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2016/08/05

小池桂一 「ヘブンズドア -小池桂一 Ectra Works-」 全1巻 BEAM COMIX エンターブレイン

 脳内麻薬がたっぷり詰まった、小池桂一の短編集の新装増補版です。

 超寡作な作家さんなので、「ウルトラヘブン」の3巻が出たときは、あまりに間が空きすぎて、まだ続いていたのかとビックリしましたが(違)、まだ続いているようです(笑)。
 これもまたそのうち続刊が出るだろうと巻末予告を信じつつ、、。

 知っている人は知っている、という感じですけど、とにかくこの人の作品の特徴は<ヤバさ>といいますか、帯の「ペーパードラッグ」という表現は、本当にピッタリじゃないかなあと。

 夢と現実の垣根を越えて、緻密なビジュアルが誌面の上を飛び回り、不条理とも言える不思議な夢の世界や瞑想(迷走)、幻覚の世界へと誘われます。トリップで埋め尽くされ、そのコマ割の自由さによって幻覚と現実が溶け合うように融合していき、境界がまったく無くなっていく様は、読んでいくともう脳内の認識力が掻き混ぜられていくような、本当に麻薬を経験しているかのような感覚を受けます。

 本当に不思議なのは、別に私たちは麻薬なんて経験したことはない訳ですけど(・・・してませんよね?)、きっとドラッグをやったら、脳というか心の中はこんな風に色々なものが混ざって認識されるのかも、と何の疑いもなく思わされてしまう事じゃないかなあと。。
 夢の中にしてもそうですが、意識が混濁した中だと、あとから考えれば辻褄が合わないような事象や展開も、描写されているように何の疑いもなく受け入れ、その中で流されるように動いている、そこに変な話ですが”違和感”をあまり感じない。

 これは何というか、物語の構成自体が、それぞれの人々がちょっとは経験したことのある<夢>とか熱にうなされている時の<妄想><幻覚>で受けるイメージを、かなり的確に漫画という構成物の中に再現できているからじゃないかなあと。。恐らくそれらの入口というか、とっかかりの経験を介して、そこからさらに広げたイメージ世界が<本当に脳内の幻覚世界>であると認識させられてしまうと。。

 まさに脳内バーチャルリアリティーの世界かもしれません。。

 掲載されている多くの短編の中には「現実の時間軸」という視点が何らかの形で組み込まれています(全て妄想の中としか思えないものもありますが)。そういう立ち位置を確認出来たとき、そこまで描かれていた不思議な物語が、<脳内で作られた妄想や夢>であったことを認識することができます。この軸がなければ、本当にドラッグ状態に陥ってしまうかもしれないなあ、という感じもしますね。。

 夢や幻覚の世界って、映画などのビジュアルでも色々と再現されてはいますけど、漫画でここまでの表現ができるということが、本当に驚愕だなあと。
 逆にこれを元にして映像化って絶対無理じゃないかなと。もし仮に出来たとしたら、見ている人が現実感を失いかねない、もの凄く危険な動画になってしまうような、そんな気がします。。

 

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