C_超能力

2017/04/27

衿沢世衣子 「うちのクラスの女子がヤバい」 全3巻 マガジンエッジKC 講談社

 思春期だけ「なんの役にも立たない超能力=無用力」が発現する、そんな女子だけを集めた1年1組のドタバタ青春劇が、とりあえず終了です。1巻のコメントはこちら。

 よくまあ3巻分も続いたというか、凄い想像力と構成力だなあと思います。無用力といっても、一歩間違えれば「使い方によっては役に立つ”超能力”」な訳です。

 何というか”お題に縛りがある大喜利”のように、相当絞り出さないと、これだけの女子生徒の「無用力」は思いつかないと思いますし、さらにそれを青春物語(青春コメディーとも言う)に昇華してしまうんですから、並の努力ではこの作品は作れないと思うんです。。

 まあ、色々な意味で斜め上をいく発想で作品を作っている作者なので、そういうものを生み出すチャンネルがあって、思ったほど苦労してない可能性もありますが(死ぬほど苦労している可能性もありますが)、それでもドラマとしての構成、そして無用力をもったクラスメイトとの絡みなど、ちょっと凄いなあと思いました。

 「一歩間違えれば”超能力”」というのは、まさに逆手にとって3巻ではネタにしています。そして、ちゃんとオチまで用意して(笑)。逆にこれを逆手に取れるということは、各々の「無用力」のアイデアを絞り出すのは相当意識しているんだなあ、とも思います。

 実はちょっとまだ続きがあるものと思って読んでいたんですが(読み終えたときも終わった感が無かった)、読み終えていざ感想を書こうかなと思ってみたら、「全3巻」とか書いてあってちょっとビックリ。

 けどそう確認してから少し読み返してみると、無用力があってもそれを活用する術や青春ドラマのそれぞれの結末、そして彼女らの将来はどうなるのかという暗示も含めて、案外てんこ盛りになっているんですね。そして座敷童的な一人の少女を巡っての、そして様々な場所に巡らせていた伏線を畳むかのような最後のクラス総出の大騒動とオチなど、何かこの作品らしく「のほほん」とした締め方なんだな、と改めて思った次第です。。

 なんだかのほほんと楽しく読めるSF作品でした。

 P.S. 3巻の表紙の元ネタだけ、ちょっと判らんかった。。見た記憶はあるんだけど、誰の絵だったかなあ。。

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2016/07/27

江島絵理 「少女決戦オルギア」 全3巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

 1巻のコメントはこちら

 女子高生達のバトルはヒートアップし、やがてその戦いの目的と、犠牲の末に得られるもの、それを知ったことで生じる動揺などが錯綜していきます。
 最終的な戦いとその結末は。。。

 ということで、生死を賭けたバトルシーンの動きが尋常ないです。パ○○はどうでもいいんですが(違)、新体操の選手のような躍動感溢れる動きと駆け引きに、ぐいぐいと引き込まれます。なんかもう凄いなあ、としか言いようがないw

 そして戦いの末に得られるものが何か判明したことで、ヒロインの戦意は一気に消失。けど、そこから立ち直り、”目標”を改めて見定めることになります。

 ページの半分で、選手が半分とはいえ80人以上残っている段階でしたが、話は急展開していきます。数々の目論見が明るみに出て、それを知った上で、何をどう変えていくか、スイーツを賞味しながら女子会して・・・って、まあそのギャップはまたギャップでいいんですけど、ここからのまとめ方が凄いなあと。

 当然、「この巻で全てまとめる」というのが、秘密裏に作者に指令として伝わったのでしょうけど(と遠回しに書いてみる)、この尺の中でストーリーを組み立てるのに必要な<伏線>を的確に摘み取って描き切り、そしてこの限られた枠の中に描きたかったと思われるラストバトルをガッツリと盛り込み、最高潮のところで幕を引くと。。。

 その後どうなったか、ということは当然誰もが思うでしょうけど、そこを描くことは蛇足でしかないですよね。

 彼女は想定外も含めた戦いの末に、<目的>を掴み取った。本当に幸せになれるのかは判りませんが、それはいいじゃないですか、と。。

 なんかこう、よくこの尺の中に上手にまとめたなあと、改めて思いました。

 描こうと思えば、この後のカオスな世界も描けるかもしれませんけど、どうでしょう?けど、この美しいラストに対しては蛇足にならないかな?というのが心配。。


 ただ最後に一言。
 ページ数の都合はあったのだと思いますけど、最後のオマケ漫画の前に、空白で1ページは欲しかった(笑)。もうちょい余韻に浸らしてよ!ということで。

(※けど、嫌いじゃないですよ!頑張れ「すぐ死ぬ〜ズ」!w)

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2016/05/19

衿沢世衣子 「うちのクラスの女子がヤバい」 1巻 マガジンエッジKC 講談社

 SF(すこし不思議系)な学園物語といったところですね。

 とあるクラスに集められた「無用力」と呼ばれる超能力を持った少女達の日常のドタバタを描いた思春期コメディーです。無用力とは要は「思春期だけに発現する(ニキビかよ!)」「なんの役にも立たない」、ある意味では迷惑にしかならない不可思議な超能力のこと。

 寝ている間に夢が空に浮かんでいたり、差し入れのために握ったおむすびに特殊な効能があったり。まあ集められたクラスのほぼ全員が、何らかの「無用力」を持ち、日々それに悩みながらも普通に学校生活を送っていたりもする、そんな迷惑だけどそれにめげない女子高生達を描いています。

 絵柄と雰囲気から、九井諒子を連想しましたが、まあそこまでヒネクレてもない(違)、のほほんとした雰囲気の作品です。もう少し違う方向性なら役に立ちそうな超能力ではあるんですけど、何かが足りてない、ある意味ではもの凄く中途半端な、そんな意味もよく解らない能力を持った彼女達は、悩みながらも友人にも励まされ、何となく迷惑な能力との生活に折り合いを付けて、ある意味では極普通の学校生活を送っています。

 人によっては引き籠もりたくなるような能力もあるでしょうけど(実際そういうエピソードも)、超能力に限らず悩みも人それぞれ。そういう悩みと向き合いながら、どう解決(妥協?)していくか、なのだと思います。まあ、そういうのって高校生くらいの方が柔軟性があるよなあ、ということで、あまり深刻にならないあたり(大人になれば消える能力だし)、結構いいバランスだなあと思ったりします。

 けどまあ、内容的にはそんな派手な事件は起きませんけど、毎日がカオス状態に近いような。。まさに表紙の絵は、そんな雰囲気を十分描けているなあと思ったりします。

 あ、ちなみに「革命」は起きませんから。えぇえぇ。

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2015/12/25

白川雷電 「黒鉄の太陽」 1巻 ヤングジャンプコミックス 集英社

  冬目景とか黒田硫黄とかヒロモト森一などのような、太くて荒々しい独特な雰囲気の絵柄ですが、物語自体に読み進むうちに引き込まれます。

 ある朝起きるとそこは異世界だった、という王道でいながら少し違うのは、家ごと地下・・・なのかどうか判らない地底の世界に飛ばされたことあたりからでしょうか。もうそこから危機が始まる訳ですが、それは読み進めていただくとして。。

 ただただ襲ってくる敵を返り討ちにしながら崖っぺりに住む、記憶を失った「クロガネ」と出会った少女は、一緒に家にいたはずの妹と両親を捜して(両親の行方は、程なく判るわけですが)、崖から地上を目指し、そしてその地下住人と出会います。
 手荒い歓迎のあと、クロガネの記憶を呼び覚ますための儀式が始まる訳ですが、失われた記憶を語る形で、その世界のあらましが解明されていきます。

 天井の方から「日本」に関連する様々なものが落ちてきているため、数の少ない住民はみな日本語も話せますが、実際のところ、あらましが語られたところで謎は深まるばかりです。

 そもそも地下という概念は、地上の存在を知らなければいけないわけです。まあそこは本で読んだら、なんかここって地下みたいだよね、でもいいのかしら。。?
 さらに言えば、その世界に生きる生物は完全に異世界のものですが、人間だけが天井からこの世界に落ちてきたのか?
 そもそも、上から落ちてくるからここは地下っていうけど、本当に地下にあるのか?

 恐らくは地上から落ちてきた人々が彼らの先祖なのでしょうけど、唯一のエネルギー源である”太陽”の存在からしても、謎が謎を呼ぶ謎だらけ。その謎を解明しながら、物語は進んでいくのでしょう。

 彼女と妹には超能力がある、という設定もあります。案外サラッと登場するんですが、いわゆるレトロ感もあって、絵柄と相まって結構個人的には好みな雰囲気ですね。
 アクションの迫力と共に、演出も結構凝っていますね。両親の行方がわかるシーンなどは、結構インパクトがあってドキっとします。
 何より、一人一人のキャラクターの行動や駆け引き、心理描写などもなかなか力が入っているなあと。世界がある意味では狭く、登場人物の少ないんですけど、それぞれが活き活きと役割をこなしている感じで、そこも引き込まれる部分ですね。

 アクションシーンもそれなりですが、 結構どういう展開になっていくのかが一番気になってしまう、どちらかというと物語を読ませる感じの作品かもしれません。

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2015/07/29

環望 「ウチのムスメに手を出すな!」 全3巻 ヤングキングコミックス 少年画報社

 アメコミのオマージュが散りばめられた、ちょっとHなダブルヒロイン(?)作品です。
 まあ、通勤電車の中で読むのはかなり無理なレベルということで(汗)。

 その昔、正義の超人として活躍したヒロインの娘が(娘には当然それは秘密)、血は争えないということで、悪の組織の復活に乗じて<正義の超人デビュー>を果たします。
 が、その復活した悪の組織は、その昔に母親が活躍していた頃から、やたらとエロい攻撃ばかりを仕掛けてくるという、いいんだか悪いんだか、、まあ悪くはないか(違)。

 けどそんな”責め”が待っているところに、おいそれと娘は出せん!ということで、陰に日向に娘をかばい、逆にエロいワナに自ら填まるという、ムチムチすぎるアラフォーな母親の活躍・・・を描いている、そんな作品です。

 まあ、設定自体はこんな感じでお色気アメコミ路線ですが、3巻以降の設定は、時間や時空を越えたお話になっており、SF作品としてもなかなか面白いまとめ方をしてます。

 3巻では一般募集した「わたしの超人」もゴマンと出てきて大乱闘になりますんで、誰々のキャラだ、と探すのもまた一興ですね。

 しかしまあ、、、親子関係がもうグチャグチャで、時空越えるからってここまでするんかい(笑)、という感じです。全てまあ繋がっていくんですけどね。なんかモラル的に登場人物達は悩まんのかな?とか逆に心配してしまいますが。

 まあラストもアメリカンテイストに溢れていますし、エンターテイメントとして、楽しめる作品だなあと思います。

 ちなみに私は娘さんくらいの方がいいです。ここまでムチムチなのはちょっと。。(違)。

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2015/07/03

檜山大輔 「戦場の魔法使い」 3巻 REXコミックス 一迅社

 魔法とタイトルに付いていますが、いわゆる魔法とは若干違います。超能力に近いですかね。。
 その超能力を駆使して、戦争の中で戦わされる異能力者達を描いた架空戦記物です。

 多分、ミリタリー系を期待して読むと、ちょっと食傷気味になるかもしれません。数々の兵器は出てくるんですけど、運用方法含めていわゆる”ミリオタ”を満足させられるレベルではない、、んじゃないかなぁ。。
 私もミリタリー物は好きですけど、そう知識があるわけでもない私から見ても、そこがメインの作品じゃないよなあ、という気がしたりします。

 どちらかというと、やはりファンタジー作品の視点で見た方がいいんじゃないですかね。
 その世界設定の中で出てくる兵器が、第二次世界大戦くらいの設定のものに置き代わっている、という読み方をした方が、恐らくタイトルから受ける印象との違いに、違和感を感じなくて済むんじゃないかな、と思います。

 主人公は、特殊な視力を持った狙撃兵(ヒロイン)です。狙撃兵増えてるな。。
 仲間との死別を繰り返し、人との関わり合いを持ちたくないと思いながら戦う、そんな彼女と、極小数の異能力をもった将校達が、硝煙臭い兵器をかい潜りながら戦います。。

 異能力といっても、それぞれはそんなに強烈なものではなく、戦う上で他の兵士より、ちょっと優れているくらいなイメージです。そして各個人で持てる能力も1種類程度と限られる。
 それらを駆使して戦う、戦略ゲーム的な面もあり。あまりミリタリー物とか魔法とかに囚われずに読むと、それなりに戦いの駆け引きを楽しめる作品ですね。

 最後に一言。

 「戦争が終わったら結婚するんだ。」は死亡フラグ、、、(;・∀・)


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2015/06/29

柴田ヨクサル 「妖怪番長」 1巻 イブニングKC 講談社

 冒頭から説明を吹っ飛ばし、いきなり新任先生の口から出てきたのは「では、クラスの番長を決めます」という発言。

 実はそのクラスに集められたのは、色々な特殊能力(かなり役に立たないものも含む)を持った小学生達。
 なんだか妖怪ウォッチよろしく、しょーもない能力を持った少年少女の中に、実際に妖怪とすら戦うことも可能な、そんな能力を持った少女達がいました。。

 初っぱなから説明抜きで暴走を始める感じで、物語は走り始めます。
 読者を引き込む技というか、演出が凄いなあ。。

 校長先生を狙って現れる、本当の妖怪の襲撃され、1巻後半からはもう能力戦の様相に。

 3頭身で頭でっかちの子供キャラ達も、妙に全体の異様さを助長している感じです。

 能力バトル戦ではあるんですが、一部を除けば強烈な破壊力を持った攻撃ではないので、「いかに上手に能力を使いこなすか」が勝負の分かれ目であり、演出の活かされるところ。
 そういう意味で、この作者の作品は、とにかく魅せ場に持っていくまでの演出や仕掛けが本当に上手いですよね。

 突っ走る状況の中で、徐々に学校が置かれた状況は説明されていきますが、まだ始発駅から電車が発車したところ、くらいな感じで、まだまだ謎だらけ。

 けど2巻以降も読みたくなっちゃうんですよね。。不思議不思議。

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2015/05/03

横山旬 「変身!」 1巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 何故か色々なものに変身できる能力を身につけた少年が、その練習中に同級生にその姿を見られてしまい、、、
 それをきっかけに<超わがまま>な彼女にムチャぶりされまくり、苦悩の人生を歩み始めるという、、そんなお話(爆)。

 正直、秘密と言われたこともベラベラしゃべるわ、超わがままなムチャぶりをしまくるわで、ヒロインはかなーり私の嫌いなタイプ(爆)。

 ※作品の出来とかとはまったく別で、登場人物でそういう究極に我儘とか、人を貶めても平気なキャラって、個人的には実は全くダメなんです。。そういう意味で、今だに「YAWARA」って読めない私。。

 最初の数話は、そういう意味でちょっと個人的には辛い展開でしたが、中盤の中学生編以降は、なかなかの主人公の思春期ぶりも手伝ってか、読みやすくオモロくなってきました。

 何にでも変身できるという特殊能力も、その身体的構造とかも理解しないと作り出せないとか、そういう設定もなかなか凝ってますし、変身したものの気持ちになりきるというか、のめり込んでしまうということで、動物以外にもなってしまうあたり、、、

 まあ、ちょっとバッタのくだりは、なかなか生々し過ぎて、トラウマになりそうなシチュエーションという気もしますが、そのくらい絵柄の割には、状況の描写力は凄いなという気もします。

 もうどうなっていっちゃうのか想像もできない転がり方をしていくので、2巻も実に楽しそうな気がします(・∀・)。

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2015/04/30

九段そごう 「俺とヒーローと魔法少女」 2巻 ポラリスCOMICS ほるぷ出版

 変身ヒーローになりたかったけど、変身してみたら「魔法少女」になってしまうという、、悲しい運命を背負った熱血漢の苦悩を描いた作品です。

 1巻あたりは、実はちょっと異様な感じもしました。
 単に熱血漢でなんかもう熱量高そうな野郎が、変身すると可愛い魔法少女になってしまうわけです。

 これはこの熱血漢の男という設定がベターなのか?という部分で、ちょっと読んでいて悩んでしまったのですよね(いやまあ、別に私が悩む必要ないんですが)。

 男が女に変身できるという設定は、まあ漫画ではあるある系で色々なパターンが存在しますけど、確かに戦隊ものであれば一番熱血漢でポーズ決めちゃってうっとおしい(違)系の暑苦しいキャラが可愛い魔法少女になってしまう、、というあたりは、斬新であります。

 けど、悪をやッつける為に、意に反して魔法少女にならざるを得ず(とりあえず魔法少女になれば、身体能力は強化される)、変身する度にジレンマに陷るというか、、、もうちょい頭使えよとツッコミを入れたくなる(笑)その熱血キャラが、どこか濃すぎる上に、ちょっとおバカ系すぎな気もしたりとか。

 けど2巻くらいになってくると、キャラの方もそれなりに動くようになってきて、割り切りも見られるようになってきたので、ぐんと読みやすくなってきました。
 そしてこの設定自体、伏線がちゃんとあったんですね。

 ということで、これから面白くなっていきそうな気もするので期待ということで。


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2015/04/22

今井哲也 「アリスと蔵六」 5巻 RYU COMICS 徳間書店

 もう5巻になりますけど、1巻のインパクトは強烈でした。。

 半ば何でもできる(物理の法則を無視して何でも生み出せる)超能力者に、ある意味、ただの花屋の頑固じじいがゲンコツ喰らわせて黙らせ、「筋が通るように説明して貰おうか」と、説教してしまうという。。。

 超能力には超能力で!みたいなインフレではなく、そもそも暴走しやすい能力として描かれている特殊な能力。そして強力な能力を持ちながら生まれた子どもみたいな(いやまさにそうなんですけど)紗名が、本当に子どもらしく、じいさんに怒られて泣いて謝るわけですが、、、

 どこかで失われてしまった、「筋の通らないことをすれば怒る(どんな子どもに対しても)」という、数十年前までは当たり前のことが、改めてこう描かれると完全に失われつつあるなあ、、と思ったりする昨今ですね。

 この作品、そんな紗綾を含めた”能力者”の子ども達の悩みや、それを乗り越えて少しずつ成長していく様を描いている、そんな気がする作品です。

 5巻でも、まさに能力者以外も含めた3人が友達になっていく、そんな過程が綴られています。一応、このあたりで第2部完というところかな?

 SFとしても設定が秀逸だなあと。超能力なんて「能力」描けばある意味、何でもありなわけですけど、その能力自体にもちゃんと”何故”が用意されているようで、ちょっと普通の超能力ものとは一線を画しています。
 不可思議なワンダーランドな世界にも数々の伏線があり、なぜこんな世界が、こんな能力が存在するのか、秘密組織の目的は何なのか、、それらの裏設定が恐らくこれから語られていくことでしょう。
 そういう世界設定が部分がしっかりしているからこそ、子ども達の成長と、絶滅危惧種の頑固親父との掛け合いが活きてくるんだと思うんですね。

 別に凄い兵器が出てくるわけでもなく、どちらかというと「不思議な国のアリス」的な雰囲気もあり、恐らくSFなどに興味がない人でも楽しめる作品なんじゃないかなあと思います。

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