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2015/03/09

影待蛍太 「GROUNDLESS」 3巻 アクションコミックス 双葉社

 これは隻眼の女性スナイパーの活躍を描く作品です。

 設定はフィクションですが、とある田舎の町で銃器取引を扱っていた夫を、とある軍人の謀略により殺された子連れ未亡人の復讐劇から、この作品は始まります。。

 第1巻は、幼子を抱えたその未亡人が、町の自警団に入団する経緯が描かれます。実際に銃を撃たせてみると、スコープ付きの持参の形見の銃を使うスナイパー志願とはいえ、、、訓練の結果は、とても使い物になるような腕には見えないわけです。そしてゲリラとなった暴徒との戦いで、一体彼女はどう戦おうというのか。。

 この作品、実に丁寧に各キャラのストーリーが描かれています。それぞれの登場人物が、なぜそのような行動に走るのか、なぜそうしなければならなかったのか、その<動機付け>に至るエピソードが、とても丁寧なんですね。なので、キャラの行動にとても自然な必然性が生まれる事になります。
 そのため、物語の進行は少々遅めではあります。

 第2巻ではある意味、主人公である彼女の出番はあまりなく、少人数で敵と対峙しなければいけない自警団の面々のジレンマ、そしてそれぞれの<物語>が綴られていきます。そして現実の世界で、不利で救いようのない状況に、どんどん追い込まれていく様が描かれていきます。

 そして第3巻で状況は最悪に陥り、、、 そして、そういうしっかりとした各々の登場人物が持っている<歴史>と、それにより導かれる行動の<必然性>、現実のどうしようもなく追い詰められた<状況>が、スナイパーの放つ数発の弾丸によって、大きく動かされていきます。

 各巻には「サブタイトル」が付けられています。

 第1巻 隻眼の狙撃兵
 第2巻 第三穀倉地域接収作戦
 第3巻 死神の瞳

 状況の作り方がとにかく上手いと思うんですね。追い詰められ、追い詰められ、、、そして数発の弾丸によって戦況が一気に変化する、その計算された魅せ場のインパクトが凄い。。

 映画でも漫画でも、スナイパーというのはある意味、とても怖い存在として描かれ、そして状況を一気に変化させる立役者です。ただ、マシーンのように冷徹に描かれたり、獲物を狩るハンターのように描かれる事が多いんじゃないかなあ。
 そういう意味では、この作品は幼子を連れた一介の主婦が、夫の形見の銃を取るという形です。まあ他の作品でもあり得ないシチュエーションではないんですけど、ドラマとしての描き方はそれらとはちょっと違う感じになっています。

 優秀なスナイパーが戦場に現れた時の、その圧倒的な制圧力、、静かな危機からのどんでん返しは、インパクトが強烈でゾクッとしてしまいました。

 けど、このインパクトは、スナイパー本人だけではなく、それ以外の登場人物の物語をも、丁寧に描いているからこそ演出出来るものだと思うんです。。


 ちょびっとサバゲも嗜むわたくしではありますが、実はVSR-10カスタムでスナイパーやってました(・∀・)
 けど、まあサバゲの世界だと、飛距離は正直ほぼ同じなので、電動ガンの圧倒的な優位はなかなか揺るがないと。まあ「気分を楽しむ」って感じでしかないのですがね。。。まあそれも楽しみということで。と脱線してみる。

 スナイパーを主人公にした作品は、多分探すと色いろあるんですけど、個人的にはこの作品は群を抜いて演出が素晴らしく、展開が少し遅いのを差し引いてもなかなか面白いと思います。

 

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