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2018/03/19

とよ田みのる 「金剛寺さんは面倒臭い」 1巻 ゲッサン少年サンデーコミックス 小学館

 とある穴で地獄と繋がってしまい、当たり前のように「鬼」がのんびりと人間世界に溶け込んで生活している、そんなどこか設定が”面倒臭い”世界(※ただし、そこは本編には大きく関わりのないことらしい)。

 そんな中、正論を振りかざすして「正しいと考えた行動しかしない」”面倒臭い”少女(金剛寺さん)と、思ったことは素直に言葉にしてしまう心優しいけど別の意味で”面倒臭い”鬼の青年が出会ったことで、”大きく関わりのないこと”ですけど、周囲に大いに影響を撒き散らしながらアオハルが暴走していく、、、、そんなドタバタ純愛(?)コメディーです(笑)。

 文武両道でスーパー高校生なヒロインは、あらゆる意味でとにかく面倒臭い訳ですが(笑)、その行動原理にもちゃんと理由があります(ここはある意味で核心ですから、読んで確認しましょー)。それを踏まえて、その「面倒臭そうなところが好き」と公言してしまう、悪く言えば優しいけど考えすぎでストレートな鬼の青年も、心の中にはある種の何かを抑え込んでいたりもしますが、、、、

 この作品の場合、「大きく関わりのないこと」にウェイトが掛かりすぎというか、、、(笑)。

 衝撃的な心理描写もなかなか”面倒臭い”描写ながら、その一瞬に平行してザッピングのように進行する周囲のドタバタが、半分以上を占めているというか(笑)。
 なんかもう人生がそこで転換してしまうような、そんな事件が彼らの周囲のあずかり知らぬところで進行していようとも、本編である二人の”アオハル”は暴走し続けるのです。

 一瞬が交錯する”大きく関わりのない”物語や、大袈裟に輪を掛けたような心理描写(笑)に目を奪われちゃいますけど、やはり根底にあるのは、恋愛に至る心理というか、「ラブロマ」(全5巻)の頃から秀逸だった心と言葉と”行動”の駆け引きの部分だろうと思います。

 読者の誰もが「そうそう、こういう風に感じたり考えたりするよね」という前提の心理部分がしっかりとあった上で、その斜め上を行く行動に走るから、ラブコメとして面白いんですよね。どこかこう、ドタバタの中にまさにどちらの心理も上手に描き出し、”駆け引き”のような部分の綱引きというか、両方の視点を上手に作中に描き込めているなあ、と思ったりもします。

 ある意味、どっちも面倒そうな性格の二人ですが(笑)、アオハルを暴走させて周囲を巻き込みまくりながら、きっとそうした”大して関わりのない”人々が少しずつ集まって、大きく関わっていくんだろうなあ、という気がします。

 しかしまあ、よく考えたら1巻丸々使ってここまでしか進行しないって、本当に面倒臭いカップルですよね(笑)。

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