« okama 「Do race? 」 1巻 ヤングアニマルコミックス 白泉社 | トップページ | 末松正博 「UNTOUCHABLE」 1巻 ビッグコミックス 小学館 »

2017/03/28

ごまきち 「鷹の師匠、狩りのお時間です!」 1巻 星海社COMICS 講談社

 これは現代の鷹匠の物語といえば、まさにその通りのお話なんですが、他の鳥作品と一線を画するのは、作者本人が<鷹匠>であるということです。

 そして内容は半端ないです!!

 最初、タイトルを見てから、鷹匠と猛禽類を題材にした4コマコメディ漫画かな?と思って読み始めましたが、実はタイトル自体に重い意味が込められているのですね。。

 内容の半端なさは、その経験に基づく知識と、猛禽類という人間とは全く異なる生物と共同作業を行い、向き合う姿勢に表れています。タイトルの通り、タカと人間の関係は信頼関係もさることながら、外側から見ているのと違う、<主従関係が逆>に近いものであることが、読みながら理解していくことができます。

 動物やペットであるなら、犬と人間の関係が一般化し過ぎて、人間がヒエラルキーのピラミッドの上位に位置する、という思い込みというか<刷り込み>がある気がするんですね。

 しかし、鳥の場合には全く異なる訳です。基本的に猛禽類は単独行動ですし、群れといってもリーダーが居るわけではなく、実は結構バラバラだったりと、違うのが当然なんですが、どうも<飼う>という行為が身近な体験から一般的に認知されているなあ、、と思ったりしました。

 鷹匠の場合、人間は鷹のための”発射台”に徹する、いかに狩りがし易いよう、タイミングや獲物の状況もよく見極め、タカの反応を見ながら”合わせ”る、、、という事になるそうですが、本当にドキュメント番組を見る以上に、リアリティーをもって描かれているんですね。。

 絵柄はシンプルな4コマ系の絵柄ですし、緻密に描き込まれている訳ではないんですが(けど鳥の絵はどれもやはり上手い。特にバランスが)、飼っている猛禽の描写や行動、そして習性、彼らとの付き合い方、そして獲物tとなるキジやカモ類の性質や特徴、行動特性など、一応、鳥の調査をしている人間から見ても、「え、そんな違いがあるの!?」とか「おお、ここまで描くのか!」とか「やはり自分で触ってると違うよな。。」とか、驚愕と感心の繰り返しでした。

 本当に勉強になるというか、聞いてビックリな内容がさりげなくてんこ盛りでした。。オオタカとハヤブサの狩りの行動の違いは、それなりに結構な時間、観察もしていましたし知っていると思い込んでいましたが、嘴の形状がそれぞれ微妙に違い、そこには狩猟方法に基づく合理的な理由がある、というのをサラッと1コマで描かれていて、本当に目からウロコでした・・・。勉強になりました。

 何より、野生動物の保護施設(アニマル病院)への手伝いに行った際、保護されたオオタカの胸部や腹部の肉の付き方を触りながら、遺伝的に野生のオオタカでありながら、それが巣などから違法に捕獲されて飼育された個体だと見抜いたあたり、本気で猛禽類と付き合い、対峙し、観察しているからこそ判る、本物の”プロ”なのだなあと、ある意味では畏怖すら感じたりしました。。

 取材してというのではなく、自ら師匠について学び経験したことを描いていくわけですけど、鳥を題材にした漫画というのも色々とありますが、とにかく自分で観察した内容を描くということに勝るものはないなあ、、、と改めて思いました。

 勿論、鷹匠について本気で取材し、もの凄いリアリティーと共に描いた作品は、他にも無いわけではなりません。矢口高雄の「イワナの恩返し」の中に、オオタカでもハヤブサでもなく、クマタカを用いた、スポーツ的な鷹狩り(オオタカ)とはまた違う、”生活のための鷹匠”についての物語が描かれています。

 これがまた野生のクマタカを捕まえる所から何ヶ月もかけて訓練するところまで、実に丹念に時間をかけて行う姿が描かれている秀作です(但し、現在は種の保存法などもありますので、クマタカを使った鷹狩りは、もう行われていないですけどね。。)。

 他にも未読ですが、「はばたけ!太郎丸」もクマタカ(角鷹)を使う鷹匠を描いた作品です(これは電子書籍で読めるみたいですね)。


 脱線しましたが、とにかく4コマで少しコメディタッチで描かれているこの作品ですが、実は内容は半端ない、ということで。
 けど、マニアな人にしかその凄さは伝わらない、、、のかもしれませんね。。。
 漫画として面白いか、というよりも、コミックエッセイ的な作品と割り切った方がいいかもです(と予防線)。

   

|

« okama 「Do race? 」 1巻 ヤングアニマルコミックス 白泉社 | トップページ | 末松正博 「UNTOUCHABLE」 1巻 ビッグコミックス 小学館 »

C_サイエンス」カテゴリの記事

C_四コマ」カテゴリの記事

C_自然・動植物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21254/65073825

この記事へのトラックバック一覧です: ごまきち 「鷹の師匠、狩りのお時間です!」 1巻 星海社COMICS 講談社:

« okama 「Do race? 」 1巻 ヤングアニマルコミックス 白泉社 | トップページ | 末松正博 「UNTOUCHABLE」 1巻 ビッグコミックス 小学館 »