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2015/06/15

野田サトル「ゴールデンカムイ」 3巻 ヤングジャンプコミックス 集英社

 はじめに断っておきますが、この作品は究極の<アイヌ・グルメマンガ>です!


 嘘です。


 というか、表紙から入るは2巻まではちょっと入り込めなかったんですが、3巻で引っかかって遡って1,2巻を合わせて購入して読んだという、、

 後悔してしまった、、何でこれ、読んでなかったんだろうと。
 言い訳をしてしまえば、表紙とタイトルから、作品の内容がピンと来なかったんですよね。
 で、3巻でシルバーグレーの”土方歳三”の登場という帯で、異様に興味が湧いたんですが、読んでみたら良い意味で想像していた作品とは全然違い、”裏切られた!”って感じです。すごくいい意味で。。

 物語は、日露戦争後の北海道、いわゆる<ゴールデン・ラッシュ>に一時湧いたあとに入ってきたのは、戦争帰りの”不死身の”主人公。一山当てなくてはならない理由があり、過酷な北海道で砂金採りに励む彼ですが、、、

 やがて”アイヌ埋蔵金”の噂と、それを奪って独り占めし、網走刑務所に収監された主犯が囚人に刻んだ<暗号>を巡る、軍部の暗躍に巻き込まれていくと。

 その過程で行動を共にすることになった、アイヌの少女と”狼”。極寒の冬の北海道でのサバイバルが始まると。。

 なんて壮大な設定があるなんて、正直表紙だけから読み取れなかったんですけど、実に素晴らしい。。

 当時の日本の社会情勢と、アイヌ人の立場のようなものも織り込まれつつ(勿論、史実からアレンジされている設定も色々とあるようですが)、何よりアイヌの生活、考え方の忠実な再現が凄い。殺したものは無駄なく有効活用する、肉は生で食べる(まあ、普通の人じゃ無理なので、煮炊き料理にしてくれるようになりますが)、そして獲物を追う、捉えるための数々の知恵、、、

 そして何よりも容赦ない、ヒグマの恐ろしさの描写、、主人公もある意味、何度も命の危機に晒されながら、逆に助けられる事にもなるわけですが。

 そういう半端ない野生動物の凄みと、それを追い詰めるアイヌの知恵、そして何一つ無駄にせず感謝しながら食し、生活するその考え方。
 勿論、アイヌの専門書を読めば書いてある事ばかりなんでしょうけど、漫画で、絵で描いているというのはまた違うと思うんですよね。

 で、この作品はそういうアイヌの描写もさることながら、半端ない戦闘力を持つ”日本兵”や囚人達との駆け引きや死闘が、なかなか楽しめるなあと。

 で、3巻表紙になった幕末を生き残ったという設定になっている<土方歳三>は、まだまだ。。。物語の中ではちょい役的で、話の中心にはまだまだ入ってきません。

 一応、伏線は張られているので、これから主人公との邂逅があるんでしょうけど、さてどうなることやら。

 というわけで、ジビエをアイヌ料理で(ry

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