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2017/05/26

史群アル仙 「史群アル仙のメンタルチップス 不安障害とADHDの歩き方」 全1巻 秋田書店

 作者が自分の不甲斐なさにさいなまされ、誤診による薬物障害で迷走し、ある日やっと”自分を発見”し、そしてネット上で”史群アル仙”が発見されるまでを描いた、ある意味では「史群アル仙のこれまでの足跡」を、ADHDという障害との長い付き合いを通じて淡々と綴った、そんな一作品です。

 作者が抱えていた数々の問題や、自分でコントロールできない感情、情動を淡々と綴っていますが、何かに集中しすぎると周りが見えなくなるとか、ついつい思った通りの事を喋ってしまって湿原を繰り返す、という辺り、私自身も少し経験があるというか、、、思い当たる節は沢山あったりします。。まあ、生活に支障を来すほどの悩みや大失敗、とまではいかない程度ではありますが。

 とはいえ、私自身がADHDなのか、という話ではなく(とか言いつつ、簡易チェックはやってみて陰性でしたが(汗))、ある意味ではその延長線上に、”生活に支障を来す程の問題”となるレベルで悩み続けた作者がいたという、、、つまりはADHD(注意欠如多動性障害)は、病気というわけではなく線引きというか”程度の問題である”という事を、改めて認識させられた、という感じですね。

 現在も別に症状が直った訳ではないようですが、自分自身が何なのか、何故そう行動をしてしまうのか判らない、理解ができない、、、幼少の頃からそんな生活を続け、そしてアルバイトや仕事でも失敗ばかりで、まともに働くことも困難を極め、そして最悪なのは”ヤブな精神科医”(・・・という表現は、作者は極力避けているようですが)に当たってしまった為に、さらにアンコントロール状態に拍車が掛かり、、、とうとう精神病院に自主入院するところまで追い詰められてしまったという。。

 それを救ったのは、いろいろな意味で周囲の人々の気遣いだった、ということなんですよね。

 勿論、周りの人もなぜ作者が極普通と思われることが全く出来ないのか、不思議でしょうがなかったと思います。本人以上に。けど、ある意味では、それも”個性”と捉えて支え続けてくれたということですよね。。

 私はネットではなく本屋さんでの初見でしたが(デビュー作「今日の漫画」)、1ページめくって、2ページめくってと1ページという短編を読み進める中、こんな話をたった1ページに収めるのは凄い才能だなあと思ったんですが。。

 実は、それが完全に<誤解>であったことが、この本を読むことで判ってしまいました。。
 要するに”発見された当時”「1ページというスパンでしか作品を作れなかった」んですね。この症状のために。

 けど、その1ページの中に、何故ここまで訴えかけるような深いメッセージが込められるのか、というのも逆にこの”症状”如何だったような気もしてきます。そして、ある意味では”才能”として開花した部分でもあったのだと思います。

 本人も発表直後、ツイッターのフォロアーが爆発的に増えるのを見て恐ろしくなったでしょうけど、当時”発見”した人達も、本当にビックリしたんじゃないかなあ、と思ったりします。それだけのインパクトが、1ページずつの作品の中に押し込められていましたから。

 ADHDについて理解して欲しいという作者の想いと共に、この作品はある意味では”史群アル仙のautobiography(自叙伝)”とも言えるんじゃないかなあ、と思ったりしました。

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