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2015/02/27

明治カナ子 「一変世界」 1巻 BUNCH COMICS 新潮社

1日1冊のペースでなら、ちょっといけるかなあ?
と思って、連続して書いてみます。。

 ファンタジーではありますけど、かなりハードな世界観で描かれている作品ですね。
 一歩人の生活圏を外れて入り込めば、簡単に命を落としかねない弱肉強食の森。。
 神殿を中心とした生活圏と、神と魔物が紙一重で存在する、そういう世界で生きる巫女のお話です。
 なんとなく巫女漫画と思って読み始めると、1話目で裏切られます。まあ帯でキャラ紹介されていますけど、そこを飛ばして読み始めると騙されます。そして1話目で結構強烈な洗礼があります。

 神と魔物の境界線は、正直に言ってしまえば「人の都合で決めたもの」でしかありません。その土地の人々にとっては「神」と崇め奉られる存在も、部外者にとっては「魔物」そのものでしかない。さらに言えば、「神」や「魔物」と言われているその”生物”達は、自分らがどう呼ばれていようがお構いなしに、生存するために襲い、生き延びるために抵抗する。
 それは現在の人間社会でも言えること。人間が勝手に役に立つものを「益虫」や「益獣」と呼び、不潔だとか病気を媒介するとかいうものを「害虫」、食べ物を食い荒らすものを「害獣」と、勝手に線引を決めて呼称します。そしてその定義は、個々人の価値観でしかなく、ある場所に行けば益獣でも、畑を荒らされる人から見れば害獣でしかない。イルカ論争は言うに及ばずですが、当の生き物たちにとってしてみれば、そんな人間の線引や都合なんて関係なく、襲われて逃げて、生きて死んでいくだけ。

 ファンタジーにもいろいろありますが、簡単に人の死が訪れ、人が消えてしまう、善悪の境界が、神殿を通じた価値観で決まるシュールな世界の中で、淡々と営まれる日常生活と、対照的な神殿の生活。そして神殿の存在自体にも曖昧さがあり、心が弱ければ飲み込まれてしまう。。そしてそんな中でも、人間同士の政治的な駆け引きも、当然のように描かれていきます。その世界の理の中では、取るに足らないほどの価値しかないものですが。。

 ある意味、主人公である少女達はそんな危険な世界で、のびのびと当たり前のように日常を生きているわけですが、それが容赦無い世界と対比して、より<怖さ>も助長しています。
 1巻では、かなりヤバイところまで足を突っ込んで「つづく」になるわけですが、ここは次巻以降、どう描かれていくのでしょうね。

 BL系からの人みたいですが、たまにこのようにゾクっとするような、心理描写の細やかな作品を描く人がいますよね。よしながふみとかetc. 私は面白ければジャンル関係なくどんどん入り込んでしまう方ですが、こういう才能はどんどん色々な人に知ってほしいなあ、と思う昨今です。

 まだ読んでませんけど、「坂の上の魔法使い」も面白そう。

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