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2015/06/25

竹良実 「辺獄のシュヴェスタ」 1巻 ビッグコミックス 小学館

 魔女が流行っているんですかね。なんだか最近、魔女ものをやたら見るような。
 いわゆる魔女っ娘ものよりは、拷問を含む中世の「魔女裁判」絡みを題材にしたものが多いのかな?
 アイアンメイデンが出てくる作品だけでも、ここ数ヶ月で何回見たろうか。。

 この作品もその流れには乗っているものの、実際に魔法を使う<魔女>は出てきませんので、ファンタジー作品ではありません。
 人々の心をコントロールするために疫病を拡散し、その企みに気付いた人間を葬り去るために<魔女>を作り上げる、宗教を隠れ蓑にした組織に支配される中世が舞台です。
 そんな中で<生きるために”敵”を倒す>ことは当たり前で、そのために命を奪うことも厭わない、そんな一人の少女がどのように生き残っていくのか、、、

 そんな命を賭けた、息詰まる駆け引きを描いた作品といったとこでしょうか。

 ゴールは最初に示されています。物語の冒頭は、時間軸は現在。クレーンで川底から引き上げられた「鋼鉄の処女(アイアンメイデン)」にまつわる物語として話が始まるわけです。

 その忌まわしき”異教弾圧の象徴”である針のムシロの中に入るのは誰か? そこへ至る為の物語が綴られていく、ということですね。

 物語は、次々と屍が積み上がっていくような、そんな凄惨な流れになるわけですけど、この作品でもっとも異質なのは、主人公であるヒロイン(少女。10歳前後?)の性格でしょうね。。

 生き物の生死に対する感覚が、ある意味尋常ではない。ネズミの死体でも平気で持ち歩けますし、「こいつがいるから悪いんだ」と思ったら、同い年くらいの少年を本気で殺そうとする。そして行動する上では何も悪いとは思っていない、演技しているわけでも葛藤があるわけでもない、、

 ある意味では、普通であればサブキャラにするような、感情移入もしにくい凄まじい性格です。そんな異様な行動をとる彼女を、周囲の人間からの視点で描き出すという、そういう作品ですね。勿論、行動の一つ一つには理由があり、彼女なりの考えもある訳なので、それは作中で語られてはいますが、思考の中に、何か大きく欠落したものがある、そんな感じです。

 本能と直感は凄まじく、生き残らなければいけないと思えば、その咄嗟の判断力は素晴らしい。教会の施設に囚われた中、汚れものの仕事も平気でこなし、虎視眈々と状況を見極め、逆襲のためには生き残らなければいけない、”悪の根幹”を倒さなければ状況は変わらない、という強い動機が彼女を動かしています。

 それでも仲間のため、世話をしてくれた人のために行動する部分もあり、行動原理は直情的ですが、その心持ちが少しずつ微妙に変わっていくあたりが、この作品の見所になっていくのかもしれません。
 ヒロインのある意味、野性的な思考力・行動力を殺さずに、いかに人間らしさも獲得していくか、というあたりが。
 

 

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