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2017/04/10

浅井蓮次/沢田新 「バイオレンスアクション」 1巻 ビッグコミックススペシャル 小学館

 デリヘルを装い、電話するとか弱い女子高生が派遣されてきますが、実はそれが凄腕の殺し屋、、、というお話です。

 相手をひるませて暗殺系ではなく、華奢な普通の女子高生が、自由業の方々を主なターゲットとして、容赦なく銃と刃物で殲滅するといった、タイトルに偽り無しのバイオレンスアクション作品です。

 冷徹と言えば冷徹。感情がないのか?という程にほとんど普通の女子高生の表情や会話をしながら、何の躊躇もなく最小限の動きでターゲットを潰していく、そんな殺し屋少女達のお話です。 ある意味では、あまりにも「お仕事」としての割り切りが強く、命令された以上の行動は行わない、職人と言えば職人気質(?)な少女なんですが、どちらかと言えば「精神的にどこか壊れている」、、、という表現の方がピッタリかもしれません。

 感情も何もない訳ではなく、殺す事への感情移入や躊躇が微塵もない以外は、普通のどこにでもいる女子高生(演じているのではなく、素で)、という設定。ちょっと普通とは違うのは、<簿記検定2級>を目指して日々勉強している(こっちのお仕事中でも(笑))というところ。この辺が、ある意味ではキャラの個性でもあり、そして、、、何かしらの生きる上での目標を掲げることが、部分的に壊れた心を”見た目”正常に生活する上での重要な鍵になっている、、そんな気もします。

 日常生活の極普通な感受性(があるように見える姿)と、まったく感情移入なく「仕事」と割り切ってあっけらかんと殺戮を繰り返し、ターゲットの心を時に惑わせる、そんな奇妙な殺し屋の活動を、オムニバス形式(1話完結)で綴っていくわけですが。。

 題材としては、女子高生が実は凄腕の殺し屋、という設定は色々な漫画にもなっているわけですが、脇役的な位置づけが多く、また葛藤を抱えていたりもします。実生活では”演技”をして普通の女の子を演じていたりとか。この作品の場合には、少し味付け方が違います。

 映画で言えば「レオン」で、殺し自体に何の躊躇も感情もない少女が描かれていますが(それ以外は極普通の少女でしかない)、恐らくはそれに近い、と言ったらいいんじゃないでしょうかね。普通の人間であれば、色々な感情や葛藤、嫌悪感などを感じる「殺人」という行為に対して、その部分だけがあまりに<日常化>し、精神的に罪悪感も含めてそういう感情から切り離されてしまっている、そういうある意味では「微妙なバランスの上に成り立っている殺し屋」とも言えます。

 作中でも、少女にボロクソに言われる中年の運び屋(運転手)がいるわけですが、バンを運転中の彼がいうセリフに「君たちはこわれやすいから・・・」というものがあります。まあどう考えたって”壊れて”いる訳ですが、殺し屋として成立し、日常生活も送れているのは、微妙なバランスの上に成り立った精神状態が維持されているからであって、運び屋の男の仕事は、ののしられようが何しようが、そういう”彼女達”のメンタルの部分のバランスを維持することも仕事として含まれているわけです。

 ある意味、現状では<完成>された殺し屋少女は、様々な困難やイレギュラーな状況を渡り歩き、それを直感と身体能力で強引に克服していくわけですが、果たしてどこまで走り続けられるのか、、、

 もしかして、簿記検定2級に合格するまでなのか!(違)

  

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