2018/06/01

伊咲ウタ 「ブキミの谷のロボ子さん」 1巻 電撃コミックスNEXT KADOKAWA

 AIの発展により、宅配便もAIロボが運び、店もレジも基本的に無人、そんな近未来で一人、人を避け、トレーダーとして生活している(いわゆるコミュ症)男の元に、法で規制されている人型AIを名乗る少女型アンドロイドが送りつけられてきます。「人間とは何か」について学習するために。

 人との関係が上手くいかず、許される限り独りで生活することを謳歌するコミュ症男に、一体「人間とは何か」の何を教えることが出来るのか?必死に”ロボ子”を追い出そうとするものの、落語のように屁理屈を並べて言葉攻撃をかわされまくります。そもそも、AIとして何だか行動がズレている上に、半端ない気合いで作られた”超美少女中学生”型の外観のため、周囲の眼もあり、、、なし崩しに同居というか「置いておく」ことになってしまった男の元には、身内である妹が突然訪ねてきて。。(いや、何日も前に一応連絡はしておりますが)。

 コミュ症の主人公から、人間とはなにかなんて学べるの?という辺りから設定がすっ飛んでいますが(笑)、妹やその家族との関係を紐解く物語の流れの中で、極端に人との関わり方を恐れ、自分の考えを人に押しつける事を躊躇するようになった主人公の行動や心情が徐々に描かれていくことになります。

 紐解いてみれば、極々ちょっとしたすれ違いや言葉の捉え方の違い程度の、そんなやり取りのズレや、些細な考え方の違いからの行き違いが過去にあっただけの話。普通にその辺に普通にいる”人間”の悩みと葛藤、そしてそこから逃れようとする逃走本能に従って行動しているだけ、、、と言うことが明らかになっていきます。

 ちょっと妹の行動と言動もブキミというか、恨みもあるのかかなり”ダーク”な部分も感じられたりしますが、それも何かのキッカケ等があっての事なんでしょう。それも追々描かれていくのだろうと思います。

 それぞれの登場の仕方から何から、結構突飛ですが(笑)、物語を薦めるに連れて、色々な謎や心に引っかかっている何かが明らかになっていき、恐らく心の中にわだかまった何かが、超天然AIな”ロボ子さん”によって、徐々に紐解かれていく、、、そんな物語になるのだろうなあ、と思ったりします。

 まあ実際のところ、”ロボ子”の目的も妹の何も、ハッキリとはしない部分もあります。そんな謎を紐解きながら、ロボ子さんの暴走を楽しむ(笑)、そんな作品なのだろうなあと。

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2018/05/30

グレゴリウス山田 「三丁目雑兵物語」 上巻 ソノラマコミックス 朝日新聞出版社

 まず始めにお断りしておかなければならないですが、ネタはマニアックで超真剣ながら(まあ趣味に任せて感がほとばしっておりますが)、ストーリーはその溢れる知識を惜しげもなく注ぎ込んだ、不条理満載(笑)のコメディー作品である、ということであります。

 物語は、平和な街にぽつんとあるアパートを引き継いだ青年(大家)の元に、ナゼか足軽(女子)が現れ、、、、、戦国時代からのトリップモノかと思いきや、、、、
 あとからゾロゾロと集まってくるのは(湧いてくるという表現の方が適切)、ヨーロッパの騎士団からアサシンからスパルタからアステカの戦士から傭兵の詰め合わせから、世界中の歴史上の「雑兵」(なぜか全部女子)がアパートに集い、家賃を滞納しながら棲み着き、アパートを壊したり街中で不貞な輩を追い回したり、、、それぞれの信条の赴くままに暴れ回る、、、という、なんかもう書いていてもカオスなお話です(笑)。

 新キャラについては、毎話ごとに追加されているという贅沢仕様。しかも1人ではなく複数現れる事もなので、無駄に溢れかえる登場人物だけでもカオス感満載です(笑)。

 さらにそこに歴女である妹君も参戦し、歴女の群れに囲まれてのマニアックな質問攻めに翻弄されてたりと、途中のそれぞれの解説(作者のフィルターが掛かってます)もさることながら、歴史もの、しかも「戦士」だけに特化したコメディーとしては、「無駄撃ち」しまくりな作品ですね(笑)。

 まあそんなカオスな状況ながら、大家である主人公が案外のほほんとした性格なので、ドタバタとのんびりのバランスが取れた、ほのぼのとした雰囲気にまとまっています。

 歴史上で名高い”戦士”と言われていた人達が、どんな装備と信条、歴史的背景を背負っていたか、楽しく学べる訳ですが(学校のテストや試験には何の役にも立たないと思いますけど(笑))、なんか足軽のくせにおにぎりよりハンバーガーが好きとか、戸籍もないのに何で学校行けるねんとか(笑)、歴史的な思い込みへの皮肉と、不条理がごった煮になっている感も満載です。

 この作品自体、単行本になるとは思っても見なかったようで、悪く言えばその場のノリで描いていた部分も多いようですが、それはそれで材料をとにかく混ぜたら何か食べれそうな料理が出来ました感が出ていて、楽しく偏った歴史的トリビアが学べるという楽しさがあります。

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2018/05/18

島崎無印 「放課後コラージュノート」 全1巻 角川書店

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2018/05/16

泉ウラタ/吉田真侑子 「死神にだって、愛はある。」 1巻 ノース・スターズ・ピクチャーズ 徳間書店

 死者の魂を天国に導く”死神”が、権限を過剰に駆使して人々に時間を与える。その時間は「30分30秒」。  決められた死にはあがなえませんが、人々は突然与えられた「30分30秒」で、何をしようとするのか。。  オムニバス形式で、「30分30秒の使い方」とその与えられた時間で考え、得られた何かについてを綴った、そんな作品です。

 この「30分30秒」は、必ず誰にでも与えられるべきものではなく、「特別な場合」に限って与える事が出来るもの。それをとある死神が、全体に対してどのくらいの頻度かは判りませんが「連発」するわけですね。

 彼らは死に行く者の側に”産まれた時から”つきまとい、それぞれの人生を共に眺め、そして一緒に過ごして行きます(そういう意味で、時空は超越した存在ではありますが、そこはサラッといった感じ(笑))。

 それぞれの物語に登場する人々は、必ずしも未練が残るというニュアンスとはまた違うのかもしれません。けどやり残したこと、自分が付けたかった落とし前について、その「30分30秒」という非常に短い時間の中で、それぞれやり遂げていく事になります。

 物語のパターンは、ある意味で無限にあると思いますが、その「30分30秒」までに至るプロセスが、そしてそれを使ってやり遂げる何かが、一つずつ丁寧に綴られている、そんな感じのお話でしょうか。

 まあ、ちょっと過剰に権限行使しているだけに、すでに1巻目から「お目付」が付いちゃったりして目を付けられている死神くんが、あとはいかに上司も納得のいく「理屈」を作り出していくのか。。

 ネタもそうですが、物語の構成力や説得力、そして読者が納得できるようなシチュエーションが準備できるのか、、結構縛りのキツイ作品な気がとてもしますが(汗)、少なくとも1巻については、それぞれが上手に構成されているなあ、と思いました。

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2018/05/11

コミックス(漫画)新刊単行本の発売日チェック方法など

■新刊発売日のチェックってどうしてます?

 日々発売される新刊単行本をどうチェックするか、これは多くの人が抱える悩み・・・・でもないか?
 私は日々、真剣に悩んでいるわけですが(汗)。

 非常にざっくりと考え得る対処方法を書けば、以下のようになるかと思います。

 ①毎日、本屋さんを覗いて新刊コーナーをチェック

 ②発売日リストを本屋さんの店頭またはネットでチェック

 ①は毎日行けるか、という大問題もあるわけですが、毎日行けても駄目、という問題が浮上しているのが昨今なんですね。
 つまり発売日に行っても、該当の新刊本が並んでいないケースが多発しているからです。

 ・・・というか、普通に卸問屋から1~数冊しか配本されない本などは、誰かが買ってしまったら補充はまずされないため、発売日の翌日、、、いや当日に行っても出会えない可能性が非常に高くなっています。それで見落とした新刊本が一体何十冊あったことか・・・。

 上記をさらに面倒にしているのが、「最終巻問題」です。最終巻は、その前の巻の売れ行きが判っていることから、それと同じかより少ない最小限の数しか印刷・配本されません(マーケティング上は当然のお話です。前の巻が1万部しか売れてないのに、2万部も最終巻を刷る印刷会社はないでしょう)。そのため、最終巻が出ているはずなのに見つからない、あっても1冊か2冊、という案件が多発します。今年だけで、最終巻が見つからずに彷徨ったものは、4~5冊くらいあります。

 そもそも①は近所や行動範囲内に本屋さんがあることも前提になっていますが、地域内に本屋さんが一軒もない地方自治体も増えているのも実態ですよね。

 そうすると自ずと②を併用するしかなくなるわけですね。

 その昔、太陽出版というところが、毎月の発売日リストを公表していましたので、それをチェックするのが毎月中頃の行事でした(エクセルに貼り付けて興味のある本だけに編集し、それを日付順でソートして持ち歩いていた)。が、御存じのように太陽出版はもう公表はしていません。
 似たようなリストを公表しているサイトは複数ありますが、WEB上で読むのに特化していて、画像が重い、リストも複雑で使い勝手が悪く、、、、さらに言えば、毎月800冊分を総チェックするのは、時間的にも労力的にもなんか面倒になってきまして。。

 じゃあどうするか?


■コミックス単行本の新刊発売日を漏れなく把握する方法(暫定版)

 そこで今はどうやってチェックしているか、私の方法を書いておこうかと思います。

ナタリーの「本日発売の単行本リスト」を確認

 ナタリーでは発売日に、「本日発売の単行本」のリストを掲載しています(毎日9:00頃)。
 私は「本日発売の単行本リスト」で検索した結果をスマホでブックマークして、本屋に寄れる日にチェックしています(何日か行けなかった場合には、数日分をまとめてチェック)。
 
 余所に掲載されている月別の全発売リストは、毎月800冊以上分と膨大すぎて確認も編集も手間ですが、これは1日分に切り取ってくれているので、発行されるコミックス単行本全てが掲載されていても、チェックがとても楽です。
 そして何より、テキストベースのリストなので、表示も重くないと。

 欠点としては、翌日発売の単行本は確認できない、ということで、明日発売するコミックスのチェックには使えません。また角川書店などは「書籍扱い」のため、発売日の1~数日前に新刊が店頭に並ぶことになるので、そことのタイムラグは生じます(発売日前に並んでいたはずなのに見落とし、数日後に気がついて探し回ることも多々)。

 そういう欠点はあるものの、総じて役に立っています。

ベルアラートに作者or作品タイトルを登録しまくり

 ベルアラートは、登録制のコミック等の発売日をお知らせするサイトで、スマホ用のアプリも提供されています。

 細かなところはサイトの説明を読んで戴いた方がいいですが、ここでは作者又は作品をボタンでアラート登録ができます(トップページにボタンが並んでいるはず)。検索条件でアラート登録するには、プレミアムユーザー登録(有料)が必要ですが、作者名、作品名別の登録は無料アカウントでも登録が可能です。
 私は無料会員のままで使っていますが(ベルアラートさんには不本意と思いますが(汗))、登録できる作者&作品数に制限がないので(多分)、数えていませんが恐らく数百人分の作者名を登録しています。

 他のサイトでも似たような登録ができるところが以前あったのですが、そこは登録できる数が100個までと限定されていたため、作者名を登録していったら「ア行」だけで終わってしまいました(汗)。(「お」までも行かなかった気がします。。)

 ちなみに無料登録を推奨しているのではなく(大汗)、プレミアムユーザー登録をすれば、Googleカレンダーとの連携や除外条件の設定、広告の非表示など、メリットも色々とありますので、サービス内容は各自で御確認ください。

 登録が面倒という部分は多少はあるんですが、最初にざっと登録しておきます。私はパソコン用のWEB上で、それでちまちまざっくりと登録していきました。
 結局、数百人分なので、私は数日以上掛かりましたが、、、

 登録された作者(or作品)の発売日又は予約可能な日になると、メールやスマホアプリで、「発売開始」や「予約開始」について通知が届くことになります(案外、予約開始なども「あ、これ出るのか」という感じで意識できるので便利です。発売日だけでいいなら、登録時の設定で選択が出来るようになっています)。

 欠点としては、ナタリーと同様に角川書店などの書籍扱い本の通知が遅れることと(まあ大した問題ではありませんが)、登録された作者なり作品しか表示されない&通知されない、ということです。そのため、登録漏れの作者の作品などに、店頭に行って初めて気がつくという事も結構ありました。

 ただこれは、①の「ナタリー」のリストも併用してカバーが出来る問題ですし、PCサイトには月別の発売日リストも掲載されています。カレンダーと連動して、日別のリストとしても使えます(こちらはナタリーと異なり、翌日以降もチェック可。画像も出てくるので少し重いし一覧性が悪いですが)。

 そして、ナタリーで気がついたり、店頭で気がつく度に、漏れていた作者名等を登録していくと、当然ですが次巻はちゃんと通知が届くようになります。

 まあこれは、「通知リストを育てる」ってイメージでしょうかね。

 その作者の全ての作品の情報は不要と思えば、「作品別」の登録にしておけばよいということになります。その辺りは各個人の使いようですね。

 初めて店頭で出会った作品なども、同様に気になれば登録していきます。そうすると「最終巻が出たのに気がつかなかった」問題など、販売部数が少ないコミックスのチェック漏れ対策については、ほぼ完全に解決ができます。


■コミックス新刊の発売日は判っても、、、

 あとは通知等を頼りに、発売された「はず」の新刊本を探して彷徨うだけ(爆)。
 まあ、それが大変なんですけどね。。

 1件の本屋で済めばいいんですが、大抵の場合は何かしらの本が「無い」ということになります。
 なので、行きやすい本屋を数軒まわって、それでも駄目な場合には、「ここなら絶対あるだろう」というコミックス売場の充実した大型書店や漫画専門店などに脚を伸ばすことになります(それが近場にあれば問題はないわけですが)。

 ただ、それで2週間くらい探し回っても見つからないものもあり、そうすると年に1~数回くらいは、ネット販売で購入という形になります。
 まあ、、、、最初からネットで買えば話は早いと言われそうですが(汗)、何とか本屋で買いたいという気持ちがあるもので(本屋さんを応援したいという意味も込めて)。
 だったら注文すりゃいいんですが、何日も探し回って結局そこからさらに1週間以上、出会うのに掛かるとなると、「早く読みたい!」欲求的に難しいというか(←苦しい言い訳)。


 なお、知らなかった新たな作品や作者との出会いについては、やはり店頭で表紙や帯の説明を見て、ということにはなりますので、本屋での出会いは欠かせません。本を探し回るのも、そういう出会いも求めている部分もあったりはします。

 いつかは電子書籍に移行はしていくと意識もしていますが、もう暫くは、こんな感じで新刊本を日々チェックしつつ、生き残った書店にて印刷された書籍を探して彷徨いたいな、、、と思います。
  

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2018/05/09

武月睦 「やおろちの巫女さん」 全4巻 ヤンマガKCスペシャル 講談社

.  魔王の心臓を取り戻そうと、やおろちが憑いた巫女に日夜アタックする3匹の怪物達の、緊迫もありつつ、どこかのほほんとしたやり取りを綴ったコメディー作品です。

 やられてもやられても、まるで日課のようにそれを当たり前に受け入れ、そしてまた性懲りもなく巫女に挑む怪物3匹は、高校生である巫女の先祖の代から数百年、延々とそれを繰り返しています。
 まあ、そこまで長いと色々とユルユルでもありますが、どちらかというと問題なのは”やおろち”を宿す巫女の方。どっちが邪神やねんというくらい”やおろち”は禍々しく、様々な術で抑えながらも、巫女の体を徐々に蝕んでいきます。代々”やおろち”を卸せるのは血筋の決まった家系の女性のみ。そしてそれぞれが短命に終わる宿命を背負っています。

 所々でその”やおろち”の禍々しさの方が強調されてきましたが、4巻では過去にやおろちを降ろした歴代の巫女達について、そしてそれを”見守る”怪物達の今と変わらぬ行動までを描いています。

 完全に地域の日常に溶け込んでしまい、戦っている時以外は「ウルトラファイト」の怪獣よろしく(笑)、公園やら川辺やらでのんびり時間を潰す怪物達は、長寿命であるが故に、様々な人々を看取ってきた訳ですが、、、はたしてそもそも”悪”なのかどうかも微妙な立ち位置といったところ。そもそも、宿っている”やおろち”は何としても倒して心臓を取り返したいものの、”巫女自身”を倒したいかといえば、実はそれも少し違っていると、、その辺りの雰囲気が、4巻全体を通じて直接的ではなく、長い歴史を踏まえて間接的に語られていく、という感じでしょうかね。

 最初のうちは吉本喜劇よろしく、繰り返しネタの中に、ちょっと人情的なエピソードが入って来るといった感じで、弱冠間延び感もありましたが、4巻までのエピソード全体によって、なんか彼らのその行動原理が、ストレートではなく”何となく察することができる”という感じでまとまったかなと。

 大団円といえば大団円なのかもしれませんが、けど何か全てが解決した感じもしない、少し寂しい叙情感も感じる幕引きなのかな、という気もします。
 彼らは彼らで、巫女も含めていろんな意味で時を大切にして、そして楽しみ満足しているわけですけどね。

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2018/04/27

これかわかずとも 「東京カリニク鉄砲隊」全1巻 Kadokawa comics A 角川書店

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2018/04/25

赤瀬由里子 「サザンと彗星の少女」 上下巻 リイド社

 地球が様々な宇宙人とも交流し、生活している数百年後の未来、他星人の居住用の小惑星の整備を生業としている青年サザンは、ロケットバイクに跨がる一人の少女と出会い、そして大冒険活劇へと巻き込まれていく事になります。。

 あらすじ云々は読んでからのお楽しみとして、この作品は非常に独特な雰囲気を醸し出しています。
 独特といっても、いわゆる雰囲気は1980年代のアニメの世界ってところでしょうか。何しろこの作品、<全フルカラーコミックス>な訳です。そしてカラーインクのような着色だなと思ったら、水彩で彩色しているっつーんですから、まあノスタルジー感を感じるのも当然でした。
 ※フルカラーで、1000円台/冊という価格帯に抑えるというのも凄いですが。

 全て彩色されているが故に、動き的にはあまり激しい描写がされるのではなく、イメージとしては昔のアニメのフィルムコミックス(アニメの画面をコマ割したもの。最近はあまり見かけませんが)といった雰囲気です。

 そこを冗長と感じるか、一周まわって新鮮と感じるかは人それぞれですが、WEBコミックとして発表され、それなりに掲載時に人気を獲得できたということは、単なるノスタルジーを感じた人だけが引き込まれた訳ではないのでしょうね。

 SF的な要素もかなり入り込んでいますが、その辺りの考証はまあ大きな問題ではなく(笑)、そういう意味では<おおらかにサイエンス・フィクションを楽しむ>というコンセプトだと言えるかなと。

 結構なスケールで離ればなれになったり、迷惑が掛かると遠ざかる彼女を追いかける、特に凄い特殊能力があるわけでもない等身大の主人公は、感情移入しやすい部分もあり(けどまあ色んな意味でムチャクチャですが(笑))、敵対する謎の飛行船のボスと彼女との、ある意味では共通点に至るまでのストーリーなど、いい意味での<スペース・オペラ>として存分に楽しめる、そんなエンターテイメント作品になっているかなあと。

 微妙な懐かしさ(笑)と引き込まれるようなストーリー、そしてアメリカ映画的な大団円など、、、最後の方はセオリー通りに「こうなるよな」って、どう読んでもわかるんですが(笑)、けどなんか判っている結果なのに、のめり込んで読んでしまっている自分がいました。

 そういう意味で、漫画ではあるんですけど、映画的な手法も使って観客を引き込むような、そんなテクニックも使われているような気がします。これは全てのページを極彩色で装飾した、そういう色彩センスの良さも大きく貢献しているのかもしれません(よく考えたら暗い宇宙の話なのに、本当に色彩豊かなんですよね(笑))。
 

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2018/04/23

サメマチオ 「魔法少女サン&ムーン〜推定62歳〜」 全1巻 BAMBOO COMICS 竹書房

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2018/04/20

【ヤブガラシ】約5年(3年?)で概ね状況終了【掃討作戦】(その3:総まとめ)

 その1その2からの続き。ヤブガラシ撲滅作戦の総まとめです。

■ヤブガラシの駆除・撲滅には、一体<何年>かかるのか?(総まとめ)

 結局、ここが一番の論点ですよね。

 5年掛も掛かるの?という風に思われそうですけど、先にも書いたとおり、最初の2年くらいは、どうやって対処したらいいか途方に暮れ、土日しか時間がない中で、適当にやっていた感が強いです。つまり<無駄撃ち>です。

 なので、私の事例については、最初の2年分くらいはカウントしない方がいいんじゃないかなあ、と思います。

 いま、これまでの実体験と、各種の資料や論文等によって得られた知識を総動員した場合、1から始めてどのくらい掛かるかを考えると、概ね2~3年見ておけばいいんじゃないでしょうかね?

 以下、パターン別に見てみましょう。

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【ヤブガラシ】約5年(3年?)で概ね状況終了【掃討作戦】(その2)

 その1からの続きです。

 昨年度で掃討終了と書きながら、実はちょっと広めの庭の中は、庭木も沢山あって、灌木の下に潜り込むのも大変なため、取りこぼしがどうしてもあったりします。
 その辺りを図示しながら整理してみました。下記の面積でだいたい20×10mくらいと思って下さい(図はフリーハンドなので適当ですが(汗))。

■庭(真ん中は防草シート+砂利、壁際や池周辺には庭木多数)・・対処中(5年目以降進行中)

 さて。庭先の状況を改めてエリア別に整理してみました。
 ポンチ絵も起こしてみました。ビジュアルの方が判り易いかと思いますので。(クリックで別窓で開きます)
 
Photo

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【ヤブガラシ】約5年(3年?)で概ね状況終了【掃討作戦】(その1)

 4月に入り、ヤブガラシ系のページにアクセスが増えてきたので、各地でまた芽が出てきているのでしょう。

 通算だと昨年で5年目、今年で6年目ですが、最初の2年くらいは、試行錯誤でほぼ無駄弾を撃っていた感も強いので、実質的には本格的に対策を始めて、3年くらいで掃討がほぼ出来た、というのが正しいかなあと。

 昨日巡回したところ、また出てきている場所が、やはり数カ所ありました。まだ何カ所かは出てくるでしょうけど、随分と全体としては落ち着いた感がある昨今です。
Imag0913


 うちでは庭をひっくり返した際、根を切り刻んだ上に埋め戻してしまって、いろいろなところに発芽箇所が分散していました(ある意味では、最悪な状況。。。)

 場所によりけりという感じなんですが、とりあえず区域によっては目に見えて戦果が出ていますので、区域別に整理してみます。

 ちなみに、昨年度は、ケイピンエースを挿せるような太根はもう残っていないので、ケイピンエースは一度も使いませんでした。50本入りが半分くらい余っちゃいましたが、結局3セットで足りたということです。

 掘るのも弱冠面倒なので、時間がない時はハサミと100円ショップのオイル入れ(ハケ付き)だけを持って、ささっと10~20分くらい庭を廻って、グリホサート処理をしてました。細根からの発芽の場合は、掘り起こすか除草剤処理の方が的確に撲滅できます。

 時間があるときはシャベルを持って廻りましたが、そもそも芽が出てくる場所が限られ、2~3週間間隔で廻っても、ちょっと芽がまた出てきたな、程度になっていたので、作業的にも精神的にも、とても楽になりました。

 ※この文章は昨年度に概ね書き上げ立ったのですけど、推敲しているうちに今頃になってしまいました(汗)。本年度の作業は殆どしていませんので書き換えたんですが、「今年の」という表現がまだ残っていたら、昨年度の話だと思って下さい。

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2018/04/19

山城良文 「反逆のオーバーズ」 1巻 BEAM COMIX エンター・ブレイン

 数々の超能力を持ったヒーロー、通称「オーバーズ」達が、互いに争い、そして世界が崩壊したのち、復興しつつあるとある世界。。

 オーバーズは「悪」というレッテルを貼られ、残党は管理組織によって追われ、そして消されていく、、、そんな世界の中で、オーバーズに憧れる一人の少年が大戦を生き残った超能力者達と出会い、管理局と反逆する彼らとの泥沼の戦いに巻き込まれていく、そんなお話です。

 まあ、彼自体がこの戦いの始まりでもあり、そして”鍵”となる人物ではありますけど、ヒーロー達が反逆者として追われ、消されていくという世界観、そして平和を愛し人々を守る筈のヒーローが「そうではない」という辺り、常識的な部分を壊しながら、追われる身となったヒーロー達と、管理局に協力する”元”ヒーロー達の、壮絶な戦いが繰り広げられます。

 まあ、1巻だけではまだストーリーの全体像は見えてきませんが、ストーリーの構成や魅せ方については、アクション系少年漫画として、既に十分過ぎるくらいの領域には達しているかなと。

 物語は、かなり残酷な方向に流れていくのか、本当の意味の「正義」は何なのか、これは2巻以降の展開を乞うご期待、といったところでしょうね。流れ的には、面白いと思った人は裏切らない展開となっていくかな、と思いますが(希望的観測)。
  

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2018/04/16

小坂泰之 「放課後ていぼう日誌」 2巻 ヤングチャンピオン烈コミックス 秋田書店

 海辺のとある高校に転校してきたばかりの手芸大好き女子高生が、何の因果か釣りや磯遊びを楽しむ「ていぼう部」に巻き込まれ(?)、苦手だった生きものたちと戯れる日々に投げ込まれ、、、、そんな阿鼻叫喚な状況から、徐々に楽しみを見いだしていく、そんな作品です。

 まったくの釣り素人、いやそういう事をやろうなどと一度も考えたこともなかった少女が、個性的で半ば強引な「ていぼう部」の面々に騙され(違)、けどやってみたら、結構奥が深くて徐々に填まっていく(堕ちていく、、とも言う)、そんなシチュエーションを楽しむ作品です。

 釣りは私は多分、不得手な方です。全く嫌いではなく、幼少の頃は田舎で叔父に釣りに行かされまくりましたが(川釣り、磯釣り、船釣りからアユの友釣りまで経験させてもらいました)、仕掛けから何から叔父任せで、自分で工夫しようとか憶えようとか、そういう気分にならなかったんですね。行けば楽しいし、釣れれば面白かったので、嫌いではないものの、何かのめり込めなかったというところでしょうか。

 なので、釣り漫画をあれこれ批評なんぞ出来る立場ではありませんが、この作品の場合は、主人公の立ち位置が私に近いというか、、、けど2巻辺りからは積極的に動き始めたりもするので、私より前向きカモですが(汗)、そういう「初めてやる人が、どういう風に楽しみを見いだしていくか(そして泥沼に填まるか(違))、そういう視点でよく描けているなあと思います。

 釣りを教えてくれる人にも色々あって、私の叔父などは、仕掛けとかに私が興味を示さなければ、何も教えずにさささっと竿と仕掛けを準備して、ほいっと渡してくれるだけでした。
 無理強いもしないし道具も全部用意してくれるので、あとは餌付けて釣って、釣れたら外してまた餌付けて(それは自力で一通り出来ます)、というのの繰り返し。小学生くらいでしたから、そうなるのも仕方ないし、釣れた時には楽しいものの、釣れるまでの準備の楽しさとか、仕掛けの理屈だとか、そういう部分を完全に端折ってしまっていたから、興味がそれ以上伸びなかったのかもなあ、と思いました。

 素人が釣りに填まっていくという漫画は、実はそういう意味で興味があって、ちょくちょく読んでいたりします。だいたいは、何かのきっかけに釣りに填まっていく人を描いている訳ですが。。。

 その中でこの作品、ここまで「釣りとは無縁で興味のかけらもない」人間を(笑)、どのような手順やイベント、その他の言葉や行動でだんだん洗脳していくのかという辺り(こらこら)、なんか鉄壁の城壁をいかに攻略するかみたいに置き換えてみると、なかなか面白いなあと思うんです。

 この作品は、特にその<攻略>の仕方がよく描けているなあと思いました。勿論、キャラの個性や設定も絶妙だからこその面白さですけど。

 それと、いきなり大物を釣るとかのダイナミックな楽しさではなく、2巻になって、やっと小アジを初めて釣ったことに歓喜するという、本当に地に足の付いた、現実的な小さいながらも大事な”楽しさ”を描いているな、と思ったりもします。

 子供相手に、生きものの観察会みたいなこともやっているので、そこでも参考になるかもなあ、と思いながら読ませていただいております。。

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2018/04/13

佐藤宏海 「いそあそび」 1巻 アフタヌーンKC 講談社

 コンビニもゲーセンも何もない、海辺の片田舎のとある街の片隅の、さらに旧道の脇の空き家に、突如<お嬢様(元)>が襲来。都会から急にど田舎にやってきて、ちょっと通常では考えられない四苦八苦(?)をしている彼女と、偶然にも出会ってしまった生きもの好きな少年との交流を描いた、生きものサバイバル系(?)物語です。

 作品自体のコンセプトもさることながら、キャラ設定が絶妙だなあと思いました。
 父親の事業失敗で、ある意味では裕福な生活からどん底の”自給自足生活”に、日本の片隅で突入した少女(中学生)ですが、田舎の海辺の自然としての当たり前が、当然ながら一人では何一つ解決できないと。
 そこに身近な自然が「あって当たり前」な上に、ちょっと生物の知識も他の子より持っている少年が、「何が食べられるか」から彼女に指南していくことになると。

 と言っても、普通であればそんな”サバイバル”な生活なんて、田舎でもしないわけです。
 けど、どん底に転落しても、人に頼らず借りも出来るだけ作りたくないという、生活力は別としてかなりしっかりとした考え方の少女と、いろいろ知ってはいたけど、それを”生きるため”に活かそうとは考えたこともなかった少年が、何とか手伝ってあげたいと右往左往するという辺りで、それぞれが「ないもの」を補完しあっているなあ、という感じがするんですね。

 作者自身、この少年のように「自分が置かれていた環境の価値」に、言われるまで気がつかなかったくらい、ドップリと田舎の自然を知らずに浴びていた訳で、その価値に気付かせてくれたのが、少女のような「それを価値と認めてくれる」人々、つまりは編集者さんだった訳ですね。

 全く違う価値観を持つ人が出会うことで、いろいろな気づきが産まれる、、、まあ勿論、ぶつかり合って理解が出来ないという悲劇も起きることはありますけど、この作品では、良い方向で「田舎の自然の良さ」に、住んでいた人達が気付かされていく、といったところでしょうか。

 まあベースが実体験と、田舎の魅力に気付いていなかった(・・・もしかしたら、まだ半信半疑かもしれませんが)御本人の価値感なので、作品の流れや生物の描写については何の違和感もなく楽しめます。それ以上に「食べる」という部分にある程度特化しつつ、いわゆる(多少流行の)狩猟系漫画とはまた少し違う、もっと地に足が付いたような流れと共に、どこか青春系の雰囲気もあるのがいいなあ、と思ったり。

 タイトルは「いそあそび」ですけど、遊びというよりは、住んでいる場所のとなりに普通にある、凄い自然というわけでもないけど、いろんな意味で豊かな”田舎の自然”を楽しく満喫できる、そんな作品かなあと。
 

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2018/04/11

坂木原レム 「ペンタブと戦車」 上下巻 まんがタイムコミックス 芳文社

 コミケ修了の帰りに会場で発生したカスミに飲み込まれ、”萌え系”擬人化戦車オタクが飛ばされたのは、昭和14年のノモンハンの日本戦車部隊の目の前。。  そこで出会ったのは、擬人化キャラに理解を示し、、、、示しすぎてコジレまくる戦車長と、自分の子孫達の面々、、、。

 兵器は好きだけど実際の戦い=殺し合いは望んでいない、そんなミリオタな主人公が逃げつつも実戦に巻き込まれ、そして”自分の存在の危機”に直面しながら、自分の能力を駆使して解決策を模索していく、そんな物語です。

 タイムスリップした先で、”擬人化戦車絵”を武器に(?)様々な騒動に巻き込まれ、さらに日本軍の戦車部隊と、当時のノモハン周辺の状況など、マニアックな軍事ネタが満載な上に、SF的にも<超変則球>を投げ込んでくる、タイムスリップSFミリタリー作品ですな。。

 この辺の時代考証は詳しい人に譲るとして(しかしまあ、軍服の襟の形から戦車自体の配備の状況から、結構細かく調べられています)、タイムスリップものとしては、ちょっと異色な流れもあり、予想をどんどん裏切っていくは、平行世界だからと歴史も微妙に変わっちゃうわ(笑)、そしてある意味、本能のままにオタ絵を量産し続けたりしながら戦う、主人公と一緒に飛ばされた先輩などなど、まあ本当に<予測不能>なSFコメディー作品です。

 本物の歴史では戦士することとなっていましたが、完全に擬人化された89式にのめり込み、「俺の嫁」にしちゃう戦車長のその後などなど、、、変な話、アンソロジーで「もし○○が××だったら・・・」とやってるような内容が、完全に本編でやられちゃってるんですから、もう変則球としか言い様がありません(笑)。

 そしてパラレルワールドでもしっかりオチも付いているという、、SFとしても変化球ながら、なかなか凝った作りの作品でもあります。

 命の取り合いである戦場でありながら、そういう面はあまり強調し過ぎず、けど主人公はそれなりに葛藤していくという、リアルな戦争というよりは少年向け&アニメ的な味付けではありますけど、当時の価値感なども踏まえた作品全体の構成は、人間模様の物語として、そしてSFとして楽しく読めるんじゃないかな、と思います。

 ちなみに、、、結局最後までペンタブ(ry

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2018/04/09

イシイ渡 「水族カンパニー!」 2巻 ビッグコミックス 小学館

 とある水族館に入社した新人トレーナーと、そこに新人として同じく入ることとなった、”変態(?)”獣医師との、文字通り「日々の戦い(いろんな意味で)」を描いた、水族館コメディー作品です。

 水族館の飼育の裏側にポイントを置いていますので、舞台裏での動物の様子や関わり方(つきあい方)、そしてトラブルへの対処方法など、そういう部分に焦点が当てられています。

 その中でも特に”海獣(海棲哺乳類)”に焦点を絞っています(まあペンギンは哺乳類ではなく鳥類ですけど)。イルカにラッコ、オットセイなどなど、実際に飼育しているものだけではなく、野外で衰弱個体が見つかった場合なども扱っています。

 まあ、防水の上下スーツで身を固め、ほぼ”変態”だけどそこそこ優秀で、仕事にクールで冷淡な獣医さんに翻弄されたり、経験者から教わる様々なノウハウや試行錯誤、そして失敗談などなど、水族館で飼育を担当している人達への取材の成果がなかなか出ていて、さらに大型獣に特化しているという軸足は、悪くない感じがします。

 ちなみに、、、<完全に> 余談ですけど、2巻で出てくるキタオットセイのエピソードで、「絶滅危惧種だから手を出せない」というくだりがあります。
 ここだけ微妙に引っかかったのと、私もよく知らなかったので調べてみました。

 「絶滅危惧種」というと大雑把な言い方なんですが、大抵の場合は環境省や県などが出している「レッドデータブック(レッドデータリスト)」(略称はRDBまたはRL)に使われる呼称です。が、これには法的な縛りは全くありません(別途、条例などで保護動物などに指定していない限り)。「量的・質的に絶滅のおそれがあるかどうかのランク付けした」という意味しかないのです(とはいえ、環境省のRDBは、次に出てくる法律の種の指定における根拠として、活用されていますが)。

 法的な縛りがあるのは、通称「種の保存法」と呼ばれるもので、ここでは「国内希少野生動植物種」や、ワシントン条約掲載種に相当する「国際希少野生動植物種」などとなっています。けど、この管轄省庁は環境省ですから、本作品で語られているように水産庁(農林水産省)の許可云々とは違う話です。
 (通称:鳥獣保護管理法は、主旨がかなり異なる法律なので、ここでは割愛)

 じゃあ水産庁が管轄する法律って?というと、「臘虎膃肭獣猟獲取締法」。漢字で書くと意味不明ですが、「臘虎=らっこ」「膃肭獣=おっとせい」のことで、ラッコ・オットセイの捕獲及び毛皮製品の製造・販売について農林水産大臣が制限し、違反した場合の罰則などを定めた法律で、明治時代に国際条約に則って骨子が作られましたが(条約自体は1941年に失効)、形を変えて現在も有効な法律だそうです。

 なのでキタオットセイに限らず、オットセイやラッコは何でも水産庁の許可がないと保護も出来ない、触れない、という事態が実際に発生していて、時に浜辺に打ち上げられた衰弱個体を巡って大騒ぎになることも。それを具体的にエピソードとして取り上げたのですね。

 ただ、「絶滅危惧種だから・・・」という表現は、なんか適切じゃないなあと思うんです(一般の人には、その方が判り易いかもしれないんですが、誤解も生むなあと)。
 「法律で保護されているから・・・」と書くのが正解じゃないかなあと。細かい部分は置いておいて、この法律がキタオットセイに限らず有効とされているということは、コラム頁でも触れてもいいくらいかな、と思ったりしました。

 まあ、また細かな話をしてしまいましたが(汗)、色々な問題に触れて広めてくれることは、ある意味では啓蒙にもなって有り難いなあと思ったりします。

 作品自体は、上記のような堅苦しい法律論は書いておりませんので(汗)、普通に動物・水族館コメディーとして楽しめる内容です。ご堪能あれ。

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2018/04/06

みよしふるまち/縞田理理 「台所のドラゴン」 1巻 ジーンピクシブシリーズ KADOKAWA

 東欧「風」なとある国に留学した自然や動植物が好きな画家志望の女性が、とあるきっかけで部屋の中で見つけた卵から、トカゲとも何ともよく解らない動物が孵化してきます。  いつしか、種類も判らないその生きものと、東欧の「ドラゴ(いわゆるドラゴン)」伝説が重なっていき。。。

 偶然出会った生きもの(どう見てもドラ(ry )と一緒に、遠い東欧の片田舎の小さな小屋で一人暮らしをする少女(見た目)が、絵画学校に通いながら、狭い小屋(寝室も台所も一部屋)で日々を過ごす、そういう作品です。

 ”ドラゴン”がメインと言えばメインなのですけど、あくまで「急に現れた同居人」。ペットといえばそうなんですが、彼女にとっては先輩として部屋に棲み着いているヤモリと同等扱い。「一緒に住む隣人」といった雰囲気な気がします。ストーリーのメインはあくまで、日本を飛び出し、知人も最小限しかいない東欧のどこかの国で、自分が何をしたいのだろうという部分を探し、小さく悩みながら、「一緒に住む隣人」に癒やされる(時に振り回されますが(笑))といったところ。

 ざっくり言えば、若い女性の絵画を通じた自立への歩みと、その生活をちょっと潤してくれる、小さな”隣人”との交流を描く作品、と言った方がいいんでしょうかね。。

 原作では主人公はもう少し”年上”なのだそうで、コミックスにするに当たって、原作者も交えて年齢設定は下げたそうですけど(見た目が”小さい”のはまた別な気がしますが(笑))、どこか落ち着いて大人びた雰囲気を醸し出しているのは、その原作の雰囲気が残っているのかもしれません。

 とりあえずまあ、ドラゴンの漫画というよりは、東欧の田舎で自立を目指すレディー+可愛い動物+ファンタジー要素がほんのり、と言った塩梅の作品だと思ったらよろしいかと。
  

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2018/03/23

泉一聞 「テンジュの国」 1巻 KCデラックス 講談社

 チベット地方の小村で、主に薬草などを使った医者見習いの青年のところに、別の集落から親に背負われ、花嫁候補がやってくる。。

 アジアの山村の生活や、集落ごとに違う風習などをを紹介しつつ、親が決めた結婚とは言え、若い二人が少しずつ心の距離を縮めていく、そんな物語です。

 基本、主人公が薬草バカでのんびりした性格なところに、慎ましくおしとやかな少女がやってくる、ということで、住み込みとなった少女との間で、ギクシャクしながらも少しずつ親好を深めていく、そんな雰囲気ののんびりとしたアジアンチックなお話です。

 この系統の作品としては「乙嫁語り」がありますが、あちらは中央アジアからカスピ海までの範囲で、遊牧民的な部分が強いですね。チベットの方は放牧もしていますが、山岳地帯ということで、いわゆる山岳民族的な雰囲気があり、似ているところもありますけど、また少し違った味付けです。

 まあ、村の数だけ民族があるみたいな感じで、本当に小さな人々の集まりが独特の文化をそれぞれ育み、それでいて遠い地域の他民族との交流も盛んという、ネパールからチベットにかけては、国という単位とはまた違う世界観ですよね。

 南へ行けば印度という、これまた数百の民族がひしめき合うカオスな世界ですが(笑)、そちらは伊藤勢さんにお任せするとして(違)、とりあえずどこかのんびりとした(村の生活がのんびりというよりは、主人公がのんびりし過ぎ(笑))、そんなアジアンな雰囲気を楽しめます。

 次巻はちょっと”すれ違い”もあるような予告になっていますけど(知らない人を助けるかどうかというのは、単なる道徳的な問題だけではなく、集落への危機が及ぶかどうかという結構シビアな問題・・・?)、まあこの2人なら乗り越えられるでしょうかね。
 

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2018/03/19

とよ田みのる 「金剛寺さんは面倒臭い」 1巻 ゲッサン少年サンデーコミックス 小学館

 とある穴で地獄と繋がってしまい、当たり前のように「鬼」がのんびりと人間世界に溶け込んで生活している、そんなどこか設定が”面倒臭い”世界(※ただし、そこは本編には大きく関わりのないことらしい)。

 そんな中、正論を振りかざすして「正しいと考えた行動しかしない」”面倒臭い”少女(金剛寺さん)と、思ったことは素直に言葉にしてしまう心優しいけど別の意味で”面倒臭い”鬼の青年が出会ったことで、”大きく関わりのないこと”ですけど、周囲に大いに影響を撒き散らしながらアオハルが暴走していく、、、、そんなドタバタ純愛(?)コメディーです(笑)。

 文武両道でスーパー高校生なヒロインは、あらゆる意味でとにかく面倒臭い訳ですが(笑)、その行動原理にもちゃんと理由があります(ここはある意味で核心ですから、読んで確認しましょー)。それを踏まえて、その「面倒臭そうなところが好き」と公言してしまう、悪く言えば優しいけど考えすぎでストレートな鬼の青年も、心の中にはある種の何かを抑え込んでいたりもしますが、、、、

 この作品の場合、「大きく関わりのないこと」にウェイトが掛かりすぎというか、、、(笑)。

 衝撃的な心理描写もなかなか”面倒臭い”描写ながら、その一瞬に平行してザッピングのように進行する周囲のドタバタが、半分以上を占めているというか(笑)。
 なんかもう人生がそこで転換してしまうような、そんな事件が彼らの周囲のあずかり知らぬところで進行していようとも、本編である二人の”アオハル”は暴走し続けるのです。

 一瞬が交錯する”大きく関わりのない”物語や、大袈裟に輪を掛けたような心理描写(笑)に目を奪われちゃいますけど、やはり根底にあるのは、恋愛に至る心理というか、「ラブロマ」(全5巻)の頃から秀逸だった心と言葉と”行動”の駆け引きの部分だろうと思います。

 読者の誰もが「そうそう、こういう風に感じたり考えたりするよね」という前提の心理部分がしっかりとあった上で、その斜め上を行く行動に走るから、ラブコメとして面白いんですよね。どこかこう、ドタバタの中にまさにどちらの心理も上手に描き出し、”駆け引き”のような部分の綱引きというか、両方の視点を上手に作中に描き込めているなあ、と思ったりもします。

 ある意味、どっちも面倒そうな性格の二人ですが(笑)、アオハルを暴走させて周囲を巻き込みまくりながら、きっとそうした”大して関わりのない”人々が少しずつ集まって、大きく関わっていくんだろうなあ、という気がします。

 しかしまあ、よく考えたら1巻丸々使ってここまでしか進行しないって、本当に面倒臭いカップルですよね(笑)。

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