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2015/11/05

ヤブガラシの生育条件についての一考察【2016.12.20 追記あり】

 さて、「ヤブガラシ撲滅大作戦」の方に「こんな駆除方法もあるよ」とのコメントを戴いたのですが、真偽がどうしてもわからなかったもので、そちらのコメントの表示ではなく、ここに少し私の疑問や考察も踏まえて書かせて戴きました。

 紹介されたのは、「ヤブガラシを切らずに解いて、土の上に巻いて丸めておくと、役目を終えたと思い消滅する」というお話でした(上記のキーワードで検索すれば、紹介されたページが出てくると思います)。

 もうピークの過ぎたこの時期に紹介されても、私の方で検証ができないので、確証がないものを記載するのもどうかなあ?と思い、とりあえずブログの方で疑問に思ったり、こういうことかなあ?とあれこれ考えたことをつらつら書かせて戴きます。

【2016.12.20 追記あり】

■ヤブガラシはどんな環境が好み?
 ヤブガラシ自体、どこにでも繁茂しているようでいて、実は植物を覆い尽くしたり斜面を覆い尽くすほど繁茂することはありませんね。少なくとも河原の土手斜面やのり面に繁茂するクズとは違って。

 実際、完全にヤブガラシに覆われて枯れそうになっている樹木が野山にあっても不思議ではありませんが、少なくとも私は見たことはないです。
 さらにいえば、林の中にヤブガラシが生えていることはありませんね。林縁部などが多いでしょう。

 その代わり、管理の行き届いた公園の周辺とか、街路樹の植え込み、そして人家の庭などに結構見られます。庭の手入れをしないとビンボウカズラ(ヤブガラシ)が繁茂する、というのもありますが、そこには野山の雑木林とは違った共通点があるかと思います。

 うちの表庭でも、樹林の下には実はあまり植物は生えていません。母親が自分で植えた植物以外、丁寧に引っこ抜いているが為に、まあ裸地化している部分が多いのかもしれまへん。
 恐らくですが、そういう草が少ない場所で、周囲に絡まることのできる樹木がある場所では、ヤブガラシは勢いよく伸びるようです。



■ヤブガラシが生育しにくい環境は?

 ヤブガラシは他の草本類等の植物の勢いが増してくると、被覆されて勢いを落とし、見えなくなってしまいまうようです(完全に枯れる訳ではなさそうですが)。
 逆に言えば、草木が少ない(完全な裸地ではなく、絡まる草木があることは前提)場所には、勢いよく繁茂していますよね。公園の周囲や、街路樹の下の植え込みなんかは、年に数回は除草(草刈り)が入り、下草が除かれて好適な環境になっているわけです(草ボウボウにしてたら、近隣住民から苦情来ますから)。

 結論から言えば、ヤブガラシの勢いをそぐなら、他の雑草を生え放題、樹木で暗い状態になるまで被覆するのが効果的なのかもしれません。

 けど、そうもいかずに中途半端に、樹木の下に草が少ない、ある程度陽の当たる状態となっている場合、ヤブガラシにとって一番好適な環境が広がっているということになります。
 その辺の雑木林の中にはたいして生えてないのに、林縁部や家の庭など、土壌が草で完全には覆われていない環境で大繁茂してしまうのは、多分そういう理由からだと推定されます。


■【考察】 ヤブガラシの休眠

 じゃあ、上でやっている「解いて巻いて置いておくと、”役目”を終えたと思っていなくなる」は、一体どういう理屈なのか?

 正直に言えば、生物屋の私には理解ができませんでした。。。特に「役目」って何?と。

 植物もある意味、繁殖戦略を持ち、隙あらば常に繁茂しようとしているわけです。衰退するのは環境がその植物の生育に適さなくなった時(水、日照、害虫その他、色々な理由により)と考えられます。
 水が切れている訳でもないのに、自ら枯れて消えるということは、正直あり得ないなと。


 けど、仮に巻いて置いておくだけで、”草の部分”が枯れてしまうということが事実なのであれば、、、、

 それは何らかのスイッチによって「根が休眠状態に入った」のだと推定されます。

 つまり、何らかの刺激によって、「あ、いまはここで頑張っても無駄だから寝てよ」というスイッチが入り、根が芽を伸ばすのを止めるのではないかなと。
 そういう理屈なのであれば、個人的には納得ができます。


 けど、これは解決策になるの? といえば、微妙なところですよね。。


■【考察】 ヤブガラシはなぜ急に増えたのか?
 実はうちの庭は、立て替える前はヤブガラシなんてそんなに目立つ存在ではありませんでした。樹木がそこそこ育って、林の中は暗い照葉樹林のような感じだったので、多少は見た覚えはあるものの大繁茂はしていなかったと。

 その庭は建て替えの際、樹木を整理して切ったり移動したり、石を動かしたりでほじくり返し、そこそこ開けた環境になったんですね。その途端、わっとヤブガラシが繁茂し始めました。
 庭を弄った際に太い根を裁断して撒いてしまったことも一つの要因ですが、元からあった根からも一気に吹き出すように芽が伸び出しているようでした。
 要するに多くの根は「最低限の芽だけ伸ばしていた」か「休眠」していたのだと思います。それが一気に適した環境となったので大繁茂しだしたと。

 ちなみに庭の一角に、樹木を切らずに比較的年中暗い場所が少しだけ残っています。そこにもヤブガラシは生えているんですが、いま考えてみると太い根は埋まっていたものの、上に出てくるツルは大して伸びておらず、勢いは他と比べても弱かったですね。


 要は根が休眠しても、「不発弾を埋めたまま」にしているわけで、結局、どこか伸びた根の到達点がヤブガラシに適した環境になれば、ポンとまた出てきて繁茂するでしょう。

 うちの庭の木々は、切り詰めたり新たに植えたものも多く、まだまだスカスカの状態です。ただ、あと5~10年もすれば、ヤブガラシの生育には適さない、地面を被覆した樹林に育つかもしれません。

 けどまあ、先々どうなるかも判りませんし、私は不発弾だか地雷だかは、ゼロには出来ずとも、極力取り除いておきたいなあと思います。


 上の「解いて巻いて置いておく」、というのは来年にでも試しては見ようかと思います。
 が、あくまで個人的にはですけど、私は決定打ではないような気がします。仮にその場所だけ”地上部”が枯れたとしても、根が残るわけですからね。。


■【検証結果】巻いて置いておいたら、本当に枯れるのか?【2016.12.20 追記】
 この巻いて置いておくだけで駆除、という駆除内容がずっと気になっていたのですけど、幾つか実際に検証されているブログをやっと確認できました。

ヤブガラシの撲滅方法を検証
http://spygrass.blog102.fc2.com/blog-category-23.html#no3635

厄介な雑草 ヤブガラシの駆除 ただいま続行中!!
http://blog.goo.ne.jp/akirunosakaue/e/a3eba0395933536330a0511224fac8aa


 「やっと」というのも、この方法を「簡単な方法があった!」と紹介しているページは随分と沢山あるんですけど(まあ、それだけ苦労されている人が多いんでしょう)、「やってみた!」まではあるものの、「やった結果どうなったか」が書かれているものがほぼ無いんですね。

 私も実際、少しやって続けてはみました。
 結論から言えば「勢いは落ちた」だけでした。

 1~2ヶ月程度は様子を見ていたんですが、単に上に伸びることができない(阻害されている)ので、ツルに栄養を送るのを止めて、そのうち勢いが落ち、もしかしたら「伸びていたツルは」枯れるのかもしれないのかなあ(けど気配はない)、というところです。

 上のブログの状況を見る限りでも、結局は私が実施した場合と似た結果になっていたようです。
 とりあえず勢いは落ちる。生長は緩やかになる。けど何か枯れない。周辺から新しい芽が出てくると。
 なので、中途半端な結果にしかなっていない、、、けど失敗とも結論しにくい、、、けどまあいいか、ということで、「やってみた」けど「結果」を報告しているページが少ないんじゃないかなあと。


■【結論】限られた環境では効果があるの・・・・かも?【2016.12.20 追記】
 結論を言ってしまうならば、植物に限らず、「生物は無駄なことはしない」というだけのことでしょうね。

 庭木を含めて樹林が十分に育っている場所(暗い場所)であれば、クルクルと巻いて暗い地面に置くことで、以下のサイクルが発動する可能性があります。

「芽を伸ばしても太陽が当たらない(巻かれたから)」
 →「芽を伸ばすためにエネルギーを使う必要はない」
 →「ここは芽を出す環境じゃない(投資するのは無駄)」
 →「じゃあ芽を出すのや~めた」
 →「伸びてた地上部が枯れる(けど根が休眠するだけ)」

 概ね予想通りなんじゃないかなあと。

 ただ、比較的暗い林床部や林縁であれば、地上部の茎は枯れてくれる可能性はあるのでしょうけど、問題はオープンスペースや明るい林床では、結局のところ根が伸びた先に良好な環境(日当たり)があれば、どんどんそこから新たに芽を出し直すってことです。

 つまり、結果論としては撲滅には至らないってことですね。

 クルクル巻くは、省力化できる可能性はあるものの、効果がある環境は非常に限られると、そういうことなんじゃないかなあと。

 ※この続きについては、以下の「【シュウ酸化合物】ヤブガラシの性質を科学的に見てみると・・・。【デンプン】」を参照下さい。


【駆除】ヤブガラシ 撲滅大作戦 【現在進行中】
ヤブガラシの生育条件についての一考察【2016.12.20 追記あり】
【経過報告】ヤブガラシ撲滅大作戦 3年目の成果は?
【四年目突入!】ヤブガラシとの戦いは続く。。【戦況報告】
【クズ】各駆除方法の効果を改めて調べてみた。【ヤブガラシ】
【シュウ酸化合物】ヤブガラシの性質を科学的に見てみると・・・。【デンプン】


【ヤブガラシ】約5年(3年?)で概ね状況終了【掃討作戦】(その1)
【ヤブガラシ】約5年(3年?)で概ね状況終了【掃討作戦】(その2)
【ヤブガラシ】約5年(3年?)で概ね状況終了【掃討作戦】(その3:総まとめ)

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