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2015/06/09

塩野干支郎次 「この人類域のゼルフィー」 全5巻 ヤングキングコミックス 少年画報社

 もう少し続くかなあと思ったんですけど、最後にかなり急ぎで大風呂敷を畳み、うまいことまとめて大団円ということになりました。逆にこれだけの設定を、よくまあこの尺で収めたなあ、というのに関心しきり・・・。
 最終5巻帯にある通り、本格スペースオペラというのはその通りだなあと。

 この作品のあらすじを簡単に書くのは難しいんですけど、、まあ某国の元王子が人工知能のかたまりのような少女型アンドロイドと出会い、そして現在の”人類域”の支配者の追撃をかわしながら、そして何かに導かれながら旅をしていくと、、

 結末までは書かないですけど、この作品の場合、やはりヒロインであるアンドロイド”ゼルフィー”の登場が、2巻の最後と遅かった。3巻からはかなり面白い展開になったなあと思ったんですけど、最初の2巻までの物語が、どこへ向かっているのか今ひとつ分かり難く、そこで離れてしまった読者も結構いたの、、かも知れないですね。

 物語の方向性が最初見えないとか、展開が遅いとかいうのは、私自身はその後の展開を考えれば全然問題無いと思うんです。むしろ通して読んだ時には、2巻までの抑えは効果的だと思う部分もあります。
 ただ、、、商業ベースに乗せた時には、やはり「掴み」というのは大事なんだろうなと。。

 普通に単行本が発行されていった場合、出版できる冊数は、その前に売れた巻の冊数よりも多くなることはけしてないです。普通に考えればわかる当たり前のことですが。
 そうすると、例えば3巻の売上(売れた冊数)で、4巻でどれだけ売れるかわかる。

 その法則をぶち壊すには、例えば何かの漫画ランキングで10位以内に入るとか、アニメ化するとか、そういうイベントがないと難しい。。特に物語の中で大きな山場ができたとしても、離れてしまった購買者は、読んでないわけですから戻ってくることは難しいわけです。

 いま、一時的にですけどSF作品が結構な数、漫画としては売られています。一時、SFなんて描かせてくれる出版社は滅多にない、とまで言われた氷河期に比べれば、チャンスが沢山ある状況じゃないかなあと。。

 けど、そこで忘れてはいけないのは、読者はSFを求めているのではなく、「面白い、読んでいて続きが気になる作品」を求めている、ということ。
 なので、SFとしては凄くよく描けている作品だからといって、売上に直結するとは限らないと。。

 その作品がSFかどうかは重要な要素とは思っていない大多数の人達が、楽しんで続きを読みたいと思う作品が、結局は求められていると。。

 SFが好きな人は沢山いますし、SF考証とか物語の設定に凝っている人もたくさん居ますが、それだけでは十分じゃないんだろうなと。。

 私はこの作品、とても好きだったんですけど、1~2巻までの展開を読んでいて、とても心配だったんですよね。。けど、5巻までは頑張って続いてくれたということは、物語としてはその後、読者を裏切らなかったのだろうなと。

 尻切れトンボにはならずにしっかりまとまっているので、まとめて読むのであれば十分楽しめる作品だと思います。

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