C_音楽

2016/10/17

みやびあきの 「なでしこドレミソラ」 1巻 まんがタイムKRコミックス 芳文社

 地味な性格から高校に入ってイメチェンをした女子高生。けど基本的にそれまでのめり込めるようなものがなく、音楽系のクラブに入ろうかと思っている中、<尺八>を奏でながら和楽器の世界に勧誘する、一人の少女と出会い、新しい世界が開けていくという、そんな青春物語といったところです。

 和楽器を扱う漫画って、そんなになかったっけ?と思ったんですが、案外あるんですね(汗)。「ましろのおと」ってそうか。和楽器ですよね。
 まだまだ競技とかコンサートと言うところまでは行かず、まずは初心者&道具はレンタルというステップから、徐々に楽しさに目覚めていく、そんな成長の過程がとても初々しく描かれているなあと思います。

 基本的に古典的な和楽器の世界ではなく、自由に好きに楽曲をアレンジした世界から足を入れることになりますが、やはり最初に連れ込まれたコンサートの雰囲気が、(音は聞こえませんけど)とても雰囲気がよく、また和楽器の音色の描写も、和風模様を上手に使っていて、とてもイメージがしやすい、そんな感じがします。

 まあ何より、それまでの中学生活が<おかっぱ地味子>な少女が、髪型を(表紙の通り)金髪にして(やり過ぎです!(笑))、幼なじみと一緒に完全にはっちゃけ始め、また楽しさに目覚めていく様は、なかなか微笑ましいというか読んでいて楽しいですね。

 津軽三味線もそうですが、太鼓から何から、本当に和楽器というのは腹に響くというか、空気を通して伝わってくるような振動が凄いですよね。そんな中で琴などの音色も、あるときには繊細に、あるときにはそれなりに力強く聞こえてきて、本当に素晴らしいなあと思ったりします。

 そういう和楽器の雰囲気を、古典だけではなく現代風にアレンジするということで、どういう方向性になっていくのかな?というのもちょっと気にはなります。恐らくバンドよろしく様々な楽器のメンバーが徐々に増えていくと思いますが、全国大会のようなものを目指すのか、あるいはカジュアルにバンドとしての成功を目指していくのかで、随分と雰囲気も変わっていきますし。

 なにはともあれ、初心者として飛び込み、とにかく<楽しさ>を感じてどんどん入り込んでいく様と、和楽器の奏でる音の表現などが、とても読んでいて気持ちのいい作品です。
 

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2015/07/22

長田悠幸/町田一八 「SHIORI EXPERIENCE」 4巻 ビッグガンガンコミックス スクウェア・エニックス

 3巻までのコメントはこちら

 やっと学内で生徒達とバンドを組めたわけですが、この巻ではそれで浮かれた彼らをどん底のどん底まで落とし込むという。。
 うーむ、、ここまでディスりますか、というくらい徹底して落とし込まれていきますね。。

 そういえばこの作品は、沈むところまで沈み、そしてそこから逆転して浮上する、というパターンを繰り返すという構成になっています。ここまで惨めだと、本当になんかもう読んでる方も落ち込みますが、<次>があるということで、閑話休題というところですかね。。

 平行して、行方不明だった兄のエピソードも始まりました。もう一人の<幽霊>も現れましたし、まだまだ物語はドタバタと進んでいきそうだなあということで。
 しかし、予想はしていましたが、ダメダメ系の兄ですなあ(まあ、人の思いは理想像を作ってしまうということですね)。

 とりあえず次巻が楽しみですけど、ここで終わるというのは半ば生殺し。。早くでろーっ。

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2015/03/05

長田悠幸×町田一八 「SHIORI EXPERIENCE」 3巻 ビッグガンガンコミックス スクェア・エニックス

 サブタイトル「ジミなわたしとヘンなおじさん」。。。このサブタイトルが全てです。

 ”左利き”でジミなアラサー英語教師のしおりは、ある日、ヘンなおじさん(アフロ)に取り憑かれでしまい、嫌々ながらも公衆の面前でギターを掻き鳴らさなければいけない運命に巻き込まれていきます。しかもそこにはタイムリミットも。。

 まあ音楽好きな人なら「左利き」とサブタイトルでピンときちゃいますね。
 ピンときちゃう通りです。はい。

 ジミなヒロインはいきなり全て変わる訳ではありませんが、沢山の葛藤と現実と夢の狭間で悩み、苦しみ、そしてヘンなおじさんとともに弾けますっ。

 タイムリミットまでに<伝説>を作らなくてはいけない、という制約とともに、次々と行く手を阻む障害の数々。。

 4巻でも逆境に次ぐ逆境で、創設しようとした軽音楽部は、出来た途端に廃部の危機!
 取り込もうとしたヤンキーねえちゃんも、傷つきながら、夕方の学校に。。


 長田さんのマンガはほんと、熱血というか熱いというか、いい意味で少年漫画の王道のような作風なんですよね。。あまりにストレートな少年漫画な為に、今まではちょっと、、、という部分が一つだけありました。

 それは”絶対的な悪人を描けない・・・かも?”な部分です。
 少年漫画といえば必ず”悪”が存在し、ライバルも存在します。嫌がらせもあり、逆境も作られているわけですが、恐らく”接待的な悪は存在しない”というスタンスがあるんじゃないかな?と思うんですけどね(あくまで個人的な感想ですが)。

 前作の「キッド アイ ラック!」は、ちょっと冒頭の事件が重すぎてアレなのですけど、この中でもこの”事件”を起こした少年を、ある意味、絶対悪にはしていない。悲しいやつだということで、飲み込んでしまうわけですね。
 (これも最初だけ乗り切れば、じつに長田節満開で楽しめる作品。この紹介はまたそのうち)。
 勿論、それが悪いわけではないんです。
 けど、「ホントは悪いやつなんだけど、実は理由があるんだ」は、そこそこ色々な作品でもある設定なわけですが、その悪役が本当の意味で<非情>な行動に走り、悪役になりきれないと、主人公を引き立てるのにはちょっとだけスパイスとしての物足りなさというか、、、そんな感じがするんですよね。。

 けど、この作品では、原作者の影響なのかはわからないですけど、いい意味で”現代風”な<とことん嫌な奴>が描かれています。
 えぇえぇ。あいつです、あいつです。

 そして逆境に晒されながら、主人公”達”は見事に<青春>しています。・・・あ、一人はまあアラサーですけどね。あ、もう一人アラサーがいたけど、、まあいいか。ヘンなおじさんだし、死んでるし。


 とことんまで登場人物たちを追い詰める世間に対し、、、、

                  溜まりに溜まったエネルギーが爆発!!!!

 このあたりの演出、まさに長田節であります。 ←勝手に命名。


 この我慢して我慢して我慢して、、、、、、、がーっっっっと弾ける爽快感。。

 やっぱり漫画ッていいなぁと思います。

 タイムリミットを設けたのも、ある意味正解でしょうね。下手をすればウダウダ、ダラダラしかねないヒロインに、何かしら動かなければいけない動機付けになっています。
 取り憑かれたからって、いきなり性格変わっちゃうより、こういうシチュエーションを与えた方が自然な展開になるかなと。

 次巻からはまた新たな展開になりそうですけど、さて、伝説はどんな風に作られていくんでしょうか!?

 (いやまあ、伝説作れないで終わる可能性も勿論ありますけどね(爆))


 ちなみに1話分はスマホで立ち読みできるようです。興味のある方は立ち読み立ち読み(・∀・)


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