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2015/12/10

狐面イエリ 「魔女の森」 1巻 マックガーデンコミックス マックガーデン

 この派手ではないけど独特な雰囲気は何なんだろう?と色々と考えたのですけど、児童文学とか童話とか絵本とか、そんな雰囲気が作品のベースになっているんじゃないかな、、と思います。

 魔女がそう特殊な存在でもない中世風な世界で、森に住む魔女ロゼ(幼女風)は様々な人々(獣人含む)と関わりながら、ある意味では静かに暮らしています。魔女の家に出入りするのは森で拾われ、娘として育てられ、魔女になることより人の愛をとった娘(もうおばあちゃん)。そんな森やそのほとりに住む人々の日常を描く、そんな作品です。

 この作品の独特な雰囲気は、作中で語られる次のフレーズに集約されている気がします。
  「魔法でできないこともある」
  「魔法が使えてもできないこともある」
  「魔法が使えなくてもできることはある」
 作中の言葉通りではないですが(記憶で書いているので(汗))、こういうスタンスの作品なんですね。

 魔女ロゼは魔法で何でも叶えるわけではなく、悩んで相談に来た人に、ある意味では<自分で解決しなければいけない>、<下手に手助けをしてはいけない>という感じで、あるときは諭し、あるときは何かを啓示するのみで、派手な魔法で解決してくれるわけではありません(といいつつ、人には見られていないところで、森の”流れ”を整え、”よくないもの”を取り除き追い払うということは、日々行っていますけどね)。

 魔女を頼って訪れる人々は、他愛もない会話の中で少々混乱させられながら、ある意味では落胆もします。けどそれをきっかけに、それぞれが自分なりの解決への道を選び、歩み始めるのです。そういう意味では、心理描写の部分に力点が置かれた作品になっていますね。

 絵柄や作風も含めて、本当に”童話のような世界”を、昔の童話の挿絵のような雰囲気も含めて、うまく作り出しているなあ、と思いました。そういう雰囲気の作品が好きな人にも、結構はまれるんかなと。

 巻末に収録されている「Happy end story」という短編が、この作者のスタンスというか、そういうものが凝縮されている気がします。種族を越えた愛を貫こうとした二人に、<寿命の違い>という大きな壁が立ちはだかり、それを二人は、そして残される者はどう乗り越えていくのか、、ある意味では物語の部分的なエピソードにしかならない、良くありそうなその小さなテーマだけを、ここまで掘り下げて描くというのは面白い感性だなあと思いました。

 なんか魔女とついてると最近、つい手に取ってしまう私ですが(汗)、これはまたいい感じの作品に出会えたなあと。
 そして同じ<魔女>と付いていても、基本を押さえながらも、色んなアレンジの仕方があるんだなあと。。

  

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