筒井哲也 「マンホール」 全2巻 ヤングジャンプコミックス 集英社
裸で片目の潰れた男が街を徘徊し、吐血の際に突き飛ばされ、そして倒れたショックで後頭部を打ち死亡する。。
全てはそこから始まる、サスペンス作品です。サスペンス・ホラーと言ってもいいのかな?
主人公は、事件を追うベテラン刑事と、新米女性刑事。そして不思議な生態をもつ新種の”寄生虫”です。体液とヒトスジシマカを介して感染するその寄生虫により、徐々に被害者が増えていく、、
そして、謎のマンホールの存在。。
片目をえぐってしまう、ある意味夢に出てきそうな異様さと、フィクションとはいえ、実際に起こりうるパンデミック直前の緊迫した状況など、なかなか緊張感があり、どうやって切り抜けるのか手に汗握るシーンが繰り返されます。
そして、意図してこの寄生虫をばらまき続ける犯人の意図とは。。
この作品の初出は2004年頃のようなので(今回の上下巻は再販になります)、去年(2014年)のデング熱騒動などよりずっと前に、この作品は描かれていたことになります。
内容的には”意図的に撒かれた”という違いがありますが、蚊を介して広がる寄生虫の感染は、防ぐのが非常に難しいということを、よく調べているなあと思いました。
それをよく判っているからこそ、パンデミックが起きにくい冬という季節を選んで事件を起こし、そして「夏」を利用しようとする犯人の行動に結びつくわけですが。。
サスペンス・ホラーとしてもよく描けていますが、バイオ・ホラーという側面のほうが強いのかもしれません。あくまで、ドラマは人間同士の戦いではありますが、実に寄生虫の行動パターン等を調べつくして描いているなあと。。
寄生虫関係の本は、かなり読んで調べたんじゃないでしょうかね。そのベースがあるからこそ、翻弄される人々のドラマが面白くなるわけですね。
ドログチャ系が弱い人には要注意ですけど、ある意味ドラマチックな展開と結末が印象に残る、そんな作品です。。
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