C_ラブコメ

2018/05/18

島崎無印 「放課後コラージュノート」 全1巻 角川書店

 高校生からちょっと大人までの”青い春”について、オムニバスに綴った短編集ですが、それぞれの物語は、少しずつ登場人物が関連して繋がりがある、という形式を取っています。

 ストーリー自体はそれぞれ奥ゆかしいというか、ちょっと気恥ずかしくなるような青春ものですが(笑)、サラッと爽やかというか、婉曲的な駆け引きの末に大団円となり、その先は想像にお任せ、といった作りになっています。

 普通に短編集としても読めつつ、それぞれの登場人物の脇役がその先の主人公となっていたりと、1冊の本としての構成も楽しめるといった感じで、そこに一捻りがあると。そういう異なる物語をそれぞれ紡いで構成されていることが、本のタイトルである「コラージュ」という言葉で表されている訳ですね。

 強いインパクトよりは、描いていない部分で読者の想像を掻き立てるという感じの作品なので(それぞれの物語の間も含めて、行間を楽しむというか)、何というかサラッと甘酸っぱさを楽しませてくれるという感じの作品かなあと思います。

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2018/03/19

とよ田みのる 「金剛寺さんは面倒臭い」 1巻 ゲッサン少年サンデーコミックス 小学館

 とある穴で地獄と繋がってしまい、当たり前のように「鬼」がのんびりと人間世界に溶け込んで生活している、そんなどこか設定が”面倒臭い”世界(※ただし、そこは本編には大きく関わりのないことらしい)。

 そんな中、正論を振りかざすして「正しいと考えた行動しかしない」”面倒臭い”少女(金剛寺さん)と、思ったことは素直に言葉にしてしまう心優しいけど別の意味で”面倒臭い”鬼の青年が出会ったことで、”大きく関わりのないこと”ですけど、周囲に大いに影響を撒き散らしながらアオハルが暴走していく、、、、そんなドタバタ純愛(?)コメディーです(笑)。

 文武両道でスーパー高校生なヒロインは、あらゆる意味でとにかく面倒臭い訳ですが(笑)、その行動原理にもちゃんと理由があります(ここはある意味で核心ですから、読んで確認しましょー)。それを踏まえて、その「面倒臭そうなところが好き」と公言してしまう、悪く言えば優しいけど考えすぎでストレートな鬼の青年も、心の中にはある種の何かを抑え込んでいたりもしますが、、、、

 この作品の場合、「大きく関わりのないこと」にウェイトが掛かりすぎというか、、、(笑)。

 衝撃的な心理描写もなかなか”面倒臭い”描写ながら、その一瞬に平行してザッピングのように進行する周囲のドタバタが、半分以上を占めているというか(笑)。
 なんかもう人生がそこで転換してしまうような、そんな事件が彼らの周囲のあずかり知らぬところで進行していようとも、本編である二人の”アオハル”は暴走し続けるのです。

 一瞬が交錯する”大きく関わりのない”物語や、大袈裟に輪を掛けたような心理描写(笑)に目を奪われちゃいますけど、やはり根底にあるのは、恋愛に至る心理というか、「ラブロマ」(全5巻)の頃から秀逸だった心と言葉と”行動”の駆け引きの部分だろうと思います。

 読者の誰もが「そうそう、こういう風に感じたり考えたりするよね」という前提の心理部分がしっかりとあった上で、その斜め上を行く行動に走るから、ラブコメとして面白いんですよね。どこかこう、ドタバタの中にまさにどちらの心理も上手に描き出し、”駆け引き”のような部分の綱引きというか、両方の視点を上手に作中に描き込めているなあ、と思ったりもします。

 ある意味、どっちも面倒そうな性格の二人ですが(笑)、アオハルを暴走させて周囲を巻き込みまくりながら、きっとそうした”大して関わりのない”人々が少しずつ集まって、大きく関わっていくんだろうなあ、という気がします。

 しかしまあ、よく考えたら1巻丸々使ってここまでしか進行しないって、本当に面倒臭いカップルですよね(笑)。

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2018/02/12

島崎無印 「乙女男子に恋する乙女」 1巻 星海社COMICS 講談社

 幼い頃のトラウマで男性恐怖症に近い女子高生を、電車の中で助けてくれたのは、どう見ても女性にしか見えない「女装男子」の”ゆき”で、、、様々な友人達も絡んでの複雑なお話の始まりです。

 対人恐怖症的に男性を怖がる主人公ですが、この「綺麗な男の娘」はさらっと男性であることを早速カミングアウトしますが、何故か彼(?)だけは平気。「男の娘カフェ」で働く彼(?)とも徐々に仲良くなるわけですが、当たり前ですがそれを心配する親友と、密かに彼女に想いを寄せる同級生(男子)も、この複雑な物語に巻き込まれていきます(笑)。

 「ココロは乙女」にも、実際のところ色々とあるわけですが、この物語の女装男子は、キラキラしたものが好きで女装をしているのであって、恋愛対象は男性という設定になっています。LGBTにも色々とありますけど、それも少し絡めつつも、かなりソフトに”男の娘”を描いている感じでしょうか。

 この作品である意味、感心したのは登場人物達の心理設定や行動原理が、「こういう状況ならこうするよな」「こうなったらこう考えるよな」と、まったく無理がないので、すーっと物語の中に入っていけて、そしてそれぞれが色々な想いを持ちながら、自然に行動していることかもなあ、と思いました。

 まあ男の娘をどう描くかも色々とあるんですが、ある意味、ヒロインだかヒーローだか複雑な「ゆき」は、本当に可愛いものが好きなだけで、そういう物を身につけてみたいと素直に思うだけの、そんな”男の子”だったわけです(巻末の番外編で触れられていますが)。そういう意味で、ある意味では非常に判り易い性格でもあるので、何というか「感情移入も案外し易い」キャラ設定だなあと。

 そして多少ネタバレになりますが、密かに想いを寄せていた男子も、何気に料理が上手くて女子力高いが為に見事に”巻き込まれ”ていったり(笑)、親友は親友である意味がさつで男の子(少年)っぽさのある設定となっており、それぞれのキャラと対照的な立ち位置を演じていたりと、いろんな意味でバランスが絶妙だなあと思ったりしました。

 ”男の娘”を描く作品もあまたありますけど、ちょっと独自な方向性を感じる、そんな作品かなあと思いました。

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2018/01/15

中村哲也 「ネコと鴎と王冠」 全1巻 ハルタコミックス KADOKAWA

 ビールはビールでも、ドイツの蒸留所に入り、ビール職人を目指すとある日本人の若者のお話であり、そして強烈にラブコメです(強調)。

 実家はそもそも造り酒屋ということで、それを踏まえての修行というわけですが、ドイツにおけるマイスター制度を踏まえた修行の日々を、ビール醸造所の人々と共に少しずつ登っていく、そういうお話ですが、ある意味では職業ものにアリガチな「チャレンジ」や「挫折」といったものは、そう大きく扱っていません。

 基本的には伝統的なヨーロッパのマイスター制度の中に見習い職人として入り込み(そういう意味では修行期間だけで数年以上の時間が必要)、その中で少しずつ色々な人々に学びながらビールを極めていく、そういう”仕組み”というか”制度”の紹介がキチンとされた上で、ドイツ娘とのラブコメが(ry

 まあラブコメを強調し過ぎるのもあれですが(笑)、漫画として、物語として面白いかどうかという部分、どうしてもこういうノウハウ系の作品では二の次になってしまう部分がある気がします(全部という訳でもありませんのであしからず)。そういう意味で、きちんとした”ビール職人”の作業を丁寧に描きつつ、そこに挑む青年と醸造所の娘のドラマも、かなりソフトな描写ではありますけどキッチリ気持ちよく描いているなあ、と改めて思った次第です。

 そういう意味で、ラブコメを読みつつビールや職人制度の奥深さ、そして歴史と共にその柔軟性のような部分までを、いつの間にか平行して描いているんですよね。

 ある意味、ドラマチックで派手なシーンがある訳でもなく、淡々とした日常をドキュメンタリー的に描いているという部分で、好みや評価も分かれるような気もしなくはないですが、私はこういうある意味”楽しめる”作品はとっても好きです。

 趣味や職業を描く作品は、なんか意外性とか人間ドラマとか、そういうものが求められていると思われがちな気もするんですけど、あくまでそれをドラマの味付けとして捉えて、登場人物の人生観やラブコメ(違)をメインに描くというのもアリだよなあ、と思ったりする次第です。

 勿論、物語としてはかなり伏線もあり、この後も物語は(時空を超えて?)連作として続いていくという事のようなので、そういうドラマの仕掛けの方も楽しめそうな、そんな作品ですね。

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2017/07/04

吉田丸悠 「大上さん、だだ漏れです。」 1巻 アフタヌーンKC 講談社

 男子の「構造」が気になって気になってエロい事ばかり考えてしまうけど、他人になかなかそれが明かせずに孤独に悶々としている、思春期が暴走している女子高生と、なぜか人との接触を極端に避ける、見た目はイケメンだけど無表情で淡々とした男子高生。

 そんな二人がトイレを通じて(?)出会ったわけですが、彼が人を極端に避ける理由は、その体質にありました。。

 彼の特異体質の犠牲となって、次々と<本音>を口走ってしまう犠牲者が続出しますが、そんなシチュエーションを通じて、ある意味、互いにコミュ症であった二人の、ちょっとぎくしゃくした”青春”が綴られていく、そんな作品です。

 ある意味、設定がとてもシンプルなんですね。「本音を口走る」というのも、勿論本人の意図を超えているわけで、混乱も生じてしまいますが、いい方向に転ぶこともあるわけです。

 そしてヒロインの大上さんも、エロいと言っても、なんだか国語辞典でヒワイな単語を検索して、なんだかドキドキしてしまうような、お前は小学生かっっというくらい可愛いものです(・・・まあ、けど高校生ですからね。お互いに。うんうん)。 

 あ、いや。。。けどコンビニの角のコーナーでアレな本をつい読んじゃったりしてるので、、、暴走してますね。やっぱり(笑)。

 もう一人の主人公の方は、あまりに淡々として感情がないのかよっ という能面キャラですが、基本は生真面目で、超が3つくらい不器用。

 そんな二人が、クラスメートとも徐々に交流を増やし、青春していくわけですね。

 なんだか妙に心配で見守りたくなる、そんな二人を描いた作品です。

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2017/04/24

小原ヨシツグ 「ガタガール」 全2巻 シリウスKC 講談社

 結構マニアックな水辺生物の採集漫画ですが、2巻にて終了とのことです。1巻の感想とコメントはこちら

 2巻の内容はかなりマニアックというか、水辺の生物の採集の難しさを丁寧に描いている、と言ってもいいです(1巻の感想で余談で私が色々書いたことが、ほぼ網羅されてると言ってもいいくらい)。

 半ば打ち切りとなってしまったようですが、改めて、こういう生物ネタの漫画の難しさってのも感じたりしました。。マニアックな正しい生物の知識に基づいて描ている、というのは、生物屋としては読んでいて安心感があるんで、とても嬉しいんですけど、その半面、じゃあ「漫画として(ドラマとして)面白いか?」という部分は、また別問題ではあるのかもなあと(上から目線で恐縮ですが、御容赦下さい。。)。


 生物を扱う(ペットも含む)漫画は色々とありますけど、やはり物語として面白いか、あるいは漫画として(キャラクターなどに)魅力があるか?という要素は、「漫画という市場」を考えると、無視できない要素かもなあと。

 最近の事例で言えば、「マドンナはガラスケースの中」であれば、マニアックな爬虫類飼育ネタの中に、異常性癖を持つ主人公と、本来はターゲットではない彼を翻弄する「小学生の少女」という、ドラマとしても面白い(どう転ぶかわからない)要素があって、それなりに面白いなあと思ったりします。

 爬虫類系のマンガで言えば、「秘密のレプタイルズ」は、個性的(?)なヒロインと、それに翻弄される主人公のラブコメ&微萌え要素などが、結構うまく使われているのと、マニアック要素はもう別ページ扱いでしっかり説明し、ドラマはドラマできちんと描いている、という辺り、バランスがうまく取れているなあと。

 昆虫ものでいえば「巨蟲列島」などは、マニアックな昆虫の性質に加えて「if」要素の解釈の追加、そしてサバイバルものとしてのドラマ作り、+なんだか繰り広げられるエロ仕様と(これは漫画としてはあった方がいいんでしょう(笑))、ドラマの中に上手に昆虫の性質が活かされているというところですね。昆虫ものでは「ベクター・ケースファイル」のような推理ものもあります。こちらも推理ドラマとしての要素の方が、ある意味ではメインですね。

 それに対して「漫画として面白いかな?」というところに微妙なのが、「鷹師匠!狩りの御時間です」とかかも、、、。私はこのマニアックさと知識の奥深さに感銘を受けたんですけど、じゃあ漫画として面白いから一般の人に読めるか、と問われたら、「・・・うーん。。。」と悩んでしまうかもしれません。「野鳥が好きな人」には、確実に面白いと思うんです。けど別にそれに興味がない人や、ペットとして鳥を飼っている人とかには、面白いと思えるかどうか、冷静に考えてみると微妙なんですよね。。

 そしてそれに近いものを、「ガタガール」にも少し感じたんですね。水辺の動物を採取したり研究したりしている人には、「あるあるネタ」は本当に面白いし、しっかり調べてよく知ってるなあ、と感心することしきりなんです。けどじゃあ、漫画としてどう?と言われると、いわゆる中学生のクラブ活動を通じたラブコメ、な訳ですが。。

 「食べる」に執着したり、「生き物ころしたら可哀想」な性格の仲間を揃えたところまではいいんですが(色々な考え方の代弁として、こういうキャラとのやり取りって案外大事ですから)、ラブコメ要素が妙にしっくり来ないというか、、真面目なマニアック設定の方に引っ張られて、あまり頭に残らないというか。。そんな気もするんですね(※個人の感想です)。

 それとヒロインの設定も、大好きなんだけどまだ勉強中のアマチュア、という設定は知らない人にも入り込み易いかもなあ、と最初は思ったんですが、これを補助する「専門家」に相当するキャラが居ないと、どこかこう空回りしちゃうのかなあ、、という気もしたり(どちらかというと、放っておけない感なのかもですが(笑))。

 恐らく専門家的なキャラとして、主人公の姉(大学生)が設定されているんですけど、優しく見守る姉さん的な要素の方が強くて、解説をバリバリしてくれるタイプではなく、どうしても何か物足りなかったりとか(※これもあくまで個人の感想ですよっ)。。

 ネタ的にも、生物屋さんに対しては内輪受けしそうな内容(=一般向けには微妙?)が、2巻はちょっと多かったですね。

 パワーポイントで学会発表原稿作るとか、大学生、研究者、アマチュアさんであれば、「ああ、あれ大変なんだよなあ、、」と、あるあるネタとして共感できて楽しめますが(私も含めて!)、予備知識も何もない人が、アレを見てどう感じるんでしょうね?

 「なんか知らない、触れてはいけない世界、、、」って感じちゃうかもなあ、と(まあ、そういう世界だということは間違いないんですが(笑))。

 あと一番このネタは、、と思ったのは、踏んじゃったネタでのカニの研究ですね。あれはあれで、結構力を入れてドラマとしての構成も考え、描かれたことが伝わってくるんですが、ネタばらしとしての「ノートに付けたカニの研究内容」とその言葉の解説が、一般向けに考えると、予備知識がない人には、突然ハシゴを外された感が強かったんじゃないかなあと。。

 どう描けばいいのかとか、そういうことを指南するのもアレなんですが(好き勝手書いてすみません、、、)、もっと「ビジュアル」で判るように描いたら良かったのになあ、と思ったんです。
 
 ・カニは結構水辺から離れる事がある、という話なら、そんな絵を入れるとか?

 ・種類によっての違いがあるか調べる、という話であれば、地図上にプロットした
  絵を入れて、分布を調べてるんだよ、って判るようにした方がよかったかも?

 これ、ある意味では学会のポスター発表とか、それに近い話だと思うんです。。

 こういうネタが描ける知識があるなら、発表した経験の有無はわかりませんけど、身近で見たことは必ずあるはず。「自分の狭い専門分野以外興味がない多くの”研究者”」に、自分の研究内容について興味を持って貰うには、そういう「プレゼン能力」がとても重要で、必須の要素なんです。
 それは、漫画自体にも応用ができるんじゃないかなあ、と思ったりもするんです。。

 どちらかというとプレゼンとして捉えてしまってますんで、本来、漫画にああしろこうしろ、というのはおこがましいんですが(ホントご免なさい)、もしこれが専門委員会とか、学会とかへのプレゼン資料だというなら、こう直した方がいいじゃないかな?と、つい思っちゃうんですよ。。

 まあ、あとはドラマとしてのラブコメの面白さかなあと。

 ほぼ主人公以外に女性キャラしか出てこない、そして主人公を取り合う、<ハーレム系>構成のラブコメで、漫画としては普通によくある設定なんですけど、個人的に思うのは、何で主人公の強力なライバルである”生物の知識が豊富な男性キャラ”を出してないんだろうなあ?」、というのがありまして。。

 アマチュアなヒロインが惹かれる要素満載ですし、マニアックな解説もさせられるキャラとしても重要な立ち位置が取れますし、ラブコメ漫画としても面白くなるんじゃないかなあ、と思ったりとか。。

 ただ、もしかしたらこれは、当然の如く3巻以降で、そういうキャラの登場は計画されていたのかもしれませんので、時間だけが無かったのかもしれませんけどね(そういう意味では、本当に余計なお世話です(汗))。

 コアなファンも付いているようなので、この作品、私はまだまだ続けていったら面白いんじゃないかなあと思ったりします。

 水モノを扱った時点で、「特別採補許可」という超面倒くさい要素が加わるので、他の自然・生物ものに比べると、真面目に描こうとすればする程、ハードルが高くなってしまうんですけど(そこだけ、題材として扱うのは大変なのによく描くなあ、と最初思っていました)、この水辺の、調べれば調べるほど面白い、そういう世界の内容をどんどん紹介してくれる漫画として、どこかで続けて欲しい気がとてもいたします。。
  

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2017/04/06

柳原望 「かりん歩」 1巻 MFコミックス フラッパー メディアファクトリー

 大学を出たはいいが就職氷河期の中、連戦連敗の心を癒やす祖父の喫茶店に出入りしていたわけですが、その祖父が突然倒れ、ひょんなことから祖父が経営していた喫茶店を引き継ぐことになった、おっとりのんびりなヒロインの苦難の道(?)を描く、そんな作品です。

 メインの話は、上記の喫茶店の経営を巡るドタバタではあります。祖父が他界したあと、突然現れた(離婚したと思われていた)祖母の介入で、喫茶店経営は右往左往のドタバタ状態。

 大型飲食チェーンを切り盛りするビジネスウーマンでもある、祖母の目的は何なのか、、、、

 妹や喫茶店の常連客などの協力を得ながら、ある意味ではマイペースで、そしてスイッチが入ると勢いで行動する、そんな彼女の行く末は如何に。

 物語のあらすじはこんな所なんですが、この作品にはもう一つのテーマがあります。それは前作「高杉さん家のおべんとう(全10巻)」のテーマと同じ、「地理学」です。地理学というのは「土地・水・気候などの自然と人間生活との関係を明らかにしていく」学問です。何だか地形とか地層とかをイメージしますけど、勿論それも一つの要素。どちらかというと「自然地理学」がその分野ですね(と、検索した内容を貼り付けてみる)。

 この作品で扱っているのは、「人文地理学」(人口・集落・経済・政治・民族など)と「地誌」(地域ごとの自然・文化・産業など)など、文系に近い、いや文系そのものの内容です。この(大学在学中はぼーっとして内容を理解していなかった(爆))「地理学」を(改めて)駆使して、問題の解決の糸口を見つけていく、というのがこの作品の醍醐味になっています。

 「地理学」は「高杉さん家のおべんとう」で、かなり深いところまで扱っていたものの、あくまで主人公の専門分野ということで、それを通じた現地調査や様々なイベントは物語中でもちろん重要な位置付けではありましたが、、、、変な話、あくまで地理学ネタは「主役」ではなく「脇役」という感じでした。

 実在の事象を踏まえた推理と考察などが面白いと思う人には、結構面白いネタが沢山ちりばめられていたと思いますが(私は結構楽しんでいました)、けど変な話、そっちを深くやり過ぎると”脱線”としか言い様がないというか、、、、「そのくだりは読まなくても物語の大筋は判るので、”余計な知識”」というか、「ト書き」に近いポジションだったような気もします。。

 それに対して、「かりん歩」では、地理学は<課題発見と問題解決のためのツール>として、実戦投入されてくるわけです。

 地理学、地理学というと判りにくいんですが、要はマーケティングに近いお話なんですね。

 スーパーを新規開店する場合、立地予定地の周辺数百mを歩き回り、住宅の状況(アパートが多い、マンションが多い、戸建てが多い、乗っている車はどんなクラス等々)や住んでいる人々を調査して、スーパーに並べるべき商品を絞り込むなど、要するに品揃えの方向性を決めていくわけです。

 私たちはその結果しか見てはいませんけど、同じ系列のスーパーでも、学生の多い街、年寄りが多い街、若い家族(子連れ)が多い街では、各店舗に並んでいる商品棚の面積配分や商品のグレード、総菜類の充実度、冷凍食品の取扱量などが結構違うんですね。都内だと、かなり露骨に店毎に商品を変えているのは、例えば「オオゼキ」なんかかな、と思います。

 作中でも、こういう出店調査に近い内容を、逆に辿っていくような作業をしていきます。こう書いていくと、なんか推理小説的な感じもあって、地理学なんて学問はちんぷんかんぷんな人でも、十分過ぎるくらい楽しめるんじゃないかなあと思ったりします。

 ちなみに時間軸としては「高杉さん家のおべんとう」の登場人物が、数年後という位置づけで”ほぼ”総出演します(喫茶店の常連客つながりで)。 そういう意味では、地理学というテイストを引き継ぎつつ、その切り口を変えた作品、とも言えるかもしれません。

 前作は主人公と姪っ子の微妙な距離感を少しずつ紡いでいくような、姪っ子オーラ全開な(違)お話でしたが、本作の方が、物語としては読者層が広くて親しみやすい、、かな?(※個人的な感想です。)
 

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2016/12/15

江島絵理 「柚子森さん」 1巻 ビッグコミックススペシャル 小学館

  ごく普通の女子高生が、公園で出会った女子小学生とお友達になっていく。そんな作品です。

 ・・・ってサラッと書いてしまえばそれまでですが、いわゆるロリゆりとゆーか、そういうジャンルの<危ない>作品です(笑)。

 というか、小学生の柚子森さんが<犯罪的に>可愛く描かれていて、その犯罪的な可愛さに撃ち抜かれ、どんどん挙動不審に陥っていく<犯罪予備軍>女子高生も、まあ可愛く悶えて描かれていると。
 で、そんな悶え苦しむ様に対して、それなりに「ああ、何かわかる。。」という感じで共感も持てたりーの。

 まあ、これを中年のオジサンなどとの関係で描いてしまうと(例えばこんな)、一歩踏み外せば変態というか犯罪まっしぐらですが、何かこう<女子高生が萌えてる>のであれば、何だか許されてしまうような、、、いや実力行使に至ったら、誰がやろうと犯罪なんですが(爆)、けどなんか・・・ずるい気がする!!!!(違)。

 ある意味では、可愛い動物を愛でるのとあまり心情的には変わらない気もするんですね。可愛いものを愛するというのは。うちにも一頭、トイ・プードルがいますが、これがまあ(以下略

 前作は血みどろのアクション作品だったのに対して、違う次元に引っ越したみたいな感じの作品ですけど(けど、ギャップを感じるくらいバイオレンス・アクションなのに女子高生ライフを可愛く描けていたので、ベースは整っていましたね)、終わったことは言っても始まらないですが、、、連載の順番が逆であったら、「オルギア」の連載期間も変わっていたかもしれないですねえ。。

 まあ、それはさておき。犯罪に脚を突っ込むか突っ込まないかのジレンマを垣間見つつ、何というか可愛い女子小学生を(主人公視点で)堪能できる、そんな<危険な>作品ということですね。うんうん。

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2016/11/11

甘詰留太 「いちきゅーきゅーぺけ」 全3巻 ジェッツコミックス 白泉社

 懐かしいというと歳がバレますが(って、とっくにバレてるか(汗))、いわゆる1990年代のオタク事情を、当時の大学生の漫研部員の視点から描いた”想い出漫画”といった感じでしょうか。

 逆に、その時代の「オタク事情」にあまり興味がないと、「???」で終わってしまう可能性もありますが。。
 平成生まれの人達が読んでも、楽しめるのかな?
 昔の風情を感じられるという部分では、面白いかもしれませんが、何かピンと来ない人もいるかもなあ。。

 私は恐らく80年代あたりから"同人”に関わっていたりしましたが(晴海時代も、何回かコミケに足を運んでいました(参加側で))、社会人になってからの方が、より漫画を読んでいたりしたので(こらこら)、この作品の舞台である90年代の方が、何かしっくり馴染む感じがします。

 ※ちなみに社会人になってから、またコミケに行くようになったのは、2000年代でしょうかね(80年代に活躍されていた方で、商業誌で見られなくなってしまったんですが、コミケには参加されている方が結構いたので。その辺の話は、旧ブログあたりにもどこかに書いてあるかな?)。

 作品自体は、サークルを通じての人間模様とゆーか、恐らく実体験に基づいた”楽しい毎日”と、コミケの入稿〆切りまでの”苦しい土俵際”まで、そして<同人デビュー>という、そんな苦しくも楽しい「お祭りな日々」を、懐かしいアイテムを散りばめながら描いています。

 ゲームはあまりやらないんですけど、3巻あたりで出てくるセガ・サターンとかあったよなあとか。。

 90年代は、バブルが弾けた頃からその後の、ある意味では少し消沈ムードも漂う時代でもありました。
 まさにそういう世間が暗くなりかけた時代に、楽しいことをやろうということで集まった人々のエネルギーは、弾けるまではいきませんけど、「まだまだ負けないぜ!」的な雰囲気もあったかなあ、と思います。
 悪く言えば、現実逃避な部分もあったのかもしれませんが。。

 恐らく作者も、その後は苦労されたのだと思います(成人系ではかなり成功し、そして青年誌方面でも今、それなりのポジションを占めていらっしゃいますが)。

 大学卒業後を描いてしまうと、、、現実的な社会との戦いとなってかなり大変かもしれませんが(汗)、そこも読んでみたいなあ、という気も少ししてみたり。。ただ、ちょっとリアルになり過ぎちゃうかな。。
 懐かしいアイテムを散りばめながら、それなりに楽しく描けて読めるのは、このくらいまででしょうかね。

 とりあえず、昔の記憶を色々と呼び覚ましてもらえた、ある意味ではノスタルジックな作品でした。

 ※ああ。。そういえば「アオイホノオ」は実は私、読んでないんですよね(汗)。なんかこれもキッカケなので、読もうかなあ。

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2016/10/11

鯨川リョウ 「秘密のレプタイルズ」 1巻 裏少年サンデーコミックス 小学館

 爬虫類とか両生類とか、そんな新興ペットブームを紹介するかのような、ラブコメ(?)作品です。

 ペットショップに勤めながらも、完全に両生爬虫類以外は触るのも駄目みたいな爬虫類LOVEな”個性的な”女性店員と、荒んだ心の癒やしを求めてペットショップにふらっと訪れたサラリーマン(男性)。お店で出会ってしまったからさー大変。サラリーマンは布教活動の餌食に。。(※誇張が入っています)。

 最初は勢いで推されたのもありますが、手に載せてもらったトカゲの可愛さに撃ち抜かれ、ついつい飼うことになってしまったわけですが、なんと実はその店員さんとは御近所ということが判明。そして飼育水槽のセッティングから何から、その布教活動から逃れる術はなく、、、(※かなり誇張が入っています)。

 なお、爬虫類好き女子というと、かなり変わった娘という印象を一寸持たれるかもしれませんが(漫画だとそういうキャラとして描かれがちですが)、この作品ではごく普通の(毛が生えてない)動物が好きな、(ちょっと変わってるけど)燃えると熱いOLとして描かれています。ペットショップの女性先輩もキャラとしていい味出していますね。

 最近の傾向として、こういうディープな(というと失礼かもですが)趣味をとことん掘り下げる、という漫画も増えてきましたね。

 この作品の場合、各種の飼育方法の蘊蓄ページに丸々1ページを割くという大盤振る舞いです(笑)。けどこれ、このスタイルの方がかえっていいんじゃないですかね。マニアックな説明というのも、やはりあった方が面白いですし、「へー。」という事も結構あります。ここをあまりいい加減に描いてしまったり、おざなりな説明で終わってしまうとリアリティーが無くなります。
 とはいえ、物語の中であまり詳しく飼育方法をベラベラ説明するように描いてしまうと、ストーリー的な部分で「どっちがメイン?」という感じで、無理が生じやすい気もするんですね(かなり丁寧にそういう部分に気を遣わないと)。

 かえって、こういう形でコラムにまとめてしまった方が、読む方も判り易く、またストーリーの大きな妨げにもならないんじゃないでしょうかね。

 変わったペットの飼育と共に、やはり一般的ではない趣味への偏見との戦い、というものも一つのテーマになっています。

 女の子で、小動物でも昆虫好き、爬虫類好きというのは、かなり偏見を持たれてしまうのも無理はない部分はあります。まあ、実際には「思われている」だけで、周りに言えないだけで実は好きって人もかなりいると私は思うんですが(まあ、生物系の女子なら(以下略))、なかなかカミングアウトも出来ないと思うんです。

 前にも書きましたが、小学校低学年くらいだと、女の子でも本当に触ることに何の躊躇もなく、ダンゴムシだろうがクモだろうがヤスデだろうが突っついてキャーキャー喜んでいるわけです(うちの庭で遊ばせてみた経験談)。どこかで何かスイッチが入って、ある年齢から触れなく、触らなくなってしまうんですけど、精神的に駄目になる人の他に、他の人に合わせなきゃな、という気持ちでだんだん自分に思い込ませてる人もいるんじゃないかなと。。

 この作品では、逆にそういう抑圧があったが為に、小型哺乳類を飼育した記憶を封印してしまっていたという事例も紹介されています。自分のアイデンティティーのために、脳内でどこかスイッチが切り替わってしまう、そういう部分というのは、逆にある時期から虫も爬虫類も駄目になる、というプロセスと同じなんじゃないかしら?みたいな。

 まあ、ラブコメとしてもなかなか面白いと思いますので、あとはどこまで部屋の中に”いつの間にか”水槽が増えていくか、、、ですね。

 まだまだ隙間が空いていますしね。

 ふっふっふっふ。 (・∀・)

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