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2016/07/22

こがたくう 「宇宙のプロフィル」 全1巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

 ある意味では”地球”もしくは”太陽系”の時間軸の中から、ほんの少しずつの小さな物語をより集めた、そんな短編集になっています。

 地球もしくは太陽系の寿命を考えれば、人間の生きている時間の数十年は、一瞬にも満たない時間でしかありません。そんな人間や”人間でないもの”の視点を通じて、色々な味付けの物語を綴っている、そんな感じでしょうかね。

 時間軸は数十年から10万年、そして50億年とか、それぞれの短編毎に、ある意味では縦横無尽に駆け巡っています。各短編には明確な共通点や共通軸はない、とも言えますが、<時間>というそのものが、ある意味ではベースとなっているとも言えます

 時間がテーマ、、とも言えるかもしれませんが(SFでは基本となる題材ではありますが)、また少し違う気がするんですよね。

 この作品の凄いところは、その<時間の魅せ方>ではないかと思うんです。平気でさらっと100年とか10万年とか何億年、何十億などという時間単位が登場するわけですけど、物語の繋げ方や演出などから、そのスケール感がイメージとして頭の中にすんなりと違和感なく構築され、すーっと入り込んでくるんですね。概ねどの物語も。

 絵柄自体も、何というか80年代の女流SF漫画家さん達を彷彿とさせるようなイメージがありますが(勿論、この作品の方が洗練されている、、かな?)、ストーリーで読ませつつ、眼には見えない<時間>というものを、その物語の”視点”となる登場人物から見た<現状>から感じさせてくれる、そんな感じです。

 特にその集大成は、最後の短編ではないかと思います。時間の流れを一コマ一コマで描いていくという走馬燈のような手法は、勿論いままでも手法として使われることは多いですけど、、、

 ・・・作品自体に共通点はない、と最初に書いてしまいましたが、実はそれはウソです。

 最後の作品では、そこまでに掲載された各作品の時間軸も、上手に使われているのです。ある意味では、この短編だけを読んでも時間イメージは十分、伝わるとは思うんですが、一連の短編集として最初から最後まで読んだとき、よりその気の遠くなるような永い<時間>のスケール感を、気持ちよく味わえるように構成されているんですね。相乗効果をうまく活かしているというか。。

 時間という、ある意味では一番難しい題材を、こうも縦横無尽に好きなように弄り廻して料理ができるというのは、なんか凄いものを感じました。。

 恐らく、80年代のSF作品が好きな方には、たまらないんじゃないかなあ。
 勿論、それを知らない人でも、漫画にはこんな表現力があるんだということを感じられるんじゃないかと思います。
 
 それぞれの登場人物が何かと別れ、そして出会う。。なんというか、読後感がとても気持ちの良い作品群でした。

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