森尾正博/佐々木善章 「肉極道」 1巻 芳文社コミックス 芳文社
祖父の急逝により肉料理の専門食堂「あさくら」を継ぐことになった、半ば料理素人のヒロインの店に、どう見ても自由業系にしか見えない強面の男が訪れたことから物語が始まります。
肉に対する並々ならぬ情熱を持つその通称「肉極道」(ヒロインが勝手に命名)は、不味い肉料理にもめげずに通う常連を蹴散らしながら(爆)、強烈な駄目だしと共に、厨房に乗り込んで<肉料理の極意>をスパルタに叩き込む、そんな作品です。
別に住み込みでもなく、フラッと訪れては肉料理を注文し(ちなみに鶏から豚、牛など肉なら何でもありというのが一応ウリの肉料理食堂)、その不味く調理された肉を噛みしめながら号泣し、そして強引に<技>を伝授していく、有り難いよりはかなり迷惑なお客ではあります。
ある意味ではグルメ漫画ではありますけど、いわゆる普通のグルメ系とちょっと一線を画するのは、「至ってシンプルな肉の調理方法」、もっと具体的に言えば、家庭でも誰でも真似ができる、火の通し方とでもいいましょうか。。それに特化した作品だということです。
シンプルにステーキを焼くところから、生姜焼き、とんかつ、唐揚げ、そしてベーコンに至るまで、普通にスーパーでも手に入れられる肉食材を、下ごしらえから焼き加減、油通しなど、面倒だけどちょっとした手間や細かな手順を踏むだけで、美味しく仕上げる方法を描いているんですね。
ラム肉なんか、塩コショウだけで油すら加えません。それでも素材の旨味を引き出す調理方法と火加減だけで、十分過ぎるくらい美味しい肉料理ができる訳です。
しかしまあ、ここまで基本の基本から教わっちゃうヒロインのお店、経営的に成り立つんか? という疑問も多々ありながら、まあその懸念通りの騒動が、1巻の終わりで発生します。いっかんのおわり・・・じゃなくて2巻ではどう切り抜けるんでしょうね?
あくまで自由業風な御仁は「客」としての立ち位置を貫いていますが(・・・やってることはとうに客の範疇を超えてますけど)、それが2巻ではどう変化していくのか。そんな感じで実践的な肉知識も含めて楽しめる作品かなと。
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