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2017/01/06

吉沢緑時 「NKJK」 全2巻 アクションコミックス 双葉社

 難病と闘う同級生を”笑わせる”ため、真面目で優秀な女子高生やその仲間達が、病室で必死に笑いをとろうと奮闘する、そんな作品です。

 お笑いなんて無縁だった生真面目女子高生が、自分なりに研究した笑いを繰り出し、空回りしていくというコメディー、という位置付けです。ある意味では不器用な西宝さんと、それをフォローする同級生、そして病院で知り合った師匠(少女)の奮闘記ではありますが、かなりシリアスな展開にはなっていきます。

 NKは「NK細胞」のこと。このNK細胞を活性化させることで免疫力を付けられるということなんですが、その活性化には”笑うこと”が効果がある、というのが、この際限なく滑りながら、学年トップの頭脳を駆使して突き進む西宝さんの原動力になっています。

 1巻の葬式ネタ動画などは、かなりシュールというか際どすぎるネタだったりしましたが(ある意味で、一寸焦りました(汗))、その破天荒で、自分を捨てた行動によって、少しずつ同調する(というか放っておけない(笑))仲間も増えていきます。

 ある意味では不治の病かもしれない同級生の病室で、延々とお笑いネタをやり続けること自体、不謹慎と言われてもあれですが(ちなみにNK細胞の話や「笑わせて欲しい」という要望は、母親からのお願いであったので、家族からのクレームは心配無用)、じゃあ病と闘う人達はそれを望んでいないのか、といえばそうとも言い切れません。ある意味では苦しい、辛い治療の中で、クスリと笑える瞬間や時間は、とても救いになっているのかもしれません(勿論、個人差はあるでしょうけど)。

 ※昨今の不謹慎だどうこうの大騒ぎは、本人ではなく周りが騒ぎすぎじゃないかなあ、などと思ったりもしたり。。

 <同級生を笑わせる>という同じような流れの物語としては、シチュエーションがかなり異なりますが、「キッド アイ ラック(全3巻)」という作品があります。こちらはとあるショックで心を閉ざし、部屋から出てこなくなった幼なじみの女子高生を、どうにか笑わせようと必至に大喜利に挑む元不良高校生のお話です。主人公が不良とはいえ本当に<大真面目>で<必死>で、色々なものをかなぐり捨てて「笑わせること」に邁進(暴走?)するという物語。ショックが大きすぎるので、途中で引き籠もりを解消は出来ませんが、ラジオを通じて出会った<師匠>と共に、とにかく頂点までを目指して頑張る作品です。

 この2作品を通じて共通して考えさせられるのは、「笑いはなぜ必要なのか」、「なぜ笑わせようとするのか」という原点についてでしょうかね。。

 勿論、自分が注目されたい、目立ちたいから笑わせたいという人もいるでしょうし、喜んでいる人達や応援してくれる人達のために頑張るなど、価値観は人それぞれですが、「誰かを元気づけたい」という気持ちで笑いを取ろうと奮闘する、そんな姿がこの2作品では描かれて行きます。

 2巻の巻末まで読めば、死と隣り合わせなシュールなシチュエーションの中で、とぼけた笑いを満載して”誰か”を笑わせて勇気づけようとする為、この作者がこの作品を描くという<行動自体>が、実は”それ”であったことに気付かされます。。

 まあ、それは読んでからのお楽しみ、ということで。

 

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