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2015/06/17

白石純 「ドードーマ」 1巻 ゼノンコミックス 徳間書店

 非常に狭いコミュニティの中で暮らす人々。そこは外界から隔絶された小さな世界。
 主人公は、秘密を抱えた二人の兄弟です。
 とある地震と共に、見たことも聞いたこともない他の部族に攻め込まれ、病弱な兄を抱えて二人は頂上部を目指して移動します。

 そこはかつて「神」と呼ばれた人を殺めてしまった場所でもあった訳ですが、そこには既に見たこともない二人の異邦人がおり、兄は壁に取り込まれてしまいます。そこから垣間見えた外界は、、

 その世界は、巨大な動く偶像の中に設けられた世界であり、壊れた壁を通して見えたのは、自分達以外の別の”偶像”でした。

 ロボットの中に街があるという設定自体は、勿論他にもあると思いますが、この作品の場合には、謎と伏線が散りばめられた中、主人公達が<限られた情報>の中で、必死に活路を見いだそうとする、そういうドラマの部分がよくできてるなあと思ったりしました。

 謎だらけ過ぎると、なんか世界観の説明ないと話が判らない、ついて行けない的なことも起こりえますが、主人公達が「判らない」中でもとにかく殺されたくない、生きたいと考えながら、直感的に行動していき、だんだんと状況が飲み込めてくるという流れなので、読者も同じ視点で「この世界はどうなっているんだろう。。」と、物語の中に引き込まれていくのかなあと。

 独特な世界観のSF作品やファンタジー作品ってありますよね。世界観の解説部分がきちんと解説されていたりすると、それはそれなりに読む手助けになりますし、入り込み易い、足がかりになるなと思ったりします。

 ただ、たまーにですが、独特な世界観や設定なのはいいんですが、説明もなく物語の中でスラング(その世界での独特な呼称や名称など)が飛び交い、なんの話なのか、だんだんチンプンカンプンになってくる作品って、あるんですよね。。
 (最近も、そういう作品に出会ったのですが、私の読解力とか好みの問題もあるので、あえて紹介するのは伏せますが。。)

 けど、説明がないから(頭の悪い私には)判りにくいんだろうか、とその時は思っていたんですが、この作品を読んで、「ああ、違う違う」と気がつきました。

 その作品の場合、読者が設定に置いてけぼりになってるんですよね。。物語自体も、登場人物達がそれぞれ必死に戦ったり足掻いている訳ですが、なんかこう読者はとても遠くから、別世界をガラス越しに見てるような、そんな既視感でしか見えてないという。。

 仮に同じ設定だとしても、「この世界はどうなっているのか」を知らない主人公が、色々な人と出会いながら、徐々に自分の中で状況を消化しながら考え、行動していくと。。
 そういう形で進行していくなら、読者も物語の中に入っていき易かったのかもなあ、と思ったりしました。

 話を戻しますけど、この作品はなかなかそういう「主人公に感情移入しやすい」話の組み立てになっているので、知らないところに冒険にいく、わくわくドキドキ感があります。まあ、主人公は生き延びるために必死なんで、それはそれですが、ちょっと殺伐としたシーンも多いですが(殆ど殺し合いですね、、)、なかなか楽しめるファンタジー作品だなあと思ったりします。

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