C_ネットワーク

2016/11/01

保谷伸 「マヤさんの夜更かし」 1巻 ゼノンコミックス 徳間書店

 二人のネット廃人女子の真夜中の生態を描く、そんな生々しい作品です(超意訳な上に若干間違いあり)。

 主人公は二人の女子。
 とある病院に入院したことをきっかけに知り合った二人ですが、一人は漫画家を目指し、東北の実家に引っ越していき、日々漫画をパソコンで描いています。
 もう一人は自称「魔女」。その時点で妖しさ満点ですが、フリーターな上にネトゲ廃人。ガチャを廻すために生活費をつぎ込み、課金・散在しまくるダメダメ状態。
 そんな二人が、ネットの音声チャット(スカイプかな?)で、延々と夜中に7時間も8時間もだべる(というか、自称「魔女」が迷惑顧みずに延々とあれこれしている?)という、そんな真夜中の日常を淡々と綴っています。

 ・・・というか、いやこれ、異様なほどリアルすぎて怖いわわたし。。
 音声チャットではなかったですけど、IRCやらICQやら、そんなもので夜中の間、延々とグダグダと(翌日への影響なんか忘れて)ネットしていた頃の自分とダブります(爆)。

 というか、私自身がというより、そういうのを通じて知り合った数々のネット仲間とダブるんですよね(一部、未だに繋がっていて、お話をしておりますが)。

 まあその中には、まさに何とゆーか自称「魔女」の生態そのものという女性もいたような気がします。
 まあ、異性にはそんなダラダラしたところまでは見せませんけど(チャットだし)、会話の雰囲気とか、そんなもので何となく判るんですよね。。

 (とか言いながら、オフで会ってみるとイメージと全然違うことの方が多かったりするので、あんましアテになりませんが(じゃあ言うなよ!))。

 けど、その頃色々と聞いたり見たりしてきた「ネット廃人な人々(男女問わず)」の生態に、かなりリアルに近いものを感じるのです。唯一違うのは、ゲームがネットゲームというより「スマホのガチャ系」になっているという部分。
 けどそれも、填まっているものの形態が違っているだけで、中身のダラダラ、グダグダ感、そして「ああぁぁ」と後で後悔しちゃうんですけど、課金してしまうその性(さが)。これは時代が変わっても同じなんですね。。。。

 ということで、そんなグダグダな女子同士の会話が続くアレですが、一応ひとひねりもあります。
 自称、自称と書きましたけど、実は(以下略

 ということで、そういうお腹が痛くなるような設定もありますが(謎)、それがあるが故に、何というかグダグダ感満載なんですけど、ちょっと香辛料も効いている感じの作品になってるかな、と思ったりします。

  

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2016/07/15

かかし朝浩/馬場翁「蜘蛛ですが、なにか?」 1巻 カドカワコミックス・エース 角川書店

 ある日突然、ダンジョンの中の<弱小クモ(仮)>に転生してしまった女子高生の、ある意味ではゲーム三昧なサバイバルを描いた奇妙な作品です(笑)。

 何だか意味不明に転生した彼女は、不味いモンスターどもを共食いしながら、少しずつスキルやレベルを上げ、ダンジョンの中でのサバイバルをするというだけの、ゲーム実況解説?みたいな構成ではあるんですが、何にもまして<クモキャラに置き換わっている>ことと、お腹がすくこと、そして狩りをしたり戦ったりしなければ、スキルもレベルも得ることができないと。

 天の声のように「スキルを獲得しました。」のアナウンスが響くのはゲームそのものですが、とにかく食べられそうな弱々しいモンスターどもが激マズである辺りに、奇妙なリアルさを感じさせられます。

 けど、食べなければ生き残れない。。なので生でバリバリ食べるという思いっきりの良さ(笑)。
 というか、普通であればクモになんて転生したらパニックな訳ですが、元々ボッチでネトゲばかり家でやり、妙に割り切った(荒んだ)生活を送っていた彼女なだけに、無駄に考えるということは初期段階からすっぱり拒否。傷を負ってメンタル的にも挫折しそうになっても、ちょっと良いことがあればすぐに吹っ切れるという、ある意味ではサバイバル向きな性格が功を奏し、地道ではありますけどダンジョンの中で少しずつ力を蓄えていきます。

 この作品でビックリしたことは、ある意味では普通に美少女を描ける作者が、完全に<人間の絵を封印>して挑んでいることです。

 表紙には少し描かれている様に見えますけど、作中では全て肌はベタ塗り。ダンジョンの中を徘徊する<ファンタジー系のゲームに良く出てくる人間>以外、完全に封印されています(ダンジョン中の人間は、まあモンスターの一種みたいなもんで、何となく描き方も変えています)。

 そしてデフォルメされた絵柄のモンスター(クモも含む)だけが出てくるんですけど、喋れない彼女の心の中の声、つまり全て<独り言>で物語は構成されています。

 原作自体が、恐らくそういう「独り言」で綴られた物語で構成されているのでしょうけど、その<世界観>を再現するために、ある意味、リアルな絵柄のように<イメージを邪魔する要素>を封印することで、原作の趣旨というか<味>を活かそうという、そんな英断なんだろうなと思います。

 デフォルメ絵にすることで柔らかい印象が与えられ、恐らく文字だけで想像するとおぞましい”共食い”を含む食事のシーンや、リアルな蜘蛛やモンスターへの嫌悪感が和らぎ、原作の面白さであろう「ゲームの中に棲んじゃったらどんだけ大変!?」という部分が、上手く前面に押し出せている気もします。
 あと妙に割り切りのいい、最近のワカモノ的な主人公の思考回路もなかなか面白いですね。

 しかし、上手い絵を封印しているからといって、誰でも描けるかというと、そうじゃないと思います。
 物語のコマ構成とかピンチの切り抜け方、スキル獲得したけど大したことない技だった場合の脱力感など、マンガとしての構成もしっかりしてないと、この作品を面白く読めるようには描けないと思いますので。
 そういう意味では、(成人向けのギャグマンガの頃から存じ上げておりますが)この作者だからこそ面白く描けるんだろうなあ、という感じがします。

 普通、ある意味ここまで色々なものを封印しながら、原作に忠実に描こうなんてしないですよね。

 なんて書くと、実は2巻以降はメッチャ主人公が人間の姿で出てきちゃう予定だったりすると、出しにくいかもしれませんが(汗)。
 まあ、その時はその時ということで。。

   

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2015/07/08

古味慎也/HiRock 「EX-ARM」 1巻 ヤングジャンプコミックス 集英社


 巻末に断り書きがあるのですけど、これが「EX-VITA」とパラレル世界って言われても、普通に続編として読んじゃいますよね。。2年前だから細かな設定は一寸思い出せないものの。

 前作と違うのは、この作品の場合には原作があること。
 アンドロイドと熱血婦警のドタバタコンビは、ちょっとお色気が強めでしたけど、いいキャラだったので、このコンビを活かした上で、新たな作品にリメイクするのはアリかも、というか、結構ハマってる気がしたり。

 物語は2050年より60年前(=1990年頃?)に遡り、機械音痴というより機械アレルギーに近い一人の高校生が、とある事故に巻き込まれるところから始まります。

 そしてその後の60年間の経過なんぞ吹っ飛ばして目を覚ますと、そこはトランクの中・・・と。。

 秘密兵器というより、オーバーテクノロジー=オーパーツ扱いされる彼(の一部)の争奪戦が、謎の組織と警察、そしてさらに謎の組織とともに行われ、そこにヒロインコンビと少年(の一部)の出会いと共闘という状況が生まれてくるという感じで。

 かなりネタバレ抑えてみましたが、あらすじとかは他でも検索できますしね(・∀・)。読んでのお楽しみという感じでもいいのかなと。

 けど、この人は本当に絵が上手いなあと。かなり無理な体勢でも、違和感なく描けますし(特に女性キャラは。と強調してみる)、キャラの性格の描写とかもしっかりしています。
 ここまでSF世界に拘った作品ばかり描くという人も、最近あまり見ないですけど、物語自体に若干、緩急がもう少しあったらなあ、と感じるところもありました。

 けど、原作が付いた効果なのか、男性キャラもしっかり前に出してきたことの効果なのか、その相乗効果なのか判りませんけど、この作品は今までの作品より、そういう面でのバランスが取れていて、物語として読みやすく、とても引き込まれるような流れになっています。
 勿論、お約束のシーンもしっかり美しく描かれていますし(違)、なんか一皮むけた感じがいたします。

 ということで、メカメカしい本格SFを楽しめる作品ということで。

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2015/05/22

泉光 「7thGARDEN」 2巻 ジャンプコミックスSQ 集英社


 見た目の設定的には、いわゆるゲーム等でよくあるファンタジーな設定に近いんですが(悪魔と天使しか存在しないですけど)、理不尽な世の中に嫌気がさしていた庭師(元兵士)が、「悪魔」と呼ばれる存在に接触し、人生が大きく変わっていくという、、
 ざっくり言うとそんな設定の物語です(ざっくりしすぎ)

 ある意味で、読んでいくと裏設定がもろに分かってしまうんですけど、ネタバレになるので抑えつつも、、、一応想像される内容を書いてみれば、、

 この世界は、仮想世界として設定された、データの世界なのでしょう(予想だけなので違うかもしれませんよ!)。それは物語の設定の端節に、映像的な部分も含めてキーワードが散りばめられているので、まあ読んでいる人は気がつくレベルですね。

 まあ、そこまではすぐ判るように作者も描いていると思いますが、細かな裏設定まではまだ読めません。「小人」と称される、世界を構成している人々がどういう存在なのか、そしてそれをゲームのようにコントロールしている”天使”が、どういう位置づけの存在なのか、等々。。
 そこは色々な可能性が考えられるところであり、そこの深い部分の謎解きを、物語の進行を追いながら想像して楽しむ、そんな作品じゃないかなあ。

 とにかく伏線は散りばめられるというより、もうところかしこに盛り込まれています。某アニメ程ではありませんが(お)、そういう部分を楽しむ作品なのかな、と思ったり思わなかったり。

 まあ、敵である”天使”もまだ数人しか現れていませんし、じっくりと”狩り”を楽しませて貰いましょうか。。


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