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2017年7月

2017/07/25

岡田卓也 「ワニ男爵」 1巻 モーニングKC 講談社

 落ち着いた紳士風の出で立ちのもの書きである「ワニ男爵」と、グルメ情報をかぎつけては彼を誘いに来る(で、費用は男爵持ち)、ちょっと調子のいい「ラビットボーイ」のコンビが綴る、グルメ探訪コメディーです。

 ワニが男爵、という辺りもあれですけど、実に紳士風に、そして大人な対応に満ちあふれていながら、、、時々なんか無意識に”野生”に戻ってしまうという、お茶目(で済むのか?)な面もあり、憎めないキャラといったところです。

 対してラビット君は、若者というか小僧というか、ワニ男爵の財布をある意味では目当てにしている部分はあり、そしてつい愚痴を言ったり、他人を貶したりと決して性格がいいとは言えません。けど男爵はまったく意に介すことなく、子供じみた行為を静かに諭し、そしてラビット君もその心の広さに感銘を受ける、といった凸凹コンビを演じています。

 人間を動物に置き換えた世界観でありながら、「食い倒れ人形」はそのまんまかい!というツッコミ所もありつつーの、動物コメディーとしてもなかなか個性的な動物が次々と登場し、ワニ男爵と絡んでいきます。

 たまに野性に還ってしまうのは置いておいて(よくまあ、他の動物を食べなくて済んでいますが(笑))、ある意味では紳士に、そして人情味に溢れた男爵の対応は、ちょっといい感じです。

 全国のご当地グルメも色々と登場し、それを美味しそうに・・・・って、ワニに表情があるんかい!という部分がありながら、それなのにメッチャ美味しそうに食べさせているところが、・・・漫画の凄いところだなあ、、と改めて思ってしまいました(笑)。

 グルメ漫画として読むよりかは、人情動物コメディーと思って読む方が正解だと思いますけど、それでも色々な要素をバランスよく、そして非常にセンスよく並べた作品だなあと思います。
  

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2017/07/21

早良朋 「へんなものみっけ!」 1巻 ビッグコミックス 小学館

 博物館に務める学芸員さん達(結構変○)の日々のお仕事を詳細に紹介した、そんな作品です。

 主人公は博物館に派遣された事務局員ですが、そこで様々な<生態>の研究員さん達を”観察”することになっていきます。ある意味では純粋に「第三者の眼」として、(恐らく私以上に)生き物にのめり込み、日々を様々な生物の採集や研究、そして標本の管理などに費やす、そんな人々を描いています。

 ヒロインが鳥類専門で鳥類標識員というのが、なんだか妙に嬉しいですね。この中で、ぶり縄を使って木を昇るというシーンがあります(たった数ページですが)。

 「ぶり縄」というのは、見た目は2本の眺めの太鼓のバチを、長めのロープの端に1本ずつ縛っただけの、何の変哲もない、知らない人が見れば「何に使う道具?太鼓叩くの?」としか思えないものです。
 それを使って10m以上もある樹にガシガシと昇ったりというのは、私は出来ませんけど(体験させていただいて5mくらい昇ったことはありますが)、身近で使える人がいまして。。まあ、信じられないスピードでヒョイヒョイと昇っていくんですね。20m近くあるスギなんかに。そのスピードと不思議なぶり縄の使い方は、あっけにとられること請け合いです。馴れている人は、直径1m以上もあるモミなんかも平気で昇る人もいます(この場合、ロープの部分を少し長くする必要があるので、木の直径に応じて何種類か用意している人もいます)。

 林業なんかでは、最近はもっと誰でも使える簡易なアイゼンみたいなものなどで登る場合も多くて、あまり高くなければ簡易ハシゴで登る場合もあるようですけど、鳥類の調査の場合には、山中でそもそもハシゴなんか運べませんし、樹をあまり傷つけたくないというのもあり、「ぶり縄」を使う場合が結構あります。

 と、鳥のお話だけではなく、水生生物から花の破片の調査から、いろいろな動植物の意外性などや日々の博物館の目的や仕事などが、ちょっと変わった学芸員さん達を通じて描かれていきます。

 著者が博物館でアルバイトをしていた、という経験が、もの凄く役立っているようで、動植物の描写やその取り扱いについては文句なしといったところです。


 このように結構いろいろとトリビアな記載があって(私も知らなかった情報もあり)面白かったんですが、初っ端のカモシカのお話だけ、ちょっと気になったんですよね。。


 血だらけのニホンカモシカの死体を背負って運んでいる、そんなシーンから始まっているのですけど、何度か読み直したんですけど気になる事が。。。

 ニホンカモシカは特別天然記念物です。

 特別天然記念物の死体を発見した場合には、まず国に報告が必要で、当該市町村の教育委員会に連絡する必要があるんですが(その間、その死体は動かしてはいけない)、そういう手続とかがされてる気配がないんですよね。市町村の博物館の職員の場合には、県からこういう業務を委託されていたりもするかもですし(調査員として実際動いているのが博物館の職員ということもあるようなので)、この辺の手続きは必要ないのでしょうかね?

 まあ、博物館の指定は教育委員会がしているわけで、教育委員会の関連機関とも言えますし、手続きは簡略化されていてるのでしょうかね?

 鉄道の仕事をしている知り合いから、山中でニホンカモシカをはねてしまった場合の手続きが、本当に面倒くさくて大変(調査員が来て必ず立ち会わないといけないし、報告内容も面倒)、というお話を聞いたことがありましたんで、そういうのも気になったキッカケなんですけどね。。(まあ、道路で車やトラックではねてしまった場合は、放置する人の方が多そうですが、線路ではそうもいかないようです)。

 他の部分の描写が実にしっかりされているもので(鳥類の標識とかその他)、ここだけが何か手続き的に合ってるのかなあ?、、、ということが気になったのでした。。

 まあ、この辺りを真面目に書き始めたら、これだけで1話分になっちゃいそうなので、省略した方が正しいのかもですけどね(けど、その場合はコラムとかでも書いておいて欲しいなあ、とちょっと思ったりしました)。

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2017/07/12

中村朝 「僕達の魔王は普通」 1巻 ガンガンコミックスONLINE スクウェア・エニックス

 もう表紙で80%くらいネタバレしておりますが、魔王への道のりを弟に譲り(勝手に言っているだけですが)、人間の保育士の道を目指そうとしてしまう、何だかベクトルが変な方向に向いてしまった魔王候補の兄を巡るドタバタ・コメディーです。

 まあ、親の教育その他で覇道を学ばされ、皆の前では<指導者を演じる>ことにも真面目に取り組む、変な話、生真面目な魔王候補が、とあるキッカケで出会った保育園児との交流を通じて、なんだか変なスイッチが入ってしまったといったところです。

 ドタバタの原因は、このどこかネジがずれた主人公もそうですが、いわゆる次男という立場に甘えて、口では「次期魔王は俺だ!」とか言いつつ、本気で譲られたらそんな面倒なものイヤや、という弟もあり、まあその従者達もどこか抜けているというか、ベクトルがそれぞれおかしいという、パワーは半端ない筈ながら、何だかゆるゆるな魔物達。。

 とにかく何というか、生真面目で髪サラサラな兄上様の、何かというと悪に肩入れしてしまうという性格というか性質が、なかなか絶妙です。絵本の読み聞かせをするというのですけど、例えば桃太郎でここまで魔に肩入れしてアレンジしちゃうか!というくらい、それが嫌な監督役の保育士との掛け合い漫才の世界に突入してしまうというか。。

 全体的に<悪魔>といっても、怖さからは無縁でほのぼのとした展開。ある意味、何に対しても気を遣い(園児にも、そして魔物の立場にも)、無表情ながら明るく人間界に溶け込もうと努力する(もう殆ど違和感がないレベルに達してますが(笑))、そんな主人公のキャラが、この作品の雰囲気の全てを作っている感じです。

 どこか歪みつつも、こういう教育もありなんじゃない?と頷いてしまいそうな保育士修業を描く、そんなコメディー作品です。
 

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2017/07/10

井上智徳 「CANDY & CIGARETTES」 1巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

 難病の孫の治療費を稼ぐ為、リタイアした元刑事が再就職した清掃係の仕事は、実は謎に包まれた”暗殺組織”の一端だった。。

 絵柄が前作の「COPPELION」と変わらないので、ちょっとコメディータッチな雰囲気を最初は感じるものの、内容はハードです。何の躊躇もなく相手の頭を撃ち抜く”小学生の殺し屋”に面食らうものの、普通では稼ぎきれない多額の費用が必要な元刑事は、葛藤はいくらかありつつも、その”非合法組織”に脚を突っ込み、”清掃係”をすることを決断していきます。

 しかし、ヤクザ者など相手が相手だけに、何度も銃弾や追跡の中を走り回ることになるわけです。

 普段は何とも普通の女子小学生をしている”殺し屋さん”は、とにかく人を殺すことだけには感情を何も示さない、冷徹で迷いのない完璧な殺人マシーンなわけですが、そのようになった理由は、元刑事であった彼の直感なども踏まえて、徐々に明らかになっていきます。

 そしてその先にうごめくのは、裏で日本を牛耳っていると言われる”謎に人物”の存在であり、散りばめられた謎の点が、少しずつ線として繋がっていく、、、という作品です。

 絵柄の先入観を払拭すれば、なかなか楽しめるハードボイルド作品といったところでしょうかね。
  

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2017/07/04

吉田丸悠 「大上さん、だだ漏れです。」 1巻 アフタヌーンKC 講談社

 男子の「構造」が気になって気になってエロい事ばかり考えてしまうけど、他人になかなかそれが明かせずに孤独に悶々としている、思春期が暴走している女子高生と、なぜか人との接触を極端に避ける、見た目はイケメンだけど無表情で淡々とした男子高生。

 そんな二人がトイレを通じて(?)出会ったわけですが、彼が人を極端に避ける理由は、その体質にありました。。

 彼の特異体質の犠牲となって、次々と<本音>を口走ってしまう犠牲者が続出しますが、そんなシチュエーションを通じて、ある意味、互いにコミュ症であった二人の、ちょっとぎくしゃくした”青春”が綴られていく、そんな作品です。

 ある意味、設定がとてもシンプルなんですね。「本音を口走る」というのも、勿論本人の意図を超えているわけで、混乱も生じてしまいますが、いい方向に転ぶこともあるわけです。

 そしてヒロインの大上さんも、エロいと言っても、なんだか国語辞典でヒワイな単語を検索して、なんだかドキドキしてしまうような、お前は小学生かっっというくらい可愛いものです(・・・まあ、けど高校生ですからね。お互いに。うんうん)。 

 あ、いや。。。けどコンビニの角のコーナーでアレな本をつい読んじゃったりしてるので、、、暴走してますね。やっぱり(笑)。

 もう一人の主人公の方は、あまりに淡々として感情がないのかよっ という能面キャラですが、基本は生真面目で、超が3つくらい不器用。

 そんな二人が、クラスメートとも徐々に交流を増やし、青春していくわけですね。

 なんだか妙に心配で見守りたくなる、そんな二人を描いた作品です。

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