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2015/03/29

武田一義 「さよならタマちゃん」 イブニングKC 講談社

 新刊が出たばかりですけど、まずはこちらから紹介しておかないと。なので。

 アシスタントをしながらデビューを目指す一人の漫画家が、ちょっと珍しい場所の癌であることが発見され、その闘病生活を描いた闘病エッセイ漫画です。

 闘病記や闘病漫画というのも数多ありますが、この漫画の特徴といえば、まずはこの絵柄にあります。ほのぼのとした絵柄は勿論、好みも色いろあるとは思いますが、この絵柄であるからこそ、非常に重いストーリーも読み辛くなく読み進めるかも、と思いました。。

 闘病も大変ですが、アシスタント生活という不安定な職業の中で、作者はこの若さで様々な重い決断を迫られます。。妻とのこと、そして将来の子供のこと、、、

 病気自体は、命に関わる程の重大なレベルではないものの、夫婦生活の意味、そして将来のことを考えると、半端ない重い決断をせざるをえないわけですが、、妻の支えもあり、その決断を乗り越えた彼には、辛い抗癌剤治療との闘いに突入していきます。

 闘病生活も、やはり重さは半端ではありません。
 大部屋の同室の人々は、場所は違えど、みな癌を患っています。いくら医療が進歩しても、退院出来る人達もいれば、退院できない人達もいる。。ほんの数ヶ月の闘病生活の中で、重い出会いと別れが繰り返されていきます。
 勿論、部位の違いは関係なく、抗癌剤治療は辛いもの。その辛さは心を折り、気力を削いで、悪い方に悪い方に考えていくようになっていきます。。


 同じような経験をする機会は、誰もがあるわけではないですが、私も簡単な手術でしたが入院したことはあります。
 腹腔鏡だったので切って10日もすれば退院できる程度のものでしたが、手術当日だけ、半端ない苦しみを味わいました。脊椎に針を挿して微量の麻酔を入れる神経ブロックというのをやるんですが、その量がほんのちょっと多かったみたいで、術後の夜中に、何とも言えない違和感と体の怠さと、全身がジンジンするような多分痺れの一種でしょうけど、そんなものに襲われました。
 なんせ初体験なので、正直どうしたらいいのか分からず(痛ければボタン押したでしょうけど)、苦しみながらうんうんベッドの中で唸っていたら、巡回の看護婦さんが気がつき、薬の量を調節してくれました。そしたら嘘のように楽になりましたが。。

 私の場合は多分、ほんの数時間苦しんだだけですが、恐らく抗癌剤治療であれば、あんな状態より酷い状態が何日も続くんだろうな、、、
 ということが想像できてしまい、漫画の描写も異様にリアリティを感じながら読みました。恐らく経験はなくとも辛さはある程度、わかると思いますが、経験があれば本当につらそうに描かれていて、そのまま伝わってきます。。

 大きな決断を乗り越え、妻の献身に支えられ、辛い闘病生活と出会い、別れを乗り越えて、作者はいつしか退院ができることになります。妻の存在は、彼にとって本当に大きかったでしょうね。。


 確実に作者の人生を大きく変えたこの出来事は、勿論、ある意味では作者の大きな糧になったんじゃないかなと思います。


 今後、一体どんな漫画をかれるのだろう?というのはずっと気になっていましたが、、、
 その糧は、おそらく存分に最新作に生かされています。うんうん。

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