C_旅行

2017/04/13

あさのゆきこ 「はんなりギロリの頼子さん」 3巻 ゼノンコミックス

 京都の少し街外れの、1件のたばこ屋さんを引き継いだ、一人の目つきの悪いバツイチさんの日常を描く、そんな物語です。

 主人公は、常に口元をへの字に曲げ、声を掛けられるとギロリと凄い形相で相手を見返してしまう、なんだか人生いろいろと損をしているような”頼子さん”です。けど、その顔つきと、面倒くさくて関わり合いになりたくないような言動とは裏腹に、色々なことを通りがかった”旅人”に限らずアドバイスしてくれる、そんな(ファーストインプレッションとは違って(笑))優しいお節介さんなのです。

 初見の人は恐れおののきますが、その的確なアドバイスと心遣いに、いつしか気がつき、感謝していきます。まあ、トラブルに巻き込まれたりした頼子さんは、はた迷惑なだけな時も多々ありますが(笑)。

 ある意味、京都という土地や京都人という言葉は、ネガティブなイメージで語られる事も多いような気もします。この作品では、一時期、東京にも住んでいた(で、出戻りな)京都人の視点を通じて、京都人の嫌なところも、本音も、そしてその行動原理も、内側から描いているような、そんな感じがします。

 まあ、3巻で触れられている住んでいる場所でのヒエラルキーなんかは、ある意味では他の地域でもある「あるあるネタ」みたいな感じで、楽しく外側から拝見させていただけましたが(笑)。

 3巻では、1巻や2巻では(伏線はあるものの)あまり触れられなかった、なぜ彼女が、どういう経緯で小さな街角の昭和な香りのするたばこ屋の看板娘をしているのか、そしてバツイチとなった原因は何だったのか、など、京都という街や人を俯瞰するという1~2漢の立ち位置から、少し彼女の生い立ちに焦点を当てた謎解きが結構出てきます。

 あのぶっきらぼうに睨み付ける表情も、実は昔からというわけではなかったと。。

 京都って、、、、誰もが認める観光都市でありながら、住んでいる人達が周囲から妙に偏見で見られている、そういう場所な気がするんですが(・・・ちなみに私、京都観光ってしたことがなく、京都出身の知人も居ないのですが(爆))、京都人から見ても嫌な癖や風習にも突っ込みつつ、ちょっとした穴場の観光名所も紹介しつつ、「中」から京都を描いているなあと感じる、そんな作品です。 

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2016/08/17

信濃川日出雄 「山と食欲と私」 2巻 BUNCH COMICS 新潮社

 この作品はヤマ漫画なのかグルメ漫画なのかと問われれば、実のところ完全に前者じゃないかなと思ったりします。

 主人公は山の魅力に取り憑かれたライトな「ヤマ・ガール」です。ただ、人と登ることは基本的に拒み、女性一人での登山をしつつ、その先々で<ヤマ飯>を美味しそうに喰らうという、そんな作品です。

 確かに美味しそうに食べているのですけど、実際に調理しているのはインスタント麺であったり、レトルト食品であったり、ある意味、<山で普通によく食べる食べ物>ばかり。

 その辺の山菜を採ってきて食べるとか、そういうワイルドなこともせず、家で半加工した材料を暖めているだけだったりもします。その際も、別に野菜やら肉やら極普通の材料、スーパーでよくある食材でササッとスピード調理したような、そんな食事だったりするんですね。

 じゃあグルメじゃないのかと言えば、少し違うベクトルでの”グルメ”なのかもしれません。調味料は<景色>であり、そして他人に縛られない<自分だけの時間>であり、そのシチュエーション自体が<美味しい時間>であるんですね。そして主人公は、それらを美味しそうに頬張り、満足そうにスープを啜り、ホッとした時間を過ごすわけです。

 そういう意味で、何というか素晴らしい食材を調理して美味しく食べる、というのとは若干違うものの、「美味しく野外で(一人で)食事をすることを堪能する」という、まあ何というか「食事(個食)を楽しむ」ことに注力している、そういう作品なのかなと。

 けど実際、山で食べる食事は、たとえただの「おにぎり」でも本当に美味しいんですよね。疲れた体だからなのか、山の空気が美味しくするのか、美しい景色がオカズになるのか、そこはまあ色々ありつつもよく判らないんですけどね。

 そういう意味で<ヤマ(で食べたら何でも美味しいよね)漫画>ではあるなあ、とか思ったりします。

 一人で登山をする際の危険や、道に迷った際の対処、天候の悪化で予定通りに動けない時の諦め方(笑)などなど、基本的な山の知識もしっかりと押さえて描かれてもいるので、そういう面でも<ヤマ漫画>だな、というのもあり。

 まあ、女性の一人旅(しかも山奥)というのも、ちょっと防犯面での心配はあると思いますが(そういう部分も勿論、描かれています)、一人になれる時間というのが、ある意味では現代人には貴重だとも思うんですよね。

 そういう貴重な時間をどう作り、そしてそれをどう楽しむか。目的はモチベーションは人それぞれですが、雑音の多い街中では難しい、そういう時間を作りやすい山奥で、「山で(一人で)食べる食事もいいよ~」という、そんなお誘いをしてくれる漫画ですね。

  

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2016/08/15

片山ユキヲ 「ふろがーる!」 2巻 ビッグコミックス 小学館

 

 1巻のコメントはこちら

 銭湯や温泉巡りなどを通じて、主人公を含むOL達が交流を深めていく、お風呂交流旅行記(?)としてどんどん進化しております。

 2巻からは配置転換に伴い、事務から営業に仕事が変わったことが大きなきっかけとなり、先輩OLとも交流が生まれ、物語の深みが加わった感じです。

 1つ訂正しておかないといけないんですが。。当初、この漫画は「家風呂」を楽しむというコンセプトで始まりながら、バイク免許を取ったことをきっかけとして温泉&銭湯旅行漫画へとスケールアップしました。最初は家風呂路線だけじゃあネタが尽きるから、こうなるよな・・・と考えていたんですが、どうも方向性を読み切れてなかったようで(汗)。

 OL3人温泉旅行を企画しつつ、なかなか時間が折り合わずに1ヶ月以上過ぎてしまったりという時、家風呂をそれなりに楽しむ主人公な訳ですが、要するにもう<物足りなさ>をそこに感じてしまったと。家風呂から銭湯、温泉旅行&グルメや景色を楽しむ、というステップアップは、ある意味ではコミュ障気味な主人公が、少しずつ社交性を身につけ、旅行企画を作りながら予定通りに行かないという流れなども含めて、コミュニケーション能力を徐々に身につけていく、という面を演出したかったんだなと。。

 まあ、家風呂が引き籠もりなら、外へ出ることは部屋からの脱出、計画通りに旅行が出来ずに落ち込もうとも、それはそれでいいじゃないと言ってくれる”仲間”がいることが、だんだんと心地よくなってきている、そんな風に、徐々に人との付き合い方のスキルも積んでいくということですね。

 しかしまあ、OL3人が風呂三昧といえば、お色気シーンみたいなものがあってもいいようなもんですが、本当にスッカラカンにこのマンガでは”ありません”(笑)。けど、その”余計なもの”を情報として排除しているお陰で、何というか<風呂の気持ちよさ>や<風呂からの景色の素晴らしさ>なども含めて、風呂や温泉の”癒やし”や”脱力感”や”幸福感”を、男女問わずに一緒に味わえる、そんな漫画になっています。

 まあ、それじゃ物足りないという人は、”そういう系統”のサービス漫画はゴロゴロしていますので(笑)、それはそちらで楽しんで戴くとして、、、

 いってみたら想像以上に素晴らしかったという誰もが経験したことのある旅の思い出、思い通りに行かない旅行での偶然の風景や人々との出会い、旅先で出会うグルメといったものまで含めて、そういう旅の楽しさなども、このマンガで楽しめるのではないかなあと。

 

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