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2016/04/11

カワグチタケシ 「女王陛下の補給線」 1巻 講談社コミックス 講談社

 架空戦場もので兵站を扱う作品でありますけど、少年マンガらしい雰囲気があります。

 とある試験補給中隊の活躍を描くわけですが、副長が文字通りアレだったり、補給部隊なのに何だか強烈な最終兵器みたいなものがいたり、そして輸送専用の武装列車で戦場を往復したり、といった感じで、この辺りがただの兵站漫画とは若干違う、少年マンガらしさかなあと。

 で、ストーリー的には補給部隊という、前線から遠い場所で働く安全な兵隊という誹りを受け、必要なモノが届けられなかったら罵倒される、そんな立場に甘んじながら、<補給部隊としての戦い>として筋を通して全うする、そんな”机の上の兵隊”を描いています。
 ある意味では、飛び道具みたいなアレな兵士もいるにはいますけど、「補給という”武器”でいかにして戦うことが出来るのか」、という部分に重点を置いた物語構成になっています。

 戦争というのは弾丸と燃料の消費合戦のようなものですが、補給もせずに何日も動き回り、弾丸を撃ち続けることなんて出来ませんね。それは戦争映画あたりでやってもらえればいいわけで(違)、 小銃の弾倉だって、一人で大量には運べません。弾倉にはせいぜい20~30発しか弾丸なんて入っていないわけで、何ヶ月分もの銃弾を<抱えたまま>、移動しながら敵と戦うなんてどだい無茶な話です。戦車であれば弾なんかは50~100発程度、満タンにすれば4~500kmは走れるようですけど、やはり激しい戦いともなれば、補給無しでは戦えません。

 戦争物では補給路を断つというのはセオリーみたいなもので、大抵、補給部隊は奇襲されてあっけなく全滅、というのもセオリーですが(違)、実際の戦争でも、例えば太平洋戦争時に日本は補給線を否応なく叩き潰されたことも敗因の大きな一因といえます。

 逆に互いの補給線を絶てない戦争は、泥沼化しやすいとも言えますね。事例は挙げるまでもなく、今でもゴロゴロしていますが、どの軍隊もいまは補給線を非常に大事にしています。というか、それを疎かにしたら戦いには勝てませんから。
 実際の戦記などもよく知っていらっしゃる戦争漫画の大御所達も、補給の重要性は結構強調しながら描かれている方が多いです。メインは激しいドンパチを描くことなので、地味なのでクローズアップされる機会は少ないものの、それくらいリアルな戦争の上では、補給部隊、そして補給線は重要なファクターです。

 あとは<補給部隊だから出来る戦いと物語>を、面白く描ければいいわけですね。地味だけど大事な役柄を、皆さんよく勉強されているなあという感じです。

 この作品の場合には、若干補給の質が悪かった場合に、戦争で苦戦するという部分を強調しすぎている感はありますが、けど実際、不良品だらけの弾薬やら武器やらをあてがわれたら、兵士は本気で死を覚悟するしかありませんし、こういう切り口もありだよなあ、とか思った次第です。

  

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