okama 「Do race? 」 1巻 ヤングアニマルコミックス 白泉社
あらゆる科学と技術を凝縮した、宇宙空間を飛ぶことができる特殊な”ドレス”を身に纏い、命がけのレース「ドレース」を繰り広げる美少女質の物語です。
簡単に書いてしまうとそんな感じですが、”ドレス”の変形機能や、強い加速に伴うブラックアウト現象など、SF的なリアリティーとファンタジー的な美しさを融合させたような、そんな感じの作品です。
けど何といっても圧巻なのが、”負けたら即死”という厳しい縛りの中、縦横無尽に展開する迫力のスピードレースの描写ですね。
レース自体は半ば完全にスピード勝負。妨害あり。体勢がちょっと独特で、<リュージュ>のように脚を突き出して仰向けで操作するのが「ドレース」の仕様。そんな宇宙空間で繰り広げられる上もしたもない高速レースの描写は、ある意味ではかなり難しい部類だと思うんですけど、コマ割の妙か、非常にすんなりと判り易く展開していくんですね。
これは動きの方向やキャラクターの描き方など、かなり上手いから自然と読めてしまうんですが(それでも展開が早く、駆け引きも言葉のやり取りなく進むので、読み難い人もいるかもしれませんが)、ある意味、このコマ割が下手だと、もう読んでられないような状況に陥るんですよね。。
まあ、そこまで酷い作品というのは、商業誌や単行本では滅多にお目に掛からないですが(さすがに編集さんのチェックが入りますから)、極稀に、右だか左だか、どっちが敵でどっちが見方か、読んでるうちに混乱させられるコマ割で描いている作品って、、、ごく最近もお目に掛かりましたが(以下自粛)。私は許容範囲は案外あるのでアレですが、原作付き作品を描いている、イラストレーターがメインだった人とかに、この辺りの経験不足が露呈することがあったりします。。
空間を動き回る描写が秀逸だったものと言えば、古典としては「童夢」があります。セリフのとても少ない作品ですが、”絵”と”コマ”を使って、こんな空間表現が可能なのかと、当時はカルチャーショックを受けた記憶があります。恐らく今初見で読んだとしても、物語が面白いかは別にして”空間”の描写について、考えさせてくれるんじゃないかなあと。
ちょっと脱線しましたけど、1巻目はまだまだ<ある少女が置かれている世界>の描写が中心となり、シンデレラガール的にいきなりドレスを譲られ、そしていきなりレースをさせられる状況に追い込まれる、という描写までになっているので、かなり狭い世界の中でのお話のみになっています。
2巻以降でしょうね。世界が一気に広がっていくのは。
ある意味では”お人好し”で何でも人に譲ってしまう、そんな性格の”少女”が、負けたら爆発してしまうという特殊なドレスを譲り受け、命を賭けたレースの世界に飛び込み、どう逆境を乗り越えていくのか、、その辺りが楽しみな作品です。
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