以降は、もっと違う独特のセンスを表現するようなキャッチコピーを考えるべきだなあと思ったりもします。。
  

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