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2016/05/09

本田 「ガイコツ書店員 本田さん」 1巻 ジーンピクシブシリーズ メディアファクトリー

 登場人物はガイコツやら何やら、ハロウィンがそのまんま飛び出てきたようなキャラに置き換えられていますが、内容は異様なほど<現場>の空気に支配された、、、そんなリアルな初年の漫画コーナーの”戦場”を描いた作品です。

 書店に勤めたことはないので、どこまでが本当かという部分は保証はできませんが、日々発売されまくり、そして店頭から消えていくコミックスの山を眺めていれば、これが<実話>に基づいていることは容易に想像ができます。
 気軽にお勧めを質問されてパニクったり、外人さんの対応でワラワラしたり、本当にあるあるに近い雰囲気が醸し出されています。
 私でも「何がお勧めですか?」とか聞かれたら、一言では返せません。。。その人がどんな漫画が好きなのか、探りを入れるところから始めないと、漫画の好みって千差万別ですからね(特に私がここに記載してる漫画って、一般向けとは言い難いものが多いような。。。)

 そして何より大変なのは、やはりバックヤードでの仕分けなどの地道な作業でしょう。コミックスには書籍扱いと雑誌扱いの2種類があるのは知っていましたが(ただの出版社の都合とISBNの問題としか認識していなかった)、その違いによってこんなに書店内での扱いが異なるというのは、改めてこの作品を通じて学ばせていただきました。コミック担当書店員の書籍というのは、過去にも書籍やコミックスで出版されたことは何度かありますが(全部は目を通していませんけど)、この内容がいまの”最新”かなあと思います。

 いろいろと勉強になることもありつつーの、ある意味では、やはり<書店の限界>というのも改めて感じさせられることです。。
 この作品の場合、コミックス担当だけで常時数人おり、漫画部門だけで全部で5人近くは働いている計算ですから、余程大きなコミックスコーナーを持った大型書店と推察されますが(コミック専門店ではないとのこと)、そんな恵まれた書店、そんじょそこらにはありません。「ない」と断言できるのは、やはりコミックスコーナー、特に新刊と、既刊本に何を並べているかを見れば、漫画専門の担当者がいるかどうかはすぐ判りますんで、、、ちょっとした書店(中~大型?)で、漫画担当者なんて1人か、多くても2~3名いればいい方で、その担当者も必ずしも全ての漫画に精通しているような人は多くないでしょう。私が好きなマニアックでマイナー(?)な漫画を扱ってくれる店員なんて、そのうちの何%いるか(お

 多少漫画好きというレベルでは、取次から送られてくる漫画を冊数に応じて平積みするか、縦に並べるか分別して、あとは出版社毎にわけて、発売日の古い漫画やあまり動いていない漫画を売り場から撤去し、その隙間に並べて押し込む、、、それだけをするので精一杯でしょう。なんせ、漫画だけで毎月800冊は発売されています(書店に全て届くわけではなく、また取次によっては扱ってない出版社もあります)。

 「あまり動いてない」なんてのも、把握しきれるかといえば、それすらする余裕がない書店も多いでしょう。
 まあ、「よく売れている本」は、レジのデータ見れば一目瞭然なので、足りなければ追加注文しなきゃと気が向いて対応するとは思うんですが、そうではない本って、なかなか気が向けられないですよね。けど、漫画の需要も多様化しています。マイナーだけどコンスタントに売れる漫画や、ニッチな分野を狙った漫画など、「多様なニーズ」に応える為には、ラインナップの把握と充実は必要になります。
 ある意味、最近はいろいろとある「○○がすごい!」とか「○○お勧めの○○」は、最近はマイナーな作品にも脚光が当たるようになり、喜ばしいことではあるのかもしれません(私は食指が動かない作品も逆に増えてきましたが(汗)、それはやはり「多様化」が進んだ結果でもあるのではないかな、と思うことにしています)。

 で、問題は真剣に取り組めば、ここまで悲惨で死にものぐるいで対応せねばならない、書店のバックグラウンド、、、

 好きでなければ、こんな過酷な職場、耐えられるもんではないんだろうなと思います。
 よく、「好きなことを仕事にできるならいいじゃん」というのは、まあその通りでもあるんですが(私も動物に絡む仕事をしているので、よく言われますが)、「好きだから耐えられる」というのが正直な感想でもあります。
 好きでもないのにこんなブラックな作業、やってたら体が持ちませんよ。。逆にコミックにそこまで思い入れが無ければ、毎日、機械的に配本された本を並べて棚を整理する、そんなクリエイティブとは若干離れたルーチンに陥るのも致し方ないのかもしれません。

 日々、コミックが充実している書店が減少していくことを嘆いていますが、どこかこう、非生産的なルーチンを打ち破る情熱と、それを受け止められる書店の店長さんの度量が必要なんだろうとは思いつつ、現実にはそれが難しいんだろうなあ、、、と、この本を読んで改めて実感する次第です。

  

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