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2015/03/31

いがらしみきお 「今日を歩く」 全1巻 IKKI COMICS 小学館


 散歩漫画といえばそうなんですが、これは散歩というより「定点観察漫画」といったほうがいいんじゃないかなあ。

 作者自身、何十年も「同じコースを歩く」散歩を続けているとのこと。
 この作品は、勿論フィクションではありますけど、その作者の体験を通じた「永い時間」の流れを綴った作品であります。

 何年も何年も同じコースを、同じように歩いていると、街の中には様々な変化を感じます。そのスケールは、1日や数日から、数年、数十年近い時間差まであります。

 ある家にネコがいて、何年も経つとそのネコも見られなくなり、家の窓も締め切られ、、
 小さな子供が大きくなり、やがて見ることがなくなり、その家の主達もやがて表で見ることがなくなり、、
 毎日犬の散歩をしていたおじさんが、ある日から犬を連れて歩かなくなり、やがて見かけることもなくなる。。

 そんな「定点観察」からの永い永い変化を、主人公の視点から淡々と綴っていく、そんな作品です。

 勿論、その散歩の過程では、ある日だけの変化というのも存在します。落ちているものを観察し、それがどのようなシチュエーションでそこに存在することになったのか。。
 もちろん、真実は計り知ることは出来ませんが、その推理の答えに近いものも、日々の散歩の中で見え隠れしたりします。

 町の名まで見かける変わった人々、変わった家、そして時々起きるいつもとは違うシチュエーションと事件・事故、、、

 主人公も年とともに変化していきます。その変化によって散歩もできなくなっていったりもします。日々、時間は過ぎていき、そして全てのものは何らかの形で変化していくのですね。。

 私達も近所の変化を感じることはあるでしょう。
 うちは駅まで数分で行ける立地ですけど、その途中に小学校時代の友達が住んでいたアパートがありました。そこが綺麗さっぱり取り壊され、まっさらな更地になり、地鎮祭の跡ができたあと、コンクリートの基礎ができ、やがてニョキニョキと3階建ての家が立ちました。時間にして半年ほどの出来事ですが、この作品を読んでいて、そんなことが思い起こされました。
 小学校時代の彼は、今ごろどうしているのかなあ。。


 ある意味では、哲学的な意味合いを読み解くことも出来るかもしれませんが、作者はあくまで「毎日同じ所を歩いていても、非常に長い目で見ていると、やっぱり何かが変化している。そして日単位で見ても、何かしらの変化がある」という、もの凄く当たり前のことを淡々と描いているだけなんですよね。

 けどまあ、いがらしみきおだからこそ、描ける「日常」なのかもしれません。さりげない毎日の中で見る何かから、いろいろなものを感じとるという、極当たり前のことなんですけどね。。


 なお、ホームページからこの作品は、1話分は無料で読めるみたいです。
 

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