C_SF

2017/08/18

やまむらはじめ 「SEVEN EDGE」 2巻 ホーム社

 大震災により崩壊し、大阪に遷都したことによって、日本から見捨てられた首都圏。  そこから徐々に復興しつつある、混乱を引きずった無政府状態に近い状況下において、謎の組織からの指示で<暗殺>を行う組織に引き抜かれることになった青年の活動を描く、そんな<必殺>系のハードボイルド作品です。

 一応、秩序は戻りつつあるものの、銃が普通に使われるような無政府状態の首都圏は、少し前によくあった「近未来の世界」に近いものです。

 作品の世界観は、かなり昔の作品になりますが、「境界戦線」のその後、という位置付けになるかもしれません。

 日本が壊滅的に無くなってしまった訳でもなく、位置づけが中途半端な都市で生き残らざるを得ない人々がいる、というシチュエーションは、どこか80年代も彷彿とさせるような感覚もあります。まあ、近未来モノも色々なパターンがありますが、そんな中では結構私は好きな世界観です。

 内容的には”必殺”と書いてしまいましたが、不法地帯の復興といえば、色々な利権やしがらみ、そして金の流れなどもあり、処罰されない悪も当たり前のように闊歩しています。少しずつでも正常に戻りつつあるように見えて、そのような”悪”が暗躍する、そこに入り込む「暗殺集団」が「EDGE」という組織、という形です。

 ただし、その存在自体が絶対の正義という感触もありません。謎のスポンサーから悪事の証拠を踏まえた依頼が来ることで、ターゲットの暗殺が実行されるわけですが、スカウトされた主人公も、元々は銃を持った学生運動家のようなものに近い、組織的には何人も人を殺してきたガンマン。その腕を買われて(ついでに曲芸師のような暗殺少女との成り行きで)「EDGE」に加わることになったわけで、組織に対する不信感も抱えたまま、活動しているといったところ。

 それだけだとちょっと暗い話になってしまうわけですが、前出の曲芸少女や無表情なスナイパーなど、登場人物はどれも個性的で能力も半端なく、かなり際どいミッションをギリギリの判断力とその能力で切り抜けていきます。

 ある意味では正統派のハードボイルド作品、といったところだと思いますね。そういう意味で、こういう銃を本気で撃ち合う作品が最近少なくなったなあ、と思っていたので、ちょっと喜ばしい限りです。

 P.S 余談ですが。。やまむらさんはマニアックな鳥を描くのが好きで、私もとても嬉しいんですけど、たまに生態的な描写がアレな事になっていて、ジレンマに陥るのです。。この作品ではなく、先日完結した「碧き青のアトポス」(全7巻)で、そんな描写があったので、それについて書こうと思いつつ、ずっと躊躇して今日に至ります。。が、一言だけ書いておきます(今頃すみません)。
 「オオミズナギドリは、(カモメと違って)小さなボートの上に降りられません(体の構造的に)。」
 まあ、、、鳥を知っている人にしか判らない話なのですけどね(種名書いてないですから、言われないとどの鳥か判らないでしょうし)。

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2017/08/10

園田俊樹 「シンギュラリティは雲をつかむ」 1巻 アフタヌーンKC 講談社

 レシプロ機が飛び交うという世界観の中で、一寸どういう理由かは分からない、合理性がどこにあるかも判らない<人型>の全身翼航空機と出会うことで、戦いの世界に巻き込まれ、、、いや、飛び込んでいこうとする、ある天才工学少年の軌跡を描こうという作品です。

 設定的には「ラピュタ」の世界観を想像した方が判り易いかもしれませんけど、あれはオーバーテクノロジーの話。こちらは人型とはいえ、各方面の天才エンジニアが、その世界での最先端技術を駆使して作り上げた機械であり、足が地に着いているという部分が大きく異なります(まあ、いわゆるロボットではないので立てませんが)。

 ある意味では、レシプロ機などを超えたテクノロジーとも言えますが、大きな問題がありました。それは「操縦用ソフトウェア」が、30箇所もの可動部分があるメカのテクノロジーにまったく追いついていないというか、その機体が開発された当時、誰も開発ができなかったということです。そのため、その「凄いけど使えない」機体は、谷がちな田舎の小さな町工場の中に、ただ佇んでいるだけであったと。。

 そんな機体が、ある意味では天才肌で自己中、そしてある意味ではコミュ症(笑)の少年と出会い、そして予期せぬ外部からの攻撃により、出撃するというシチュエーションが生まれます。。そして、「レシプロ飛行機」の操縦系から開放されたその機体は、想像を超えた機動を始めることに、、、

 と書くと、結構よくあるアニメーション作品の物語の組み立てなんですけど、この作品の場合、ひと味違う所があります。

 それは主人公である少年が、純粋に誰かを助けたいとかそういう衝動ではなく、「この機械を使いたい」「自分を認めてもらいたい」という欲望に対して、素直に行動することを求められていく、というところでしょうか。。
 親父も開発に何らかの形で関わっていたようですが、豪快ながらかなりの曲者です。
 そして少年は、自分の欲求を叶えるためにはどう行動すればいいのか、それを真剣に考え始め、そして実行し始めると、、、、

 戦闘という非常事態を利用し、そしてクラスメイトや市民達を巻き込みながら。。

 そういう精神面の駆け引きが、この作品のちょっと違った味となっている気がします。ちょっとまだ構成にぎこちない部分もあるんですが、先の物語がかなり気になる作品です。

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2017/07/04

吉田丸悠 「大上さん、だだ漏れです。」 1巻 アフタヌーンKC 講談社

 男子の「構造」が気になって気になってエロい事ばかり考えてしまうけど、他人になかなかそれが明かせずに孤独に悶々としている、思春期が暴走している女子高生と、なぜか人との接触を極端に避ける、見た目はイケメンだけど無表情で淡々とした男子高生。

 そんな二人がトイレを通じて(?)出会ったわけですが、彼が人を極端に避ける理由は、その体質にありました。。

 彼の特異体質の犠牲となって、次々と<本音>を口走ってしまう犠牲者が続出しますが、そんなシチュエーションを通じて、ある意味、互いにコミュ症であった二人の、ちょっとぎくしゃくした”青春”が綴られていく、そんな作品です。

 ある意味、設定がとてもシンプルなんですね。「本音を口走る」というのも、勿論本人の意図を超えているわけで、混乱も生じてしまいますが、いい方向に転ぶこともあるわけです。

 そしてヒロインの大上さんも、エロいと言っても、なんだか国語辞典でヒワイな単語を検索して、なんだかドキドキしてしまうような、お前は小学生かっっというくらい可愛いものです(・・・まあ、けど高校生ですからね。お互いに。うんうん)。 

 あ、いや。。。けどコンビニの角のコーナーでアレな本をつい読んじゃったりしてるので、、、暴走してますね。やっぱり(笑)。

 もう一人の主人公の方は、あまりに淡々として感情がないのかよっ という能面キャラですが、基本は生真面目で、超が3つくらい不器用。

 そんな二人が、クラスメートとも徐々に交流を増やし、青春していくわけですね。

 なんだか妙に心配で見守りたくなる、そんな二人を描いた作品です。

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2017/06/20

山田鐘人 「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」 1巻 サンデーうぇぶりSSC 小学館

 隕石の衝突がキッカケとなり、病気が蔓延して人が消えてしまった都内において、1台のロボット少女と生活を続ける、コミュ症気味な博士の日常を描く、ちょっとシュールなSF作品、、、。

 であると同時に、無表情で口が悪いロボット少女が、約1ページにつき1回、必ずツッコミを入れるというギャグコメディー作品です。

 日頃は研究所のようなところで、二人でビデオなどを見たりゲームをしたり、何かしらイベントをやってみたりしながら過ごしている、そういう日常系なノリではありますが、辺りには全く人はいません。

 生存者らの僅かな痕跡を辿り、都内を徘徊することもありますが、結局、彼らとは話をすることも出来ない・・・という前に、博士が他人と話を、コミュニケーションがとれるのかという問題が(ry

 渋谷や新宿あたりで、人のいなくなった店舗に律儀にお金を置きながら、必要物資を集めつつ徘徊します。この街に人が沢山いるという状況を見たことがないロボ子は、ある意味では無表情ながら無邪気な質問をしつつ、博士にツッコミを入れながら歩いて行く。。

 生存者は極稀にいるようではありますが、ひっそりと消えていきます。

 そして博士は、災害が起きる前の自分を追想し、現状の自分が幸せなのかを考えています。元々他人とのコミュニケーションが苦手で、ひとりぼっちで何でもやってきた、そして自分の未来に必ず幸せがあると信じて、ひたすら勉強をしてきた日々。。

 孤独に慣れているが故に、ある意味ではこの状況が、実は大して苦でも何でもない博士はいま、幸せになれたのでしょうか?

 素でお約束なボケをかますぼっちな博士と、どんどん口の悪くなるロボット少女が織りなす、近未来のサバイバル(?)漫画、、、という程、なんだか過酷な状況でもないところが、この作品の面白いところかもしれません。
 
 

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2017/06/13

からあげたろう 「コーヒーカンタータ」 1巻 電撃コミックスNEXT 角川書店

 幻のコーヒーを巡って、とある街にやってきた少女のスタートを描く、「コーヒー漫画の皮を被ったガッツリSF」な作品です(笑)。 まあ、SFというかはファンタジーという設定の方が馴染み易いかもですね。

 とあるコーヒーの品種である”カンタータ”で街興しをしている地方都市に、ある”目的”の為にやってきた少女が、ある意味では偶然を重ねながら”一緒に学ぶ友人”を得ていく、というところが1巻目です(その目的地に辿り着くまでに紆余屈折がありまくりなので、まだ”入り口”のところまでしか進んでいませんが(笑))。

 基本的なコーヒーの淹れ方など、そういう”うんちく”も結構満載されています。そういう視点で見れば、グルメ漫画とも言えるかもしれません。が、そこに、「カンタータ」という、ある意味では圧倒的な味を以て君臨する”究極の珈琲豆”の存在があるわけですね。

 少女が辿り着いた喫茶店では、他の沢山の観光客向け喫茶店で出す、”カンタータ”は出さず、マスターが極普通の豆(勿論、厳選されています)を使って丁寧に淹れたコーヒーを出してくれます。ある意味では、それなりに美味しいコーヒーを入れる技術は持っていた少女ですが、同じ豆を使っている筈なのに、その味の違いに圧倒されます。。

 コーヒーって本当に難しいですよね。。

 私も一時、安物の挽いた豆で、ドリップで淹れてみた時期がありましたけど、何ヶ月かやっても、何というかマトモに同じ味で淹れることすら出来ませんでした。同じ豆なのに、毎回なんだか違う味がするんですよね(ただヘタなだけですが(爆))。

 布のネルを使うとか、それで味が変わるのはある意味当たり前としても、湯の温度や注ぎ方ひとつで、千差万別の味になってしまうのがコーヒー。。

 どちらかというと紅茶派(特にミルクティー派)な私ですが、ほんと紅茶って手順とか時間とか守れば、ある程度は誰でも同じ味に持って行けると思うんです。が、コーヒーは本当に淹れる人によって全く味が変わってしまうので、ある意味ではいつも同じ味を提供できるっていうのは、プロだなあ。。。って当たり前の話ですが(汗)、凄いなあと思う次第です。

 まだまだ1巻では入口だけなのですが、これから懇切丁寧に彼女達は、コーヒーを美味しく淹れる技術を学んでいくことになります。

 ただのコーヒーを巡るウンチクだけではなく、ヒロインを取り巻く少女達の性格の違いなど、物語としても中々楽しんで行けそうな、そんな作品です。
 

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2017/05/24

横山旬 「あらいぐマンといっしょ」 上巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 愛用していたアライグマのぬいぐるみを、彼女と一緒になるために捨てようとした際、落雷にあって意識不明のまま病室で昏睡し続けていた一人のサラリーマン、、、数年後にひょんな事から目覚めてみると。。

 奇想天外&ノンストップな、ドタバタ珍道中、といったところでしょうか。

 何を書いてもネタバレになっちゃいそうなので難しいところですが、簡単に言うならば意識のない時にも病院に通い続け、実家に”痕跡”を残していった彼女を、小さな手がかりを元に探して訪ねる、そんな”旅”物語です。”

 けどまあ、旅というかは珍道中、さらに言えば”大冒険”みたいな事になっちゃってますけどね。

 そのお供は病院で出会った、ちょっと何かが足りない大声の大男。ぶっきらぼうで”足りない”ながらも、じつに実直で真面目で人を疑うことも知らない、ちょっと扱いにくい相棒と”ぬいぐるみ”が、様々な出会いやトラブルに振り回されながら、少しずつ目的の核心に迫っていくという、、そんなお話です。

 上下巻なので次で終わるんですけど、そもそも読み始めてからのぶっ飛びぶりが半端ないですね。。

 想像を超えて展開するトラブルと、やけくそな主人公の異様なまでの”順応力”でもって、まさにジェットコースターのようにお話は進んでいきます。

 ただ、途中のトラブルやドタバタや葛藤を省いてしまえば、物語はいたってシンプルで判り易い構図でもあるので、いろいろな意味で脱線と暴走を繰り返しながらも、ストーリー自体を見失うことはありません。

 まあ、<驚愕の事実>が下巻では待ってそうな気もするのですが、、、上巻だけを読んでしまうと、どんだけ奇想天外で想像を超えた事実がそこにあっても、この主人公なら<まあいいか>って(いいかげんに)順応して乗り越えてしまいそうな、そんな気もしたりします(笑)。

 そういう意味で、暴走しまくりな物語ながら、ちょっと安心して読める、ドタバタコメディーといったところですね。
 

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2017/05/22

双龍 「間違った子を魔法少女にしてしまった」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社

 地球で魔法少女のなり手を捜していた謎生物は(定番設定ですが(笑))、偶然であった”清楚な雰囲気”の少女に、魔法少女になって貰うようお願いします。しかし、彼女の”真の姿”とは。。。

 表紙のおどろおどろしさが全てを物語っているとも言えますが、実は引っかけが一つあります。けっして「不良少女」を選んだというわけではありません。ある意味では、不良少年・不良少女よりも恐ろしい思考回路で行動する、破壊的な少女かもしれませんが。。

 行動は破壊的ですが、行動原理はいたってシンプル。「気にくわない奴は徹底的に潰す」です(別に正義がどうこうとか、そんなのは関係ありません(笑))。

 って書くと結局アレですが、その性格を別に隠している訳でもなく、学校では成績優秀ながらすぐバックれてしまい、授業中も教師無視。気にくわない奴が例え札付きの不良であっても、完膚無きまで粉砕し、破壊してしまうような身体能力を兼ね備え、<筋は通すが沸点が異様に低い、歩く最終破壊兵器>と言っても過言ではない、、、というのが、あくまで変身もしていない少女の素性です。

 敵に追われて傷ついていたとはいえ、潜在能力だけをスキャンしてその場で彼女を<魔法少女>にしてしまった謎生物は、いろんな意味で後悔することになっていくわけですが。。

 けどまあ、変身もせずに敵を撃退してしまうその潜在能力。まさに変身してないのに全身からほとばしる”殺意”は、戦闘能力としては申し分なし。魔法のステッキも彼女にかかれば「物理兵器」でしかない訳ですが(笑)、生来の破壊力が倍増どころの話じゃありません。

 そんな彼女の潜在能力に呼応して、敵のレベルも勝手にアップ。地球にどんどん吸い寄せられるという事態に陥るという、、、結果的には、今のところ全ての敵は粉砕されているものの、いろんな意味で何か間違っているというか、、、、

 タイトルがシンプルながらも、それを踏まえた上でどんでん返しというか、想像を超えたストーリーが展開する、結構奥が深い設定に凝った作品だったりします。

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2017/05/08

桑原太矩 「空挺ドラゴンズ」 2巻 アフタヌーンKC 講談社

 空中を飛ぶ龍(ドラゴン)が普通に生息している世界において、ドラゴンを喰う事に命を賭けた男が飛行船型の捕龍船で好き勝手に暴れる(違)、そんなファンタジー作品です。

 まあ喰うというのもアレですが(笑)、この世界では龍は空を飛ぶ<くじら>に近い位置付けで描かれています。退治するとかそういう対象ではなく、立派な<狩猟動物>ということですね。
 ただし、種類は龍といっても上から下まで様々であり、大きさもまちまち。能力によっては危険な種類もいるので、その捕龍船の大きさや乗組員の技能により、狩るかあるいは逃げるか(マジで)を決める事になります。ちなみに魔法とかは特になく、龍のような謎生物が生息している以外は、極普通の中世風な世界観です(飛行船やらエンジンやらは存在します)。狩りは機会の補助はありますけど、半ば”人力”といったところ。

 喰うというか狩ることがメインのストーリーになりますが(いわゆる「ダンジョン飯」ほど何でも喰いまくるファンタジーではないです(笑))、空中での捕龍船での捕り物は迫力があります(あ、2巻では”空中”ではありませんが・・・)。

 2巻では捕獲した龍を捌き、売るために村(というか街)に立ち寄る訳ですが、その街自体が<捕龍>による恩恵で成り立っているというか、、、余すところなく解体し、全てが利用できる龍は本当に<クジラ>そのものです。街自体の経済が捕獲されて持ち込まれる龍によって動いており、荒くれ者の捕龍船乗組員との間ではいざこざも発生しますが、お互い持ちつ持たれつという間柄。

 そういう意味で、ファンタジー世界ではありますけど、乗組員や街の人々の群像劇も丁寧に描かれており(この辺、学園ものの「とっかぶ」でも上手いなあと感じていましたが)、<龍>という経済生物を中心とした世界観も、違和感なく結構深く描かれているなあと思いました。

 何より、龍の解体シーンが実に丁寧で、空想生物とはいえリアリティーがあって感心しました(そんなもんに感心するのは私くらいかもですが(汗))。

 2巻でもまだまだ龍のいるこの世界の全体像が描き切れていませんが、少しずつ明らかになる世界像と伏線で、ファンタジーと謎グルメだけではなく、まだまだ色々と楽しめそうな作品です。
 

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2017/04/27

衿沢世衣子 「うちのクラスの女子がヤバい」 全3巻 マガジンエッジKC 講談社

 思春期だけ「なんの役にも立たない超能力=無用力」が発現する、そんな女子だけを集めた1年1組のドタバタ青春劇が、とりあえず終了です。1巻のコメントはこちら。

 よくまあ3巻分も続いたというか、凄い想像力と構成力だなあと思います。無用力といっても、一歩間違えれば「使い方によっては役に立つ”超能力”」な訳です。

 何というか”お題に縛りがある大喜利”のように、相当絞り出さないと、これだけの女子生徒の「無用力」は思いつかないと思いますし、さらにそれを青春物語(青春コメディーとも言う)に昇華してしまうんですから、並の努力ではこの作品は作れないと思うんです。。

 まあ、色々な意味で斜め上をいく発想で作品を作っている作者なので、そういうものを生み出すチャンネルがあって、思ったほど苦労してない可能性もありますが(死ぬほど苦労している可能性もありますが)、それでもドラマとしての構成、そして無用力をもったクラスメイトとの絡みなど、ちょっと凄いなあと思いました。

 「一歩間違えれば”超能力”」というのは、まさに逆手にとって3巻ではネタにしています。そして、ちゃんとオチまで用意して(笑)。逆にこれを逆手に取れるということは、各々の「無用力」のアイデアを絞り出すのは相当意識しているんだなあ、とも思います。

 実はちょっとまだ続きがあるものと思って読んでいたんですが(読み終えたときも終わった感が無かった)、読み終えていざ感想を書こうかなと思ってみたら、「全3巻」とか書いてあってちょっとビックリ。

 けどそう確認してから少し読み返してみると、無用力があってもそれを活用する術や青春ドラマのそれぞれの結末、そして彼女らの将来はどうなるのかという暗示も含めて、案外てんこ盛りになっているんですね。そして座敷童的な一人の少女を巡っての、そして様々な場所に巡らせていた伏線を畳むかのような最後のクラス総出の大騒動とオチなど、何かこの作品らしく「のほほん」とした締め方なんだな、と改めて思った次第です。。

 なんだかのほほんと楽しく読めるSF作品でした。

 P.S. 3巻の表紙の元ネタだけ、ちょっと判らんかった。。見た記憶はあるんだけど、誰の絵だったかなあ。。

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2017/04/25

風上旬/POP 「ウルトラ怪獣擬人化計画」 3巻 ヤングチャンピオンコミックス 秋田書店

 懐かしい、、、かどうかは世代によりますけど、ウルトラマンシリーズに出てきた個性的な凶悪怪獣を、怪獣墓場でなんでか知らんけど美少女(女子高生?)に変身させてしまうという、よく考えたら暴挙としか言いようがない設定を踏まえて、コミカライズされた作品です。怪獣墓場(なんだか学校になっている)から地球へまた遠征し、そこで繰り広げられるほのぼの地球侵略(ごっこ)物語、という感じになっています。

 当初、この企画はイラストとフィギュアだけでしたが、レッドキングやエレキングのビジュアルを見て、「いやあの・・・けどなんか可愛い」とか思ったのは内緒です(爆)。特にエレキングさんは狙いすぎ(笑)。

 色々とメディアミックスで展開されているようですが(コミカライズも幾つかあるようですが)、この作品ではメフィラス星人が主人公として、往年の名物怪獣が擬人化(美少女化)されて集い、地球侵略のためにまずアイドルグループを・・・という感じで、なんかこうおかしなベクトルに走りつつ、のほほんとしながらも、巨大化して戦ったりとかもすることになるとか、そもそも何で擬人化させてんだ?とかいう伏線も絡めて、案外真面目にドラマを作ってるんですね。

 正直、最初は怖いもの見たさで1巻を買ったんですが(こらこら)、(一部の擬人化怪獣の)可愛らしさをきっちり全面にも押し出しつつも、様々な怪獣達との出会いの中で、「お約束な元ネタ」のマニアックで密度の濃い挿入などで、なかなか面白いんですね。それぞれの怪獣の性格付けや癖、そしてやり過ぎ感もあるくらいの元ネタオンパレード(笑)で、結構楽しませてくれるのと(特にウルトラマンに殺られたときのシーンのネタ再現とか、様々な有名シーンからマニアックネタまで)、ドラマとしても結構よく練られているなあ、と感じたもので。

 私は多分、リアルではウルトラマンタロウとレオ世代辺りだと思うんですが(リアルで見た記憶がある)、再放送で初代とセブンをほぼ全て見ていて、そちらの方の印象の方がより強く残っています。

 この作品では、初代とセブンでの怪獣に偏っている形になるんですが(もちろん、その後のエースとかで出てくる怪獣も幾つか出てくるようです(あまりそこは詳しくない(汗))、まあその後の作品でも繰り返し出てくる怪獣もいますし、何というか初代、セブンの作品インパクトが一番大きかったとも言えますんで、ここはまあ仕方ないですよね。

 なんか読んでいると、元ネタを改めて確認したくなって、また旧やセブンが見たくなってきてしまうという妙な相乗効果も楽しめる、そんな感じの作品です。

 ※余談ですが、、、ある日、「平成セブン」なるものがあるのを知って、中年諸星ダンに感銘を受けながら、DVDを全部大人買いしてしまったのは私です(爆)。
  

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