« 上山道郎 「オニヒメ」 2巻 ヤングキングコミックス 少年画報社 | トップページ | 双龍 「間違った子を魔法少女にしてしまった」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社 »

2017/05/18

おざわゆき 「傘寿まり子」 3巻 KCDX 講談社

 「傘寿=80歳のお祝い」というのをあまり知らなかった私です(汗)。

 主人公はそのまま、80歳でひ孫もいる、小説家のおばあちゃんです。

 旦那さんには先立たれ、息子夫婦と同居をしていたわけですが、もの凄い理不尽な話ですが(・・・けど、実際にあり得る話なのかなあ、、)、家のリフォームを家人で検討する中、主人公の部屋は作らないという強硬な嫁の自己主張(主人公の持ち家ですよ?)に嫌気がさし、家出することにした主人公。。。

 ある意味では、部屋に籠もって小説を書き続けていたために、世間知らずで過ごしてしまい、そして義理で続いていたエッセイも打ち切り目前という現実にも打ちのめされ、、、

 ともすれば、とても暗いお話になってしまいそうなんですが、そこを乗り越えられたのは、異様な程ポジティブで好奇心旺盛な80歳の性格(笑)。ネットカフェで寝泊まりしながら、若い頃に憧れた殿方と出会い、ラブロマンスが生まれたりと、、、”老人の青春”していたりします。

 ただ、楽しいことや好奇心の赴くままに行動する中、必ずそこに立ちはだかるのは「80歳」という年齢です。。

 家出をして部屋を借りようにも、保証人のない、下手すれば何時死ぬかもわからない80歳に、すんなり貸してくれる不動産屋などある筈もなく。あらゆるところで何らかの形で老人扱いという<差別>をされ、一方的な思い込みで怒鳴り散らされ、、、

 それでも彼女は、逆境を噛みしめながらも諦めず、好奇心という武器を片手に、3巻ではとうとう「ネトゲ(ネットワークゲーム)」にまで突入することになりました。すげー!

 いろいろなことを考えさせられる作品ですが、いわゆる老人を主人公とした様々な作品と少し違うところは、主人公の考えの中には「今どきの若いもんは」とか、「昔は良かった」というような、ありがちな感情が皆無であるということですね。

 ある意味では、小説書きに没頭していたが故に、社会から隔絶されていたわけではなかったんですが、意識が社会から遠ざかってしまった期間が長すぎた、、、ある意味では、若い頃から80歳にタイムスリップしたのに近い感覚なのかもしれません。

 なので、自分の身や周囲の人々に起きる出来事を、素直にストレートに捉えて感想を述べている訳です。自分は老人であるという感覚はなくとも、廻りがそう見るという現実、同年代の人々は自分とは違う考え・立場に置かれているという現実、またある意味では、若者と何の先入観もなくコミュニケーションを取れば、いろいろなことを教えて貰え、判ってくるという現実。。

 家族のあり方、老後の過ごし方、そして老人とは一体何なのか、何ができ、何ができなくなるのか。。

 気持ちは若く、ポジティブな主人公の快活さや好奇心に救われながら、様々な重い現実とともに、ある意味では自分の思いや周囲の視線で、思い込みで作られた<老人>という殻を、客観的に捉えて見せてくれる、そんな作品じゃないかなあと思ったりしました。

 また、様々な事件や出会いが次々に発生し、出会いと別れが次々と訪れるもので、ある意味ではとてもドラスティックな旅というより、御老体の<冒険活劇>とも言えるかもしれませんね(笑)。

|

« 上山道郎 「オニヒメ」 2巻 ヤングキングコミックス 少年画報社 | トップページ | 双龍 「間違った子を魔法少女にしてしまった」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社 »

C_叙情系」カテゴリの記事

C_日常系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21254/65294472

この記事へのトラックバック一覧です: おざわゆき 「傘寿まり子」 3巻 KCDX 講談社:

« 上山道郎 「オニヒメ」 2巻 ヤングキングコミックス 少年画報社 | トップページ | 双龍 「間違った子を魔法少女にしてしまった」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社 »