C_歴史

2018/01/15

中村哲也 「ネコと鴎と王冠」 全1巻 ハルタコミックス KADOKAWA

 ビールはビールでも、ドイツの蒸留所に入り、ビール職人を目指すとある日本人の若者のお話であり、そして強烈にラブコメです(強調)。

 実家はそもそも造り酒屋ということで、それを踏まえての修行というわけですが、ドイツにおけるマイスター制度を踏まえた修行の日々を、ビール醸造所の人々と共に少しずつ登っていく、そういうお話ですが、ある意味では職業ものにアリガチな「チャレンジ」や「挫折」といったものは、そう大きく扱っていません。

 基本的には伝統的なヨーロッパのマイスター制度の中に見習い職人として入り込み(そういう意味では修行期間だけで数年以上の時間が必要)、その中で少しずつ色々な人々に学びながらビールを極めていく、そういう”仕組み”というか”制度”の紹介がキチンとされた上で、ドイツ娘とのラブコメが(ry

 まあラブコメを強調し過ぎるのもあれですが(笑)、漫画として、物語として面白いかどうかという部分、どうしてもこういうノウハウ系の作品では二の次になってしまう部分がある気がします(全部という訳でもありませんのであしからず)。そういう意味で、きちんとした”ビール職人”の作業を丁寧に描きつつ、そこに挑む青年と醸造所の娘のドラマも、かなりソフトな描写ではありますけどキッチリ気持ちよく描いているなあ、と改めて思った次第です。

 そういう意味で、ラブコメを読みつつビールや職人制度の奥深さ、そして歴史と共にその柔軟性のような部分までを、いつの間にか平行して描いているんですよね。

 ある意味、ドラマチックで派手なシーンがある訳でもなく、淡々とした日常をドキュメンタリー的に描いているという部分で、好みや評価も分かれるような気もしなくはないですが、私はこういうある意味”楽しめる”作品はとっても好きです。

 趣味や職業を描く作品は、なんか意外性とか人間ドラマとか、そういうものが求められていると思われがちな気もするんですけど、あくまでそれをドラマの味付けとして捉えて、登場人物の人生観やラブコメ(違)をメインに描くというのもアリだよなあ、と思ったりする次第です。

 勿論、物語としてはかなり伏線もあり、この後も物語は(時空を超えて?)連作として続いていくという事のようなので、そういうドラマの仕掛けの方も楽しめそうな、そんな作品ですね。

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2016/11/17

山元亜季 「ヒューマニタス」 全1巻 ビッグコミックス 小学館

 全く時代もシチュエーションも全てが異なる3つの短編をまとめた、短編集と言えば短編集ですね。

 一つは中央アメリカの部族の双子の物語、そしてもう一つはロシアで投獄されその後の人生がチェスで一変していく男の物語、そしてもう一つは北極の極限で生き抜くイヌイットの娘と男の出会いの物語。。

 無理に共通点を探そうとしてもアレなんで、それぞれの物語を固唾を呑んで楽しめばよいと思います。

 あえて言うなら、主人公または登場人物達は、ある意味では<極限の状況>に置かれていると言っていいでしょう。自分ではどうしようもない、ある意味では”掟”にがんじがらめになった小さな、けど抜け出すことのできない世界。。

 そんな中で彼らは、生き残る為に最善を尽くし、戦い続けていくわけです。。 何かそこに答えを求めつつ、そしてどうしようもない状況においても、自分の持てるベストを出し尽くして戦い続ける。。

 読み終えてみると、なる程、副題の通り「戦士達の物語」であることに気付かされます。理不尽としか言い様がない中、常に自分のベスト、限界に挑むことが、彼らの言葉であり、そして生きていることの答えでもあるのだろうなと。。

 どの物語も、こうなればいいのに、、という読者の予想(希望)を裏切り、戦いに全力を傾ける”人間”が描かれています。その戦う理由が、ある意味ではこの作品群のテーマであり、予想を裏切りながらもどこか納得もでき、「・・・これで良かったのかもしれない」と思えるところが、この作品の構成力の凄さかもしれないなあと。。

 ぱっと見では、どういう作品なのか検討が付きにくいんですが(表紙の絵と”歴史に埋もれた戦士たちの物語”と言っても、ちょっとピンと来ませんよね)、けど何気なく読み始めると、少なくとも読み終えるまでその物語から目が離せなくなる、、、そんな作品です。

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2016/09/21

大和田秀樹 「疾風の勇人 所得倍増伝説!!」 2巻 モーニングKC 講談社

 戦後のGHQに支配された日本で、日本の復興に尽力し、後に首相となる池田勇人とその仲間達の怒濤の人生を描いた作品です。

 一応、史実を辿ってはいるんですが、、、それが合ってるとか合ってないとか、こまけーこたーいいんだよっ!的に読んで楽しむのがよいと思います。つーか、そこ大事じゃないし~的な?

 麻雀バトル漫画、「ムダヅモ無き改革 」でも、相当、政治家や偉人を格好よすぎに描き尽くしていますが(なんかもう、ついには月まで行っちゃいましたネ。。。)、リアルな歴史物を始めました、ということで。

 作風としては、演劇のシナリオにアレンジされた個人史、いや戦後日本史とでも言いましょうか。そういうギャグ&コメディーも交えながら楽しめる、そんな味付けになっています。
 あまり時代考証とかコダワリスギずに「大和田劇場」を楽しむというのがよろしいと思います(結構、きちんと史実はナゾってるっぽいですが、未検証)。

 実際、後の首相となる、大平さんや田中さんの若い頃も描かれて行くわけですが(・・・雲の上で喜んで見てくれるような描写かは別として・・・)、ある意味、戦後のGHQの束縛、ドッジによる緊縮財政の強要に耐えながら、時に強硬な政治手腕で人々から恨まれる対象となりながらも、日本のために何を考え、制限の中からどのように交渉を進め、そして半ば血の滲むような努力と駆け引きの末にそれを勝ち取っていったか、、、

 そんな日本を牽引した政治家達を、誇張し過ぎなくらい格好よく描いている、そういう作品ってことですね。

 このカッコウ好く描くという辺りが、前から気にはなっているんですが、、、、
 「ムダヅモなき改革」でも、巷ではあれこれ批判もされる政治家達の、信念に共感する部分もあるのか、ある意味では、いまの政治家達へのアンチテーゼ色が強いのか、、、ここまでハードボイルドに描いちゃうの?という部分があります(というか、アレンジし過ぎみたいな(笑))。
 まあ作者本人がどこかでインタビューで答えているかもしれませんけど。

 とにかくハードボイルドで信念を貫き、怒濤のように突き進む、ある意味では理想とも言える政治家達の、まさに一寸先は闇、首の取り合いのような政争が繰り広げられていきます。痛快で、政治家がこんな格好良ければ日本も安泰なのになあ、、などと考えてしまいますが、、、
 
 ・・・・ある意味、理想を強く演出にかければ、こんな感じになる、という意味では、戦後の”本物の”政治家へのリスペクトでもあり、そしてどこぞの腑抜けな政治家達へのアンチテーゼでもあり、その両方ってことなのかもですねえ。

 まあ兎に角、歴史の事件を辿りながらも楽しくアレンジされた演劇で、戦後のニッポンがどれだけ苦労しながら日本のアイデンティティーを築きあげてきたか、楽しくドキドキしながら学びましょう!ということで。

 (※注:けどあくまでフィクションとして楽しむのがよろしいかと)。

  

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2016/08/10

武田一義/平塚柾緒 「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」 1巻 ヤングアニマルコミックス 白泉社

 フィリピンに近い孤島、ペリリュー島。太平洋戦争時、そこで日本人はどのように戦い、何を考え、そしてどのよう死んでいったか、、、叙情的な絵柄で淡々と綴られていく、そんな作品です。

 この絵柄で戦争を描くというのは、ある意味では「のらくろ」を彷彿とさせられます。小さな兵隊さんがワラワラと戦っているような。逆に言えば、この絵柄だからこそリアルで凄惨な戦闘の描写が和らげられ(「あとかたの街」もそれに近いですね)、そして、主人公の周辺のそれぞれの登場人物が、どのように考え、どのようにあっけなく死に、その無念な死を見せつけられた生き残った人達が、どのように考えて行動するのか。。そういう最も伝えたい内容を邪魔していない、とも言えるかもしれません。

 ある意味、無駄に突撃をさせる指示を出す将校達だって、何も考えていない訳ではないですよね。それぞれの想いがあり、自分なりの解釈と結論を無理矢理導き出し、それを心の支えとして指示を出している訳です。この作品では、そういう「命令をする人々」の理屈や葛藤、そして割り切りといったものも描写されていきます。

 とはいえ、勿論それに全ての人が諸手で賛同していた訳ではありません。死ぬことよりも生き残ることを考える、そういう人達もいます。
 無駄死にはしたくない、死ぬなら華々しく戦って死にたい、色々な想いや願いを抱きつつ、主人公の周辺では、あっけなく人々が死んでいきます。用を足している時に慌てて岩に頭をぶつけたり、味方の銃の暴発で腹を撃たれたり。世間一般でいうところの<無駄死に>であり<無念の死>であり、、、けど、それでも人は思い通りには行かずに死んでいく。。

 この作品はストレートな戦争反対作品でも、戦争を賛美する作品でもありません。戦場という環境下で、日常生活のように起きる思い通りにはいかない<死>の意味を、様々な死の場面を通じて高密度に描いていく、そんな作品ではないかなと思います。

 勿論、こんな楽園のような美しい島で、そんなくだらない死をも巻き起こす戦争自体を起こしてはならない、というメッセージは大きなテーマとしてはあると思います。フィクションですが、史実も十分考慮して作られているようですし。けど、敵の銃弾に当たるだけではなく、あっけない無念の死も平行して描写すること、敵の米兵にも家族や人生があることなど、そして無念の死を遂げた人々が、いかに果敢に戦場で戦って死んでいったか、、、という「作り話」を創作して家族に向けてしたためる、そんな仕事もさせられながら、それらを深く考える余裕もない戦場で右往左往する、そんな極普通な主人公を通じて勝ち目のない悲惨な戦争が描かれて行きます。

 当然、作者には戦争の経験も記憶もないわけですけど、人並み以上に死について実感した体験があるが故に、妙に死生観についてリアルに描かれている、そんな作品だと思います。

 

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2016/06/09

桐丘さな 「大正処女御伽話」 2巻 ジャンプコミックス 集英社

 事故で不自由となった右手のために、御曹司だったけど千葉の田舎の別荘に隠居よろしく押し込められてしまった青年と、金で買われて世話を任されることになった、献身的な少女、”夕月”のお話です。

 まあ、ヒロインの年齢が14歳ですので、タイトルの意味からしてもその通りなんですが、大正時代は言葉の意味は今ほどストレートではなく、「初々しい」とか「恋愛経験もまだ」とか、そんなイメージで使われていたようです。

 父親から見捨てられ、心が荒んだ主人公と、それまで普通に東京で女学生をしていたのに、急に家・生活のために売られ、つっけんどんにされながらも健気に世話をする小さな夕月の、心の変化と触れ合いを淡々としたエピソードで描いていく、そんなお話ではあります。2巻までは・・・。

 人生を全て諦めていた青年は、右手が使えないハンディを呪いながら孤独に生活していたわけですが、世話好きで要らんことしーの少女に徐々に心を動かされていきます。ツンデレな妹の介入や、色仕掛けな悪女(?)のちょっかいにもめげずに(笑)。

 ここまでなら何というか、大正ロマン・ラブコメで終始する、甘々な御話ってだけなんですが、2巻の終わりに・・・仕掛けられていました。

 一泊の泊まりがけで女学校時代の級友に会いに行った夕月ですが、その出かけた日は、大正十二年八月三十一日だったと。。

 正直、ここから先の描写如何でこの作品の真価が問われることになるのだと思いますが、これを描くために2巻もの<時間>を割いて準備をしていたわけですよね。

 元々、重苦しさのある主人公であり、夕月の優しさに心も開きつつありましたが、まだ自分で何かしようという意気込みが足りていなかった彼と夕月に、どのような試練が待ち受けているんでしょうね。。

 

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2015/12/11

ドリヤス工場 「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」 全1巻 リイド社

 もの凄い投げやり風なタイトルにまずやられてしまった上に、もろ「水木しげる風」な絵柄から、パロディーを想像してしまう人も多いでしょうけど、、、

 既にあなたは術中に填まっていますよ。。。

 読めば判る話ですが、ギャグやパロディーという要素はまったくありません。
 あくまで「水木しげる”風”」の絵柄で、それぞれの作品を、10ページ程度に要約しているわけですね。

 そしてその<要約>が見事すぎるんです。扱う作品は、短編から長編まで、海外の作品なども含めて実に様々ですが、それぞれを<漫画として読んで楽しめる構成>で、見事に10ページ程度の尺の中に収めています。あらすじを追いつつ、確かに読んだ気になれる、そんな憎い構成になっています。

 一体、この構成を考えるのにどんだけ時間をかけ、知恵を絞ったんだろう、、としか言いようがありません。

 勿論、たった10ページでも漫画として楽しめなければいけませんから、長編作品などは、かなり端折っている部分はあるようです。が、ちゃんと筋は通るように上手に端折っていますので、原作を読んだ人には多少違和感も感じるかもしれませんが、知らない人には本当に自然な流れで読むことができます。

 かくいう私も、文学作品なんてあまり読んでいませんで(汗)、芥川龍之介の「羅生門」くらいじゃないでしょうかね(汗)。きちんと読んだのは(って短編かよ!)。

 けど、特に冒頭の「人間失格」は、波瀾万丈な生き様が、たった10ページの中に凝縮され、「恩讐の彼方に」などは最後、ちょっと涙ぐみそうになります。「ラプンツェル」は絵本やアニメでは知っていたつもりが、グリムの原作はこんなお話だったんだなあ、と改めて思ったり、「イワンのばか」ってこういう寓話だったのかと感心したり、・・・まあ原作きちんと読んでいない私としては(汗)、それぞれの雰囲気をきちんと10ページの尺でそれぞれ堪能できたなあ、と思ったりしました。

 冒頭の「人間失格」など、一部についてはこちらでも読むことができます。

 そして見れば判りますが、続編もどんどんと掲載されている模様。

 そして水木風の絵柄には、実はあまり深い意味はありません(爆)。
 要は「現在のアイドルの曲を、五木ひろしが歌ったらこうなる」とか、「桑田さんがきゃりーぱみゅぱみゅを歌ったらこうなる」とか、要はそういうことなんですよ(どういうことだよ!)。
 要するに、水木しげるさんの絵で、とにかく何でも描いてみようという、そういうことであるだけと。その絵柄に<翻訳>すること自体が、ある意味では面白さであるので、実はこの人の作品、ギャグなどの要素ってほぼ皆無なんですね。

 オリジナル作品の「あやかし古書庫と少女の魅宝」(全2巻)も、本当に真面目に超能力対戦を、児童向け文学のような雰囲気で描いていて秀逸です。

 色々な漫画・アニメ作品のパロディーを同人誌で描いているそうなので、そういう作品もいつか単行本になって欲しいなあ、と思う今日この頃です。

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2015/11/03

犬童千絵 「碧いホルスの瞳 ―男装の女王の物語―」 1巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 古代エジプトの王にまつわる物語の中から、女性が王になることは絶対にできないその世界で、唯一女王となったハトシェプストの波乱の人生を描いています。
 といっても、1巻ではまだ導入でしかありませんが。

 今では想像できないような掟と”しきたり”によって、全ての生活、行事ががんじがらめなエジプトの王家。その世界では王妃はあくまで飾りのような存在でしかなく、当然力は持っていない。そんな世界に王女として生まれ、類まれなる慈悲と才能を持つシュプストは、その聡明な頭脳も行動力も体力も持ち合わせているのに、まったく活かすことができない王家の世界の中で、ある時は反駁し、そしてある時は受け入れたふりをし、そしてその人柄と人格が彼女の人生を少しずつ変えていく。。

 エジプトだピラミッドだと、古代文明への興味はあったんですが、何となく映画で出てくるものでは「クレオパトラ」くらいしか知らなかったんですよね。けど、改めてその王家の風習や掟を見てみると、何とも不可思議な世界だなあと感じることしきり。とても同じ地球上に存在した文明とは思えんような、キテレツな風習や考え方ばかりだなあと。。

 そんな異様な世界でもがく主人公を通じて、物語は描かれていくわけですが、孤軍奮闘な中から、少しずつ味方や理解者を見つけつつ前進していく、サクセス・ストーリーという訳でもないんですけど、世界に風穴をあけるような、そんな物語になっています。

 人物の心理描写がしっかりしているから、いいんでしょうね。単なるエジプト王家の風習だけを描いているだけでは、こういう風に面白いマンガにはならないと思ったりします。 作品数はまだ少ない人ですが、それぞれ好きなんですよね。。初の長編になりますけど、地力がある人だと思うのです。はい。

 物語はまだまだ序盤。これから不可思議な風習の異世界をどう渡り歩いていくのか、そのプロセスを楽しみましょう。

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2015/08/26

野田サトル 「ゴールデンカムイ」 4巻 ヤングジャンプコミックス 集英社

 3巻までのコメントはこちら

 私の中では、この作品は「グルメ漫画」という棚にもう並んじゃっていますけど、いいですよね? いいですよね?

 勿論、囚人達と元軍人達との黄金を巡る熾烈な殺し合いは続いているわけです。そちらの設定も、日露戦争を挟み、さらに幕末の亡霊まで活躍し始めている訳です。

 そして、まあ作品中では悪役に近い雰囲気の軍人が黄金を求める理由は、結構それなりに気高いものであったりと、グルメ要素以外の設定も、実に充実して駆け引きを楽しめます。

 で、動物とグルメの世界は、まあタヌキは喰うの分かりましたが、オオワシまで捉えて喰うとは知らなかった、、、

 元もと魚食性のワシですから、昔の北海道の河川には魚も豊富だったようなので、冬になれば沢山、山間にも渡来したのでしょうね。で、クロハゲワシ(推定)まで出てくるとは。。きちんと記録も残っているのでしょうけど、よく調べていますよね。

 しまいには海にまで乗り出してしまうし、北海道グルメはどこまで突き詰めていくのでしょう。。


 まあ、あえて言うならば、生き物の命を大切にし、殺して捉えたら何一つ無駄にせずに利用するアイヌの精神は分かるんですけど、人は結構ぽんぽん死ぬわ、死んだら体の皮は剝ぐわ、なんか動物は敬うわりに、人間の扱いはどうよ?というギャップが凄いなと(違)。

 まあ、アイヌの人々が殺している訳ではないですし、動物に喰い殺されたりとか色々ありますし、囚人と元軍人が勝手に命を取り合ってるだけ、といえばそうなんですけど。
 まあ、わざとこういう演出にしてるのかもなあ。この対比が面白いと言えば面白いともいえますし。

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2015/08/12

藤田和日郎 「黒博物館 ゴースト アンド レディ」 全2巻 モーニングKC 講談社

 「うしおととら」が何の前触れもなく突然アニメ化されてビックリしてますけど、この作品は出版社違えど店頭に沢山山積みにされていますね。
 まあ売るなら今でしょ、というのも当然でありますが(爆)。

 これの前シリーズである「黒博物館 スプリンガルド 」も増刷されて並べられてますね。なんか本作は途中で終わらされた感もあるのに、なんだか凄い推しようだなあ。。 というのはさておき。

 この作品は、とある幽霊と「ナイチンゲール」の二人の”戦い”の物語を、とある博物館のキュレーターが聞き役となって綴られていく、そんな作品になります。
 ネタバレしたらあかん気がするので、あらすじはこのくらいで。

 史実を噛み砕いた上で、そこに幽霊同士の戦いが絡んでいくという物語ですが、藤田作品に共通で使われているのが、演劇的な演出ですね。
 映画などでも同じうような技法を見かけますけど、それもおそらくは演劇的なものをベースにしているのだと思います。まあ、演劇と映画、どちらを参考にされているのかは、実際は分かりませんが。。

 コマ割りから語りまで、まるで劇場で昔語りをする幽霊とキュレーターの間で、平行して語られる内容が進行していくような、そんな感じの進行になっています。

 なんて改めて書くことでもないんですけどね(汗)。 こういう演出は、わかる人にはわかる訳ですし。

 ただ、この方ほどこの演劇的な演出に拘ってる人もいないような気がするんで、ちょっと書いてみた次第です。

 そういう意味では、この「ゴーストアンドレディ」は、実に舞台としては独壇場な作品ですね。もう少し続けたかったという御本人の談はあるものの、最後もしっかりまとまっていますし。

 次はどんな劇が見られるんでしょうね。

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2015/07/27

芦田豊雄 「新撰組異聞 暴流愚」 全2巻 画楽コミックス ホーム社

 作者である芦田豊雄氏についてはこちらを読んでいただいた方が早いですね。

 70年代から活躍し、比較的最近の作品で有名なものではアニメ「北斗の拳」の監督も務めた方です。他にも「あ、見たことある」というものに沢山参画されていますが、とりあえずそれは割愛。

 この作品自体は、少年画報社から2001年に1巻が発売され、私もこれを購入していたんですが、2巻が出ないなあと思って随分と、、、って10年も経っちゃいましたが(汗)、2011年を過ぎた頃にお亡くなりになったことをきっかけに、改めてどうなったか調べたら、2004年に完全版としてぺんぎん書房という所から出版されていたのですね(汗)。

 まだそれを知った段階では、書店に並んでいたのですが、A5版で5cm近くの分厚い愛蔵版であったことと、完結しているのか?というのが少々心配にもなり、つい見逃してしまったため、手に入れることが出来なかったのですね。。
 置いていた本屋も漫画専門書店だけで、その1度きり見かけたのですが、それっきり出会えなかったという。
(勿論、いまは中古でネットで購入は簡単にできる時代ですけどね。隔世の感があります。。)

 それがここに来て、B6版 全2巻で再版されたということと、完結していると言うことが帯で分かったため、改めて購入してみることにした次第です。続きが気になる作品だったので。

 前置きが長くなりましたが、作品自体はタイトル通り、新撰組に関わる物語となっています。歴史の裏で暗躍していた別働隊があった、ということで、そこで不思議な武器で暗殺し、敵を倒す”暴流愚”という男が主人公です。

 が、本人が何を考えているかなどは、殆ど物語の中では語られません。何のために戦うのか、その目的も当初(当時の1巻。本作の上巻)では分かりませんでした。断片的に分かったのは、アイヌに関連していることと、彼自身、アイヌでも日本人でもないのでは、というその風体。
 そして武士との戦いには、鋭く尖った黒曜石の破片を投げつけ、隠し刀で殺すその様は、武士には程遠い、形式などには則らない、まさに「殺し合い」を生き抜いてきた戦い方です。
 けどまあ、侍の格好いいチャンバラを期待すると、なんかもう「卑怯」としか言いようのない殺陣なので、まあそこは賛否が分かれる部分かも。。ですね。

 新撰組が直接動いたことにしては不味い案件を、その別働隊に投げ、そして新撰組の中でも謀略や策略が飛び交う。。

 そしてそんな中で使い捨てにされる別働隊は、それぞれ時代の中で翻弄され、消えていく。。

 下巻では、話を折りたたむために多少急いだ所もありますが、全ての行動の意味、暴流愚らの出自、そして目的が描かれていき、その中で戦いに敗れ、消えていく<新撰組>のそれぞれ末路が描かれていきます。

 最後の最後、ちょっとしたどんでん返しもありますが、いい感じでまとまっているんじゃないでしょうかね。

 アニメーターが漫画絵を描く、なんてのはもうそんなに珍しくもないですが、この方は漫画は他に短編を数編描いているだけ。メインはアニメ畑の人です。

 いまこれを復刊するタイミングというのがよく判らない部分なのですが、元々はこの作品、アニメ化を前提としたシナリオだったとのことですんで、もしかしたら? ・・・と、あまり期待せずに読みませう。もしあるなら、沖田総司の”首チョンパ”は、アニメではどんな表現になるのか、かなり興味はありますが(笑)。

 仮想時代劇ものとして、なかなか楽しめる作品です。1巻1000円は少々お高いですけど、価値はあるんじゃないかなあと。

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