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2018/04/16

小坂泰之 「放課後ていぼう日誌」 2巻 ヤングチャンピオン烈コミックス 秋田書店

 海辺のとある高校に転校してきたばかりの手芸大好き女子高生が、何の因果か釣りや磯遊びを楽しむ「ていぼう部」に巻き込まれ(?)、苦手だった生きものたちと戯れる日々に投げ込まれ、、、、そんな阿鼻叫喚な状況から、徐々に楽しみを見いだしていく、そんな作品です。

 まったくの釣り素人、いやそういう事をやろうなどと一度も考えたこともなかった少女が、個性的で半ば強引な「ていぼう部」の面々に騙され(違)、けどやってみたら、結構奥が深くて徐々に填まっていく(堕ちていく、、とも言う)、そんなシチュエーションを楽しむ作品です。

 釣りは私は多分、不得手な方です。全く嫌いではなく、幼少の頃は田舎で叔父に釣りに行かされまくりましたが(川釣り、磯釣り、船釣りからアユの友釣りまで経験させてもらいました)、仕掛けから何から叔父任せで、自分で工夫しようとか憶えようとか、そういう気分にならなかったんですね。行けば楽しいし、釣れれば面白かったので、嫌いではないものの、何かのめり込めなかったというところでしょうか。

 なので、釣り漫画をあれこれ批評なんぞ出来る立場ではありませんが、この作品の場合は、主人公の立ち位置が私に近いというか、、、けど2巻辺りからは積極的に動き始めたりもするので、私より前向きカモですが(汗)、そういう「初めてやる人が、どういう風に楽しみを見いだしていくか(そして泥沼に填まるか(違))、そういう視点でよく描けているなあと思います。

 釣りを教えてくれる人にも色々あって、私の叔父などは、仕掛けとかに私が興味を示さなければ、何も教えずにさささっと竿と仕掛けを準備して、ほいっと渡してくれるだけでした。
 無理強いもしないし道具も全部用意してくれるので、あとは餌付けて釣って、釣れたら外してまた餌付けて(それは自力で一通り出来ます)、というのの繰り返し。小学生くらいでしたから、そうなるのも仕方ないし、釣れた時には楽しいものの、釣れるまでの準備の楽しさとか、仕掛けの理屈だとか、そういう部分を完全に端折ってしまっていたから、興味がそれ以上伸びなかったのかもなあ、と思いました。

 素人が釣りに填まっていくという漫画は、実はそういう意味で興味があって、ちょくちょく読んでいたりします。だいたいは、何かのきっかけに釣りに填まっていく人を描いている訳ですが。。。

 その中でこの作品、ここまで「釣りとは無縁で興味のかけらもない」人間を(笑)、どのような手順やイベント、その他の言葉や行動でだんだん洗脳していくのかという辺り(こらこら)、なんか鉄壁の城壁をいかに攻略するかみたいに置き換えてみると、なかなか面白いなあと思うんです。

 この作品は、特にその<攻略>の仕方がよく描けているなあと思いました。勿論、キャラの個性や設定も絶妙だからこその面白さですけど。

 それと、いきなり大物を釣るとかのダイナミックな楽しさではなく、2巻になって、やっと小アジを初めて釣ったことに歓喜するという、本当に地に足の付いた、現実的な小さいながらも大事な”楽しさ”を描いているな、と思ったりもします。

 子供相手に、生きものの観察会みたいなこともやっているので、そこでも参考になるかもなあ、と思いながら読ませていただいております。。

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