あさのゆきこ 「はんなりギロリの頼子さん」 3巻 ゼノンコミックス
主人公は、常に口元をへの字に曲げ、声を掛けられるとギロリと凄い形相で相手を見返してしまう、なんだか人生いろいろと損をしているような”頼子さん”です。けど、その顔つきと、面倒くさくて関わり合いになりたくないような言動とは裏腹に、色々なことを通りがかった”旅人”に限らずアドバイスしてくれる、そんな(ファーストインプレッションとは違って(笑))優しいお節介さんなのです。
初見の人は恐れおののきますが、その的確なアドバイスと心遣いに、いつしか気がつき、感謝していきます。まあ、トラブルに巻き込まれたりした頼子さんは、はた迷惑なだけな時も多々ありますが(笑)。
ある意味、京都という土地や京都人という言葉は、ネガティブなイメージで語られる事も多いような気もします。この作品では、一時期、東京にも住んでいた(で、出戻りな)京都人の視点を通じて、京都人の嫌なところも、本音も、そしてその行動原理も、内側から描いているような、そんな感じがします。
まあ、3巻で触れられている住んでいる場所でのヒエラルキーなんかは、ある意味では他の地域でもある「あるあるネタ」みたいな感じで、楽しく外側から拝見させていただけましたが(笑)。
3巻では、1巻や2巻では(伏線はあるものの)あまり触れられなかった、なぜ彼女が、どういう経緯で小さな街角の昭和な香りのするたばこ屋の看板娘をしているのか、そしてバツイチとなった原因は何だったのか、など、京都という街や人を俯瞰するという1~2漢の立ち位置から、少し彼女の生い立ちに焦点を当てた謎解きが結構出てきます。
あのぶっきらぼうに睨み付ける表情も、実は昔からというわけではなかったと。。
京都って、、、、誰もが認める観光都市でありながら、住んでいる人達が周囲から妙に偏見で見られている、そういう場所な気がするんですが(・・・ちなみに私、京都観光ってしたことがなく、京都出身の知人も居ないのですが(爆))、京都人から見ても嫌な癖や風習にも突っ込みつつ、ちょっとした穴場の観光名所も紹介しつつ、「中」から京都を描いているなあと感じる、そんな作品です。
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