石川優吾 「ワンダーランド」 1巻 ビッグコミックス 小学館
ある日の朝起きたら、小さくなっていた。
いわゆるファンタジーの世界であれば、そこから始まる大冒険!って感じの流れになるんでしょうね。
けどこの作品は違います。。
ある街の人々の全てが、十数センチ程度に小さくなってしまったら、そこではどのようなことが起きうるのか、、、
街に溢れる動物達にとって、自分らよりも小さな生き物は”餌”でしかなく、例えば飼い猫などにとってはトカゲとかと同じ、”動くおもちゃ”でしかありません。
街中が小さな阿鼻叫喚に包まれ、隠れ逃げ惑う人々、、自衛隊も救助に来ますが、逃げてきた人を網で捕獲するなど、はてして救助といえるものなのかどうか、疑問にしか思えない状況。。
そんな中、主人公である少女は、金髪の不思議な外人の少女「アリス」と出会います。単なるコスプレ少女にしか見えないアリスですが、彼女が何らかの鍵を握っていると。。。(このあたりはお約束)。
そして彼女達は、行く先々で生死に関わる危機に見舞われ続けます。
発想の転換だなあと思います。
人間が突然小さくなるという映画や漫画はゴマンとありますけど、実際にそんな無防備な小動物が、他の動物に襲われて生き延びれるのかと言えば、余程の武器を持ってでもいない限りは難しいのが事実。
小さな動物や昆虫等がどうしているかと言えば、「素早く逃げる」のが最善の方法。跳んだり跳ねたり走ったり。隙間に逃げ込んで隠れられれば御の字。戦うという選択肢は基本的にはないです。特に体格差がある場合には。。
十数センチの人間が単に走って逃げたところで、追ってくる動物から逃げられるわけがありません。まあ、ジュラシックパークで恐竜達に襲われるようなもんですな。。
そんなリアルな虐殺の場でのサバイバルと脱出ゲームなわけですが、そこには数々の解かねばならない謎と伏線が散りばめられています。
なぜ突然小さくなったのか。。
なぜ人間だけ小さくなったのか。。
なぜ街が封鎖されたのか。。
なぜ自衛隊は小さくなった人々を捕獲するのか。。
そして捕獲された人々はどうなったのか。。
なぜ動物達は必要以上に執拗に襲ってくるのか。。
そして「アリス」は何者なのか。。
小さな人々が色々なものを武器にしたり、服を作ったりしているところは可愛い感じに描かれている反面、容赦なく人々が襲われ、死んでいく様を強烈に描写しているので、その対比が恐怖をさらに演出している感じですね。
前作の「スプライト」は、特にラストはちょっと個人的にはうーん、、という印象でしたが、今回はかなり気合いが入っていて、ある意味では怖いながらも面白くなりそうな気がします。
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