« 丸山朝ヲ/棚架ユウ 「転生したら剣でした」 1巻 バーズコミックス 幻冬舎 | トップページ | 板垣巴留 「BEASTARS」 3巻 少年チャンピオンコミックス 秋田書店 »

2017/05/12

タイム涼介 「セブンティウイザン」 2巻 BUNCH COMICS 新潮社

 夫65歳+妻70歳。どう考えてもシルバー世代の子供のいない夫婦。

 淡々と仕事をしてきた夫は何の感慨もなく定年退職の日を迎えたその夜、70歳の妻から聞かされた大事なお話とは、、 「妊娠しました」、の一言でした。

 70歳で迎える<初産>。。。

 体外受精でも不妊治療を改めてしたわけでもなく、突然の”自然妊娠”という突拍子もない現実に、この二人はどう向き合っていくのか。。そんなある意味、<ファンタジー>とも言えますが、年齢という<現実>に厳しく立ち向かわなければいけない、二人の出産・子育て物語です。

 1巻は出産編、そして2巻は育児編(首がすわるまで)を描いています。

 とにかくあらゆる事がグルグルと頭の中を巡ってしまいます。。

 いわゆる不妊治療の一環として「体外受精」なども一般的となりつつあり、40歳を超えての出産も、まだまだ例数は少ないながらも数十年前に比べれば確実に増えてきました。

 その中で色々な問題が生じてきますが、不妊治療の辛さや成功確率がまだまだ低いことは別の体験エッセイにお任せするとして、「実際に産むことになったあと」について、コメディータッチながら、本当に真剣に考えさせざるを得ない、そういう作品になっています。

 40歳で子供を運良く授かったとして、その子が成人する頃には母親は60歳です。父親は成人するまで仕事に就いていられるか、それも真剣に考えないといけないわけです。

 ましてや70歳、、、どう考えても「おばあちゃん」の歳です。義務教育を終了するまで元気でいられるか、というより変な話、いつ何時、体調を崩して倒れてもおかしくない、そんな綱渡りしていてもおかしくない年齢ですよね。

 そんな妻を支えるのは、定年退職して悠々自適な老後を妻と凄そうと考えていた、仕事一筋のごく普通の夫です。

 ある意味、定年退職後の育児という設定にしたところは、偶然なのかも知れませんけど効果的な設定になっているな、と思いました。

 定年後に孫ならまだしも、子供が出来るなんて設定は通常あり得ないですが(笑)、あり得ないからこそ<ファンタジー>であり、極端な事例を踏まえた<高齢出産後の子育てシミュレーション>になっているわけです。

 ある意味、毎日ヒマな旦那さんを子育てのアレコレに参加させることは、夫が忙しければ全て妻がやらなければいけない手続きその他が、それがどれだけ膨大な量で面倒極まりないなのか、改めて男性からの視点からも描けているんじゃないかと思うんですね。

 大抵、この繁雑な作業は妻だけが抱え込み、愚痴ってしまうだけで終わりがちですが、高齢出産後の妻をサポートせざるを得ない立場の夫に、それを経験させつつ語らせ、考えさせているわけです。

 後期高齢化社会というだけではなく、高齢出産社会というものも、ここまで極端な事例はまずないでしょうけど、ある意味、現実問題として今後、考えていかなくてはいけないでしょう。ここでは育児という両親の問題として描かれている訳ですが、成人するまで両親が健在とは限らない、子供自身の問題についても、社会としてどう援助していくか、考えていく必要があるのだろうと思います。

 改めて高齢出産と高齢育児という現実問題にどういう心構えで取り組んでいく必要があるのか、いろいろなことを考えさせられる、けど問題は抱えつつもとても幸せそうな、そんな物語です。

|

« 丸山朝ヲ/棚架ユウ 「転生したら剣でした」 1巻 バーズコミックス 幻冬舎 | トップページ | 板垣巴留 「BEASTARS」 3巻 少年チャンピオンコミックス 秋田書店 »

C_叙情系」カテゴリの記事

C_日常系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21254/65269246

この記事へのトラックバック一覧です: タイム涼介 「セブンティウイザン」 2巻 BUNCH COMICS 新潮社:

« 丸山朝ヲ/棚架ユウ 「転生したら剣でした」 1巻 バーズコミックス 幻冬舎 | トップページ | 板垣巴留 「BEASTARS」 3巻 少年チャンピオンコミックス 秋田書店 »